「工事は必要?おすすめの製品はどれ?」
玄関が引き戸のご家庭の中には、「スマートロックは開き戸専用」と思っている方も多いのではないでしょうか。
実は近年、引き戸に対応したスマートロック製品も増えており、手軽に防犯性と利便性を高められる選択肢として注目されています。
本記事では、引き戸にスマートロックを後付けする方法や選び方、メリット・デメリット、人気製品まで詳しくご紹介します。
目次
玄関の引き戸にもスマートロックは後付けできる?
玄関が引き戸タイプでも、スマートロックを後付けできる製品は存在します。
ただし、 すべての引き戸に対応しているわけではなく、扉の厚みや鍵の構造(特にサムターン※の有無)によっては取り付けできない場合もある ため注意が必要です。
対応機種を選べば、スマートフォンでの解錠やオートロック機能などが使えるようになり、防犯性や利便性が大きく向上します。
※サムターン…室内側のドアについている「つまみ型の鍵」。鍵を使わずに、指でつまんで回すだけで施錠・解錠ができる仕組み。

引き戸にスマートロックを後付けするメリット・デメリット
引き戸にスマートロックを後付けするメリット
- 大掛かりな工事が不要
- 低コストかつ手軽にスマートロックを導入できる
- ハンズフリーで鍵の解錠が便利になる
- オートロック機能や施錠履歴の確認で鍵の閉め忘れを防止
- 万が一鍵を締め忘れても遠隔操作で施錠できる
- 物理的な鍵の持ち歩きが不要になり、紛失リスクを低減
- 家族や友人とカギをシェアすることも可能
- 合鍵の生成やシェアも手軽に行える
引き戸にスマートロックを後付けする 最大のメリットは、既存の扉を傷つけずに工事不要で導入できる手軽さ です。
特に賃貸住宅や古い建物でも使いやすく、取り付け後すぐにハンズフリー解錠やオートロックが利用できます。
さらに、スマホアプリで施錠履歴が確認できるため、防犯面の細かい管理がしやすいのも特徴です。
引き戸にスマートロックを後付けするデメリット
- 引き戸対応製品が限られる
- 扉の形状や鍵の種類で取り付け不可の場合もある
- 電池切れでロックが使えなくなるリスクがある
- 設置場所によってはセンサー感度が悪くなることも
- 工事不要でも多少の取付け作業が必要な場合がある
引き戸へのスマートロック後付けで 最も見落とされがちな問題は、「扉の形状による設置制限」 です。
多くの製品はサムターン周辺に取り付ける設計ですが、引き戸は扉の幅や鍵の位置が多様で、対応製品が極端に限られます。
特に扉のレールや引き込み部分が干渉すると、正常に動作しないケースも少なくありません。購入後に設置不可となるリスクが高いため、事前の現物確認が重要です。

引き戸に対応したスマートロックの選び方
扉の素材:木製やガラス製は要注意
引き戸の素材はスマートロック選びに大きく影響します。特に木製やガラス製の扉は注意が必要です。
アルミ・金属製扉 | 木製扉 | ガラス製扉 |
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引き戸の構造:引き違い戸は対応製品が豊富
引き戸の形状によってスマートロックの選択肢や設置難易度が変わります。
引き違い戸(引き戸) 左右に2枚の扉がスライド |
片引き戸 片側に1枚の扉がスライド |
両引き戸(引き分け戸) 複数扉が連動し大きく開く |
引き込み戸 扉が壁内に収納される |
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玄関の引き戸にスマートロックを取り付ける方法
取り付け方法 | おすすめ度 | 特徴・適用条件 | メリット | デメリット・注意点 | 向いている人・状況 |
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既存のサムターンに後付け | ★★★★☆ | 引違錠の四角い上下スライド式は非対応が多い/サムターン周辺に設置スペースが必要 | 穴あけ不要で手軽/工事不要の製品も多い/賃貸でも導入しやすい | 対応製品が限られる/鍵の形状によっては取り付け不可/設置スペースの制約あり | 賃貸物件に住んでいる/手軽に導入したい/鍵の形状が対応している |
新たに鎌錠を 後付けしスマートロック設置 |
★★★☆☆ | 既存サムターンが非対応の場合に有効/戸先に鎌錠を追加しその上に設置 | 既存鍵と別にスマートロックを使える/セキュリティ向上 | 鎌錠の追加工事が必要/サイズ・型番の適合確認が必須 | セキュリティ重視したい/サムターンが非対応/工事できる環境がある |
直接引き戸に ネジ止め設置 |
