Google翻訳やDeepLを使っていても、中国語特有の表現や固有名詞では誤訳が気になるケースは少なくありません。
そこで注目されるのが、中国企業が開発した「バイドゥ翻訳」です。
本記事では、その基本機能や使い方に加え、他の翻訳ツールとの精度比較、安全性の観点まで整理。
「バイドゥ翻訳」が、実務に使えるのかを判断する材料をお伝えします。
目次
百度(バイドゥ)翻訳とは?
「百度(バイドゥ)翻訳」は、中国最大手の検索エンジンである「Baidu(百度)」が提供する翻訳サービスです。翻訳対応言語数は28言語ですが、中国企業が提供しているからこその、優れた中国語翻訳能力が大きな強みです。
中国語⇔英語はもちろん、中国語⇔日本語の翻訳も、非常に高い精度で翻訳してくれます。特に中国では、Google翻訳がネット規制などの影響で使いにくいため、百度翻訳であればスムーズに動くので、中国国内で利用するのにおススメの翻訳アプリです。
百度翻訳には、翻訳した言語を音声で発声してくれる機能があり、発音に関してはGoogle翻訳よりも高い評価を受けています。人間に近いキレイな発音で再生してくれるので、翻訳機だけでなく通訳機や発声練習にも使えます。
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百度(バイドゥ)翻訳の使い方とビジネスでの活用シーン
基本操作の流れ
百度翻訳は、 Webブラウザとスマホアプリの両方で利用でき、直感的な操作性が特徴 です。基本的な利用手順は以下の通りです。
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STEP.1
翻訳元言語を選択
日本語、中国語、英語などの言語をプルダウンから指定します。自動検出機能もあり、入力時に即座に判別可能です。
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STEP.2
翻訳したいテキストを入力
テキストボックスに直接文章を入力するか、コピー&ペーストで貼り付けます。ファイルや音声入力も一部対応しており、資料翻訳にも活用できます。
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STEP.3
翻訳結果を確認
右側に翻訳結果が瞬時に表示されます。単語ごとに意味が表示される機能や、発音確認機能があるため、読み上げ練習にも役立ちます。
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STEP.4
履歴・保存機能を利用
アプリ版では、翻訳履歴が残るため、よく使うフレーズの再利用がスムーズです。
例えば中国語の契約書の一文を入力すると、文脈に応じた訳がすぐに表示され、メール返信や資料作成に活用できます。短時間で複数の文章を確認できる点は、実務効率化に大きく貢献します。
ビジネスでの活用シーン
百度翻訳は、中国語に強い特性を持つため、ビジネスシーンでの実用性が高いと言えます。特に以下のようなケースで役立ちます。
- 契約書や取引条件の確認
専門用語や法律用語を含む文章も翻訳可能 。Google翻訳では直訳気味になる箇所も、百度翻訳では比較的自然に訳されることがあります。 - ビジネスメールの作成・返信
日常業務で頻出するやり取りにおいて、 相手のニュアンスを汲み取りやすく、返答の文案作成に役立ちます 。 - 観光・接客業での即時対応
中国からの訪日客対応では、 スマホアプリで会話翻訳を利用することで、リアルタイムに意思疎通が可能 です。 - 技術資料や論文の翻訳
ITや製造業の技術文書においても、固有名詞や専門用語に強みがあり、DeepLよりも自然な場合があります。
百度(バイドゥ)翻訳の精度は?Google翻訳・DeepLとの比較
中国語翻訳における強み
百度翻訳は、 中国語圏の大手IT企業「百度」が開発しているため、中国語翻訳に特化した強み を持っています。特に以下の点が評価されています。
- 固有名詞の処理に強い
中国の地名や人名、企業名などを正しく認識しやすく、他ツールに比べ誤訳が少ない傾向があります。 - 文脈理解の自然さ
長文や複雑な文脈を処理する際、直訳に偏らず比較的自然な日本語に近づくケースが多いです。 - 専門用語の対応
