「誰に依頼すれば安全なの?」
「放置するとどうなるの?」
債権回収とは、期限までに支払いがない金銭を取り戻すために債権者が行う一連の手続きです。
しかし、対応を誤ると回収不能や法的リスク、信用情報への影響も生じます。
本記事では、個人・法人問わず、債権回収の基本から具体的な手順、依頼先の選び方までをわかりやすく解説します。
目次
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債権回収(さいけんかいしゅう)とは?
債権回収の意味と読み方(さいけんかいしゅう)
債権回収(さいけんかいしゅう)とは、 期限までに支払いがないお金を取り戻すために、債権者が行う一連の手続き のことです。
最初は電話や書面での催促から始まり、交渉、内容証明郵便の送付、場合によっては裁判や差押えによる強制執行まで含まれます。
日常の売掛金や貸付金が中心で、単なる督促以上に、法律に沿った段階的な対応が必要です。

催促と督促の違いとは?ビジネスでの使い方や督促状が届いた時の対処法を徹底解説
催促・督促・催告の違いを定義や法的効果から整理し、実務での正しい使い分けや対応ステップ、業務を効率化する考え方までわかりやすく解説
詳しくはこちら個人・法人で債権回収が必要になる代表的なケース
債権回収は、 支払いが遅れたときや、相手の経営状況が悪化しそうな兆しがあるとき に行います。
- 法人(BtoB):商品の売掛金、建設やシステム開発の工事代金、特許料やロイヤリティ
- 法人(BtoC):家賃や管理費の滞納、病院や介護サービスの未払い
- 個人:養育費の請求、交通事故の損害賠償、知人への貸付金
債権回収の対象となる「金銭債権」とは
債権回収の対象は、相手からお金を受け取る権利、つまり金銭債権です。
具体的には、売掛金や貸付金、受取手形、電子記録債権(でんさい)など が含まれます。また、保証会社が支払った後の求償権も対象です。
金銭債権には5年の消滅時効があるため、時効の更新や裁判による請求など、権利を失わないための対応が重要です。
※消滅時効とは、債権者が権利を行使できる期間が法律で決まっており、その期間を過ぎると請求権が消えてしまう制度
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公式サイトで詳しく見る債権回収を無視するとどうなる?放置するリスク
遅延損害金の発生とブラックリストへの掲載
借金やクレジットカード、ローンなどの返済を長期間放置すると、 元本に加えて遅延損害金(年利約14%前後)が日々加算されていきます 。
さらに、債権回収会社から連絡が来る段階では、すでに個人信用情報機関に延滞情報が登録され、「ブラックリスト」状態になっているケースが少なくありません。
このブラックリスト状態は完済後も約5年間記録が残り、クレジットカードや各種ローンの新規契約が難しくなるため、早めの対応で損失を減らすことが重要です。
【最終段階】強制執行による財産・給与の差し押さえ
督促や裁判で支払い義務が確定すると、裁判所によって強制執行が行われます。
対象は銀行預金、給与、不動産などで、給与の場合は手取りの4分の1が差し押さえられます 。勤務先に通知されるため、会社に秘密で済ませることはほぼ不可能です。
差押えによる生活への影響や社会的信用の低下を避けるには、早期に分割払いや任意整理の相談を行い、解決策を講じることが重要です。
身に覚えのない請求が来た場合の「架空請求」確認ポイント
- 目隠しシールのないハガキで請求が届いた
- 連絡先が携帯電話番号(090など)である
- 振込先口座が個人名義である
- 「本日中に払え」「刑事事件になる」などの威圧文言がある
- 複数の電話番号が記載されている
- 法務省の認可会社リストに名前がない
最近は債権回収会社を装った架空請求が増えています。
まず法務省の公式サイトで営業許可会社か確認し、請求ハガキに目隠しシールがあるか、連絡先が固定電話か携帯か、振込口座名義は法人か個人かを確認 します。
「今日中に払え」などの強い文言や複数の電話番号も警告サインです。安易に応答せず、公式窓口を通して証拠を確認しましょう。
【債務者向け】支払えない場合の対応と判断
債務整理や時効援用の検討ポイント
借金やローン、クレジットカードの返済が困難になった場合は、 利息を減らす「任意整理」、借金の免除を目指す「自己破産」、返済から5年以上経過していれば「時効援用」を検討 します。
| 手続き | 任意整理 | 自己破産 | 時効援用 |
|---|---|---|---|
