飲食業界のコロナによる影響と各店舗のコロナ対策は?飲食店4社の戦略を紹介

新型コロナウイルスの影響により、外食産業は大きな打撃を受けています。とくに緊急事態宣言が発令されて以降、営業自粛を余儀なくされた飲食店ではほとんどの店舗の客足が減少し、ますます厳しい状況を迎えています。そんななか、飲食店ではにテイクアウトやデリバリーの実施など売上確保の対策にも徐々に力を入れ始めています。

本記事では、新型コロナの影響により大きな打撃を受けた飲食店の営業状態や売上変化などの状況をデータでお伝えするとともに、コロナと戦う飲食店が今後生き抜くための飲食店企業4社が展開する新たなコロナ対策をまとめて紹介します。現在売上に悩んでいる飲食店オーナーは、ぜひ今後の店舗戦略の参考にしてみてくださいね。
 

新型コロナウイルスによる飲食店への影響

まず、新型コロナウイルスによる飲食店への影響は果たしてどれほどのものなのでしょうか。
ここでは、「飲食店リサーチ」を運営する株式会社シンクロ・フードが調査した 2020年5月15日から5月20日の「新型コロナウイルスに関する金融支援の利用状況」のデータを元に、新型コロナウイルスによる飲食店の営業状態や売上の変化を紹介します。

飲食店の営業状態

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参考:PRTIMESプレスリリース配信サービス

上記のグラフは、飲食店の営業状態を調査したデータで、回答者のうち67.6%が1店舗のみを運営しており、回答者の53.7%は東京にある飲食店となっています。
飲食店の営業状態について最も多い回答は、61.0%の「営業時間の短縮」につづき、「従業員を減らして営業」が31.9%、「営業自粛」が29.4%、「イートインに加えテイクアウトやデリバリーも行っている」が28.1%、「普段通りに営業」が5,3%という回答結果がでています。また、経営状況が悪化したことで閉業を検討している店舗は5.9%、すでに閉業した店舗は0.5%と閉業を視野に入れている店舗も少なからずいることが分かります。

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飲食店の売上変化

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参考:PRTIMESプレスリリース配信サービス

次に飲食店の売上変化をみていきましょう。
4月の前年対比では「前年同月より90%以上減った」という回答が最も多く、28.3%と言う結果ができています。つづいて「70%減った」が16.2%、「50%減った」が15.8%、「80%減った」が12.8%という回答になり、全体の8割以上の飲食店の売上が激減している状況となります。

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売上確保のための飲食店コロナ対策の状況

新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて、営業自粛を余儀なくされた飲食店では、売上確保のためにデリバリーやテイクアウトをはじめた飲食店が増加しています。このような厳しい状況下のなか、売上を確保するために各飲食店が実施しているコロナ対策状況を紹介します。

デリバリー・テイクアウト・食品販売の実施

 イメージ参考:PRTIMESプレスリリース配信サービス


全飲食店向け予約管理システム「ebica」を運営する株式会社エビソルが公開した飲食店の前年対比の予約状況をみていきましょう。

全国の飲食店では売上確保のためにデリバリー・テイクアウト・食品販売のいずれかを行っているか調査した結果、66.7%の飲食店が「行っている」と回答しています。夏に向けてのデリバリー等の実施に関しては75.9%が「不安がある」と答えており、この理由については食中毒や衛生面に関して不安があるという声がほとんどであることが分かっています。さらにデリバリー・テイクアウト・食品販売の実施において、法律面に関する正しい知識や理解があるのか問うと、全体の72.2%が「正しいか不安」または「ない」と答えるなど料理を提供する飲食店側は不安と感じている店舗が多いことが分かります。
また、飲食店にとって必要なサポートは「法律を含めた食品衛生の知識を得るサポート」、「食品衛生法の柔軟な対応」など新たな業態へのサポートを求める声が多く挙がっています。

