与信調査とは?調査の流れや方法、押さえたいポイントなどを徹底解説!

ビジネスにおいて、企業のリスク管理は非常に重要な業務の一つです。このリスク管理の一つに「与信調査」があります。

与信調査とは、取引相手の信用状況や業績を確認し、リスクを低減するために実施される調査です。

この記事では、与信調査の流れや方法、押さえたいポイントなどを徹底解説します。信頼できる取引関係を築くために、ぜひご参考ください。

与信調査とは?

与信調査とは、 取引先企業の信用力や返済能力を評価するために実施される調査のこと です。企業間取引の際とても重要であり、営業活動や新規取引を開始する前に、信用リスクを把握し、適切な取引条件を設定するために必要となります。

与信調査を通じて、企業の財務状況、経営状況、事業内容など様々な情報を分析し、 取引のリスクを最小限に抑える ことができます。

これらの情報をもとに、経営者や営業担当者は、取引先企業の信用リスクを適切に判断し、与信管理を実施することが重要です。

与信調査が必要な理由

与信調査が必要とされる理由は、主に以下が挙げられます。

  1. 取引先企業の倒産リスクを回避するため
    債権回収や未払いのリスクを低減し、取引先企業の将来性や安定性を確認することで、倒産リスクを減らすことができます。
  2.        財務リスクを最小限に抑えるため
    与信調査を通じて取引先企業の財務状況を把握し、適切な取引条件を設定することで、財務リスクを最小限に抑えることが可能です。 
  3. 信頼関係の構築
    取引先企業との信頼関係を構築し、長期的なビジネスパートナーとして継続的に取引できる環境を整えることができます。 
  4. 営業効率の向上
    与信調査を通じて取引先企業の信用状況を把握し、営業効率を高めることができるため、ビジネスの成長につながります。

与信調査で何がわかるのか

売掛金を支払えるだけの収入があるか

与信調査では、 取引先企業が売掛金を支払えるだけの収益力があるかどうかを確認することができます

具体的には、取引先企業の財務情報を分析し、キャッシュフローの状況や債務返済能力、資本構成などを評価します。また、経営状況や事業内容、業界内での競争力、過去の取引実績なども参考にされます。

これらの情報を総合的に評価することで、取引先企業が売掛金を適切に支払える能力があるかどうかを判断し、リスク管理を行うことができます。

資産や財務の状況

与信調査では、 会社の資産や財務状況を調べることができます

企業の経営状態や事業リスクを評価するためにも、損益計算書や貸借対照表などの財務資料を確認し、 売上や利益、資産や負債の状況、資本金の額などを検討し財務状況を把握します 。また、取引先企業の営業成績や資金繰りの状況を調べることも、財務状況を判断する指標となります。

また、過去の決算データを用いて、企業の財務状況の推移を比較分析することも役立ちます。これにより、会社の経営状況が改善されているのか、悪化しているのかを判断することができます。

企業と代表者の信用性

企業と代表者の 信用性を調査する際には、まず企業の登記簿謄本や代表者の住民票抄本など、公的な資料をチェック する必要があります。

他にも、代表者の信用性を調べる方法として、インターネット上のサイトやSNSを利用して、過去の経歴や履歴を検索する方法があります。また、取引先や関係者に対して電話やメールで直接ヒアリングを行い、代表者の信用性について問い合わせることも有効です。

さらに、 企業や代表者が過去に倒産や破産、法的なトラブルがないかを確認するため、信用情報機関や裁判所、法務局等の公的な機関に問い合わせ るなど、さまざまな方法で企業と代表者の信用性を総合的に判断することができる。

与信調査の流れ

  1. STEP.1

    企業や代表者の基本情報を収集し、資産や財務の状況、取引実績や信用履歴の調査

  2. STEP.2

    企業や代表者の信用性を評価するために、取引先や関係者からの意見や評価、インターネット上の情報を調査

    過去の倒産や破産、法的なトラブルがないかを確認するため、公的機関や信用情報機関に問い合わせを行う。

  3. STEP.3

    与信判断を下す

    STEP2までに集めた情報をもとに、与信判断を下し、企業の経営状況や事業リスクを考慮し、取引条件や限度額を設定します。

  4. STEP.4

    調査結果を報告書にまとめ、取引先や関係者に提供

    与信調査は、定期的に更新や確認を行い、企業や代表者の信用状況や経営状況の変化に対応することが求められます

与信調査を実施するタイミングはいつ?

