そんな声、オフィスで一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
最近は“メッシュWi-Fi”の導入を検討する企業も増えていますが、法人利用となると話は別物です。
セキュリティや管理面、同時接続数など、導入後に「思っていたのと違った」となるケースも少なくありません。
この記事では、メッシュWi-Fiの法人利用における主なデメリットや注意点を中心に、中小企業にとって本当に適しているのかを判断するポイントをわかりやすく解説していきます。
目次
▼この記事で紹介している商品
メッシュWi-Fiとは?法人導入で注目される理由

法人オフィスにおけるWi-Fiの課題
多くの中小企業オフィスでは、以下のようなWi-Fi環境に関する課題が慢性的に発生しています。
主な課題 | 説明 |
---|---|
電波の届かないエリアがある | 壁やフロア構造により通信が途切れやすい |
中継器では安定しない | 接続が切れたり再接続が必要になることがある |
同時接続で遅くなる | 複数人がWeb会議・クラウド利用すると速度が不安定に |
設定や管理が煩雑 | ITに詳しくないとルーターの設定が難しい |
こうしたトラブルは、業務の生産性やストレスに直結します。 特に昨今では、 Zoom・TeamsなどのWeb会議やクラウド業務の常態化により、安定したネットワーク環境はもはや「無くてはならないインフラ」 です。
「社内でWi-Fiが遅い」「部署によって接続できない」といった問題を放置していると、業務品質や従業員満足度の低下にもつながるため、早期の改善が求められています。
メッシュWi-Fiの基本と従来方式との違い
メッシュWi-Fiとは、 複数のルーター(ノード)を連携させて建物全体を1つの大きなWi-Fiエリアとしてカバーする方式 です。 法人オフィスにおいて、以下の点で従来の中継器方式や単体ルーターと大きく異なります。
メッシュWi-Fiと従来方式の違い(比較表)
比較項目 | メッシュWi-Fi | 中継器/ルーター |
---|---|---|
電波の届きやすさ | ノード間が自動連携し全体を均一にカバー | 中継器は親機との距離や配置次第で不安定 |
SSIDの切替 | 自動(ローミング対応) | 手動での再接続が必要な場合がある |
管理のしやすさ | アプリやクラウドから一元管理可能なモデルもあり | 各機器を個別に設定・管理 |
見た目/設置性 | コンパクトで目立たず設置自由 | 中継器は電源配置やレイアウトに依存 |
特に注目すべきは、 法人利用でありがちな「Wi-Fiが突然切れる」や「接続先が2階と1階で別」などの不満を根本から解消できる 点です。
また、近年では法人向けモデルでVLAN分離・PoE対応・クラウド集中管理機能などが搭載されており、業務用としても十分通用するスペックを備えた製品が増えています。
法人が知っておくべきメッシュWi-Fiのデメリット
セキュリティ面での制約(VLAN分離・ゲスト管理など)
メッシュWi-Fiの 一般的な家庭用モデルでは、法人が求める高度なセキュリティ機能が搭載されていないことが多く あります。たとえば、以下のような機能面に制限がある場合は注意が必要です。
セキュリティ上の制約例(家庭用モデル)
機能 | 法人利用に必要 | 家庭用モデルでの対応 |
---|---|---|
VLAN分離 | 社内ネットワークとゲストを分ける | 多くは非対応 |
WPA3対応 | 通信暗号化の強化 | 古いモデルは未対応 |
管理者権限制御 | アクセス制限の設定 | 一部のみ対応・簡易的 |
ログ取得機能 | 通信履歴の監査・対策 | 非対応の機種が多い |
企業では、 ゲスト用Wi-Fiと社内ネットワークの完全分離や、アクセスログの保存・監視が求められることが一般的 です。これが実現できない機種を導入すると、情報漏洩リスクやコンプライアンス違反につながる可能性もあります。
選定時には「法人向け」と明記されたモデルや、VLAN・WPA3対応の機種を選ぶことが不可欠です。
同時接続台数・帯域の限界
メッシュWi-Fiは複数の端末が接続しても安定する設計がされていますが、 家庭用モデルでは想定される接続数が限られているケースが多い です。
接続台数と帯域に関する課題
- 同時に20台以上が接続すると、通信速度が著しく低下することがある
- 動画視聴・Web会議・クラウド操作などが重なると帯域が圧迫される
- 通信が不安定になることで業務効率が落ちる/トラブルになる可能性も