飲食店では新型コロナでの緊急対応が迫られる状況でも、食中毒による致命的な事件が起きないように法律への理解を深める必要があるとはいえ、行政からのサポートも不可欠であることがわかります。

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コロナ対策として飲食店が取り組むテイクアウト利用者の傾向

つづいて、テイクアウト利用者の傾向をみていきましょう。
ここでは、株式会社ぐるなびが2020年5月12日~5月13日にぐるなび会員に向けて調査した「飲食店のテイクアウトに関する調査レポート 」をもとに、テイクアウトの利用割合とテイクアウト利用者が重視すること、予算などについてお伝えします。

テイクアウトの利用割合

 イメージ参考:ぐるなび~飲食店のテイクアウトに関する調査レポート~


コロナ対策として飲食店が取り組むテイクアウトの利用割合については、アンケート調査によると直近1ヵ月で61.5%の人が、飲食店のテイクアウトを利用したと回答しています。また小学生以下の子供がいる人は75.4%、新型コロナが流行する以前より外食頻度が高かった人は、76.3%と全体と比較すると利用頻度は10ポイントほど高い結果となっており、「テイクアウトが増えた」と回答した人も40.1% 以前よりも利用状況が増加しています。
今後のテイクアウトの利用意向についても、32.4%の人が「増えそう」と回答しているため、今後のテイクアウトのニーズはさらに高まっていくと考えられるでしょう。

テイクアウト利用者が重視すること

イメージ参考:ぐるなび~飲食店のテイクアウトに関する調査レポート~


次に、テイクアウトを利用するときに利用者が重視することについては、直近1ヵ月では、1位の「自宅の近所」につづき、「価格が安い」、「行きつけのお店」という回答が上位を占める結果となっています。
一方、今後重視することについての回答では、「行きつけのお店」という回答は重要度が下がり、「自分ではなかなか作れない料理」が上位にランクインしています。このような結果から、今後はテイクアウトを購入するお店のバリエーションを広げて楽しみたいと考えている人も増えていることが分かります。また、今後の利用においては5位に「キャッシュレス決済ができる」と回答した人も多いことから、テイクアウトの注文や受け取りなどをキャッシュレス決済によってスムーズに済ませる方法が重視され始めているといえるでしょう。

テイクアウト利用者の予算傾向

イメージ参考:ぐるなび~飲食店のテイクアウトに関する調査レポート~

つづいてテイクアウトにかける予算については、平均予算がランチは913.9円、ディナーは1404.7円という結果がでており、これまでと比較すると32.5%が「増えた」と回答しています。その理由については、「飲食店を応援するため」という回答や「外食が減った分、テイクアウトの予算をあげた」などのほか「敷居が高くて行けなかった飲食店のテイクアウトを食べた」といった回答もあり、外出自粛期間中にテイクアウトを楽しむ人も多くいることが分かりました。


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飲食店企業のコロナ対策としての新たな取り組み

今回の新型コロナの影響を受け、既に多くの飲食店ではテイクアウトやデリバリー、ECサイトを開設するなど営業再開に向けた新たな取組みが行われています。ここでは、大手飲食店の戦略や取り組みを一部紹介します。

トリドールホールディングス 

  セルフ式うどん店「丸亀製麺」などのブランドを展開するトリドールホールディングス。新型コロナウイルス感染症防止対策を徹底することにより「安心できるお店」として認知を獲得しています。2020年5月7んちからは新型コロナ対策版のコマーシャルに切り替えており、「コロナ対策をしっかりしているブランド。だから安心できる」とユーザーへの認知を広げていくとしています。


セルフ式うどん店の丸亀製麺では、4月30日よりうどんのテイクアウトを開始し、うどんとてんぷらんの相乗効果によってテイクアウトの比率が大幅に増加しています。また、同店のテイクアウト施策では、大手包装メーカーのテイクアウト容器を取り入れ、作りたての料理をお客様へ提供できるようにしています。さらに、スムーズな注文・会計ができるよう事前予約可能なアプリ「O:der」の導入や電話による事前予約、テイクアウト窓口の設置などを実施しています。

