法人保険のメリット・デメリットを解説!節税効果や損金算入の条件は?

「法人保険のメリットは?」
「得する掛け方や節税効果はある?」
「保険料を全額損金算入する条件は?」


法人保険は、万が一の際に保険金が受け取れるため安定的に企業を経営出来るなどのメリットがあり、加入する企業様が多くいらっしゃいます。

しかし、「資産計上するメリットは?」「個人保険との違いはなに?」「具体的にどんな種類の保険があるの?」といった疑問を抱く方も少なくありません。

今回は、法人保険のメリット・デメリットを徹底解説!加入目的や加入時の注意点、保険を選ぶ際の比較ポイントなどもご紹介します。

法人保険とは

法人保険とは

法人保険とは契約者が法人となる保険

法人保険とは、契約者を法人(企業)にして加入する保険です。

法人保険に加入することで、経営者の死亡や経営悪化などもしもの場合に保険金が受け取れるので、経営上のリスクに備えることができます。

また、 福利厚生や退職金の資金源としても活用できるため、会社経営様々なシーンでサポートを受けることが可能です。

法人保険と個人保険の違い

法人保険と個人保険は、保険料を損金算入できるかどうかが異なります。

法人保険の場合、 保険料を損金算入することが可能なので、節税効果によって資金効率を高くすることができます

一方、個人契約の場合、保険の控除はあるものの保険料の損金算入はできないため、法人契約のような会社としての資産効率の向上は期待できません。

損金算入とは

損金算入とは、会計上「費用」として発生していないのに、税務上は費用として発生するお金のことです。

損金算入の額が大きいほど、法人税の課税対象額は小さくなるため、節税効果が得られます。

法人保険に加入する目的

法人保険への加入目的として代表的ものは以下の通りです。

  • 経営者に万が一のことがあった場合に備えた借入金返済の資金準備
  • 売上減少や取引先の倒産など、想定外の事態が発生した際に事業を継続するための資金準備
  • 役員勇退退職金など、経営者・役員が退職した後の保障を賄う資金準備
  • 経営者・役員の死亡退職金や弔慰金の資金準備
  • 事業承継をスムーズに進めるための資金準備
  • 福利厚生の充実や従業員退職金準備など、従業員の働きがいと退職後の生活を守るための保障に充てる資金準備

法人保険(企業保険)に加入するメリット・必要性

メリット

法人保険のメリット1:節税対策になる

法人保険は、 保険料を損金算入することができるので、節税対策につながるというメリットがあります。

法人の所得は「所得=益金-損金」で計算されるため、保険料によって損金が増えることで利益が減少したと見なされ、法人税も少なくなる仕組みです。

ただし、保険料のうち損金として計上できる割合は保険の種類や商品によって異なるため、必ずしも100%損金計上できるわけではない点は留意しておきましょう。

法人保険のメリット2:事業リスクに備えられる

法人保険に加入しておくことで、 経営悪化や経営者の逝去など、万が一のことがあった際にも事業継続資金を確保することができます

たとえば、経営者が死亡した場合や高度障害状態になり一時的に売上や利益が減少した場合でも、保険金を事業継続資金に充てることで、従業員の給与や会社の賃料、光熱費といった固定費をカバーすることが可能です。

特に、従業員の少ない中小企業やオーナー企業の場合、もしものことがあった際に会社の事業が立ち行かなくなる可能性も高いため、しっかりと事業リスクに備えておくことが重要です。

法人保険のメリット3:役員・従業員の福利厚生になる

法人保険は、 解約時に「解約返戻金」として保険料の一定額が手元に戻ってくるため、その資金を使って役員や従業員の福利厚生を充実させられるといったメリットもあります。

「解約返戻金」の金額は保険商品の解約返戻率によって様々ですが、契約する段階でいくらくらいお金が戻ってくるのかについての見通しが立つため、計画的に資金を貯蓄することが可能です。

中には、数百万円~数千万円の解約返戻金が戻ってくる保険商品もあるため、まとまった金額が必要になる退職金の資金などに活用しましょう。

法人保険のメリット4:契約者貸付制度が利用できる

法人保険では契約者貸付制度が利用できるため、 急遽お金が必要になった場合に資金を調達しやすい点もメリットとして挙げられます。

解約返戻金のために一度保険を解約し、別の保険に入りなおした場合、以前より保険料が高くなる可能性がありますが、契約者貸付制度を利用することで法人保険を解約せずに資金を用意することができます。

