「クラウドは災害や攻撃に強いのか」
「クラウドの注意点を知っておきたい」
BCPにおいて、クラウドは災害対策に強いなどの観点から非常に有用です。
しかし、「具体的にクラウドをどう活用すればいい?」「BCP対策にはクラウドPBXがいいってホント?」、などが分からず導入に踏みきれない場合も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、BCP対策にクラウドが最適である理由やメリット、注意点などを徹底解説していきす。まず、クラウドを導入することでどのようなメリットが得られるのか見ていきましょう。
- 【BCP対策とは】有事に備えるための「事業継続計画」のこと
- 企業のIT環境におけるBCP対策の重要性
- BCP対策の着手にはクラウドが最適な理由・メリット
- クラウドを活用したBCP対策の事例
- BCP対策におけるオンプレミスの3つの弱点
- BCP対策にクラウドを活用するデメリットと対策
- BCP対策はオンプレミスとクラウドのハイブリッド運用も可能
- BCP対策にクラウドを活用する際に注意しておきたいこと
- BCP対策にクラウドを導入する2つの方法
- BCP対策用クラウドサービスの選定ポイント
- おすすめのクラウドバックアップサービス比較
- BCP対策として近年注目を浴びるクラウドPBX(電話交換機)
- クラウドを利用したBCP対策には補助金も活用できる
- BCP対策としてクラウドを導入する手順
- BCP策定の手順を改めて確認
- まとめ:クラウドによるBCP対策と今後の展望
【BCP対策とは】有事に備えるための「事業継続計画」のこと
BCPは「Business Continuity Plan」の略で、自然災害やサイバー攻撃など有事の際に事業活動を継続するための計画を指します。
あらかじめ事業継続計画を策定しておくことで、 災害やシステム障害などのリスクに対して組織が適切に対処できます。
機能の停止やデータ損失のリスクを最小限に抑え、企業の業務遂行能力を確保するためにも、クラウドで十分な対策を打つことが重要です。
適切なBCP策定が重要
クラウドを効果的に活用するには、適切なBCP策定が必要です。
状況把握や連携体制の構築、定期的な練習や見直し により、有事の被害を最小限に食い止められます。
企業のIT環境におけるBCP対策の重要性
企業の業務がITシステムに依存する昨今は、 IT環境の安定性が事業の継続に大きく影響 するようになりました。それゆえ、IT環境におけるBCPがますます重要になっています。
ITシステムの停止は顧客対応や業務プロセスに大きな支障をきたし、売上機会の損失や企業の信頼低下につながります。
また、データ漏洩やサーバーのダウンなどの事態は法令違反や損害賠償請求のリスクを伴うため、対策が喫緊の課題となっています。
こうした背景から、企業のIT環境においては、システムの運用やデータ保護に関するリスク管理を徹底し、万が一の事態に備えるBCPが不可欠です。
BCPでは、定期的なリスク評価やセキュリティ対策の強化、データバックアップや遠隔地のサーバーへのデータ転送などの対策が求められます。
BCP対策の着手にはクラウドが最適な理由・メリット
クラウドは災害に強い
クラウドを活用したBCP対策は、災害に強いという点で特に有利です。従来のオンプレミス環境では、地理的な制約や物理的な災害によりシステムが停止するリスクがります。
一方、 クラウド環境ではデータセンターが地理的な意味で複数の場所に分散 しており、万が一の災害でもサービスの中断を最小限に抑えられます。
また、クラウドプロバイダーは高度なセキュリティ対策を施したデータセンターを運用しており、物理的なセキュリティやデータのバックアップなどを提供しています。これにより、災害に備えたBCPプランの一環として、クラウドを活用することで企業はビジネスの継続性を確保できるのです。
低コストで導入・運用できる
クラウドを利用したBCP対策は、従来のオンプレミスに比べて、クラウドはハードウェアやインフラストラクチャの購入、保守、更新にかかるコストが大幅に削減されます。
