「働きながら資格を取得する際に活用できる補助金は?」
退職や転職のタイミングでは、状況に応じて失業手当や再就職手当、職業訓練の給付金など、生活を支えてくれるさまざまな公的制度を利用できます。
しかし「結局どれが自分に該当するの?」「併用できるもの・できないものは?」と疑問や不安を抱えたまま申請が遅れ、受給チャンスを逃してしまうケースも少なくありません。
本記事では、退職・転職時に活用できる給付金の条件、もらえる金額、申請方法を一覧でわかりやすく解説します。
目次
退職・転職で申請できる給付金一覧
| 給付金名 | 難易度 | 給付金の特徴 |
|---|---|---|
| 失業手当(失業保険) | ★★★☆☆(標準) | 離職後の生活費を補填する基本給付。賃金日額の50〜80%を90〜330日支給。会社都合は早期受給が可能。 |
| 再就職手当 | ★★☆☆☆(やや易) | 早期に再就職した場合、残りの失業手当の60〜70%を一括支給。転職の早期成功を後押しする制度。 |
| 就業促進定着手当 | ★★★☆☆(標準) | 再就職後6ヶ月働き、賃金が前職より下がった場合に差額を補填。未経験転職のリスク軽減に有効。 |
| 教育訓練給付金 | ★★★☆☆(標準) | 資格取得・講座受講費の20〜80%を補助。医療・IT・ビジネス資格など対象が幅広く、働きながら利用しやすい。 |
| 教育訓練支援給付金 | ★★★★☆(やや難) | 離職中かつ45歳未満の人が、初めて専門実践教育訓練を受講する場合に利用できる生活支援の給付金。 |
| 求職者支援制度 (職業訓練受講給付金) |
★★★★★(難) | 雇用保険のない人向けに月10万円+通所交通費+寄宿手当を支給し、無料の訓練を受講可能。審査が厳しめ。 |
| リスキリング支援事業 | ★★★☆☆(標準) | IT・デジタル等のリスキリング講座の受講料を上限40万円補助。転職支援やキャリア相談もセット。 |
| 広域求職活動費 | ★★☆☆☆(やや易) | 往復200km以上の企業訪問にかかる交通費・宿泊費を補助。遠方での面接・選考を後押し。 |
| 移転費 | ★★☆☆☆(やや易) | 就職のために引っ越す場合、旅費・引越し代・運搬費を補助。地方就職やUターンの支援に役立つ。 |
| 高年齢求職者給付金 | ★★☆☆☆(やや易) | 65歳以上が退職した際に30~50日分の賃金日額を一時金で支給。高齢者の離職後をサポート。 |
| 高年齢雇用継続給付 | ★★☆☆☆(やや易) | 60〜65歳で賃金が75%未満に減った場合、賃金の最大10%を補填。シニア層の雇用継続を支援。 |
離職・再就職に際して受け取れる公的給付金は、転職期間の生活費を支えたり、再就職の早期実現を促すためのものまで多岐にわたります 。
代表的なものとして「失業手当」「再就職手当」、スキルアップに使える「教育訓練給付金」、生活支援を伴う「求職者支援制度」などがあります。
給付要件は年齢・雇用保険加入期間・受講内容によって細かく異なるため、自身がどれに該当するかをハローワークで必ず確認しましょう。
失業手当(失業保険)
失業手当は、 退職後の求職活動期間中の生活費を補う給付金 です。
在職中の給与を基準に計算され、日額は概ね賃金日額の50〜80%です。受給期間は離職理由や被保険者期間により90〜330日まで変動します。
自己都合退職でも2〜3ヶ月の給付制限後に受給できますが、会社都合なら待期後すぐに支給開始されます。再就職が決まれば残期間を活用した再就職手当も併用可能です。
| 申請条件 | 以下の4つの条件をすべて満たす必要があります。
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|---|---|
| もらえる金額 | 賃金日額(退職前6ヶ月の賃金合計÷180)×給付率(50~80%※) ※60~64歳の場合は45~80% |
| 申請方法 |
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▶参考:ハローワークインターネットサービス - 雇用保険手続きのご案内
退職手当はいつ受取れる?
