固定単価型プランで契約しているのに、なぜか毎月の電気料金が増えている。そんな疑問や不満を抱えている経理・総務担当者は少なくありません。
【この記事のポイント】
❶ 固定単価型でも「再エネ賦課金・燃料費調整額・基本料金」は変動する
❷ 本当に「固定」されている部分・されていない部分を請求書で確認できる
❸ 2026年に増える「ステルス値上げ」の手口と見極め方がわかる
❹ 契約前・乗り換え時の5つのチェックポイントを解説
目次
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「固定単価」なのに電気代が上がる——3つの理由
理由1:再エネ賦課金:国が毎年改定する費用
再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)は、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT制度)の費用を電気利用者全員で分担する仕組み です。国が毎年単価を改定するため、どの電力会社と契約していても変動します。
2026年度の単価は 4.18円/kWh(前年度比+0.20円、2026年5月検針分から適用)。月間使用量が10,000kWhの事業者であれば、前年度と比較して月額で約2,000円の増加となります。固定単価型プランでも、再エネ賦課金の上昇分は請求書に反映されます。
なお、前年度(2025年度)は3.98円/kWhで、その前の年度(2024年度:3.49円)比では+0.49円の大幅増でした
理由2:燃料費調整額:原油・LNG・石炭価格に連動する費用
燃料費調整額は、発電に使う原油・LNG・石炭の価格変動を電気料金に反映させる仕組み です。大手電力会社の規制料金プラン(従量電灯など)は上限ありの設定が義務付けられていますが、大手・新電力問わず自由料金プランでは上限なしが多く、新電力では特に上限なしのプランが主流です。
上限なしの場合、エネルギー市場が高騰すると燃料費調整額がそのまま請求額に上乗せされます。契約書に「燃料費調整額の上限なし」と記載されていても見落としやすく、気づいたときには大幅な値上がりになっているケースがあります。
理由3:基本料金・単価改定:電力会社による「ステルス値上げ」
3つ目が最も見落とされやすいケースです。
電力量料金の単価自体は据え置きながら、 別名目の費用を新設・引き上げることで実質的に値上げ する手法 が2026年以降に増えています。「ステルス値上げ」と呼ばれるこの手法については、次のセクションで詳しく解説します。

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詳しくはこちら「ステルス値上げ」とは何か——2026年に増えている新電力の値上げ手口
ステルス値上げの手口3パターン
パターン1:電源調達調整費の新設
「電力量料金単価」はそのままに、「電源調達調整費」「需給調整費」などの名目で新たな費用項目を請求書に追加 する手法。既存の料金体系とは別の項目なので、単価を比較しただけでは気づきにくい。
パターン2:燃料費調整額の上限撤廃
以前は上限を設定していたプランで、 契約更新時や規約改定のタイミングで上限を撤廃 するケース。使用量の多い法人ほど影響が大きく、エネルギー市場が高騰している局面では請求額が急増する。
パターン3:最低利用料金・基本料金の引き上げ
「電力量料金単価」を据え置きながら、 基本料金や最低利用料金を引き上げることで月あたりの固定費用を増加させる 手法。小規模事業者よりも、契約電力が大きい事業者ほど影響額が大きくなる。
請求書のどこを見れば気づけるか
- 先月比で電気代が増えているのに 使用量は変わっていない場合、費用項目の変化を確認する
- 請求書に見慣れない項目名が追加されていないかチェックする
- 電力会社から届いた「料金プランの変更通知」「規約改定のお知らせ」を見落とさない(メール1通で済まされるケースが多い)
- 年間を通じて電気代の 月別推移をスプレッドシートで管理し、異常値をすぐに検知できる体制を作る
本当に「固定」されているのはどこか——請求書の読み方
法人向け電気の請求書は、主に以下の項目で構成されています。それぞれの「固定・変動」を整理すると、下表のようになります。
| 項目 | 内容 | 固定 / 変動 |
|---|---|---|
| 基本料金 | 契約電力に応じた固定費 | 原則固定(改定リスクあり) |
