家庭で無線LANを使用した際に、電波が入りにくいと感じたことはないでしょうか。特に一軒家や鉄筋コンクリート造りの集合住宅では、階数や壁などの障害物が多いため、電波が届きにくいことがあります。そこで最近では、複数台のアクセスポイントを設置して、無線LAN環境を構築・運用できる家庭用Wi-Fiルーターが発売されています。今回はその中から、TP-LINK社が発売している「Deco M5」とGoogle社が発売している「Google WiFi」を徹底比較してみました。
「Deco M5」とは?
出典:https://www.tp-link.com/jp/
「Deco M5」とは、TP-Link社が”メッシュ”と呼ばれる最新技術を使用した、オールカバーホームWi-Fiシステムです。階数が多い建物や、壁などの障害物が多い場所など、建物のサイズや構造に関係なく、高速インターネット通信を実現します。また特徴としては、LAN/WANポートが一体化しているので、有線LANポートの接続先は問いません。
オールカバーホームWi-Fiシステムとは
TP-Link社独自の「メッシュネットワーク技術」を利用し、Wi-Fiの電波を建物全体へ届けることを実現したWi-Fiシステムのことです。まさに、中継器という垣根を越えた、新たな無線LANルーターといえます。
「Google WiFi」とは?
出典:https://store.google.com/jp/
「Google WiFi」とは、Google社が発売している家庭用のWi-Fiルーターです。ルーター機能を徹底的に見直し、優れた安定性、柔軟な操作、デバイスとのオンラインアクティビティのシンプルな処理を実現します。また特徴としては、IEEE 802.11sによる複数台の無線連携により、有線LAN増設なしで通信可能範囲を拡張することができます。
「Deco M5」最大の特長3つ
1.独自のメッシュ技術を用い、通信エリアを広く保つ
TP-LINK社は独自の技術で、
3台のAC1300ユニットにより、最大で510㎡もの範囲にWi-Fi電波を届けることを可能にしました。また、1台1台が独立して電波を発信しているため、最も強い信号を自動的に判別してデバイスと接続することができます。また、最適なルートを判断したものの、そのうちの1台が故障していたときには、迂回ルートを自動的に構成することができ、機器の故障による通信トラブルを回避します。
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さらに「Deco M5」は、2.4GHzと5GHzの2つの帯域に対応しているため、ストリーミング動画の視聴やゲーム、ファイルダウンロードなど、用途に合わせてどちらかを各機器が自動的に選択してくれます。
2.アプリで簡単設定
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初期設定や接続は、「Deco M5」のモバイルアプリから簡単に行うことが可能です。アプリをダウンロードしたら、Bluetoothを有効にします。その後はアプリ内の指示に従うだけで設定完了。最大10台まで追加することができ、最初の1台目のみインターネット接続を完了させてしまえば、2台目以降は自動でネットワークを構築してくれます。また、外出先でも使用状況をアプリで確認でき、「Deco M5」が建物内のどこに設置されているのかを見ることもできます。
3.完成度の高いセキュリティ
トレンドマイクロ社の技術を応用した「TP-LINK HomeCare™」を搭載しているため、ネットワークに接続する全ての機器をオンライン上の脅威から防御してくれます。
保護者による制限機能
各機器がインターネットにアクセスできるコンテンツと時間帯に制限をかけることが可能です。そのため、子どもも安全に利用できます。
3段階の防御システム
「悪意あるコンテンツのフィルタリング」及び「侵入防止」「感染してしまった機器の隔離」という3段階の防御システムにより、ネットワークに繋がるご家庭の機器を有害サイトやネットワーク攻撃から守ります。このアンチウイルス機能は、3年間使用できます。
カスタマイズ可能なQoS
アプリケーションの優先付けやデバイスに優先順位を設定することで、ネットワーク全体の効率を改善し、最高の性能で動作し続けられます。
使用状況のレポート
毎月の利用状況、ブロックしたコンテンツ、セキュリティ上の脅威を確認できます。