また、契約者貸付制度には厳しい審査もないため、手続きが煩雑な融資よりも迅速かつ手軽に資金確保が可能です。

契約者貸付制度とは

契約者貸付制度とは、それまで払い込んだ保険料から算出される解約返戻金のうち、70-90%の金額を融資として受け取れる制度です。

法人保険のメリット5:事業承継の負担を軽くできる

事業継承をする際、 法人保険を活用して損金を増やし、会社の資産価値を引き下げることで、相続税や贈与税を減らせる可能性があります。

また、事業承継のタイミングで法人保険を解約し、解約返戻金を納税額にあてることで、会社の費用負担を減らすことも可能です。

特に、家族経営の企業などは、今後の事業承継に備えて法人保険に加入し、資金準備をしておくのがおすすめです。

法人保険の無料相談はこちら
今すぐ相談する

法人保険(企業保険)に加入するデメリット

デメリット

法人保険のデメリット1:キャッシュフローが悪化する可能性がある

節税目的で法人保険に加入しても、 保険料の支払いによるキャッシュアウトで資金効率が悪くなってしまえば、かえって損をする可能性があります。

特に、資金力のない企業や、事業拡大・設備投資などを計画している会社などは、キャッシュアウトが生じた分だけ資金繰りが厳しくなる可能性も高いです。

法人保険への加入を検討する際は、事業計画や収支状況などをもとにキャッシュフローへの影響をよく考え、本当にメリットがあるかどうか検討しましょう。

法人保険のデメリット2:解約のタイミングによっては損をする可能性がある

法人保険の「解約返戻金」は、 解約する時期によって返戻率が変動するため、タイミングを逃すと元本割れで損をする可能性もあります。

解約返戻金でなるべく損をしたくない場合は、法人保険を契約する時点で解約までの綿密な資金計画を立てておくことが重要です。

ただし、キャッシュフローの悪化や事業計画の変更など、不測の事態で資金計画が崩れる可能性もあるため、解約返戻金だけを当てにせず、現金も織り込みながら柔軟性のある計画を立てるようにしましょう。

法人保険のデメリット3:保険金や解約返戻金は税金がかかる

法人保険は、 保険金や解約金が益金とみなされるため、法人税の課税対象になってしまうというデメリットがあります。

このデメリットを解消するには、法人保険契約の時点で「出口戦略」を考えておき、解約返戻金を受け取る年度に同額の支出をするよう計画しておく必要があります。

こうすることで、「解約返戻金によって増えた益金額」と「支出の損金額」が相殺されるため、法人税負担の増加を回避することが可能です。

編集部

たとえば、役員退職金の支給や設備投資など、損金が増えるタイミングで解約返戻金を受け取るようにあらかじめ計画しておきましょう。

法人保険で使う「資産計上」とは?

クエスチョンマーク

資産計上とは、 資産が会社で使用を開始され、減価償却の対象となることを認識するための手順 を指します。

つまり、 資産計上をすることで、法人保険の保険料を減価償却で処理できるようになります

法人保険で資産計上するメリット

法人保険を資産計上するメリットは、 会社の価値を上げることができる 点です。

資産計上によって会社の資産が増えるため、結果として企業価値が高くなります。

企業価値が上がることで、万が一会社を売却する際に高値で取引できるため、将来的に売却の可能性がある企業にとってメリットが大きいです。

編集部

後継者の不在や経営不振などで会社の存続が危うい場合は、何かあった時に備えて企業価値を高めておくと、将来のリスクに備えられます。

法人保険で資産計上するデメリット

損金算入できない

法人保険を資産計上するデメリットは、 税務処理上で損金算入できない 点です。

法人保険で節税効果を得るには、支払った保険料を損金算入する必要があります。

保険料が資産計上されると、損金算入出来ず法人税の課税対象となるため、税務メリットが享受できなくなってしまいます。

相続人の税負担が大きくなる可能性も

資産計上によって会社の資産価値が高まると、 後継者が会社を相続した際に税負担が大きくなってしまう 可能性があります。

そのため、将来的に売却と相続の可能性が両方考えられる企業は、計上方法を慎重に判断しましょう。

資産計上できる法人保険は3種類

資産計上できる法人保険の種類
  • 終身保険
  • 養老保険
  • 年金保険

法人保険の種類

法人保険の種類

逓増定期保険

逓増定期保険は生命保険の一種で、保険金が年々増加していくという特徴があります。

逓増定期保険は保険金が高額なので、しっかりとした事業保障を用意できるほか、解約返戻率のピーク時期が比較的早いため、短期間での退職金貯蓄にも活用できるといったメリットがあります。