| 概要 | 弁護士や認定司法書士が債権者と直接交渉し、利息カットや元本の分割払いを合意する手続き。裁判所を通さず柔軟に解決可能 | 裁判所に支払不能を認めてもらい、借金の返済義務を免除してもらう法的手続き | 最後の返済から5年以上経過した債権について、債務消滅の意思を通知する手続き |
| メリット | 特定債権を除外でき、周囲に知られにくい | 返済義務がゼロとなり生活を再スタート可能 | 支払い不要で債務を消滅可能 |
| 注意点 | 信用情報に事故情報が登録される。元本返済が可能であることが前提 | 財産が処分される、ブラックリスト登録、職業制限の可能性 | 自動成立せず、通知必須。1円でも支払うと時効リセットの可能性 |

編集部
返済状況や資産状況に応じて最適な方法を選ぶことが重要です。判断に迷う場合は、必ず法的専門家に相談して安全な手続きを行いましょう。
支払意思がある場合の交渉・分割払いの考え方
支払いの意思がある場合は、 差し押さえ回避のために「実現可能な返済計画書」を提示することが重要 です。
分割払い合意には、1回でも遅れると残額を一括請求される「期限の利益喪失条項」が付くのが一般的です。
債権回収会社が介入している場合は、法的手続きへの移行が早いため、遅延損害金の免除や減額を和解条件に盛り込む交渉が成功の鍵となります。
債権回収会社(サービサー)とは?怖いと言われる理由と実態
サービサーは法務大臣の許可を得た「取り立てのプロ」
サービサー(債権回収会社)は、 法務大臣の許可を受けて設立された民間の専門業者 です。
かつては弁護士のみが行えた債権回収業務を、迅速化を目的に民間でも扱えるようにした「サービサー法」に基づき運営されています。
設立には資本金5億円以上、取締役に弁護士の就任、反社会的勢力排除など厳格な条件が課されており、法律に沿った適正な回収業務を専門的に行います。
法律で禁止されている違法な取り立ての例
- 深夜・早朝(午後9時〜午前8時)の電話・訪問
- 正当な理由なしの勤務先への連絡
- 債務者以外への支払要求
- 借金の事実を周囲に知らせるなど、名誉・生活の平穏を害する行為
債務者の生活や平穏を守る観点から、正当な理由のない過剰な取り立ては法律で禁止 されています。
正規のサービサーが違反した場合は、業務停止などの厳しい処分が科されます。テレビで描かれるような強引な取り立ては、実際にはほとんど起こりません。
なぜ元の債権者ではなく回収会社から連絡が来るのか
債権回収会社から連絡が来るのは、元の債権者が自社での回収が難しいと判断した債権をサービサーに安価で売却(債権譲渡)、または回収を委託した場合 です。
譲渡された権利はサービサーに完全に移転するため、債務者の承諾なしに通知が届きます。
サービサーからの連絡は、元の債権者が自社での回収を断念したことを示すサインであり、差し押さえなど法的手続きが現実味を帯びる深刻な段階を意味します。
編集部
サービサーによる過剰な取り立ては法律で禁止されていますが、無視すると訴訟や給与・財産の差し押さえに進む可能性があるため、心理的にも法的にも「怖い」と感じられやすいのです。
債権回収の具体的な流れと手順
- 電話・メール・面談による任意の交渉
- 内容証明郵便による正式な催告(督促状)
- 民事調停・支払督促などの法的手続き
- 通常訴訟・少額訴訟(60万円以下)の提起
- 強制執行による債権の最終回収
STEP1:電話・メール・面談による任意の交渉
債権回収は、まず電話やメールで未払い事実の確認から始まります。
この段階では 単なる催促ではなく、資金不足による遅延か、支払意思の欠如かを見極めることが重要 です。
交渉内容は日時・発言を必ず記録し、支払意思がある場合は返済計画を提示させ、口頭約束で終わらせず書面化して証拠を残します。
STEP2:内容証明郵便による正式な催告(督促状)
任意交渉が進まない場合は、内容証明郵便で正式な催告を行います 。内容と発送日が公的に証明されるため、後の紛争防止や証拠確保に有効です。
また、消滅時効を6か月間猶予させる効力(※)もあります。弁護士名義で送付すると、法的措置が現実的であることを明確に伝えられます。
※「消滅時効を6か月間猶予する効力」とは、お金を請求する側(会社・事業者)が、支払う側(取引先・顧客)に対して正式に支払いを求めた場合、「何もしないと請求できなくなる期限(時効)」を、いったん6か月だけ延ばせる仕組みのことです。つまり、「このまま放置すると請求できなくなる」という状態を防ぐための、請求する側の猶予期間を確保するためのルールと考えると分かりやすいです。
(催告による時効の完成猶予)
第百五十条 催告があったときは、その時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
2 催告によって時効の完成が猶予されている間にされた再度の催告は、前項の規定による時効の完成猶予の効力を有しない。