  • 新規の会社と取引するとき
  • 取引額が増えるとき
  • 取引を始めてから時間が経ったタイミング

新規の会社と取引するとき

新しく企業と取引する際は、信用調査が重要 です。 その理由は、取引リスクを把握し、適切な与信管理を行うためです。

信用調査サービスを利用して、相手企業の財務状況や経営状況を確認 しましょう。また、登記簿謄本や資本金、売上高、従業員数などの基本情報も確認しておくと、企業の規模や業界での位置付けが把握できます。

商談やヒアリングを通じて、企業文化や業務フローを理解し、取引が円滑に進むように努めましょう。

取引額が増えるとき

取引額が増えるときは、改めて相手企業の信用調査を実施することが重要 です。その大きな理由は、取引額の増加はこちらの会社におけるリスクの増加にもつながるためです。

信用調査サービスを使い、最新の財務状況や経営状況をチェックし、倒産リスクや支払い遅延の兆候がないか確認してください。また 営業担当者と密接に連絡を取り合い、相手企業の最新情報を入手しましょう。

さらに、取引条件を再検討し、与信限度額や支払い条件を適切に設定することで、リスクを最小限に抑えることができます。

取引を始めてから時間が経ったタイミング

取引を始めてから、しばらく時間が経ったと思ったら、改めて信用調査を行いましょう。 企業の経営状況や業界環境は変化するため、定期的に与信管理を見直すことが重要 です。

営業担当者とのコミュニケーションを継続的に行い、相手企業の最新情報の把握、信頼関係の維持が大切です。そして、自社の経営状況やリスク許容度に応じて、与信管理のポリシーや取引条件を適宜見直しましょう。

これにより、長期的な取引関係を築き、ビジネスの成長につなげることができます。

いずれ取引する可能性があるとき

取引先となる可能性のある企業との待ち合わせが迫る中、適切な与信管理が重要 です。理由は、取引先の信用や財務状況を調査し、取引リスクを最小限に抑えることができるからです。

倒産リスクがある企業と取引する際には、売掛金回収が困難になることが予想されるため、事前に与信限度額を設定し、取引金額を適切に管理することが求められます。

新規取引先との取引開始前には、十分な時間をかけて与信調査を行い、リスクを回避するための対策を十分に検討しておくことが肝心です。

与信調査の方法

  • 社内調査
  • 直接調査
  • 外部調査
  • 依頼調査

社内調査

社内調査は、 自社の営業資料や取引先から提供された資料、インターネット上の情報などを基に、取引先の信用状況を把握する方法 です。社内調査では、取引先の企業概要、資本情報、取引先から提供された財務諸表や経営陣の経歴などを調べ、取引リスクを判断します。

また、過去の取引実績や他社との取引状況、取引条件の変更要望なども重要な情報となります。社内調査を行うことで、取引先の信用状況を迅速かつ効率的に把握することができ、適切な取引条件を見極めることが可能です。

直接調査

直接調査では、 取引先やその関係者に対して直接問い合わせを行い、信用状況を調べる方法 です。具体的には、取引先企業の代表や担当者と直接面談し、信用状況に関する質問を行うほか、電話やメールでの問い合わせも効果的です。

直接調査では、取引先の事業計画や経営状況、売上や利益の推移、債権回収状況などを確認し、取引リスクを判断します。さらに、過去の業績や信用履歴、資金繰りの状況なども調査対象となります。