ただし、保険金額が高額な分保険料も高くつくため、保険期間当初の解約返戻率を低く抑えて保険料を割安にした「低解約返戻金型逓増定期保険」というタイプを選ぶのがおすすめです。

長期平準定期保険

長期平準定期保険も生命保険の一種で、保険期間を長く設定でき、保険金の金額は変動しません。

比較的遅いタイミングで解約返戻率がピークになるため、長期間で退職金を貯蓄したい場合に適しています

最大で被保険者が100歳になるまで保険期間を設定できるという、終身保険のようなシステムでありながら、保険料は終身保険よりも割安なのがメリットです。

編集部

ただ、長期間加入することが前提の保険なので、トータルの保険料が高額になる点には注意しましょう。

養老保険

養老保険は、保険期間満期の時点で被保険者が生きていれば満期保険金を受け取ることができ、死亡している場合は死亡保険金が支払われる保険です。

被保険者の生存にかかわらず保険金が支給されるので、生存退職金・死亡退職金(弔慰金)の貯蓄に最適です。

また、「退職金規定を作る」「従業員全員を保険の対象にする」などの条件を満たせば、保険料を福利厚生費として処理できる点もメリットとして挙げられます。

ただし、福利厚生として利用する場合は原則として従業員全員を保険加入させる必要があるため、会社が負担する保険料が高額になってしまう点には注意しましょう。

編集部

養老保険は、「生死混合保険」とも呼ばれれいます。

終身保険

終身保険は、被保険者が亡くなるまで保険期間が継続するタイプの生命保険です。

被保険者が亡くなった際に必ず保険金を受け取れるため、事業承継費に備えた試算貯蓄として活用できます

ただ、保険期間が長期にわたる分保険料の負担が大きくなるほか、保険料の全額を試算として計上するため、節税効果は見込めないといったデメリットもあります。

第三分野保険(医療保険・がん保険など)

医療保険やがん保険などの第三分野保険も、法人保険として契約することも可能で、 経営者を被保険者として加入するケースが多いです。

たとえば、経営者が病気になり経営から離れた際に保険金を事業保障にする、また従業員を被保険者として福利厚生のために活用するなどが挙げられます。

ただし、養老保険と同様、従業員の福利厚生として活用する場合は原則として全従業員を対象に加入しなければいけない等の条件があるため、注意が必要です。

損害保険

法人向け損害保険は、災害や事故、盗難など、業務中に起こる不測の事態に備える保険です。具体的には、 火災保険店舗総合保険賠償責任保険などが挙げられます。

たとえば、火災により建物が全焼した際の修繕費や、従業員の過失でお客様にケガをさせてしまった場合の賠償金などが補償されます。

法人保険で備えられるリスク

ポイント
法人保険で備えられるリスク
  • 借入金のリスク
  • 連帯保証人のリスク
  • 事業継続のリスク
  • 金銭貸付リスク
  • 退職金支払いによるリスク
  • 事業継承・相続のリスク

借入金のリスク

経営者に万が一のことが起きた際、後継者が返済義務を負うのはもちろんのこと、金融機関や従業員に不信感を抱かせ、下記のようなリスクが起こる可能性があります。

  • 仕入れ先から現金決済を要求される
  • 取引先から取引条件変更を求められる
  • 金融機関から追加融資が受けられなくなる
  • 従業員が給与支払いに不安をいだき、優秀な従業員が退職する可能性がある