また、一般的に月額制で提供されるため、初期投資や固定費を抑えることも可能です。
さらに、クラウドでは必要なリソースを柔軟に拡張し、事業の成長や変化に合わせてコストを最適化できます。
そのため、 中小企業や予算の制約のある組織でも手軽にBCP対策を実施し、ビジネスの継続性を確保することができる でしょう。
社内で保守・運用する手間を省ける
従来のオンプレミスでは、ハードウェアのメンテナンス、ソフトウェアの更新、セキュリティの管理などに多くのリソースと時間が必要です。
そのため、企業は自社のIT部門や専門スタッフを雇用してシステムの保守や運用を行わなければなりません。
その点クラウドサービスは、クラウドプロバイダーが保守・運用を代行してくれ、データセンターの運用やセキュリティの強化などの 専門的な作業もプロバイダーが行うので、顧客は自社の業務に集中できる のです。
編集部
BCP対策を実施するための時間やリソースを節約し、ビジネスの継続性を確保するための労力を最小限に抑えられます。
強力なセキュリティ環境下でデータ保管できる
クラウドプロバイダーは、 世界中で最新のセキュリティ技術やベストプラクティスを導入 し、データセンターを厳重に保護しています。
また、施設へのアクセス制御や監視カメラの設置、バイオメトリクス認証など物理的なセキュリティ対策も可能です。
さらに、データの保護に関しては、暗号化技術やアクセス制御などの複数のセキュリティレイヤーの実装、セキュリティの向上に関しては、プロバイダーによるセキュリティ監査や脆弱性の評価が行われています。
編集部
クラウドを利用することで、企業は高度なセキュリティレベルを維持しつつ、BCP対策を効果的に実施できます。
バックアップデータを自動取得・自動退避できる
クラウドプロバイダーは、定期的なバックアップスケジュールを設定し、データの自動バックアップを実行するため、データの損失を最小限に抑えられます。
さらに、自動退避機能により、バックアップデータは複数の地理的に分散されたデータセンターに移動・保存されるため、 災害やハードウェアの障害などが発生した場合でもデータの保全が可能 です。
編集部
クラウドを活用したBCP対策では、データの安全性と可用性が高められ、ビジネスの継続性が確保されます。
ネットワーク環境があればどこでも業務ができる
クラウドを利用したBCP対策の利点の1つは、インターネット環境があればどこでも業務ができるという点です。
従来のオンプレミスでは、特定の場所に物理的なサーバーが必要であり、その場所にいなければ業務を行うことができませんでした。しかし、クラウドを利用すると、インターネットに接続できる場所ならどこでも、リモートからでも業務を行うことが可能です。
そのため、 災害や緊急事態が発生した場合でも、従業員は自宅や別の場所からでも業務を継続 できます。
編集部
出張先や移動中などオフィスにいない場合でも作業できるため、業務の柔軟性が向上し、従業員の生産性が維持されます。
クラウドを活用したBCP対策の事例
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小規模企業のBCP対策
小規模企業はオンプレミスを用いた従来のBCP対策に高いコストがかかることから、クラウドを利用して柔軟性のあるソリューションを採用しました。
クラウドストレージを使用してデータをバックアップし、災害時にはクラウドベースのアプリケーションを活用してリモートワークを実現。
これにより、従業員はどこからでも安全にデータにアクセスし、業務を継続できるようになりました。
大手企業のグローバルBCP対策
大手企業はグローバル展開するため、複数の地域にデータセンターを配置し、クラウド上でのデータバックアップとアプリケーションの可用性を確保しました。
これにより、地域ごとの災害に対するリスクを分散し、ビジネスの継続性を高めました。また、クラウドを利用することで、大規模なデータの処理や拡張性の向上も実現しています。