直接調査により、取引先の信用状況を詳細に把握することができ、リスク管理に効果的な対策を講じることが可能です。

外部調査

外部調査とは、 企業が取引先の信用状況を把握するために、専門機関やインターネットの情報サービスなどを利用して行う調査手法 です。

外部調査で確認すべき重要なポイントは、財務内容や経営状況、過去の取引実績、事業内容や代表者の評価などです。これらの情報は、登記簿謄本や売上高、資本金、従業員数、過去の事例などの資料から入手できます。

ただし、外部調査だけでは十分な情報を得られない場合もあります。そのため、リスク管理の観点から、自社での内部調査と併せて実施することが望ましいです。

依頼調査

依頼調査は、 企業が信用調査機関に与信審査の依頼を行い、調査結果を報告してもらう方法 です。

依頼調査では、対象企業の財務状況や事業内容、経営陣のプロフィール、与信実績などが調査されます。依頼調査を行う主な機関は、信用情報会社や商業登記簿を取り扱うサービス企業、専門のリサーチ会社などです。

ただし、依頼調査は 費用がかかることが多いため、取引額やリスクの大きさに応じて、自社で行う内部調査と併用することが効果的 です。また、依頼調査だけに頼らず、定期的なモニタリングや情報収集も行いましょう。

与信調査を実施しなかった場合

売掛債権を回収できなくなる

与信調査を実施しなかった場合、 取引先の信用状況や支払い能力を把握できず、売掛金の回収が困難になるリスクが高まります 。適切な調査を行わずに取引を進めることは、企業にとって営業利益の損失やキャッシュフローの悪化、さらには経営の存続性に関わる問題にも繋がりかねません。

与信調査を行うことで、取引先の信用リスクを適切に評価し、回収が困難な債権を把握 することができます。これにより、売掛金回収の問題を未然に防ぎ、企業の資金調達や経営の安定化に役立ちます。信用調査は、適切な信用管理やリスク回避のために重要なプロセスとなります。

連鎖倒産を起こしてしまう

連鎖倒産とは、ある企業の倒産が取引先企業にも影響を及ぼし、次々と倒産が広がっていく現象 です。その主な理由として、取引先企業の財務状況や営業内容の把握が十分でなかったことが挙げられます。このような事態を防ぐためにも、与信調査が非常に重要です。

与信調査は、主に経営状況、財務状況、過去の取引実績等を確認し、倒産リスクを判断することが目的です。この調査により、企業が取引先企業の経営状況を把握し、連鎖倒産のリスクを回避することが可能です。

キャッシュフローの悪化により業界での評価が下がる

キャッシュフローは、企業の資金循環を示す重要な指標です。しかし、 キャッシュフローが悪化すると、その企業の信用力が低下し、業界での評価が下がることがあります

キャッシュフローが悪化して業界での評価が下がると、他企業との取引が困難になることや、銀行からの融資が受けられなくなることです。また、債権回収が遅れることで、自社の経営にも影響が及んでしまいます。

与信調査を適切に行い、 キャッシュフローの悪化を未然に防ぐことで、業界での評価を維持し、安定した取引が行える ようになります。

与信調査を行うポイント

対象の会社や経営者は信頼できるか

与信調査で重要なポイントは、対象企業や経営者が信頼できるかどうかを確認することです。 信頼できるかどうかを判断するためには、対象企業や経営者の経営方針や実績、業界における評価等を調査 します。

また、取引履歴や過去の債務履行状況、信用情報機関の情報なども参考にすることが重要です。これらの情報を総合的に分析し、対象企業や経営者の信頼性を判断します。

対象企業や経営者が信頼できると判断された場合、取引を開始し、継続的な信用調査を行ってリスクを管理することが求められます。適切な信用調査が実施されることで、企業間取引におけるリスクを最小限に抑えることが可能です。

