PPAPとは、企業間などでのファイル送付時に用いられるセキュリティ対策方法の一つです。
しかし、セキュリティの脆弱性や現代の働き方に合わないといった理由から、政府主導でPPAPの廃止が進んでいるため、対策や代替案の必要性が高まっています。
本記事では、PPAPの概要や問題視されているポイント、具体的な代替案まで徹底解説していくので、企業でのセキュリティ対策を向上させたい方必見の内容です。
【無料】ファイル共有サービス導入のご相談はこちらPPAPとは
P:Passwordつきzip暗号化ファイルを送ります
P:Passwordを送ります
A:Angoka(暗号化)
P:Protocol(規格)
PPAPとは、 ファイル送付時のセキュリティ対策の一つ で、パスワード付きの暗号化したzipファイルと、解凍用のパスワードをそれぞれメールで送付します。
主に社外向けにファイルを共有する際に用いられていましたが、ウイルス感染リスクや盗聴などのセキュリティ面のリスクから、現在は廃止に向けた取り組みが進んでいます。
企業においても、PPAPに代わるセキュリティ対策を講じる必要があり、クラウドストレージサービスをはじめ、さまざまな代替案が認知されています。
【無料】ファイル共有サービス導入のご相談はこちらPPAPの利用が拡大した背景
ガイドラインが曖昧であったため
PPAPの利用が拡大した背景には、セキュリティ対策の一環として提示された ガイドラインの解釈が曖昧であった ことが挙げられます。
具体的には、情報を保護するために暗号化が必要となる状況を、すべての情報交換に適用すると誤解されました。
ガイドラインの明確な理解と正しい適用ができていなかったことが、PPAPが一部の企業で頻繁に用いられる原因になりました。
プライバシーマークが流行していたため
プライバシーマークとは、企業の個人情報管理体制の第三者認証制度のことで、2005年に施行された個人情報保護法をきっかけに、 マーク取得のために多くの企業がPPAPを活用しました。
PPAPを利用したセキュリティ対策は問題点も多く指摘されていましたが、機密レベルなどの明確な基準が定まっていなかったため、手軽に実施できるPPAPが普及したと考えられています。
利便性自体はよかったため
PPAPの利用が拡大した背景として、 大量のデータを安全にやり取りする手段として手軽であった ため、業務効率が向上したことも理由の一つとして挙げられます。
特に、メールにパスワードを添付するだけの簡便さは、時間や手間をかけずに安全なファイル交換ができるという点で、多くの企業で利用される結果となりました。
ただし、PPAPのリスクを理解しないまま普及が進んでしまったため、セキュリティを軽視することのないよう、適切な対策を講じることが重要となるのです。
PPAP廃止に向けた政府・企業の動き
政府の対応
PPAP廃止に向け、政府は2020年11月に内閣府と内閣官房が主導して、PPAPを全面的に廃止する宣言を発表しました。
従来までは政府と企業のやり取りにはPPAPを利用したファイルの送受信が行われていましたが、セキュリティ対策への不備から クラウドストレージの利用が進んでいます。
また、2022年には文部科学省でもPPAPが廃止されており、多くの企業でも脱PPAPに向けた動きが強まっています。
▶︎ 平井内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年11月24日
企業の対応
企業名 | 脱PPAPの公表日 (2022年) |
---|---|
ソフトバンク | 2月15日 |
三菱重工業 | 3月15日 |
PayPay | 6月21日 |
小学館 | 11月15日 |
PPAPは、政府だけでなく民間企業でも廃止に向けた取り組みが進んでいます。
特に 情報通信業や製造業の脱PPAP化が顕著 で、2022年以降多くの企業が取り組んでいます。
今後は、セキュリティ対策や安全性の指標としての役割が期待されており、PPAP廃止の動きが加速していくと考えられます。
【無料】ファイル共有サービス導入のご相談はこちらPPAPの問題点は?禁止される理由
ZIPパスワードの脆弱性
PPAPにおける問題点として、ZIPパスワードの脆弱性が指摘されています。
現状のZIPパスワードは、 総当たり攻撃などの一部のハッキング手法 に対して十分な防御力を持っていません。
解決策としては、より安全な暗号化アルゴリズムを採用することと、パスワード管理を強化することなどが挙げられますが、いずれも根本的な解決には繋がらないといえます。
ウイルスチェックができない
PPAPの問題点として、ウイルスチェックができない点が重大なリスクとなっています。
一般的なウイルス対策ソフトでは、 PPAPファイルの内容を検査できない 場合が多く、ウイルスが未検出となる危険性があります。
そのため、安全性の確保には、新たなセキュリティ対策や規定の見直しが必要となっています。
メールの中身を盗聴されるリスクがある
PPAPの問題点として、メールの中身を盗聴されるリスクが指摘されています。
一部のハッカーは、この脆弱性を悪用して 個人情報や企業秘密を盗み出す 可能性があるため、注意が必要です。
安全な通信を保つためにも、メールの暗号化技術の改善やユーザー自身のセキュリティ意識の向上が求められています。
受信者側の業務効率が低下する
PPAPの問題点として、 受信者側の業務効率が低下する 可能性があります。