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医療機関の災害復旧プラン
医療機関はクラウドを活用して災害時の緊急対応を強化しました。クラウド上に患者の電子カルテや医療画像を保存し、災害発生時にはリモートアクセスを通じて患者情報にアクセスすることで、適切な医療サービスを提供しました。
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これにより、患者のデータがより安全に保護されるようになった他、医療機関の運用をスムーズに継続しています。
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BCP対策におけるオンプレミスの3つの弱点
1|災害に弱い
オンプレミスのシステムは、自社内の物理的な場所に設置されており、地震や火災などの自然災害や、物理的な損傷、人為的な事故などにより、システムが停止するリスクがあります。
そのため、電力や通信回線の障害にも影響を及ぼし、業務継続性に大きな打撃を与える可能性が高いです。
上記の問題に対処するためには、高度なBCP計画が必要であり、バックアップシステムや高度なインフラストラクチャ、災害復旧サイトなどの追加コストがかかるケースもあります。
そのため、クラウド導入をして、災害時のデータの安全性とビジネスの継続性を確保していく必要があるのです。
2|継続的なコストがかかる
オンプレミスのシステムは、ハードウェアやソフトウェアの購入、保守、更新、および運用に多額の費用がかかります。
また、BCP対策をオンプレミスで行う場合、 技術の進歩やビジネスの変化に伴い、予想だにしない支出で予算を超過するリスク もあります。
一方、クラウドベースのBCP対策では初期投資を最小限に抑えられるため、オンプレミスの場合と比較してコストがより予測しやすくなります。
また、クラウドサービスは一般的に月額制で提供されるため、利用料金を柔軟に調整することが可能です。
そのため、 多くの企業がクラウドを活用してBCP対策のコストを削減 しています。効率的なビジネスを実現するにはクラウドが向いていると言えるでしょう。
3|定期的な保守・更新が必要
オンプレミスのシステムは、ハードウェアやソフトウェアの保守、更新、およびセキュリティパッチの適用が必要です。
また、システムの保守や更新には時間とリソースが必要なため、業務の中断や運用上の問題が生じる可能性も高いです。
さらに、技術の進化やセキュリティ上の脅威の変化に対応するために、定期的なシステムのアップグレードや拡張が必要になる場合もあります。変化は予測しにくく、予算や計画外の負担を企業に課すケースも多いです。
編集部
クラウドベースのBCP対策では、クラウドプロバイダーがシステムの保守や更新を担当してくれます。
BCP対策にクラウドを活用するデメリットと対策
インターネット接続が必須
BCP対策にクラウドを活用する際のデメリットの一つは、インターネット接続が必須であることです。
クラウドサービスを利用するためには、安定したインターネット接続が不可欠であり、 インターネットにアクセスできない場合にはクラウドサービスへのアクセスが制限 されます。
そのため、インターネット接続に関する問題や障害が発生した場合、業務の中断やデータへのアクセス困難が生じる可能性があります。
対策
- 複数のインターネット接続経路を確保する
- バックアッププランを策定する(オフラインでの業務継続手順やバックアップデータの保管場所の検討など)
- モバイルデータ通信を利用する(災害時や移動中でもクラウドにアクセス可能)
保管するデータ容量によりコストが膨らむ
BCP対策にクラウドを活用する際のデメリットの2つ目は、保管するデータ容量によりコストが膨らむことです。
特に、 大量のデータを保管する場合や、頻繁にデータをアップロード・ダウンロードする場合 には、コストが増加するケースが多いです。
これにより、予算を超過するリスクや予測不能な費用負担が生じる可能性があるので、サービス選定時には料金体系やプランを確認しておきましょう。