| 電力量料金 | 単価×使用量 | 単価は固定、使用量により変動 |
| 燃料費調整額 | 燃料市場に連動した調整額 | 変動(上限の有無により異なる) |
| 再エネ賦課金 | 国が毎年改定する賦課金 | 毎年変動 |
| 電源調達調整費等 | 新電力が独自に設定する場合あり | 契約による |
「固定単価型」が 保証しているのは、あくまで 電力量料金の単価 のみ です。使用量が同じでも、燃料費調整額や再エネ賦課金が上昇すれば請求額は増えます。
「上限あり」と「上限なし」の燃料費調整額の違い
燃料費調整額に上限(キャップ)が設けられているかどうかは、法人の電気代リスク管理において非常に重要なポイントです。
上限ありの場合
燃料市場がどれだけ高騰しても、 燃料費調整額は契約で定めた上限値以上にはなりません 。予算管理がしやすく、大幅な電気代増加リスクを抑えられます。
上限なしの場合
燃料市場の高騰がそのまま電気代に転嫁 されます。2022〜2023年のエネルギー価格高騰局面では、上限なしのプランで契約していた事業者が急激な電気代増加に直面した事例が多数報告されています。
契約書の 「燃料費調整額」に関する条項は、必ず上限の有無を確認 してください。
契約前・乗り換え時に確認すべき5つのチェックポイント
新電力に切り替える際や、現在の契約を更新する際には、以下の5点を必ず確認してください。
-
燃料費調整額に上限(キャップ)があるか
契約書・料金表の「燃料費調整額」の項目を確認。「上限なし」「市場連動型」という記載がある場合は要注意。相場高騰時のリスクシミュレーションを事前に行うことを推奨します。 -
電源調達調整費など追加費用が発生しないか
料金体系に「電力量料金以外の従量課金」がないかを確認。契約時点では存在しなくても、後から新設されるケースがあるため、規約改定時の通知フローも確認しておくことが重要です。
-
単価改定時の通知方法と解約条件
「単価を改定する場合、何日前に通知するか」「通知後に違約金なしで解約できるか」を確認。通知期間が短すぎると、代替プランを探す時間が取れないリスクがあります。 -
最低契約期間と違約金の有無
1〜3年の最低契約期間が設けられているプランが多く、途中解約には高額の違約金が発生するケースがあります。プラン変更の柔軟性と違約金の上限額は必ず確認してください。 -
電力会社の財務安定性(倒産リスク)
新電力の倒産や事業撤退により、突然の供給停止・契約解除になるケースがあります。会社の設立年数、大手企業との資本関係、販売電力量の実績などを確認し、財務的に安定した事業者かどうかを見極めることが重要です。
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まとめ
固定単価型プランで電気代が上がる主な理由は、以下の3点です。
- 再エネ賦課金:国が毎年改定するため、どの電力会社でも変動する
- 燃料費調整額:上限なしのプランでは市場高騰がそのまま転嫁される
- ステルス値上げ:電力量料金単価を据え置きながら別名目で実質値上げする手法が増加中
請求書を毎月確認し、費用項目の変化を早期に検知する習慣をつけることが、電気代コントロールの第一歩です。
よくある質問(FAQ)
A
契約中の電力会社から届いている 「電気需給契約書」または「料金プラン説明書」を確認 してください。「電力量料金単価:○○円/kWh(固定)」「単価固定期間:○年間」などの記載があれば固定単価型です。不明な場合は、契約先の電力会社に問い合わせて「燃料費調整額の上限の有無」と「電力量料金単価の変動条件」を確認することを推奨します。
A
固定単価型は電力量料金の単価自体が変わりません。一方、上限付き市場連動型(キャップ付き)は市場価格に連動して単価が変動しますが、上限値を超えることはありません。 市場価格が低い局面では市場連動型の方が安くなる可能性がありますが、固定単価型の方が電気代の予算管理はしやすくなります 。
A
まず、 請求書の費用項目と契約書の料金体系を照合し、新たな費用が追加されていないかを確認 します。契約書に記載のない費用が請求されている場合は、電力会社に書面で説明を求めてください。改善が見込めない場合は、違約金の有無を確認した上でプラン変更・電力会社の乗り換えを検討することを推奨します。
この記事を書いたライター
Wiz Cloud編集部
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