「Google WiFi」最大の特長3つ
1.メッシュWi-Fiを導入
設定が難しいとされていた、メッシュWi-Fiを家庭用として導入したことで、凝った設定は不可能ですが、不自然な接続やデッドゾーンなどを排除しました。また、家の中を移動した場合や、回線の状況が変動しやすい状況でも、各Wi-Fiポイントから最適な通信チャンネルや帯域を自動的に選択し、高速通信を提供してくれます。
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上記の図のように、約85平方メートル以下では1台、85~170平方メートルでは2台、170~255平方メートルでは3台の「Google WiFi」を設置することが推奨されています。
2.アプリで簡単管理
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「Google WiFi」では、スマホアプリの使用を必須とし、セットアップや運用は全てアプリから行います。しかし、その方法は非常に簡単かつ便利なので、機械が苦手な方でも安心して使用できます。まずアプリをダウンロードしたら、付属のケーブルで1台目のWi-Fiポイントをモデムと電源に接続します。
その後は、アプリ内の手順に沿って進めるだけ。基本設定、接続状況の確認、家族利用に便利な端末ごとの使用時間制限、特定端末の速度優先設定をはじめとする各種端末管理、来客時に便利なゲストネットワークの構築など幅広い設定をすることが可能。また、処理時間なども長時間かからないため、スムーズに操作でき、ストレスを感じさせません。
3.手のひらサイズのシンプルなデザイン
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複数台連携を前提とすることで、直径が106.12mm、高さが68.75mmと手のひらに収まるコンパクトな本体サイズを実現させました。重量も340gと比較的軽く、動作音もしないので、部屋のインテリアを邪魔しない設計です。
「Deco M5」「Google WiFi」機能面を比較してみた
Wi-Fi機能
|
「Deco M5」 |
「Google WiFi」 |
MU-MIMO |
○ |
○ |
自動パス選択 |
○ |
× |
AP ステアリング |
○ |
○ |
バンドステアリング |
○ |
○ |
ビームフォーミング |
○ |
○ |
MU-MIMO
無線LANルーターにスマホやタブレットなど複数の端末を繋げたときに速度低下を防ぐ機能
バンドステアリング
2.4GHz帯と5GHz帯の電波の状態を比較して、Wi-Fi通信の周波数帯を自動で切り替える機能
ビームフォーミング
通常では届きにくい電波を届きやすくする機能
Wi-Fi機能での違いは、自動パス選択機能があるかどうか。また、機能面で欠かせないのが、やはりWi-Fiの通信速度です。先程ご紹介した”最大の特長3つ”の項目でも触れていますが、「Deco M5」は、2.4GHzで下り最大400Mbps、5GHzで下り最大867Mbpsという通信スピードを実現。一方で「Google WiFi」は、5GHzで最大866Mbpsだそう。結論、どちらもスピードは大差ありませんが、「Deco M5」の場合、多様な用途に合わせてどちらかを各機器が自動的に選択してくれるので、機械に詳しくない家庭やお子さんが使用する家庭では「Deco M5」がおすすめです。
便利機能
|
「Deco M5」 |
「Google WiFi」 |
モバイルアプリ |
○ |
○ |
内蔵Bluetooth |
○ |
○ |
設置場所のアシスト |
○ |
○ |
スピードテスト |
○ |
○ |
接続機器の一覧 |
○ |
○ |
手軽なゲスト用Wi-Fiの共有 |
○ |
○ |
便利機能の面では、内蔵されているシステムはほぼ同じなので、どちらも扱いやすいということが分かります。
ソフトウェアおよびセキュリティ
|
「Deco M5」 |
「Google WiFi」 |
ネットワークスキャン |
○ |
○ |
ルーターによるアンチウィルス |
○ |
× |
ファイアウォールセキュリティ |
○ |
○ |
○QoS (機器毎) |
○ |
○ |
QoS (アプリケーション毎) |
○ |
○ |
デバイスのアクティビティレポート |