対策
- 不要なデータや古いデータを削除し、ストレージ容量を最適化する
- データの保管コストを最小限に抑えるために効率的なプランを選択する
- データを重要度やアクセス頻度に応じて分類し、優先順位付けをする(費用の最適化)
専門的な知識やスキルが必要となる場合がある
BCP対策にクラウドを活用する際のデメリットの3つ目は、専門的な知識やスキルが必要となる場合があることです。
クラウドテクノロジーは急速に進化しており、複雑なシステムやサービスを理解し、適切に設定・運用するためには専門的な知識やスキルが求められます。
特に、セキュリティの設定やネットワーク構築などの技術的な側面に加えて、 クラウドプロバイダーのサービスや料金体系などの理解も必要 です。
そのため、専門的な知識やスキルを持たない企業や個人は、クラウドを活用したBCP対策を適切に実装することが難しくなるケースがあります。クラウドを効果的に活用するためにも以下の方法で対処しましょう。
対策
- 従業員に対するトレーニングと教育:プロバイダー提供のプログラムや認定試験を受ける
- 外部の専門家の活用:BCP対策の計画や実装をサポートしてもらう
クラウドにアクセスできなくなる可能性がある
BCP対策におけるクラウド活用のデメリットの4つ目は、クラウドにアクセスできなくなる可能性があることです。
インターネット接続の障害やクラウドサービスプロバイダーのダウンタイムなどの理由により、クラウドへのアクセスが一時的または永続的に失われる可能性があります。
BCPプランが正常に機能しなくなり、業務継続性に影響を与える恐れもあるため、以下の対策を実施してリスクを最小限にすることが重要です。
対策
- オフラインでの業務継続計画の策定
- 複数のクラウドサービスプロバイダーの利用:障害発生時に他のプロバイダーへの切り替えが可能
- オンプレミスでのバックアップシステムの構築:必要に応じて切り替えることで、業務の継続性を確保
クラウド事業者によりセキュリティ強度が異なる
BCP対策にクラウドを活用する際のデメリットの5つ目は、クラウド事業者によりセキュリティ強度が異なることです。
クラウドプロバイダーは それぞれ独自のセキュリティ対策や規制準拠度を持っています 。そのため、一部のクラウドプロバイダーが他のプロバイダーよりもセキュリティレベルが低い場合があり、企業がデータを保管する際にセキュリティ上のリスクが生じる可能性があります。
対策
- プロバイダーのセキュリティ評価と選定:セキュリティ対策・認証・規制準拠性などを評価
- 契約条件の明確化:セキュリティに関する要件・義務などを明確化
- 監査とモニタリング:プロバイダーのセキュリティ対策・システム監査・モニタリングを定期的に実施
BCP対策はオンプレミスとクラウドのハイブリッド運用も可能
ハイブリッド運用は、オンプレミスとクラウド 両方の環境を組み合わせることで、企業が柔軟性と効率性を向上させる方法 です。
ハイブリッドモデルでは、オンプレミスのシステムとクラウドサービスを統合し、データやアプリケーションを必要に応じて移動させることができます。
そのため、セキュリティやコントロールが必要なデータはオンプレミスで保管し、柔軟性や拡張性が求められる部分はクラウドで処理することが可能です。
ハイブリッド運用により、企業は自社のニーズに応じて最適な環境を選択し、コスト削減やビジネス継続性の向上を実現できるため、検討してみる価値は十分にあるでしょう。
BCP対策にクラウドを活用する際に注意しておきたいこと
クラウド運用に強いパートナーを選ぶ
信頼性の高いクラウドプロバイダーを選ぶことで、 BCP対策の効果的な実施とデータの安全性、業務継続性を確保 できます。
パートナー選びの注意点
- 業界での実績や顧客の評価は高いか?:プロバイダーの信頼性や評判を調査する
- データの保護が十分に行われているか?:セキュリティ対策や規制準拠性などのセキュリティ機能を評価する