退職手当(退職金)の支給時期は企業ごとに就業規則で定められており、 一般的には退職日から1〜2ヶ月以内に振り込まれる ケースが多く見られます。
退職金は給与と異なり、勤続年数の確定や税金計算、社内承認プロセスが必要なため、即日支給されることはまれです。
また、確定拠出年金や社内積立制度を併用している場合は、受取方法や振込時期が追加で案内されることがあります。
支給日を早めに把握したい場合は、退職前に就業規則または総務部へ確認しておくと安心です。
再就職手当
再就職手当は、 失業手当の受給期間を残した状態で早期に就職した場合に受け取れる給付 です。
支給額は「残りの失業手当 × 60〜70%」が目安です。離職前より賃金が下がっても対象になります。
ハローワーク紹介でなくても条件を満たせば支給されるため、転職サイト経由の就職でも申請可能です。
早期就職のインセンティブとして活用され、求職期間を短くしたい人にメリットがあります。
| 申請条件 | 以下の8つの条件をすべて満たす必要があります。
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|---|---|
| もらえる金額 | 支給日数を所定給付日数の
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| 申請方法 |
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就業促進定着手当
就業促進定着手当は、 再就職手当を受給した人が、再就職後6ヶ月間働き続けたうえで「前職より賃金が下がった」場合に差額の一部を補填する制度 です。
賃金低下率に応じて最大で月額数万円が支給されるケースもあり、転職直後の収入減リスクを軽減します。
特に未経験業界へチャレンジする人にとって、安定収入に戻るまでのサポートとして利用価値が高い制度です。
| 申請条件 | 以下の3つの条件をすべて満たす必要があります。
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|---|---|
| もらえる金額 | (離職前の賃金日額 - 再就職後6ヶ月間に支払われた賃金額の1日分の額 )×再就職後6ヶ月間の賃金支払基礎日数※ ※賃金支払基礎日数とは月給制の場合、暦日数(30日または31日など)が使用されます |
| 申請方法 |
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▶参考:再就職手当を受給した皆さんへ|再就職後の賃金が、離職前の賃金より低い場合には「就業促進定着手当」が受けられます
教育訓練給付金
教育訓練給付金は、 資格取得やキャリアアップのための講座受講費用の20〜80%を補助する制度 です。
対象講座はハローワークが指定した「専門実践教育訓練」「特定一般教育訓練」「一般教育訓練」に分類され、専門実践では年間上限64万円までが支給されます。
例えば、医療事務・簿記・プログラミング・保育士など幅広い講座が対象で、働きながら通う人も多い制度です。
| 申請条件 | 以下の3つの条件をすべて満たす必要があります。
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|---|---|
| もらえる金額 |
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| 申請方法 |
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教育訓練支援給付金
教育訓練支援給付金は、 離職中かつ45歳未満の人が、初めて専門実践教育訓練を受講する場合に利用できる生活支援の給付金 です。
一定の要件を満たすと、訓練期間中に失業手当の60%相当が毎月支給されます。
ただし、受給するには2ヶ月ごとに指定日にハローワークへ行き、失業認定を受けることが必須です。
教育訓練給付金とは別制度のため、両方の支給条件を事前に確認しておきましょう。
| 申請条件 | 教育訓練給付金の受給対象者が前提となり、さらに以下の9つの条件をすべて満たす必要があります。
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|---|---|
| もらえる金額 | 基本手当日額×60×支給日数(受講期間-失業手当受給期間) |
| 申請方法 |
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▶参考:仕事のスキルアップ・資格取得をめざす皆さまへ|専門実践教育訓練の「教育訓練給付金」のご案内
求職者支援制度(職業訓練受講給付金)
求職者支援制度は、 雇用保険を受給できない人向けの職業訓練+生活支援制度 です。
給付金は月10万円に加え、通所交通費や寄宿手当なども支給されます。プログラミング・事務・Webデザイン・介護など幅広い訓練が無料で受講可能です。
失業保険をもらえないフリーランス・短期離職者も利用でき、再就職までの生活とスキルアップを同時に支えます。
| 申請条件 | 以下の条件をすべて満たす必要があります。 【訓練受講の要件】
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|---|---|
| もらえる金額 | 訓練を受講している期間について、1ヶ月ごとに3つの手当を支給します。
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| 申請方法 |
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リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業
リスキリング支援事業は、 在職中・離職中どちらでも利用できる学び直し支援制度 です。
IT・デジタル・AI・マーケティングなど“実務に直結する講座”が対象となり、受講料を上限40万円で国が負担します。また、転職予定者にはキャリア相談や職業紹介もセットで提供されます。
スキル不足でキャリアが頭打ちになっている人や、未経験分野へのキャリアチェンジを目指す人に最適です。
| 申請条件 | 以下の2つの条件をすべて満たす必要があります。
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|---|---|
| もらえる金額 |
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| 申請方法 |
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▶参考:転職をご検討の方 | リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業
広域求職活動費
広域求職活動費は、 求職活動のために遠方の企業へ面接・選考に行く必要がある場合に支給される制度 です。