特に従業員数10〜30名程度のオフィスで1拠点に全員が集中するような構成では、家庭用メッシュでは処理が追いつかず、接続切断や通信遅延が発生しやすくなります。
そのため、 「同時接続30台以上に対応」「トライバンド対応」など法人仕様の製品を選定することが重要 です。
クラウド管理や機器監視の不十分さ
法人利用においては、 ネットワークの状態を一元的に監視・管理できる環境 が求められます。 しかし、家庭用メッシュWi-Fiでは以下のような機能が不足しがちです。
- クラウド管理機能がない/外出先からの操作ができない
- 機器ごとのステータス表示・通知機能がない
- ファームウェア自動更新の制御が効かない
- 複数拠点の集中管理ができない
特にトラブル時の原因特定や、リモートワーク時代の運用効率を考えると、クラウド管理やアラート通知などは必須の機能です。
法人向けモデルでは、 管理者用のダッシュボードからリアルタイムにネットワークの稼働状況を確認・制御できるものも多く、選定の際はこの点を重視 するべきです。
拡張性・スケーラビリティの限界
メッシュWi-Fiは基本的に拡張しやすい仕組みですが、製品によっては 追加ノードに上限があったり、特定のモデル同士でしか連携できなかったりといった「構成の柔軟性」に制限がある こともあります。
- 最大接続ノード数に制限があり、フロア増設や拠点拡張に非対応
- 他社製メッシュ機器との互換性がなく、将来的な入れ替え時に全交換が必要
- VLAN・QoS設定ができないため、部署ごとのトラフィック管理ができない
こうした制限はオフィスの成長やレイアウト変更時に障害となります。特に成長フェーズにある企業では、長期的な視点で機器の柔軟性・将来性を考慮する必要があります。
法人向けに使う場合の運用リスクと注意点
制限を踏まえずに家庭用のメッシュWi-Fiを法人利用すると、次のようなリスクがあります。
主な運用上のリスク
- 情報漏洩やウイルス感染のリスクが高まる
- 利用台数が増えたときにネットワークが機能しなくなる
- トラブル時の管理者不在・原因不明化
- 保守対応や保証制度が個人向けで、ビジネスの安定稼働を支えられない
結果的に、「せっかく導入したのに使えない」「再構築が必要になり二度手間」といった事態に陥る可能性があります。
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中継器・法人用AP・家庭用メッシュWi-Fiの違い
製品タイプ別の比較ポイント(管理機能/価格/対応人数)
Wi-Fi環境の改善を検討する際、「中継器で十分なのか?」「法人用APは高すぎるのでは?」「家庭用メッシュWi-Fiでも問題ない?」といった疑問を持つ方は多いでしょう。
ここでは、それぞれの選択肢を 法人オフィスに求められる観点(管理・安定性・コスト) で比較してみましょう。
主要方式の比較表
比較項目 | 中継器 | 家庭用メッシュWi-Fi | 法人用アクセスポイント |
---|---|---|---|
通信の安定性 | △ 親機との距離・干渉に弱い |
◯ 自己回復・自動接続あり |
◎ 設計・設置により最適化可能 |
管理機能 | × 手動設定/一元管理不可 |
△ アプリで管理可能な製品あり |
◎ クラウドで集中管理可能 |
セキュリティ | △ 簡易な暗号化のみ |
△ WPA3対応だがVLAN分離不可が多い |
◎ VLAN/MAC制御/ログ管理など対応 |
同時接続人数 | 少人数向け(5〜10台程度) | 中小規模(20〜40台想定) | 大人数(50台以上も対応可) |
拡張性 | △ 1〜2台までが限界 |
◯ ノード追加可能(機種により上限あり) |
◎ 建物全体設計・他拠点対応も可能 |
導入コスト | ◎ 最安 |
◯ 初期数万円前後 |
△〜× 機器+設置+保守でやや高額 |
導入対象 | 自宅や小規模店舗 | 〜30名規模のオフィス | 拠点間・階層構造のある企業向け |
このように、 一見安価な中継器や家庭用メッシュWi-Fiも、法人環境においては「性能・管理面」で制約が多い ことが分かります。 一方、法人用APは機能面では優れていますが、コストや設置の手間がハードルになるケースも少なくありません。
そのため、 自社の規模・セキュリティポリシー・将来の拡張性などに合わせた選定 が重要です。
中小オフィスに最適な方式はどれか
結論から言うと、従業員数10〜30名程度の中小規模オフィスであれば、法人向け機能を備えたメッシュWi-Fiの導入がもっとも現実的かつバランスが取れた選択です。
中小企業が重視すべき3つの視点
- 通信の安定性