その点、 法人の生命保険に加入しておくと、上記のようなことが実際に起こっても保険金を返済均等に充てられるため、後継者に借入金を残しません。

連帯保証人のリスク

経営者は、法人でお金を借りる際に個人を連帯保証人として契約するケースが多いです。

しかし、万が一返済前に経営者が死亡するなど万が一のことが起こった際、保険に加入していなければ相続人に借入金の返済義務が生じます。

その点、 法人保険に加入しておくことで、会社が受け取った保険金を返済に活用することが可能です。

事業継続のリスク

経営者が死亡したのち、後継者が事業を引き継ぐ場合は、事業継続のリスクをカバーするため事業継続資金が必要となります。

具体的には、売上高や利益の確保・従業員給与や光熱費などの固定費をカバーするための資金です。

これらの資金も、 法人保険をかけておけば、保険金から賄うことができます

経営者による法人への金銭貸し付けリスク

経営者によっては、個人のお金を会社に貸し付けている可能性があります。経営者が死亡すると、貸付金は相続財産となるため、相続税の対象です。

仮に、相続人から納税のために貸付金の返還請求があった場合は、会社経営ができなくなる可能性もあるでしょう。

その点、 法人保険に加入しておけば、法人が返済できるよう準備が可能です。

役員退職金支払いによるリスク

経営者や役員の退職金を支払うと、会計上「特別損失」に計上されるため、収益を圧迫する可能性があります。

法人保険に加入しておけば、 万が一の場合は死亡保険金を退職金として優待の場合は満期保険金や解約返戻金を優待退職金の財源とすることができます。

事業承継・相続のリスク

事業承継の場合、後継者へ経営権の集中・役員退職金の準備の他、自社株の評価額を確認し相続人に不満が残らないよう対策をすることが求められます。

法人保険に入っていれば、相続が発生した際に保険金が支払われるため、突然の事業承継においてもリスクに備えることが可能です。

法人保険の無料相談はこちら
今すぐ相談する

おすすめの法人保険ランキング

ランキング 1位 2位 3位 4位 5位
法人保険名 日本生命 ソニー生命 東京海上日動あんしん生命 損保ジャパン アフラック
保険の種類 長期平準定期保険 養老保険  逓増定期保険 損害責任保険 医療保険
福利厚生への活用
  •  従業員の死亡保障
  • 従業員の医療保障
  • 従業員の休業保障
  • 従業員の財産形成
  • 従業員の退職後(老後)の保障
    (企業年金など)
  • 弔慰金
  • 死亡退職金
  • 従業員の死亡保障
  • 従業員の死亡保障 
  • がん保険
  • 医療保険
  • 就労所得保証保険
  • 介護保険
おすすめの法人
  •  福利厚生を充実させたい企業
  • 資産形成等を推進したい企業
  • 福利厚生を充実させたい企業
  • なるべく割安に保険をかけたい企業
  • シンプルに生命保険のみかけたい企業
  • 退職金を用意したい
  •  様々な企業リスクに備えたい企業
  • 家族、二親等まで医療保険の活用を推進したい企業
  • 社員の健康を増進させたい企業