- サポートやカスタマーサービスの品質は高いか?:24時間体制かつ迅速な対応が可能なパートナーがおすすめ
- リスクや責任の分担を明確化する:契約条件やサービスレベル契約(SLA)などの契約条件を詳細に検討する
クラウドに保管するデータを慎重に選定する
クラウドには 機密性の高いデータや重要な業務データを保存する場合がある ため、保管するデータを慎重に選択し、業務継続性に本当に必要なデータのみをクラウドに保存することが重要です。
例えば、機密情報や個人情報などのセンシティブなデータは、適切な暗号化やアクセス制御を実施してセキュリティを強化する必要があります。
さらに、クラウドに保管されるデータのセキュリティと信頼性を高め、業務継続性を確保するためには、以下の対策を講じることも大切です。
パートナー選びの注意点
- データの重要度やアクセス頻度に応じて、バックアップや復元の頻度を設定
- 定期的なデータの監査や評価を行い、データのセキュリティと整合性を維持
- クラウドへのデータ保管が法規制に適合しているかを確認
クラウドとは別にバックアップ先を用意する
クラウドサービスは信頼性が高い場合でも、予期せぬ障害やデータ損失が発生する可能性があります。
そのため、重要なデータのバックアップはクラウドだけでなく、別の場所にも保管することが重要です。
バックアップ先はオンプレミスのストレージや別のクラウドプロバイダーなど、クラウドとは異なる場所に配置しましょう。
これにより、単一の障害やデータ損失が発生した場合でも、 バックアップデータを利用して迅速に業務を復旧できます 。
データセンターは自社拠点と離れた場所を選ぶ
BCP対策にクラウドを活用する際、データセンターは自社拠点と離れた場所に配置しましょう。地理的な距離によるリスク分散と災害時の影響範囲を最小限に抑えるためです。
物理的な距離をとることで、地震や洪水などの自然災害や人為的な事故などの発生時にも、 データセンターが同時に影響を受けるリスクを低減できます 。
また、地域のリスクも考慮することも重要です。地震や洪水が発生しやすい地域を避けることで、データセンターが被害を受ける確率も低くなり、業務継続性が高まるでしょう。
BCP対策にクラウドを導入する2つの方法
1|自社だけで導入する
自社だけでBCP対策用クラウドサービスを導入する場合、 まずは自社の業務環境とデータ管理体制を十分に把握 しましょう。コストやセキュリティ対策を考慮した、適切なサービスを選ぶことができます。
自社だけで導入する際のポイント
- 自社の要件に合ったサービスであるか:サービスの提供範囲とサポート体制を確認
- データバックアップや復旧を含むBCP対策の実施に必要な機能やサービスが提供されているか
- 災害時や緊急事態発生時におけるデータアクセスやシステムの運用が迅速かつ確実に行えるか
自社だけで導入するメリット
- 自社のITリソースや人材を活用して効率的なシステムの運用が可能
- セキュリティ対策やデータ管理が社内で一元的に行える
自社だけで導入するデメリット
- オンプレミス環境での導入に伴う初期費用や運用費用が高額になる可能性がある
- 専門的な知識が不足している場合には、適切なBCP対策が実施できないリスクがある
クラウド導入支援サービスを活用して導入する
クラウド導入支援サービスを活用してBCP対策用クラウドサービスを導入する場合、専門家による 相談やサポートが受けられるため、効果的なBCP対策が実現できます 。
導入にあたっては、サービス提供会社の実績や信頼性を確認し、安全性やコストパフォーマンスの高いサービスを選択することが重要です。
支援サービスの活用メリット
- 導入や運用において問題が発生した際に迅速に対応し、事業の継続性を確保できる
- クラウドサービスの選定や導入に関する手間やコストを削減できる
- セキュリティ対策やデータ保護が最適化され、情報漏えいやサイバー攻撃からビジネスを守れる
支援サービスの活用デメリット
外部のサービス提供会社に依存するため、自社での管理体制やセキュリティ対策に対するコントロールが弱くなる▶対策:サービス提供会社との契約条件やサポート体制を十分に調査し、自社のビジネス環境に適した選択を行う