→ Web会議・クラウドツール利用の多い環境では、通信の途切れが致命的。自己修復型のメッシュWi-Fiが有利。 - 管理・セキュリティ
→ 専任情シスがいない企業では、アプリやクラウドで簡単に管理できるモデルが便利。 - コストと将来性
→ 中継器は初期費用が安く見えるが、問題が起きた際の再構築コストや機会損失を考慮すると非効率。
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法人でメッシュWi-Fiを導入すべきケース・避けるべきケース
おすすめできるオフィス環境・企業規模
メッシュWi-Fiは「どんな法人にも最適」というわけではありません。 ただし、以下のような条件に該当する企業・オフィスでは、 コスト・手間・パフォーマンスのバランスが非常に優れており、導入効果が大きい といえます。
メッシュWi-Fiが適している法人の条件
条件 | 解説 |
---|---|
社員数10〜30名 | 一定の端末数に対応できるが、法人用APほどの大規模設計は不要 |
フロアが1〜2階構成 | 複数ノードで物理障害を回避しやすい |
情報システム部門が専任でない | 専門知識がなくても導入・管理が可能 |
ゲスト用Wi-Fiを分離したい | 複数SSID対応モデルなら構築も容易 |
近い将来の増員や レイアウト変更に備えたい |
ノード追加による柔軟な拡張が可能 |
このように、「それなりの安定性と拡張性が必要だが、法人用APほどの大掛かりな構成は不要」という中小オフィスにこそ、メッシュWi-Fiは最適です。
おすすめしないシーン(複数拠点/来客Wi-Fiを分けたい場合 など)
一方で、以下のような 法人環境ではメッシュWi-Fiだけでは課題を解決できない可能性 があります。 導入後のトラブルを避けるためにも、自社環境との相性を事前にチェックしておきましょう。
メッシュWi-Fi導入が適さない法人ケース
条件 | 課題・リスク |
---|---|
拠点数が多くVPN・拠点間連携が必要 | 拠点間でのセキュリティポリシー統一や通信制御が難しい |
社員数50名以上/接続端末数100超 | 帯域・処理能力・同時接続に限界あり |
フロアが多数・遮蔽物が多い構造 | ノード数が増えすぎると逆に干渉が増す |
VLAN分離や詳細なログ管理が必要 | 家庭用メッシュでは機能が不十分な場合が多い |
システム管理ポリシーが厳格 | クラウド管理や個人端末からの制御を禁止しているケースも |
メッシュWi-Fiはあくまで「中小企業向けの実用的解決策」であり、万能ではありません。 用途や構造によっては、 法人向けWi-Fiサービスやインフラ設計を含めた対応が必要になることもあるため、慎重な判断が求められます 。
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メッシュWi-Fi選定ポイント【法人向けチェックリスト】
最低限必要なスペック・機能とは
法人オフィスにメッシュWi-Fiを導入する際には、 「通信が安定すればOK」というだけでは不十分 です。 以下のような業務環境を支えるための基本的なスペックと機能を備えているかを必ず確認しましょう。
法人利用に求められる基本スペック
機能・性能項目 | 必須理由 |
---|---|
トライバンド対応 | 複数端末接続時でも帯域が混雑しにくい |
同時接続20台以上 | 社員・来客・業務端末を考慮すると最低ライン |
WPA3セキュリティ | 最新の暗号化方式で情報漏洩を防止 |
複数SSID対応 | 社内用とゲスト用のネットワークを分離可能 |
自己修復・ローミング | 切れにくく、移動中も自動で最適ノードに接続 |
アプリ/ブラウザからの遠隔管理 | 情報システム専任者がいない企業でも運用可能 |
これらのスペックが不足していると、通信トラブルが起きやすくなるだけでなく、セキュリティリスクや運用負荷の増加にも直結します。 「家庭用でも使えるから安いほうを」と価格だけで選ぶと、後から買い替えが必要になるケースも少なくありません 。
法人用にチェックすべき管理・セキュリティ項目
メッシュWi-Fiを法人で利用する最大のポイントは、「どこまで安全に、効率的に運用・管理できるか」にあります。以下のチェックリストをもとに、自社に必要な管理機能を確認しましょう。
法人向けチェックリスト(管理・セキュリティ編)
- VLAN分離が可能(ゲスト用ネットワークを安全に分離)
- MACアドレスフィルタリングに対応(登録端末以外を遮断)
- 接続端末のログ取得ができる(トラブル時の可視化に有効)
- ユーザー権限管理ができる(管理者/一般利用者を区別)