日本生命

日本生命

日本生命「長期定期型保険 スーパーフェニックス」は、 経営者にもしものことがあった際に一時金を受け取ることができる法人保険です。

事業補償資金屋事業継承資金を財源とし、経営を存続させられます。

その他、従業員の休業補償や資産形成等、福利厚生に活用できる保険も充実しているため、福利厚生を手厚くしたい企業におすすめです。

編集部

保証期間が長くなるため、長期間の契約を予定している場合に向いています。

ソニー生命

ソニー生命

ソニー生命は、養老保険の一種で、 保険期間が長くなるにつれて保険金が増えていくシステムの保険です。

保険期間中の脂肪や障害の保証のほか、満期保険金を退職金とすることも可能です。

保険期間の延長もできるので、定年退職の年齢も引き上げられます。

東京海上日動あんしん生命

東京海上日動あんしん生命

東京海上日動あんしん生命は、 一定の保険料で保証金額が増額される、低解約返戻金型 逓増定期保険に分類されます

経営者になにかあったときの保証のほか、退職金の財源ともできるため、福利厚生の充実化が可能です。

損保ジャパン

損保ジャパン

損保ジャパンは、 サイバー攻撃などによる損害にそなえる、損害責任保険に分類されます

保証内容が充実しており、第三者からの損害賠償に加え、機能停止による利益損害に対しても保険金を受け取ることができます。

アフラック

アフラック

アフラックは、 経営者や従業員が入院時に受け取る給付金を経営資金や見舞金として李応できる医療保険の一種です。

経営者の優待や退職後に関しては、契約名義を個人に変更するだけで、一生涯の保証として継続できます。

長期入院や手術、特定生活習慣病への保証も充実しているため比較的年齢層が高めの企業におすすめです。

法人保険に加入するときの注意点

法人保険に加入するときの注意点

節税だけを目的に加入しない

法人保険の種類によっては、保険料の一部または全額を損金算入できますが、節税だけを目的に法事保険へ加入するのはおすすめしません。

保険料の支払いによってキャッシュフローが悪化したり、返戻金が元本割れしたりすると、 かえって会社の財務リスクを高めてしまう可能性があるためです。

法人保険を検討する際は、「事業承継費の貯蓄」や「福利厚生の資金繰り」など、あらかじめ加入する目的を明確にしましょう。

国税庁が節税効果を規制する可能性がある

2019年に、法人保険を使った節税の行き過ぎが問題視され、 法人保険の保険料損金計上のルールが変わりました

具体的には、国税庁による法令解釈通達や、低解約型逓増定期保険の名義変更プラン撤廃を意味する税制改正などが挙げられます。

今度も法事保険の節税効果に対して、様々なルール変更が行われる可能性がある点には注意が必要です。

福利厚生規程や退職金規程を作成する

福利厚生や退職金の資金繰りとして法人保険に加入する場合、あらかじめ「福利厚生規定」や「退職金規定」を作成しておきましょう。

事前に規定を定めておかなければ、 保険料の損金算入が認められなかったり、保険金を使った退職金の支払いが脱税とみなされたりする可能性があります

万が一税務調査が入った際にも説明の根拠を提示できるよう、保険金の取り扱いを細かく決めておくことが重要です。

返戻金の使途を決めておく

法人保険から受け取れる返戻金の使途は、加入前に決めておきましょう。

解約返戻金や保険金は益金として算入されるため、そのまま受け取ると課税対象になってしまいます。

税金の負担を小さくするには、保険金や解約返戻金を受け取った分支出する必要があるため、 事前に使途を定めておき、計画的にキャッシュフローのバランスを取ることが重要です。

キャッシュフローを常に意識する

法人保険を利用する場合、加入前・加入中は常にキャッシュフローを意識する必要があります。

万が一に備えて法人保険に加入しても、保険料の支払いが会社の資金を圧迫してしまっては本末転倒なので、 「キャッシュフローの安定」を最優先に考えることが重要です。

ドル建て保険は為替リスクがある

法人保険の中には、ドル建てで購入できるものがあります。

「利回りが円建てと比べて高い」「会社の資産が通貨分散できる」「円安リスクに備えられる 」などメリットも多いですが、為替リスクがある点には注意が必要です。

ドル建て保険の場合、為替レートによって日本円に換算される保険料や受取額が変動するため、 タイミングが悪ければ損をする可能性があると理解しておきましょう。

ドル建て保険とは

ドル建て保険とは、外貨で保険料を支払い、外貨で保険金・解約返戻金などを受け取るタイプの保険です。

法人保険を選ぶ際のポイント

法人保険を選ぶ際のポイント

補償内容

補償内容が不十分だと、万が一リスクが発生した際に対応しきれない可能性があるため、法人保険の加入を検討する際は、補償内容をしっかり確認しましょう。

具体的には、 「何に対する補償か」「どこまでが補償範囲か」「十分な事業補償があるのか」などを確認し、店舗の抱えるリスクをきちんとカバーできるか十分に検討することが重要です。

店舗の業種などによっても必要な補償内容は異なるので、どのようなケースに備えが必要なのか考えたうえで保険商品を選ぶことをおすすめします。

保険金額

保険金額少ないと、資金が必要になった際に十分な金額を用意できないため、法人保険を選ぶ際は後々受け取れる保険金がいくらくらいなのか確認しましょう。

ただし、 保険金が高額な法人保険は、その分保険料も高くなるため、保険料の支払いがキャッシュフローを圧迫しない程度にとどめることも大切です。

法人保険に加入する際は、会社の財務状況を鑑みながら、無理なく支払える範囲で保険金額を設定するしましょう。

解約返戻金のピーク時の返戻率

節税目的で法人保険に加入しても、 解約返戻率が低ければかえって損をしてしまう可能性があるため、法人保険を選ぶ際はピーク時の返戻率についてもチェックしておく必要があります。