○ |
○ |
保護者による制限 (時間制限) |
○ |
○ |
保護者による制限 (URL フィルタリング) |
○ |
× |
毎月の利用状況レポート |
○ |
○ |
自動ファームウェア更新 |
○ |
○ |
QoS
「Quality of Service」の略。ネットワーク上で提供するサービスのことを指し、ある特定の通信を優先して伝送させたり、帯域幅を確保することができる機能
ソフトウェアおよびセキュリティの面では、ルーターによるアンチウィルスと保護者によるURL制限があるかどうかです。ネットを安全に使いたい方や、子どもの年齢層に応じてコンテンツを制限したい方には「Deco M5」がおすすめです。
「Deco M5」仕様
出典:https://www.tp-link.com/jp/
■通信方式
・無線LAN
・有線LAN
・Bluetooth 4.2
■無線LAN規格
・IEEE802.11a/b/g/n/ac
■有線LAN(HUB)ポート数
・2(10/100/1000Mbps)
■最大通信速度
・400 Mbps/2.4 GHz + 867 Mbps/5 GHz
→2.4GHz帯と5GHz帯のアンテナを合計4つ内蔵
各Deco ユニットに内蔵アンテナ x4
各Deco ユニットにギガビットポート x2
各Deco ユニットにUSB Type-C ポート x1
■セキュリティ規格
・WPA
・WPA2
■プロセッサ
・Qualcomm製クアッドコア CPU
■サイズ
・幅x高さx奥行:120x38x120 mm
■価格
Amazonをはじめとするネットショッピングや家電量販店などで購入ができます。価格はショップによって多少異なりますが、1台で税込9,984円、3ユニットセットで平均26,000円と比較的手に取りやすいお値段。また、子機をバラ売りしているため、4台目、5台目と増やしていくことが可能です。
「Goofle WiFi」
出典:https://store.google.com/jp/
■通信方式
・無線LAN
・有線LAN
・AC1200 2x2 Wave 2 Wi-Fi
・拡張可能なメッシュ Wi-Fi
・Bluetooth® Smart 対応
■無線LAN規格
・IEEE 802.11a/b/g/n/ac
■有線LAN(HUB)ポート数
・2(10/100/1000Mbps)
■最大通信速度
・866Mbps
■セキュリティ規格
・WPA2
■プロセッサ
・クアッドコア ARM-CPU
■メモリ
・512MB RAM
・4GB eMMC
■サイズ
・幅x高さx奥行:106.1x68.7x106.1 mm
■価格
出典:https://store.google.com/jp/
公式のGoogleオンラインストアや家電量販店などで購入ができます。価格は1台が税込16,200円、3台パックが税込42,120円と「DECO M5」と比較すると少しお高めです。
オススメはどっち?
今回はTP-LINK社の「Deco M5」と「Google WiFi」について徹底比較してみました。まずメッシュWi-Fiが2階建て以上の建物でも、広い家や電波の通りにくい鉄筋コンクリートのマンションでも、通信速度を落とすことなく最も有効なネットワークを構築できることがわかりましたね。「Google WiFi」はブランド名が高いため安心感があり「良い商品」と思われがちですが、Google独自の機能はありませんでした。確かにメモリ容量や細かなスペックについては「Google WiFi」が良いのですが、実環境での性能差はほとんどないでしょう。
逆にTP-LINK社が導入している「TP-LINK HomeCare™」は、セキュリティや、カスタマイズ可能なQoS機能といった面では「Deco M5」のほうに軍配があがります。そして2点で大きく違う点は「価格」でしょう。TP-LINK社の「Deco M5」に対し「Google WiFi」は、4割ほど高い金額設定になっていました。このような理由からもTP-LINK社の「Deco M5」がオススメといえます。
さらに「WiFiプラットサイト」では、この「Deco M5」がお求めやすい価格で購入が可能です。WiFiに関してお悩みの方には、適切なアドバイスもしていますので、より良いネットワーク環境構築のために、ぜひご利用ください。
出典:「TP-LINK deco」 「Google WiFi」