- 自動ファームウェア更新の有無を制御できる(トラブル回避)
- クラウド管理ポータルが使える(複数拠点の集中管理)
上記の項目が揃っていれば、 小規模でも「セキュリティ対策済み」として社内外への説明責任が果たせる構成になります 。 とくにVLANやログ管理などは、IT統制が求められる業種(士業・金融・医療など)では必須です。
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導入コストとランニング費用の目安
初期費用の内訳(機器・設置)
法人でメッシュWi-Fiを導入する際の初期費用は、「製品代金+設置費用」が基本構成です。規模やレイアウトにより差はありますが、概ね以下のような費用感となります。
初期費用の概算(中小オフィス想定)
項目 | 内容 | 金額目安(税込) |
---|---|---|
メッシュWi-Fi機器本体 | メイン+サテライト2〜3台 | 4万〜8万円 |
法人向けモデルへのアップグレード | VLAN対応/PoE対応/クラウド管理 | +2万〜4万円 |
設置・初期設定費用 | 配線、設置、SSID設定、セキュリティ構築 | 2万〜5万円 |
オプション (PoEスイッチ・中継LAN工事など) |
必要な場合のみ | +1万〜3万円 |
総額の目安は、 およそ6万円〜15万円前後(20名規模のオフィス想定) となります。 また、特別な工事が不要な場合、家庭用モデルより高くなるものの、法人ニーズに対応した安心・安定の環境構築が可能です。
運用・保守にかかるコスト試算
初期導入後も、 Wi-Fi機器には更新・保守・セキュリティ管理といったランニングコストが発生 します。 法人利用では「ただ動けばよい」ではなく、「安定して業務を止めない」ための備えが求められます。
ランニング費用の主な内訳と目安
費用項目 | 内容 | 年間目安 |
---|---|---|
保守サポート費(任意) | 故障・設定トラブル対応など | 5,000〜1万円/年 |
クラウド管理機能の使用料 | 一部機種は月額課金制 (TP-Link Omada等) |
0〜1万2,000円/年 |
ファームウェア更新・ セキュリティ対策 |
手動対応 or 自動更新型あり | 0円 |
機器の寿命による買い替え | 約3〜5年で交換目安 | 機器代の再投資(5年で再計算) |
合計すると、1年間で5,000〜2万円程度が目安になります。 また、 人的対応が不要になる機種(クラウド管理・自動更新対応)を選ぶことで、実質的なコストと手間は大きく抑えられます 。
メッシュWi-Fiに関するよくある質問
A
はい、VLAN対応や複数SSID対応のモデルであればネットワークを安全に分離できます。
来客用はインターネット専用、社内は業務専用に分けることで、セキュリティも強化されます。
A
モデルにもよりますが、法人向けメッシュWi-Fiなら30〜100台程度まで安定接続が可能です。
ただし、使用アプリや帯域の負荷によって適正台数は変動するため、事前の設計が重要です。
A
はい、クラウド管理対応モデルを選べば、複数拠点のWi-Fi機器を一元的に遠隔管理できます。
Omada(TP-Link)やUniFiなどが代表的な例で、ITリソースの少ない企業にも好評です。
A
plat wifiでは、機器の選定から設置・トラブル時の対応まで一括サポートが可能です。
保守契約プランを選択いただければ、代替機提供や設定支援も含めた安心の対応が受けられます。
A
plat wifiであれば、専門スタッフが設置や初期設定、SSID分離などをすべて対応します。
社内に情シス担当がいない場合でも、スムーズな導入が可能です。
まとめ
メッシュWi-Fiは、通信の安定性やカバー範囲の広さに優れ、中小規模の法人オフィスにとって非常に有効な選択肢です。
ただし、製品選びを誤ると、セキュリティリスクや接続不良などのトラブルに繋がるため、導入前には十分な検討が必要です。本記事では、法人に適した機能・選定ポイント・費用感・事例をもとに、導入判断の材料を網羅的に解説しました。
「自社に合った構成がわからない」「導入して失敗したくない」とお考えの方は、ぜひ専門スタッフにご相談ください。
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この記事を書いたライター
Wiz Cloud編集部
WizCloud編集部メンバーが執筆・更新しています。 Web関連、デジタル関連の最新情報から、店舗やオフィスの問題解決に使えるノウハウまでわかりやすくご紹介します!