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がんこフードサービス株式会社の経営やお客様を第一にしたサービス提供について

料亭や割烹など高級なイメージの和食。
それを多くのお客様に気軽に食べてもらえるようにリーズナブルな価格にしているのががんこフードサービスの魅力。今回はがんこフードサービス株式会社の小嶋 達典副社長が考える経営やお客様を第一にしたサービス提供についてお話を伺いました。

がんこフードサービス株式会社

昭和38年4月小嶋淳司氏(現会長)が大阪十三に4.5坪の寿司屋「がんこ寿司」をオープンさせたのが始まり。「旨くて安い」をモットーに、現在、和食・とんかつ・回転寿司・うどんなど全国で97店舗を経営するほか物販事業・中食事業を行う。料亭さながらのロケーションで調理師の技、着物接客のおもてなしを楽しめる「お屋敷シリーズ」の展開や外国人観光客向けの、寿司握り体験、お抹茶体験、着付け教室、折り紙教室などなど日本の伝統と文化を世界に発信している。

取締役副社長 小嶋 達典

大学卒業後、京都の懐石料理店で2年間、板前の修業を経験。その後一転し、サラリーマンを経験後、父で現会長の小嶋淳司氏が経営する「がんこフードサービス株式会社」に入社。現在同社副社長、事業譲渡により託された「株式会社リトル沖縄オーバーシーズ」の代表取締役を務める。

お客様を第一にしたサービスについて

お客様へのサービスを第一に、いかにして美味しいものを提供するかを追求してきた。

父が、がんこフードサービスの創業者で、私も生まれたときから外食サービスを提供する側の中で育った為、ターゲットであるサラリーマンの方や、そのご家族が「どんなとき」に、「いくら費用をかけて外食したいか」ということがわかりませんでした。サラリーマン時代では外食する機会も多かったので、外食に対してのお客様の気持ちを身を持って知ることができ、現在の経営にとても役に立っております。
弊社の社名である「がんこ」の由来は父である会長の小嶋淳司の学生時代のあだ名から取ったものです。創業以来、お客様へのサービスを第一に、いかにして美味しいものをリーズナブルに提供するかを頑固一徹に追求し、世の中の流れや目先の利益よりもお客様のことを「バカ正直」に考えてきました。
多くのお客様に楽しんでいただく為、リーズナブルな価格でのサービス提供はこれからも続けていくつもりです。そして、ただ安いだけではなく、良いものをご提供して価格でも質でもご満足いただきたいというのが創業以来変わらない理念となります。店舗には必ず職人さんを入れて最高級の質を提供できるよう努めています。店舗数を広げて拡大し、そこからスタッフを育てていくのではなく、スタッフも料理も満足のいく品質でないと店舗展開はしない、そういう方針です。

「モノ」より「コト」重視のなか、お客様にどんな体験をしていただくか。

近頃のお客様の傾向は、「モノ」より「コト」重視に変わってきています。何かを買うよりも、どんな体験をして楽しむかを大事にされていますね。私たち飲食業界も「体験」型を重視していく必要があると考えています。海外のお客様も以前は、団体さんやツアー客が多かったですが、今は個人のお客様や家族旅行で来られる方が増えてきました。皆さんSNSで情報を見つけて来られるみたいですね。皆さん日本のことをよく知っているので期待を裏切らないような対応が必要です。私どものような日本料理も外国のお客様には根強い人気がありますが、食べるだけならどこにでもあります。ですが、これからは、食べながらどんな楽しい経験ができるかということを重要視して、そのツールを作っていかなければならないと思います。

サービスの対価を上げていくことが生産性を上げていくことに繋がる。

日本では「サービスは、タダ」という考え方が多いですが、私はサービスにも対価は出てくるものだと思っています。サービスの対価がない、そのことは、生産性の低さにも繋がっています。価格競争や個人の生産性の向上というのも、いろんな業界で起こっており、繰り返されています。
例えば5人いる厨房を4人にして人件費を削減し、1人ひとりの生産性を高めていくことも大事ですが、サービスに対価がつくことで、もっと根本的な業界価値の向上に繋がるのではと考えています。そのため、これからは飲食業界全体がしっかりとサービスに対価をいただける業界になっていく必要があると思っています。

モノがネットに繋がる時代、サービスの質を上げていける可能性が。

インターネットの普及により、外国のお客様は旅行先での非常に細かい情報を収集しています。旅行中もWi-Fiスポットから様々な情報を収集しており、当社も、外国のお客様や若い方向けにWi-Fi設備を充実させなければと思い店舗のネット環境を強化してきました。
また、IOTで、「モノがネットに繋がる」ということが注目されているように、業務やサービスにおいて「もっと、こういうことができるんじゃないかな」と思うことが増えてきました。例えば、タブレット端末を使った情報の提供などもそうです。寿司の握り方や、天ぷらの揚げ方など日本人ならどのように作られるのか過程がわかりますが、外国の方からしたらわからない。それをメニューと一緒にネットを使ってリアルタイム動画で流せたりしたら、食べることと同時に「体験」の部分でも満足いただけるかもしれない。ネットと繋がったことで、提供できる情報量やサービスの幅も広がっていくのではないかなと思います。
タブレットやタッチパネルも居酒屋や回転寿司のお店などでは主流ですが、老舗の日本料理店などではまだ受け入れていただけないかもしれないですね。しかし、いずれ主流になってくるかもしれない。日本の「古き良き」を残すのは大事ですが、「古臭く」なってはいけない。良いところを残しつつ変わるところは変えていかなければ良いサービスは生み出せないと思います。

変えるための「チャレンジ」は続けなければいけない。

経営者はいろいろとやりたいことがあると思います。会社の「生き―死に」に関わるような「冒険」はしてはいけないですが、チャレンジは良いと思っています。「これを失敗したくらいでは会社に大きな影響は出ないだろう」という、変えていくためのチャレンジはむしろ経営の中で絶えずやっていかないと伸びていきません。いかにして美味しいものを提供するか、創業当初から譲れないものを継承しつつ、サービスの質を上げていくため、変化していくチャレンジは続けていきたいと思っています。

取材後記

『旨くて安い』をモットーにしているがんこフードサービス株式会社様ですが、お料理はもちろん、店舗の作り、スタッフの方のおもてなしなどを通し、食事の「場」や「ひと時」を大事にしていきたいという想いを感じました。また、独自のPOSシステムの開発やインバウンド対策にも早くから取り組んで来られたということで、和の心や和の伝統を大切に守りながらも、新しいことへのチャレンジを続けて行く姿を感じました。がんこフードサービス株式会社から新たな和食の価値が生み出される日も近いのではないでしょうか。


 

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