交通費・宿泊費が実費に近い形で補助され、往復200km以上の移動が支給対象となる基準です。
地方企業への応募やUIターン希望者にとって、移動費が障壁にならない点がメリットです。事前申請が必要なため、面接日が決まった段階で早めに手続きしましょう。
| 申請条件 | 以下の5つの条件をすべて満たす必要があります。
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|---|---|
| もらえる金額 |
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| 申請方法 |
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▶参考:「広域求職活動費」 と 「移転費」 のご案内
移転費
移転費は、 再就職のために遠隔地へ引っ越す必要がある場合に支給される制度 です。
支給対象には「鉄道賃、船賃、航空賃、車賃」「移転料」「着後手当」などが含まれ、実費の範囲で補助されます。
就職先が自宅から通えない地域にある場合、地方就職やUIターンの後押しとなる制度で、引っ越し費用の負担を大幅に軽減できます。
| 申請条件 | 以下の5つの条件をすべて満たす必要があります。
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|---|---|
| もらえる金額 |
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| 申請方法 |
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▶参考:「広域求職活動費」 と 「移転費」 のご案内
高年齢求職者給付金
高年齢求職者給付金は、 65歳以上で雇用保険に6ヶ月以上加入していた人に支給される給付金 です。
失業手当のように日額で継続支給されるのではなく、退職後に一時金として支払われます。
被保険者期間に応じて30〜50日分が算定され、65歳以降の求職活動や生活立て直しを支援します。
パートや契約社員で働いていた高齢者にも利用しやすい制度です。
| 申請条件 | 以下の2つの条件をすべて満たす必要があります。
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|---|---|
| もらえる金額 |
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| 申請方法 |
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▶参考:離職されたみなさまへ <高年齢求職者給付金のご案内>
高年齢雇用継続給付
高年齢雇用継続給付は、 60〜65歳まで働き続ける人の賃金低下を補う制度 で、賃金が60歳時点の75%未満に減った場合に支給されます。
支給額は賃金の最大10%で、再雇用後の給与が大きく下がる人ほどメリットが大きい制度です。
転職や勤務形態の変更により給与が減っても、一定の収入を維持できるため、シニア層の就労継続を強力にサポートします。
なお、高年齢雇用継続給付金には、「高年齢雇用継続基本給付金」と「高年齢再就職給付金」の2種類があります。
| 高年齢雇用継続基本給付金 | 高年齢再就職給付金 | |
|---|---|---|
| 申請条件 |
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| 同じ会社に継続雇用、または失業給付を受けずに再就職した | 失業給付を100日以上残して、安定した職業に再就職した | |
| もらえる金額 |
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| 申請方法 |
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退職・転職時の給付金を受給・申請する際の注意点
離職票を入手したらすぐに手続きを進める
離職票が届いたら、できるだけ早くハローワークで求職申込みを行うことが重要です。
手続きが遅れると、失業手当の待期期間(7日間)や給付開始日が後ろ倒しになり、 最悪の場合は受給期間が短くなる 可能性もあります。
特に自己都合退職の場合は給付制限(2〜3ヶ月)があるため、1日でも早い申請が再就職までの生活安定につながります。離職票が届かない場合は元勤務先へ速やかに問い合わせましょう。
併用できる給付金・併用不可の制度を事前に確認する
給付金には「併用できるもの」と「併用不可のもの」があり、理解せずに手続きを進めると支給対象外になってしまうことがあります。
例えば、失業手当と再就職手当は併用不可、教育訓練給付金と教育訓練支援給付金は条件次第で併用可能、求職者支援制度は失業手当受給中は利用不可など、制度ごとに細かいルールがあります。
受講開始日や求職開始日のタイミングも影響するため、 事前にハローワークへ相談してスケジュールを確定 させましょう。
給付金は再就職までの生活を支える資金と理解しておく
給付金は“収入の代わり”ではなく、再就職までの生活を最低限支えるための資金 です。
失業手当でも在職時の満額が支給されるわけではなく、賃金の50〜80%が上限となります。また、給付制限や認定日への出席義務など、利用には一定の条件が伴います。
給付金に頼りすぎず、計画的な節約や早期の転職活動と併行して利用することで、生活不安を抑えながらスムーズな再就職につなげることができます。
おすすめの転職エージェント5選
| サービス | 特徴 | 得意領域 | サポート内容 |
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退職・転職で貰える給付金に関するよくある質問
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転職に関わる最大56万円の給付制度には、主に2つの支援事業があります。
・経済産業省「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」
・厚生労働省「専門実践教育訓練給付金」
A
ハローワークを通じて利用できる、働きながら資格取得を目指す方向けの主な補助金制度は以下の通りです。
・教育訓練給付金
・求職者支援制度
A
はい、キャリアアップ助成金(正社員化コース)を活用して正社員になることができます。
まとめ
退職・転職時には、失業手当や再就職手当、職業訓練の給付金など、生活を支えながら再スタートを切れる制度が多数用意されています。
ただし、給付金ごとに条件や申請期限が異なるため、受給漏れを防ぐには早めの情報整理が不可欠です。
本記事で紹介した要件・金額・併用可否を確認し、自分に必要な制度を正しく活用して、安心して次のキャリアへ進みましょう。
この記事を書いたライター
Wiz Cloud編集部
WizCloud編集部メンバーが執筆・更新しています。 Web関連、デジタル関連の最新情報から、店舗やオフィスの問題解決に使えるノウハウまでわかりやすくご紹介します!