★★★★☆ | 穴あけ加工が必要/鍵穴がないタイプを選べばピッキング防止も可能 | しっかり固定されて落下リスク少ない/さまざまな扉形状に対応しやすい/セキュリティ重視向け | 穴あけが必要で原状回復義務が生じる場合あり/賃貸は許可必須 | 自宅で長く使う予定/高い防犯性能がほしい/穴あけ工事に抵抗がない |
スマートロック 搭載引き戸へ リフォーム |
★★★☆☆ | 新築やリフォーム時に適用/LIXILやYKK AP等の純正品が多い | デザイン性・耐久性に優れる/最初からスマートロック機能内蔵 | 費用が高額/手間と時間がかかる/築年数や扉の状態によっては非現実的 | 新築またはリフォーム予定がある/高品質で長期使用を目指す |
- 賃貸や手軽さ重視なら「既存サムターン後付け」(穴あけ不要で許可不要なことも多い)
- サムターン非対応やセキュリティ強化なら「鎌錠後付け」か「ネジ止め設置」(工事が必要で許可も考慮)
- 新築・リフォームなら「スマートロック搭載引き戸」(高価だが耐久性・デザイン良好)
既存のサムターンにスマートロックを取り付ける
多くのスマートロックは既存のサムターンに後付けするタイプですが、引き戸の場合は注意が必要です。
引違錠※の引き戸では、四角いサムターンを上下に動かす構造が多く、回すタイプのスマートロックでは後付けが難しい ことがあります。
また、扉の鍵の位置が狭いとスマートロックを貼るスペースが確保できず、取り付けできない場合も少なくありません。
スマートロックは穴あけ不要で手軽に取り付けられますが、設置前にサムターンの形状や位置をよく確認しましょう。
※引違錠…左右にスライドして開け閉めする引き戸の鍵。2枚の扉がレールの上を左右に動いて開閉する。
新たに鍵を追加し、スマートロックを取り付ける
既存のサムターンが対応していない場合、 戸先に新しく鎌錠(かまじょう)※を後付けし、その上にスマートロックを設置する方法 があります。
これにより既存の鍵と別にスマートロックを使えるため、防犯性能が向上します。
型番やサイズが合えば、サムターンや鍵の交換だけで済むことも多く、鍵の増設によるセキュリティ強化が可能です。
※鎌錠…引き戸や扉の戸先に取り付けるタイプの鍵の一つ。名前の通り「鎌(かま)」の形をした金属部分がレールに引っかかって扉をしっかり固定する。
引き戸に直接スマートロックを取り付ける
ネジ止めで引き戸に直接スマートロックを取り付ける方法もあります。 穴あけ加工が必要ですが、しっかり固定されて落下の心配が少ないのが特徴 です。
サムターンに依存しないため、鍵穴がないタイプを選べばピッキング被害も防止できます。
さまざまな形状の引き戸に対応しやすい点がメリットで、特にセキュリティを重視する場合に向いています。
スマートロック対応の玄関引き戸へリフォームする
スマートロック機能が最初から組み込まれた玄関引き戸に交換するリフォーム方法もあります。
LIXILやYKK APなど大手メーカーから、 スマートキー標準搭載の引き戸が販売されており、純正品ならデザインの違和感が少なく耐久性も期待できます 。
ただし、リフォーム費用は高めで手間もかかるため、築年数や扉の劣化に合わせて検討するのがおすすめです。
玄関の引き戸にスマートロックを後付けする際の注意点

賃貸住宅は原状回復やオーナー許可に注意
賃貸住宅で引き戸にスマートロックを後付けする場合、工事が不要で両面テープなどで貼り付けるタイプは、傷が残らず許可不要となるケースが多いです。
一方、 穴あけを伴う取り付けは原状回復義務が発生し、トラブルの原因になりやすいため、必ずオーナーや管理会社の許可を取る 必要があります。
設置方法や許可の取得については、オーナーと入居者双方が納得できるよう丁寧に説明し、円滑な導入を心がけましょう。
大家さんの許可を得るポイント
- セキュリティ向上や物件価値の向上を具体的に説明
- 設置方法と原状回復の簡単さを示し、費用負担も提案
- 保険加入や損害賠償の取り決めで責任の所在を明確化
サムターンの形状と対応状況を確認する
引き戸に後付けするスマートロックは、取り付けるサムターンの形状が非常に重要です。
例えば、 丸型サムターンには対応しやすい製品が多い一方、四角や長いハンドル形状には対応製品が少なく、設置できないケース も少なくありません。
特に引違錠の四角い上下スライド式は対応が難しい場合が多いので、購入前に自宅のサムターン形状と製品の適合をしっかり確認しましょう。
設置スペースが十分か事前にチェック
スマートロック本体を後付けするには、サムターン周辺や扉の設置場所に十分なスペースが必要です。
扉枠に近すぎたり、壁が迫っていたりすると設置ができないことも あります。特にビス穴の位置や本体の厚みも確認が必須です。
取り付ける場所のサイズや周囲の環境を事前に細かく測っておくことで、購入後のトラブルを防げます。
DIY(自作)で取り付ける場合は自分でできるか見極める