中には、解約返戻率が100%を下回る保険もあるため、営業マンの提案を盲信せず、自分自身でよく考えてから加入する商品を選ぶことが大切です。

また、解約返戻で損をしないよう、加入前に出口戦略までしっかりと考えておき、計画的に資金繰りを行いましょう。

返戻率のピークのタイミングと長さ

法人保険を選ぶ際は、「解約返戻率がピークになるタイミング」と「解約返戻率のピーク期間」も確認しましょう。

解約返戻金の返戻率は、 基本的に一定期間が経過するとピークを迎え、しばらくすると再び下がり始めます

そのため、解約返戻金を当てにして資金繰りをする場合は、ピークの時期に解約できるよう計画を立てる必要があります。

編集部

返戻率のピークを考慮せずに法人保険を契約をすると、必要な時に十分なお金が帰ってこない可能性があるため、出口戦略まで考えたうえで加入することが重要です。

法人保険の無料相談はこちら
今すぐ相談する

法人保険に加入する手順

ステップ
  1. STEP.1

    加入目的を明確にする

    法人保険を検討する際は、まず「どのようなリスクに備えたいのか」「資金の使途は何か」を考え、加入目的を明確にしましょう。

    保険料の支払いにより、かえって会社のキャッシュフローが悪化するリスクもあるので、 節税目的だけで安易に契約するのはおすすめしません

    法人保険は、本来経営リスクに備えるためのものなので、その点を意識しながら適切な運用計画を作成することが大切です。

  2. STEP.2

    目的に合った保険の種類を選ぶ

    法人保険には様々な種類があるので、備えたいリスクや資金使途に合わせて、加入する保険商品の候補を絞りましょう。

    どのくらいお得になるのか比較できるよう、 シュミレーションツールで試してみるのもおすすめ です。

    たとえば、万が一経営者が死亡した場合に備えたい場合は「終身保険」、従業員の福利厚生に充てる資金を積み立てたい場合は「養老保険」など、目的によって選ぶべき保険の種類は異なってきます。

    STEP.1で洗い出した加入目的をもとに、求める補償内容を満たす保険商品はどれなのか見極めるのがポイントです。

  3. STEP.3

    候補の保険商品を比較したうえでひとつに絞る

    加入する保険の種類が決まったら、保険会社や代理店に問い合わせて具体的な保険商品を検討します。

    保険会社・保険代理店によって取り扱っている保険商品が異なるため、 複数の窓口に問い合わせてから候補を選ぶのがおすすめ です。

    希望に合いそうな商品を数種類に絞ったら、資料請求や見積りを依頼して契約内容を細かく比較し、最終的に契約するものを選びましょう。

  4. STEP.4

    申し込み・契約

    法人保険の申し込みは、基本的に契約者本人による手続きが必要です。また、 保険商品によっては契約時に1回目の保険料を払い込む必要がある 点も留意しておきましょう。

    法人保険の申込み・契約の流れ

    ❶ 商品内容の確認(重要事項説明書や契約のしおりなど)
    ❷ 送付された申込書などに必要事項を記入・捺印
    ❸ 提出書類の送付
    ❹ 1回目の保険料払い込み
    ❺ 契約手続き完了

法人保険を預金・有価証券・不動産投資と比較

  メリット デメリット
法人保険
  • 保険料を損金算入できる
  • 事業リスクに備えられる 
  • 元本割れするリスクがある
  • 保険金が益金扱いになるため調整が必要
預金
  • 資金の引き出しがいつでも可能
  • 損金算入ができない
  • 金利が低くお金が増えにく
有価証券
  • 株価が上がるとリターンが大きい
  • 損失の繰越ができる
  • 投資額を損金算入できない
  • 株価が下がれば十分な資金が用意できない
不動産投資
  • 節税効果が大きい
  • 継続融資が受けやすい
  • 不動産価値が下がるリスクがある
  • 初期コストが大きい
  • 手続きが煩雑
 

