飲食店や美容院、小規模工場などで使われる“低圧電力”は、契約内容次第で固定費を大きく左右する仕組みです。
基本料金と従量料金の構造や、大手電力会社と新電力の比較ポイントを理解すれば、自社に合ったプランが見えてきます。
本記事では「低圧電力とは何か」から、対象となる事業者の特徴、料金削減につながる方法までわかりやすく解説します。
目次
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低圧電力とは?契約条件と対象設備をわかりやすく解説
低圧電力の契約条件と仕組み
低圧電力とは、 契約電力が50kW未満の事業者が利用できる電気料金区分 です。
飲食店や小規模工場、美容院など、比較的小規模な事業所で利用されるケースが多く、基本料金と従量料金の二本立てで構成されています。契約電力は最大需要電力を基準に決まり、これに応じて「基本料金」が設定されます。
そこに、 実際に使用した電力量に応じて「従量料金」が加わる仕組み です。
契約条件の概要
- 契約電力の上限:50kW未満
- 料金の構成:基本料金+従量料金
- 対象事業者:小規模事業者、店舗、事務所、飲食店など
対象となる設備と利用シーン
低圧電力の利用は、 事業所にある大型家電や業務用機器の使用状況によって決まります 。契約条件を満たす設備例を知ることで、自社が低圧電力の対象か判断しやすくなります。
低圧電力の主な対象設備
- 業務用エアコン:冷暖房負荷が大きい飲食店・美容院で必須
- 業務用冷蔵庫・冷凍庫:飲食店やコンビニで常時稼働
- 小型の製造機械やモーター機器:印刷工場や町工場で利用
- 照明設備:長時間点灯するオフィスや店舗
これらの設備は消費電力がまとまって発生するため、一般家庭向けの「従量電灯」契約よりも低圧電力の方が割安になるケースがあります。たとえば、美容院でドライヤーやエアコンを同時に使うと従量電灯では割高になることが多く、低圧電力契約でコストを抑えられます。
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主要電力会社と新電力の低圧電力料金比較
主要電力会社と新電力の料金比較表
低圧電力を契約する際、 多くの中小事業者は「大手電力会社(東京電力や関西電力など)」か「新電力会社」のどちらかを選択 します。
料金体系は基本的に「基本料金」と「従量料金」で構成されますが、各社で金額や割引制度に違いがあります。以下の比較表を参考にすると、自社にとってどちらがコストメリットを出しやすいかが見えてきます。
電力会社等 | 基本料金/1kW | 従量料金(夏季) | 従量料金(その他) | 特徴 |
---|---|---|---|---|
東京電力エナジーパートナー | 約1,098.05円/kW | 約27.14円/kWh | 約25.57円/kWh | 利用エリアが広く、信頼性が高い。契約電力・地域・季節で多少の変動あり。 |
関西電力 | 約1,132.71円/kW | 約14.35円/kWh | 約12.86円/kWh | 基本料金は高めだが、従量料金は東京電力などと比べて抑えめ。力率割引・季節ごとの単価が適用される。 |
ハルとくでんき | 約1,088.34円/kW | 約17.37円/kWh | 約15.80円/kWh | 新電力。基本料金・従量料金ともに東京電力に比して低めの設定例。使用量・契約形態で割安感が出やすい。 |
新電力の平均 | 約1,000〜1,200円/kW | 約18〜22円/kWh | 約15〜20円/kWh | 新電力全体を平均化した想定。割引プランを持つ会社や条件が良いところはさらに安いケースもあり。 |
※実際の料金はエリア・契約条件によって異なるため目安です。
契約電力の決定方法
契約電力の決め方と料金への影響
契約電力とは、 事業所で同時に使用する電気の最大需要電力を基準に決まる数値 です。
電力会社はこの値をもとに「基本料金」を算出します。そのため、契約電力が大きければ大きいほど基本料金も高くなります。つまり、契約電力を適切に設定することは、電気代を抑える上で非常に重要です。
契約電力が料金に与える影響
- 契約電力が大きすぎる場合
→ 実際の使用量が少なくても基本料金が高止まりする - 契約電力が小さすぎる場合
→ 最大需要電力を超えるとブレーカーが落ち、業務に支障をきたす
店舗・工場での契約容量の目安
契約電力は業種や設備内容によって異なります。以下に代表的な業種ごとの目安を示します。
業種・施設 | 主な設備例 | 契約容量の目安 |
---|---|---|
飲食店(30席規模) | 業務用エアコン・冷蔵庫・調理機器 | 20〜30kW |
美容院(5席規模) | ドライヤー・エアコン・照明 | 10〜15kW |
小規模工場 | モーター・コンプレッサー・照明 | 30〜40kW |
小規模オフィス | OA機器・エアコン・照明 | 10kW前後 |
これらの目安を参考に、自社の使用設備と稼働時間を洗い出すことが、最適な契約電力の設定につながります。
-
力率割引の概要
- 力率とは「電気をどれだけ効率よく使っているか」を示す指標です。100%に近いほど効率的に電気を使っている状態を意味し、低いと無駄が多い状態になります。多くの電力会社では、平均力率が85%以上の場合は「割引」が適用され、逆に85%未満になると「割増」がかかる仕組みです。
【力率の水準と影響】
・85%以上:効率的 → 割引適用(通常は5%前後)
・85%未満:非効率 → 割増適用(通常は5〜10%程度)
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低圧電力の節約方法と実践ポイント