技術系や製造業関連の用語で、Google翻訳よりも正確な訳を提示することがあります。
百度翻訳は「中国語に限れば実務で使いやすい翻訳が出やすい」のが特徴です。
他翻訳ツールとの比較(Google翻訳/DeepL)
翻訳例(原文:中国語) 我们期待与贵公司进一步合作,并签署长期合同。
(意味:私たちは貴社とのさらなる協力を期待し、長期契約を締結したいと考えています。)
ツール | 翻訳結果 | 特徴 |
---|---|---|
百度翻訳 | 私たちは貴社とのさらなる協力を期待し、長期契約を締結したいと考えています。 | 文脈に忠実で自然な日本語。実務でもそのまま使えるレベル。 |
Google翻訳 | 私たちはあなたの会社とのさらなる協力を楽しみにしており、長期契約を結びたいと思っています。 | 「楽しみにしている」と表現され、ビジネス文書ではややカジュアル。 |
DeepL翻訳 | 私たちは貴社とのさらなる協力を楽しみにしており、長期契約を結ぶことを望んでいます。 | 表現は自然だが、やや意訳。フォーマル度は百度の方が高い。 |
この比較から分かるのは、 百度翻訳は中国語原文のニュアンスを崩さず、ビジネス文章にふさわしい表現が出やすい 点です。
一方で、GoogleやDeepLは「カジュアル」「意訳寄り」となるケースがあり、用途によっては修正が必要です。
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実務利用での注意点
- ・長文・専門文書では誤訳リスク
特に契約条項や専門的な技術仕様は、機械翻訳だけに頼ると誤解を生む可能性があります。
・業界固有の表現は弱い場合あり
医療や法律分野の専門用語は一部誤訳が残るため、最終確認は専門家が必要です。
・セキュリティ面の配慮が必要
機密文書を直接入力すると情報流出リスクがあるため、重要データの翻訳は避けるかマスキング処理を推奨します。
百度翻訳の導入方法と利用上の注意点
利用開始までの流れ
百度翻訳は、 Webブラウザから直接利用できるほか、スマートフォン向けのアプリも提供 されています。導入は難しくなく、以下の流れで利用を始められます。
- Web版を利用する場合
・公式サイトにアクセスし、翻訳したいテキストを入力するだけで利用可能。
・会員登録は不要で、短時間で翻訳を試せます。 - アプリ版を利用する場合
・App Store(iOS)またはGoogle Play(Android)から「百度翻訳(Baidu Translate)」を検索してダウンロード。
・インストール後すぐに使用可能で、履歴保存や音声入力機能を利用できます。 - ログイン・アカウント連携
・アカウントを作成すれば、翻訳履歴のクラウド保存や複数端末での同期が可能。
・法人利用の場合は、アカウント管理を適切に行うことでセキュリティを確保できます。
セキュリティ・データ取扱いの注意点
翻訳ツールを導入する上で、特に法人利用ではセキュリティリスクを理解することが欠かせません。 百度翻訳は中国企業のサービスであり、データの取り扱いに関して注意が必要 です。
- 機密文書の翻訳は避ける
契約書・顧客情報・技術仕様などを直接翻訳ツールに入力すると、情報漏洩のリスクがあります。 - マスキング処理を行う
社名や個人名など機密性の高い部分は「XXXX」などに置き換えて翻訳し、意味を確認後に再編集する方法が推奨されます。 - 社内ルールの策定
「翻訳してよい文書」と「翻訳してはいけない文書」を明確に定め、従業員が誤って機密を入力しないようにする必要があります。
このように、セキュリティの仕組みを前提に活用することで、リスクを最小化しながら利便性を享受できます。
まとめ
百度翻訳は、中国語翻訳に特化した強みを持ち、ビジネスシーンでも十分活用できる便利なツールです。
固有名詞や文脈理解に優れ、Google翻訳やDeepLに比べて自然な訳が出やすい一方で、機密文書の翻訳や専門用語の完全精度には注意が必要です。
利用する際はセキュリティルールを定め、翻訳結果をチェックするプロセスを組み合わせることで、安心して業務に取り入れられます。中国語業務を効率化したい方は、まず一度試してみる価値があるでしょう。

この記事を書いたライター
Wiz Cloud編集部
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