引き戸用スマートロックのDIY取り付けは、製品の特性や扉の状態によって難易度が大きく異なります。
電気配線や複雑な初期設定が必要な機種もあるため、自分の技術力や工具の有無をよく考えて判断 してください。
不安があれば無理せず専門業者に依頼するのが安心です。失敗すると鍵の不具合や防犯リスクにつながります。
DIY(自作)で引き戸にスマートロックを後付けする手順
- 既存の錠前やサムターンを慎重に取り外す
- スマートロック本体を扉に合わせて位置決めし、ネジや付属部品で固定
- スマホアプリや専用カードの登録など初期設定を行う
- 動作確認し、解錠・施錠が問題なくできるか試す
玄関の引き戸に後付けできるおすすめスマートロック製品
EPIC「FACEY 25H」
EPICの「FACEY 25H」は、 顔認証による解錠が可能なスマートロック です。引き戸にも設置でき、ビス固定式のため落下のリスクが低い点も安心材料の一つ。
専用スマートフォンアプリを使うことで、施錠・解錠はもちろん、履歴の確認、合鍵の発行、ワンタイム暗証番号の設定など多彩な操作が可能です。
また、専用クラウドサービス「Watch Key」を利用すれば、複数のドアに設置したスマートロックを一括で管理できるため、民泊・ホテル・賃貸物件・店舗など多拠点の鍵管理にも適しています。
屋外機はIPX5の防水規格に対応しており、玄関ドアへの設置も安心。オートロックや二重認証、誤操作時の警報機能に加え、火災報知器との連携も可能で、安全性とセキュリティの両面を兼ね備えた製品です。
解錠方式 | 暗証番号/リモコンキー/顔認証/スマートフォン/指紋認証 |
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設置条件 |
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電池寿命 | - |
定格電圧 | 単三電池8本 |
非常用電源 | USB-C/5V(モバイルバッテリーなど) |
寸法 | 室内側 縦186mm×横75×厚55mm 室外側 縦176mm×横70mm×厚22.5mm ストライ ク 130 x 29 x 24mm |
ID-602Bhook
「ID-602Bhook」は、扉の形状に合わせて選べるI型・L型のストライクが標準で付属しており、 扉に簡単な加工を施すだけで、電気工事や配線工事なしで引き戸にも対応できるスマートロック です。
オートロック機能を搭載しているため、外出時の施錠忘れを防げます。専用キー・ICカード・暗証番号など、複数の解錠方法から選択可能なのも利便性の高いポイントです。
また、手動ロック機能も備えており、自動施錠と手動施錠を切り替え可能。店舗や施設でも柔軟に活用できます。
さらに、オフィスや管理室に最適な「セキュリティモード(管理者権限モード)」を搭載。管理者カードを持つユーザーのみが、ICカードやパスワードの追加・削除を行えるため、利用者による設定の無断変更を防げます。
解錠方式 | カード(Mifare/Felica対応)※ /暗証番号/付属解錠キー ※Mifare UltralightやMifare固有ID (7byte) は一部未対応 |
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設置条件 |
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電池寿命 | 約1年 (1日10回施錠/解錠動作をした場合) |
定格電圧 | DC 6V:アルカリ電池1.5V 単3形乾電池4本 |
非常用電源 | DC 9V:9V 四角乾電池(別途購入) |
寸法 | 外側ボディ:縦 163mm 横69mm 厚 19mm 内側ボディ:縦 90mm 横163mm 厚 49mm I型ストライク:縦 118mm 横26mm 厚32.7mm L型ストライク:縦 118mm 横55mm 厚34.5mm |
0-digital-door-lock
0-digital-door-lockは、 引き戸にドア穴加工なしで取り付け可能なスマートロック です。
電池駆動のため電気工事や配線は不要で、日曜大工レベルの作業で約30分ほどで手軽に設置できます。
オートロック機能のほか、暗証番号の盗み見を防ぐ「暗証番号カモフラージュ」機能、きちんと閉まらなかった際や不正開錠の試みで鳴る警報、火災時の自動解錠など、安全面を強化する多彩な機能を備えています。
ただし、ドア枠の形状によっては、段差を埋めるスペーサーなどの追加部品が必要になる場合があるので注意が必要です。
解錠方式 | 暗証番号/電子キー |
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設置条件 | 対応ドア厚:35mm~50mm |