BCP対策用クラウドサービスの選定ポイント
導入実績は豊富か
導入実績が豊富であることは、サービスの信頼性や実用性を示す重要な指標です。
多くの企業が同じサービスを利用していることは、 そのサービスが実際に機能する証拠であり、これまでの実績から問題が発生していないこと がわかります。
また、導入実績が豊富なサービスには、さまざまな業界や規模の企業からのフィードバックが得られており、サービスがより洗練されたものになっている可能性が高いです。
導入実績の多さに加えて具体的な事例や資料を確認すれば、サービスの信頼性や実用性だけでなく、実際の効果や運用方法についても理解が深められるでしょう。
データセンターの堅牢性は高いか
データセンターが堅牢であるかどうかは、サービスの信頼性やデータの安全性に直結 します。
堅牢なデータセンターは、物理的なセキュリティ対策(例:セキュリティカメラ、アクセス制御)、高度な防災対策(例:耐震構造、消防システム)、電源や通信回線の可用性などを備えています。
これにより、自然災害や人為的な事件などの予期せぬリスクからデータを保護できるのです。
セキュリティ対策、地理的な位置の適切性、ネットワークの接続性
データセンターにおけるセキュリティ対策や地理的な位置の適切性、ネットワークの接続性も考慮する必要があります。
地理的に安全な場所にあるデータセンターであれば、地震や洪水などの自然災害のリスクを最小限に抑えることができるでしょう。
自社にとって使いやすいサービスか
サービス見極めのポイントは以下の通りです。
サービス内容と自社の業務ニーズ
事業内容や業務フローに合ったサービスを選ぶことが重要。サービス提供企業の事例や資料を参照し、他社の導入状況や効果を検討するとよい。
サポート体制
サービス導入後のサポートが充実しているかどうかを確認する。問い合わせ対応時間や相談窓口の有無が重要。
コストパフォーマンス
サービスの利用料金とその機能のバランスを比較検討し、自社にとって最適な選択を行う。
セキュリティ対策
企業情報を扱うため、セキュリティ対策が万全であるかどうかを確認。サイバー攻撃への対応策やデータ保護が必要。
インフラ環境
サービスが自社のITインフラやネットワーク環境と容易に連携できるかどうかを検討する。
データのバックアップ・復旧機能
災害や事故によるデータ損失に備え、サービス内でのバックアップや復旧機能が充実していることが望ましい。
導入の容易さ
自社の業務に迅速かつスムーズに導入できるかどうかを確認する。
電気とネットワーク回線は切れないか
BCP対策用のクラウドサービスを選定する際は、 プロバイダーが適切な電力とネットワークインフラを備えているかどうかを確認 しておきましょう。
プロバイダーは電力供給の停止やネットワーク回線の断線などのインフラ障害に備えて、バックアップ電源システム(UPSや発電機など)の導入や、強力なネットワークインフラの構築などを行っているケースが多いです。
また、データセンターの地理的な位置や地域の電力インフラの信頼性も考慮が必要です。地域的な電力供給の安定性やネットワークの信頼性が低い場所にあるデータセンターは、リスクが高くなる可能性があります。
データが確実に守られる仕組みがあるか
データの保護は、クラウドサービスの信頼性とセキュリティの基盤となります。
適切な データ保護の仕組みがなければ、データ漏洩や不正アクセスといったリスクが発生する 可能性があります。データが確実に守られるためには、以下のような要素が重要です。
必要な要素
- データの暗号化
データを保存・転送する際、強力な暗号化が施されることで、データの機密性が保護される - アクセス制御
データへのアクセス権限を適切に管理し、認証や認可の仕組みを実装することで、不正なアクセスを防止できる - データのバックアップと復元
定期的なバックアップを行い、データが破損した場合でも迅速に復元できるようにする - セキュリティイベントの監視と対応