節約方法①:電力使用ピークを分散させる
低圧電力の料金は 「最大需要電力」をもとに契約電力が決まり、基本料金が算出 されます。
そのため、一時的に大量の電気を同時に使用すると、ピーク値が跳ね上がり、基本料金が高額になってしまうリスクがあります。これを防ぐために有効なのが「ピークの分散」です。
実践例:ピーク分散の工夫
- エアコンや暖房機器の稼働時間をずらす
→ 全てを一斉に稼働させず、数分間隔で順番に運転開始することでピークを抑制。 - 重い機械設備の運転をシフトする
→ 工場ではコンプレッサーやモーターなど負荷の大きい設備を同時に稼働させない。 - 調理機器のタイミング調整
→ 飲食店ではオーブン・IH・冷蔵庫の急冷運転が重ならないように調整。
ピーク値はたった30分の同時使用でも大きく影響します。つまり 「短時間の工夫」が1年間の基本料金を左右する のです。逆に、ピーク分散を行うだけで契約電力を下げられるケースもあり、固定費削減につながります。
節約方法②:設備改善による節電とコスト削減
電気料金を 削減するには、単に契約プランを見直すだけでなく、設備自体を改善して効率を高めることも重要 です。特に古い設備や消費電力の大きい機器を使い続けている場合は、最新機器への入れ替えだけで大きな節約効果を得られることがあります。
主な設備改善の方法
- 照明をLEDに切り替える
→ 蛍光灯や白熱灯と比較して消費電力を50%以上削減可能。長寿命で交換頻度も減少。 - 空調機器の高効率化
→ 最新の業務用エアコンは省エネ性能が向上しており、旧式に比べて電力消費を大幅削減。 - 冷蔵・冷凍設備の見直し
→ インバータ制御付き機器に更新すると、稼働効率が改善し無駄な消費電力を抑制。 - モーターやコンプレッサーの更新
→ 高効率モーターに置き換えると力率も改善し、割増回避と節電の両方に貢献。
これらの改善は初期投資が必要ですが、長期的には電気代削減+業務効率向上につながります。また、 力率改善に有効とされる進相コンデンサの設置もありますが、専門的な工事が伴うため、補足程度に理解し、具体的には専門業者に相談するのが安心 です。
低圧電力を扱っている新電力
ハルとくでんき
ハルとくでんきは、 中小企業や店舗、飲食店などの事業者向けに「低圧電力サービス」を提供 しています。
動力電気を含む利用状況に応じたプランを複数用意しており、 従来のプランよりも基本料金の割引があるなど、コスト抑制を目的とした設計 がなされています。申し込み手続きも簡便で、スマートメーター保有者であれば工事費用・立ち合いが原則不要。
全国主要な地域で利用可能で、まずは自社の使用実態に応じたプランを比較することができます。
Looopでんき
Looopでんきは、 「スマートタイムONE(動力)」という低圧電力プランを提供しており、中小事業者や店舗を対象に、基本料金を抑えつつ使用時間に応じた従量単価で電気代を節約できる設計 です。
電力市場価格(JEPX)に連動する電力量料金が30分ごとに変動する仕組みを採用しており、使用タイミングを工夫するとコスト削減が期待できます。契約期間・違約金の縛りがない点も特徴で、安心して試せるプランです。
オクトパスエナジー
オクトパスエナジー(TGオクトパスエナジー)は、 英国発のエネルギーテック企業と東京ガスの合弁で、日本全国の電力市場で再生可能エネルギーを重視した電力供給 を行っています。
低圧電力(動力含む50kW未満の三相/単相電力契約)については、動力プランの案内もあり、基本料金や契約容量、燃料費調整額などを明示しながら、家庭向けプラン同様に比較的透明性の高い料金設計が特徴です。
シン・エナジー
シン・エナジーは、 一般家庭・商店・事業所向けに「低圧電力販売」を行っている新電力会社で、契約期間の縛りや解約手数料なしという自由度の高いプランが特徴 です。
生活スタイルに応じて「きほんプラン」や「昼/夜/休日の使用時間に応じたフィットプラン」、さらに動力(商店・事務所・工場の動力用途)などもあり、多様な電力使用パターンに対応できます。
料金設定は基本料金・電力量料金に加え、電源調達調整費や燃料費調整単価がかかることがあるため、使用量・エリアによって総額に変動が生じる可能性があります。
PinTでんき
東京電力のグループ会社である、PinTでんきは、 家庭用プランだけでなく、商店・飲食店・小規模オフィス等が対象の「低圧電力(動力プラン含む)」を提供 しています。
大型エアコン・モーターなどを使う動力設備を含め、契約容量に応じて基本料金と電力量料金が設定されており、季節による料金変動や最低月額の規定などもあります。
さらに、「PinTポイント」やアカウント割引など追加の特典もあり、総合的なコストを見比べたい事業者にとって検討しやすいプランです。
まとめ
低圧電力は、50kW未満の中小規模事業者や店舗に適した電気契約で、電気代削減に直結する仕組みです。
契約条件や料金体系を理解し、適正な契約電力の設定や設備改善、ピーク分散などを実践することで、無駄な基本料金や割増を抑えられます。さらに、大手電力会社と新電力の料金比較を行い、自社の使用状況に最適なプランを選ぶことも重要です。
専門的な判断が必要な場面も多いため、まずは現状を診断し、最適なプランや改善策を知ることから始めましょう。
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この記事を書いたライター
Wiz Cloud編集部
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