売掛金を支払えるだけの利益があるか

売掛金を支払えるだけの利益があるかどうかを判断するには、まず企業の収益性を評価することが重要です。 営業利益や経常利益の額を確認し、業績が安定しているかどうかを把握することが必要 です。

さらに、将来的な売上や利益の推移も重要なポイントです。企業の過去の業績や市場環境を調査し、成長性や競争力があるかを判断することも大切です。

売掛金の回収に関しては、過去の回収実績や回収期間を確認し、今後も適切なタイミングで回収ができることを把握することが重要です。

在庫に過剰な増減はないか、返品は多くないか

在庫に過剰な増減がないかどうかを判断するためには、企業の在庫管理能力や業績の確認が大切です。具体的には、 過去の在庫動向や在庫ターンオーバー率を確認し、適切な在庫量が維持されているかどうかを把握することが求められます

また、返品が多くないかを評価する際には、顧客満足度や品質管理の取り組みを調査することが重要です。顧客からのクレームや返品率を確認し、適切な対策が講じられているかどうかを判断することが必要です。

さらに、業種や市場環境によっては、季節性や需要変動による在庫の増減がある場合があります。このような状況下では、企業の在庫管理スキルや対応力が重要となります。 企業の在庫状況や市場動向を分析し、適切な在庫量が維持できるかどうかを判断することが大切 です。

資産状況や財務状況は問題ないか

資産状況や財務状況が問題ないかどうかを判断するには、企業の財務諸表を分析する必要があります。 バランスシートや損益計算書、キャッシュフロー計算書などを利用して、企業の財務状態を把握することが求められます

企業の資産や負債の総額を評価し、財務構造が安定しているかどうかを判断することが必要です。また、資本金や資本剰余金などの自己資本比率や負債比率を確認し、企業が適切な資本構成を維持しているかどうかを把握することが重要です。

与信調査を信用調査会社に依頼するメリット・デメリット

信用調査会社に依頼するメリット

信用調査会社を利用すると、 専門的な調査が可能になり、取引先の信用情報を正確かつ迅速に把握することができます 。さらに、調査会社には多くの企業や情報提供者が登録しているため、幅広い情報源を活用することができます。また、調査会社が持っている豊富なデータをもとに、与信管理のリスクを低減でき、安全な取引を確保することができます。

さらに、 信用調査会社の調査力を利用することで、営業活動を効率化 することができます。例えば、新規取引先に対するリスクを事前に判断することができるため、リソースを最適な取引先に集中することが可能です。また、調査会社が過去の取引実績や信用評価を分析して提供するサービスもありますので、より確実な判断ができます。

信用調査会社に依頼するデメリット

信用調査会社に依頼するデメリットとして、まず コストがかかる ことが挙げられます。信用調査の専門サービスを利用するためには、契約料や調査料が発生します。また、調査結果の更新頻度によっては、情報が古い可能性もあります。そのため、常に最新の情報を求める場合は、自社で直接調査を行うことも検討すべきです。

次に、調査会社によっては、扱う情報量や質が異なる場合があります。そのため、適切な調査会社を選ぶ必要があります。また、信用調査会社が提供する情報には限界があり、全ての情報が揃わない場合もあります。完全な情報を得るためには、自社で補足調査が必要となります。

ただし、 信用調査結果に過度に依存することは危険 です。調査結果はあくまで参考の一つであり、最終的な判断は自社の経営陣が行うべきです。

まとめ:与信調査で安全かつ効率的な取引を実現

与信調査を行うことで、安全かつ効率的な取引が実現できます。

専門的な調査会社を利用すれば、多くのメリットが得られますが、デメリットもありますので適切な判断が必要です。経営陣や財務担当者が信用調査結果を適切に活用し、取引先との関係を築いていくことが重要です。

今後のビジネス展開を考えるときは、与信調査を上手に活用しながら、リスクを最小限に抑えた取引を実現しましょう。

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