不審なアクティビティを監視し、早期に検知して適切な対応を行うことで、データの安全性を確保できる - セキュリティポリシーや規制準拠性
データの保管場所が自社拠点と離れているか
データの保管場所が自社拠点と離れているかどうかも、BCP対策の重要なポイントです。
自社拠点と離れた場所にデータを保管することで、自然災害や事故などのリスクからデータを守れます。
保管場所の選定ポイント
- リスクが低い場所にデータセンターを構築する
被害を最小限に抑えるられる - データセンターが複数の地域に分散していることを確認する
データの復旧が迅速に行える - データ保管場所は物理的にセキュリティ対策ができているか確認する
監視カメラ・セキュリティゲート・訪問者の出入り管理 - データの暗号化やVPN接続などのセキュリティ対策を実施する
データの安全性を確保しながらリモートアクセスできる
おすすめのクラウドバックアップサービス比較
料金(税込) | 特徴 | |
---|---|---|
使えるクラウドバックアップ | 月額2,200円~ | ・世界150か国、50万以上の企業が利用 ・米軍も採用する最高レベルのセキュリティ ・システムの復元機能に優れている |
サイボウズ Office | 月額500円 ※1ユーザーあたり |
・使いやすさに優れている ・累計導入70,000社突破 ・各従業員の安否確認も可能 ・契約は5ユーザーから |
torocca! | 月額550円 ※容量25GB~ |
・データのバックアップ/復元サービス ・24時間365日モニター監視 ・強固な地盤で災害に強い立地環境 |
Synology | 要問い合わせ | ・機器購入が必要 ・データ保護に強い次世代ファイルサーバー ・直感的で分かりやすい操作 |
BCP対策として近年注目を浴びるクラウドPBX(電話交換機)
クラウドPBXとは「インターネット回線を利用した電話通信サービス」
クラウドPBXとは、インターネット回線を接続することで電話通信ができるサービスで、 従来のPBXとは「基盤と管理方法」が異なります 。
従来のPBXは、物理的なハードウェアで構成されるローカルな電話交換機であり、企業内で設置・管理が必要です。
一方クラウドPBXの場合、サービスプロバイダーがシステムの管理やメンテナンスを行うため、企業は物理的な電話交換機を自社で保有・運用する必要がありません。
場所やデバイスに依存せずに業務ができるので、企業は通信システムの柔軟性を高め、コスト削減や効率性の向上を実現できます。
▶関連記事:クラウドPBXとは?仕組みやメリット・デメリットを構成図つきでわかりやすく解説!
BCP対策にクラウドPBXが有効な理由
クラウドPBXは 物理的な電話交換機を必要とせず、クラウド上でサービスが提供されることから、災害や緊急事態が発生した際にも柔軟に対応できます。
インターネットを介した通信で場所やデバイスを問わず通話が可能なため、 有事の際はリモートでの業務を継続し、業務の中断を最小限に抑えることができる のです。
BCP対策におけるクラウドPBXのメリット
- 必要に応じて機能や回線数を追加・削減できる:ビジネスの成長や変化にも迅速に対応可能
- 通信インフラの管理やメンテナンスの負担を軽減できる:コスト効率が向上
BCP対策にクラウドPBXを導入した事例
クラウドPBXは、さまざまな業界の企業や事業者に導入されており、その効果が実証されています。
クラウドを活用したBCP対策の事例【1】
従来のオンプレミスPBXでは、地理的な拠点間通信に課題があったA社は、クラウドPBXの導入により地理的な制約を克服しました。
従業員はリモートからでも円滑な通信が可能になり、災害時でも業務継続性を確保できています。
クラウドを活用したBCP対策の事例【2】
従来の電話システムでは災害時に通信機能が制限される可能性があった医療機関Bでは、クラウドPBXの導入により医療スタッフ間の円滑なコミュニケーションが確保されました。
これによって患者への迅速な対応が可能になり、医療サービスの品質向上が実現しました。
クラウドを活用したBCP対策の事例【3】