電池寿命 | - |
定格電圧 | DC6V(単3アルカリ乾電池4本) |
非常用電源 | DC9V(9V型角形アルカリ乾電池) |
寸法 | 室外機寸法:縦168mm×横65mm×厚20mm 室内機寸法:縦168mm×横97mm×厚48mm フック寸法:縦 90mm×横27mm×厚33.5mm 取り付ける為の穴は径32mm以上必要 |
NOAKEL「EXC-7500D」
NOAKELの「EXC-7500D」は、 リモコンによる無線操作や、遠隔地から電話回線を使った操作が可能な電子錠 です。
鍵やシリンダー、サムターンを持たない構造のため、ピッキングやサムターン回しといった不正解錠や悪質なイタズラを防止できます。
閂の強度は300kgと頑丈で、こじ開けを感知すると大音量アラームで威嚇。結露対策も施されており、寒冷地や屋外での使用にも適しています。
さらに、発明特許取得の非常解錠器付きモデルなら、万一の故障時も鍵を使って開錠可能です。
※電話操作には、アナログ回線やIP電話回線など、固定電話機器が接続できる回線が必要です。
解錠方式 | リモコンキー/スマートフォン(電話解錠) |
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設置条件 |
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電池寿命 | 単3アルカリ乾電池で約1年(1日10回操作した場合) ※使用条件・設置環境・使用回数により、電池寿命が短くなる場合があります |
定格電圧 | 単3アルカリ乾電池 2本 |
非常用電源 | - |
寸法 | 50(H)×192(W)×38(D)mm※カンヌキ、アンテナ含まず |

スマートロックの機能と安全性をチェック
Bluetooth解錠とオートロック機能の利便性と注意点
Bluetooth解錠は、 スマートフォンを持っているだけで鍵が開く便利な機能 です。
荷物で手がふさがっているときや、小さな子どもを抱えている場合はに特に重宝します。オートロック機能も施錠忘れを防げるため安心です。
ただし、Bluetoothの通信はスマホの機種や設定、アプリの常駐状況によって動作が不安定になることがあります。
特にAndroid端末では電池最適化設定でBluetoothが切れる例もあるため、端末設定の見直しが必要です。
スマートロックのセキュリティ性能を見極めるポイント
スマートロックは利便性さだけでなく、セキュリティ性能も重要です。
例えば、 AES暗号化方式を採用した製品は、通信内容を第三者に読まれるリスクを抑えられます 。
また、セキュリティチップ内蔵や「使い捨て通信コード(OTP)」を活用した機種もあり、ハッキング対策として有効です。
物理的には、両面テープ式よりもシリンダー交換型やネジ固定型の方が壊されにくく安心。メーカーの実績や技術力も信頼性を見極める重要な指標です。
バッテリー寿命と維持費の実態
スマートロックのバッテリー寿命は製品により異なりますが、 一般的には6〜9か月ほど持続 します。
維持費は主に電池代で、多くの製品は買い切り型のため月額費用は不要です。
ただし、指紋認証や遠隔操作などの高度な機能を使う場合、別途ハブなどの周辺機器が必要なことがあります。
POINT
- バッテリー残量はスマホアプリで確認できる製品が多いものの、通知遅れもあるため月1回の手動確認がおすすめ
- 長寿命を求めるなら、アルカリよりリチウム電池対応製品を選ぶと安心
アフターサポートと保証内容の重要性
スマートロックは 一度取り付けたら長期間使う機器だからこそ、アフターサポートの内容が非常に重要 です。
例えば、EPICのように24時間対応の専用コールセンターがある製品なら、万一のトラブル時も安心です。
また、防水シールに連絡先が明記されているなど、緊急時の導線が配慮されている製品もあります。
保証は通常1年が多いですが、延長保証や有償修理の可否も確認しておくと安心です。
さらに、アプリや本体ファームウェアの定期的な更新があるかも、長く快適に使う上で見落とせないポイントです。
まとめ
玄関が引き戸でもスマートロックの後付けは可能で、工事不要の製品を選べば賃貸でも手軽に導入できます。
防犯性や利便性が向上する一方で、扉の形状やサムターンの有無などにより取り付け可否が異なる点には注意が必要です。
素材や開閉方式に応じた製品選定、バッテリー管理、賃貸での原状回復対応、アフターサポートの確認も含め、事前の下調べが快適な導入と長期利用のカギとなります。

この記事を書いたライター
Wiz Cloud編集部
WizCloud編集部メンバーが執筆・更新しています。 Web関連、デジタル関連の最新情報から、店舗やオフィスの問題解決に使えるノウハウまでわかりやすくご紹介します!