例えば、PPAPで送られたファイルは、ファイルの解凍やパスワード入力、さらにはセキュリティチェックなどが必要になってきます。
PPAPの管理にかける業務時間を多くなり、結果として生産性の低下を招く可能性があるため、効率的な業務運用にはクラウドストレージなどのサービス利用がおすすめです。
PPAPの代替案や対策方法
クラウドストレージを利用しファイル共有する
PPAPの代替案として、 高度なセキュリティ対策と効率的なファイル共有が可能 なクラウドストレージの利用が推奨されています。
クラウドストレージでは、特定のユーザーとファイルを共有することができ、不適切なアクセスを防ぐことも可能です。
また、クラウド上で直接ファイルを開くことができ、業務効率も向上するため、PPAPの問題を解決する代替案として、クラウドストレージの利用が最適です。
ファイル転送サービスを利用する
PPAPの代替案として、大容量のデータを安全かつ効率的に転送できるファイル転送サービスの利用が有効です。
一部のファイル転送サービスでは、 送信データの暗号化や送信履歴の記録、ファイルの期限設定 などの機能が提供されています。
これにより、データのセキュリティを保つと同時に、ファイルの取り扱いも容易になります。
S/MIMEでファイル送信する
PPAPの代替案として、S/MIMEの使用が推奨されています。S/MIMEは、データの認証、完全性、そして機密性を確保するための規格です。
S/MIMEを利用すれば、送信データは電子署名と暗号化によって保護され、不正アクセスや改ざんから安全に身を守ることができます。
また、 電子メールの送信者の身元確認も可能 となり、信頼性の向上につながります。
ファイルとパスワードを別の通信経路で送る
PPAPの代替案として、ファイルとパスワードを別の通信経路で送る方法が考えられます。
具体的には、暗号化されたファイルはメールで、そのパスワードは 電話やメッセンジャーアプリなどの別の手段で送信 します。
一つの経路が不正アクセスされたとしても、情報の漏洩リスクを低減できるため、セキュリティ対策の一つとして有効です。
チャットツールでファイルを送受信する
PPAPの代替として、チャットツールを利用したファイル送受信が推奨されます。
チャットツールは、即時性があり、送信・受信者とのコミュニケーションもスムーズに行えます。また、一部のツールではファイル送信に加えて、 画像や動画のプレビュー表示が可能 で、利便性も向上します。
しかし、セキュリティ面を考慮すると、チャットツールでのファイル送受信にも注意が必要です。特に、機密性の高いファイルの取り扱いには十分な注意が必要となります。
社員のITリテラシーを高める
PPAPの問題を解決するためには、 社員のITリテラシーを高めることが不可欠 です。
ITスキルが高いほど、情報セキュリティの重要性を理解しやすくなります。誤操作や送付先のミスなど、人為的なリスクを軽減できます。
また、専門的な知識を持つ社員が増えることで、組織全体のセキュリティ対策が強化を実現することができます。
【無料】ファイル共有サービス導入のご相談はこちらクラウドストレージ選びのポイント
他のストレージとの連携機能がある
クラウドストレージ選びのポイントとして、他のストレージとの連携機能が重要です。
他のクラウドサービスやデータベースとの自由な連携が可能であれば、業務の効率化が図れます。
また、多様なアプリケーションとの互換性があると、 一元的なデータ管理 が実現し、情報のアクセス性も向上します。
メールソフトとの連携機能がある
クラウドストレージ選びの重要なポイントとして、メールソフトとの連携機能があります。
メールから直接、クラウドストレージへのアップロードやダウンロードが可能となり、 作業の手間が大幅に削減 できます。
ただし、メールソフトと連携していることで情報漏洩のリスクがあるため、常に最新のセキュリティ対策を施しておくことが必要となります。
ファイル共有時のセキュリティ機能が豊富
クラウドストレージの選択において、 ファイル共有時のセキュリティ機能の豊富さ は大切なポイントです。
多機能なセキュリティ機能を備えたクラウドストレージは、特定のユーザーだけにアクセス権を与えることが可能で、更にはファイルのダウンロードや編集権限も制限することができます。
また、アクセスログの取得や異常なアクセスの検知など、セキュリティ対策も充実していることが必須となります。
PPAPの代替案でよくある間違い
PPAPの代替案や対策方法として間違いがちなのは、ファイルの暗号化しないなど、 セキュリティ対策を怠ってしまうこと です。
また、社内への認知や教育体制ができていないまま、セキュリティ対策サービスを導入するのは新たなリスクや業務効率の低下につながります。
まとめ
PPAPは、セキュリティリスクや利便性が伴っていないため、政府主導で廃止に向けた動きが進んでいます。
PPAPに代わるセキュリティ対策としては、 高いセキュリティ性能で共有や管理が簡単なクラウドストレージの利用がおすすめです。
本記事を参考に、社内のセキュリティ対策向上のため、クラウドストレージの利用を検討してみてはいかがでしょうか。
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この記事を書いたライター
Wiz Cloud編集部
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