従来の電話システムでは地理的な拠点間通信の手続きが煩雑だった小売店Cは、クラウドPBXの導入により店舗間のリアルタイムなコミュニケーションを実現できました。
また、リモートワーカーとの連携も円滑化され、顧客サービスの質が向上しています。
クラウドを利用したBCP対策には補助金も活用できる
クラウドを利用したBCP対策には、「BCP実践促進助成金」が活用できます。BCP実践促進助成金とは、BCP対策に必要な物品・設備などの導入経費を一部助成してくれる制度です。
クラウド化の費用も含まれており、 中小企業を対象に最大1,500万円の助成金が支給 されます。要件を満たしている場合は申請スケジュールを確認した上、申請を進めましょう。
助成金の対象者
下記(1)~(3)のいずれかの要件を満たしてBCPを策定した中小企業者(小規模企業者)及び中小企業団(1)平成29年度以降に公益財団法人東京都中小企業振興公社(以下:公社)総合支援課が実施する「BCP策定支援事業(BCP策定講座・BCP策定コンサルティング)」による支援を受け、受講内容を踏まえたBCP |
(2)中小企業強靱化法に基づく「事業継続力強化計画」の認定を受け、その内容に基づいて作成したBCP |
(3)平成28年度以前の東京都又は公社が実施したBCP策定支援事業等の活用により策定したBCP |
※出典:BCP実践促進助成金|公益社団法人東京都中小企業振興公社
BCP対策としてクラウドを導入する手順
BCP対策としてクラウドを導入する際には、以下の手順を参考にしてください。
-
STEP.1
現行システムや業務プロセスの把握+クラウド化のリスクやメリットの評価
クラウドに移行する業務や、データのアクセスやセキュリティ対策などを検討する
-
STEP.2
クラウドサービスの選定
自社の業務や規模に適したサービスや、実績が豊富な企業を選ぶことが重要
-
STEP.3
クラウドサービスの導入後:データ移行やシステム設定
クラウドサービスごとに移行方法が異なるため、サービス提供企業のサポートを活用しながら進めることが望ましい
-
STEP.4
システムの運用状況やセキュリティ対策の定期的な確認
編集部
補助金の申請を検討する場合は、申請条件や対象サービスを確認し、必要な書類の準備を行いましょう。
BCP策定の手順を改めて確認
以下の手順に沿ってBCP策定を進めることで、自社が直面するリスクに適切に対処できる体制を整えられます。
-
STEP.1
現状分析
自社の事業環境やリスク要因を把握し、どのような対策が必要かを明確にする
-
STEP.2
BCP基本方針の策定
BCPの目的や目標、対象範囲、期間などを決定する
-
STEP.3
事業継続戦略の立案
災害が発生した場合の対策や復旧手順、優先順位などを決定し、具体的な戦略を立案する
-
STEP.4
BCPの実行計画の策定
BCP戦略に基づいた具体的な実行計画を策定し、社内外に周知徹底させる
-
STEP.5
BCPの定期的な見直し
状況変化や新たなリスク要因に対応するため、定期的にBCPを見直す
まとめ:クラウドによるBCP対策と今後の展望
クラウドサービスによるBCP対策は、リスク管理や運用効率の向上が期待できるため、今後ますます重要性が増していくでしょう。
特に、災害やサイバー攻撃から企業の資産や業務を守るための対策が求められる中、クラウドの活用は避けて通れません。今後も新たなクラウドサービスや技術の進化に注目し、最適なBCP対策を見つけていくことが重要です。
BCP策定においてクラウドサービスを活用する際には、導入前にサービス提供企業との相談や契約内容の確認を行い、それぞれの企業に合ったサービスを選択しましょう。今回の情報がBCP策定やクラウド活用の参考になれば幸いです。
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この記事を書いたライター
Wiz Cloud編集部
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