法人保険に加入している企業の事例

トヨタ自動車

トヨタ自動車は、 ハッピーライフという種類の法人保険を備えています

従業員が生命保険に加入する際、保険料に割引が適用されるほか、企業も負担金を出すことで節税効果を享受することが可能です。

また、トヨタ自動車は休憩時間や新入社員の入社時に、生命保険担当者が企業で用意した生命保険のメリットを説明することで社員の加入を促すといったキャンペーンを実施しています。

フォスター電機

フォスター電機は、 通勤や業務で使用する自転車を対象に、自転車保険を法人契約しています。

社員が自転車事故を起こした際の企業リスクをカバーできるほか、コンプライアンス意識の高さをアピールすることにも繋がっています。

また、同社は自転車通勤者への安全教育を積極的に行っており、全国自転車安全モデル企業にも選出されている点も特徴的です。

法人向け生命保険の30万円特例とは?

法人向け生命保険の30万円特例とは?

30万円特例では保険料の全額を損金に計上できるケースがある

「30万円特例」とは、法人保険に関する税制ルールの一つで、 「特定の条件を満たせば保険料の全額を損金算入できる」という内容です。

国税庁が2019年に行った法人保険の税制改正により、損金算入できるのは保険料の一部となりましたが、「30万円特例」の条件を満たしている場合は支払った保険料を全額損金として算入できます。

なんで税制ルールが変わったの?

以前の税制では、支払保険料を全額損金として計上できましたが、節税目的の保険商品が数多く販売されたたため、行き過ぎた節税を是正する目的でルールが改正されました。

30万円特例が適用される条件

「30万円特例」の条件を満たすには、 「被保険者1人あたりの年間保険料が30万円以下」かつ、以下のどちらかに該当する必要があります。

どちらかの該当が必要
  • 最高解約返戻率が70%以下の定期法人保険
  • 終身タイプの第三分野保険のうち、保険料短期払い込みのもの、
    もしくは保険料の払込期間が5年や10年など短期間である

なお、被保険者1人で複数の保険商品に加入している場合は、全ての保険料を合算する必要があります。

法人保険の損金ルール

法人保険の損金ルール

解約返戻金のある法人保険は、 一定の保険期間が経過するまで支払い保険料の一部を資産計上しなければなりません

最高解約返戻率 経理処理方法
50%以下 全額損金計上
50%超~70%以下 保険期間開始後、4割の期間は60%損金・40%資産計上
70%超~85%以下 保険期間開始後、4割の期間は40%損金・60%資産計上
85%超 保険期間開始後、最高解約返戻率を迎えるまで
25%ほどを損金計上・75%ほどを資産計上

法人保険の保険料を損金算入するメリット

法人保険の保険料を損金算入するメリット

法人保険の保険料を損金算入することで、 節税効果が期待できるというメリットがあります。

​​​​​​​保険料によって損金が増加することで、会社のキャッシュフローにおける利益が圧縮されるため、法人税の負担が減るという仕組みです。

​​​​​​​ただし、保険料を損金に算入した場合、保険金や解約返戻金は益金に計上されるため、受取時に課税対象となります。

​​​​​​​保険金や解約返戻金への課税を抑えるには、まとまった支出をつくる必要があるため、「退職金の支払い」や「設備投資」など、あらかじめ出口戦略を考えておきましょう。

法人保険のよくある質問

Q
法人保険が節税に繋がる仕組みは?

A

法人の所得は「所得=益金-損金」で計算されるため、保険料によって損金が増えることで利益が減少したと見なされ、法人税も少なくなる仕組みです。

Q
法人保険(医療)に加入するメリットは?

A

法人が医療保険に加入するメリットは以下の通りです。

・経営者が病気になった際、保険金を法人の経営資金にできる
・保険料を全額損金にできる(契約による)
・保険料払い込み後に個人に名義変更すれば、保険料の負担なく保障が継続できる​​​​​​​

Q
法人が終身保険に加入するメリットは?

A

法人が終身保険に加入するメリットは以下の通りです。

・保障が生涯続くため事業リスクに備えられる
・保険料が一定なので将来の支出を算出しやすい
・契約者貸付制度を利用できるようになる

Q
法人生命保険を掛け捨て型にするメリットはなんですか?

A

掛け捨て型の法人保険は、解約返戻金のある商品と比べて保険料を安く抑えられるというメリットがあります。

Q
法人が変額定期保険に加入するメリットはなんですか?