参考:株式会社トリドールホールディングス2020年3月期 決算説明資料

大戸屋ホールディングス

株式会社大戸屋ホールディングスが展開する大戸屋では、2020年3月期の取り組み施策として、まずデリバリーの「ウーバーイーツ」「FineDine」「出前館」を導入し、宅配の強化を行いました。またテイクアウトは、お弁当メニューの充実化やおかずの単品販売を行い、ネットや電話でも注文できるような体制を完備。さらにLINEポケオとのコラボキャンペーン強化なども行いました。

大戸屋の今後の施策については、客数の回復に向けてお惣菜を充実させたデリバリー・テイクアウトの強化に加え、冷凍食品の通販やEC販売を行う予定としています。また大戸屋のこだわりの価値をより多くの人に伝えるためinstagramやTwitterなどのSNSやアプリ、自社ホームページといったデジタルメディアを活用した販促キャンペーンの展開を積極的に展開していく予定です。

参考:株式会社大戸屋ホールディングス2020年3月期 決算説明資料

エーピーカンパニー 

  塚田農場などのブランドを運営するエーピーカンパニーでは、新型コロナウイルス感染症拡大を受けて、コロナ収束後の新たな生活様式を見据えた取り組みを実施しています。

短期的な取組みについては、他社に先駆けて2020年3月31日に休業を決め、仕入れロスの最小化やテナントの家賃交渉などに集中しました。またスーパーや物流会社などと協働し他社就労を行ったことで新たな働き方・学びの機会として話題になりました。
さらに、テイクアウトの実施やECサイト「おうち塚田」をリリースするなど新事業の急速な立ち上げを実施しました。弁当事業などとの相乗効果もあり好調な立ち上がりをみせています。

一方、アフターコロナに向けた新たな生活様式への転換を見据え中期的な取り組みも始めています。今後の収益の柱となりうる新事業として食堂事業を展開し、ランチや夕食だけでなく夜は居酒屋としても活用できる新たな場である「つかだ食堂」を5月15日にオープン。またデリバリー需要が加速していることからデリバリー事業の展開も行い、APグループの産地のおいしい食材・料理を届けることで、これまで味わえなかった食事を自宅でも楽しめるようになりました。

参考:株式会社エー・ピーカンパニー2020年3月期 決算説明資料

≫飲食店のメニュー制作!繁盛店から学ぶ売れるポイントとは?
≫【ウーバーイーツの手数料とコスト】店舗とユーザー両方解説!どうしたら安くなる?

王将フードサービス

  餃子の王将を運営する王将フードサービスでは、新型コロナウイルス感染症拡大の状況に応じて、業績確保のための緊急対策を実施する予定としています。とくにテイクアウトやデリバリーにおける売上を拡大するため、デリバリーサービス店舗の拡大、フランチャイズ店舗へ「EPARKテイクアウト」システムの拡充、「レンチンシリーズ」やお惣菜などのテイクアウト商品の拡充を図るとしています。

また、店舗の営業時間の前倒しを行い、午前中の食事ニーズの獲得のため、朝食メニューのテスト導入やより良いリッチへのリロケーションを行っていくとしています。また王将フードサービスの長期的な計画として、キャッシュレス決済の強化や年間を通じてスタンプカードキャンペーンなども進めていくとしています。

参考:王将フードサービス2020年3月期決算説明資料

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まとめ

今回は、新型コロナの影響により大きな打撃を受けた各飲食店の営業状況のデータと、飲食店が今後生き抜くための飲食店企業4社が展開する戦略を紹介しました。飲食店企業のコロナ対策については、テイクアウト・デリバリーをはじめ、EC販売など新たな生活様式に合わせた取り組みがすでに実施されています。現在、営業再開に向けさまざまな案を講じている飲食店オーナーは多いでしょうから、ぜひ今後の店舗戦略の参考にしてみてくださいね。

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