A

変額定期保険を法人契約するメリットは以下の4点です。

・保険料が割安
・運用実績によっては受け取れる金額が増える
・インフレ対策となる
・運用中は課税されない

Q
法人生命保険に節税効果はありますか?

A

法人生命保険の保険料を損金算入することで、法人税の負担を軽減することが可能です。
ただし、保険金や解約返戻金の受け取りは益金として処理する必要があり、課税対象となります。
そのため、事前に出口戦略を考えておくことが重要です。

Q
法人は役員保険に加入するメリットを教えてください

A

役員保険に加入するメリットは以下の3点です。

・保険料を損金計上できる
・退職金の資金準備に活用できる
・役員に万が一のことがあった際の事業リスクに備えられる

Q
終身保険を法人契約するメリットを教えてください

A

終身保険を法人契約すると、万が一経営者が死亡した際に保険金が下りるので、事業継承費の資金繰り対策につながります。

Q
役員退職金を法人保険で賄うデメリットはありますか?

A

法人保険を使って役員退職金の資金繰りをすると、保険料の支払いによってキャッシュフローが悪化したり、解約タイミングによっては損失が発生する可能性があるため、注意が必要です。

Q
法人生命保険のメリットとデメリットを教えてください

A

法人生命保険に加入するメリットとしては、以下の4点が挙げられます。

・経営者の身に万一のことがあっても会社の経営を安定させられる
・現金や預金よりも退職金の資金を多く積み立てられる
・世代交代の時かかる税金等の負担を抑えられる
・タイムリーにお金を借りられるため商機を逃しにくい

ただし、「会社のニーズや財務状況に合った保険商品を選ばないと、取り返しのつかない損失を被る危険性がある」というデメリットもあるので注意しましょう。

Q
法人保険の名義を譲渡するメリットはありますか?

A

法人保険の名義を譲渡することで得られる、節税効果等のメリットはありません。

Q
法人医療保険のデメリットを教えてください

A

医療保険を法人契約するデメリットは以下の3点です。

・給付金が課税対象となる
・見舞金は役員賞与と判断される可能性がある
・慶弔見舞金規定による明確な指針が必要

Q
法人保険の中に定期保険はありますか?

A

はい、法人保険として長期平準定期保険などに加入することが可能です。

まとめ

法人保険は、事業リスクへの備えや資金繰りなど、さまざまなシーンで企業の経営をサポートしてくれます。

​​​​​​​メリットだけでなく、デメリットやリスクを理解したうえで、自社に最適なプランを選ぶのがポイントです。

メリット デメリット
  • 節税対策になる
  • 事業リスクに備えられる
  • 役員・従業員の福利厚生になる
  • 契約者貸付制度が利用できる
  • 事業承継の負担を軽くできる
  • キャッシュフローが悪化する可能性がある
  • 解約のタイミングによっては損をする可能性がある
  • 保険金や解約返戻金は税金がかかる

 

ただし、法人保険はあくまでも経営リスクに備えるためのものなので、節税目的だけで加入するのはおすすめしません。

「従業員の福利厚生拡充」「事業継承対策」「退職金の資金繰り」など、 明確な加入目的を持ったうえで、上手に活用しましょう

法人保険の無料相談はこちら
今すぐ相談する

 

無料ご相談フォーム

商品に関するお問い合わせや、
業務改善のお困りごとがあれば
どんなことでもWiz cloudにご相談ください。

※ご入力いただいた情報をもとに、お客様の課題解決に最適な企業をご紹介します。
本サービスでお問い合わせ、資料請求、資料ダウンロードをしていただいた際にご入力頂きました情報は、お問い合わせに対する回答のために利用いたします。また、弊社が取り扱う商品・サービスに関する情報のご案内・商品・サービスのご提供、広告・宣伝・告知などを内容とする電子メール、電話、DM、ハガキ等でのお知らせ等の目的におきましても利用・管理・保管されます。

この記事が良かったら、“いいね!”をしてください!
最新情報をお届けします!

この記事を書いたライターの画像

この記事を書いたライター

Wiz Cloud編集部

WizCloud編集部メンバーが執筆・更新しています。 Web関連、デジタル関連の最新情報から、店舗やオフィスの問題解決に使えるノウハウまでわかりやすくご紹介します!