STEP3:民事調停・支払督促などの法的手続き
裁判前の手段として、民事調停や支払督促があります 。民事調停は第三者が介入し、柔軟な分割和解を目指せる点が特徴です。
支払督促は書面審査のみで迅速に進みますが、異議が出ると通常訴訟へ移行します。相手方の対応姿勢を見極めた選択が重要です。
STEP4:通常訴訟・少額訴訟(60万円以下)の提起
交渉で解決しない場合は、訴訟を提起し、裁判所の判決による支払命令を目指します 。
請求額が60万円以下であれば、原則1回の期日で審理が終わる少額訴訟を選択でき、迅速な解決を図れる点が特徴です。
ただし、被告が通常訴訟への移行を申し立てた場合は、少額訴訟としては扱われず、通常の民事訴訟手続に沿って審理が進みます。

編集部
実務上は、判決まで進まず、訴訟途中で和解が成立し終了するケースも少なくありません。回収可能性やコストを見極めながら、柔軟に対応することが重要です。
STEP5:強制執行による債権の最終回収
判決などの債務名義を得ても支払いがない場合、最終手段として強制執行を行います 。
対象は預貯金、給与、不動産などで、給与は手取りの4分の1まで差し押さえ可能です。特に口座の差し押さえは交渉再開を促す強い効果があります。
強制執行まで想定される場合、事前に財産情報を把握しておくことが重要です。
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【最重要】消滅時効(原則5年)を成立させない
債権は、権利を行使できると知った時から5年で時効になり、取り立てられなくなります。
時効を防ぐには「更新」措置が不可欠 です。たとえば債務者に1円だけでも支払ってもらったり、借金があることを認めてもらうと、時効の期間が最初からやり直されます。
なお、内容証明郵便で催告しても、6か月以内に法的手続きを取らないと効力が消えるため、催告の送付から次の法的手続きまでの「間隔」を正確に管理することが極めて重要です。
スピード勝負!早い者勝ちの原則を意識する
支払遅延や延長要求は、相手方が経営危機に瀕している兆候です。債権回収は債務者に残された財産を取り合う「早い者勝ち」の競争と考えましょう。
一般的に、債務者は督促の強い債権者から優先して返済する傾向 にあります。
着手が遅れると他社に財産が回り、自社分が回収不能になるリスクがあるため、危険信号を察知した直後の初動が回収成否を左右します。
契約書の「期限の利益喪失条項」や「合意管轄」を確認する
契約書の「期限の利益喪失条項」があれば、分割払いの滞納一回で残額全額を請求可能 です。
また、「合意管轄条項」で自社最寄り裁判所を指定していれば、訴訟コストや手続き負担を抑えられます。
近年は裁判のIT化で出廷負担も減少していますが、迅速な法的対応には条項の事前確認が不可欠です。
債権回収の対応方針を決める方法
自社で対応するか専門家に依頼するかの見極め方
債権回収の自社対応は、債務者との信頼関係が残る初期段階や、支払い遅延が軽微な場合に適しています。
一方、 法的手続きや強制執行が必要な場合は弁護士、定型的な大量債権はサービサーへの依頼が効率的 です。
特に弁護士名義での通知は、債務者に「逃げられない」という心理的圧力を与え、優先的返済を促します。
債権回収を続けるか打ち切るかの判断ポイント
- 差し押さえ可能な預貯金・不動産・給与が特定できない
- 相手が自己破産・民事再生中で回収見込みが低い
- 消滅時効が完成し、時効援用の可能性が高い
- 継続交渉による精神的・時間的コストが大きい
債権回収を続けるかどうかは、回収にかかるコストと実際に回収できそうな金額のバランスで判断 します。
回収費用が債権額を上回ったり、差し押さえ可能な財産がない場合は、打ち切ることも合理的な選択です。
さらに、相手が自己破産や民事再生手続中、あるいは消滅時効が成立して援用される可能性が高い場合も、回収を続けるか打ち切るかを判断する上で重要なポイントになります。
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すべての債権を扱える「弁護士」の強み
弁護士は、 金額や種類を問わず、交渉・訴訟・強制執行まで一貫して代理可能な唯一の専門家 です。
弁護士名義で通知するだけで、債務者に「逃げられない」という心理的圧力を与え、支払いの優先順位を高められる可能性があります。
複雑な紛争や高額債権の回収において、最終的な法的権利行使まで任せられる点が大きな強みです。
140万円以下の債権なら「認定司法書士」
認定司法書士は、 特別研修を修了し、元金140万円以下の債権について簡易裁判所で代理できます 。弁護士より費用を抑えられるため、小口債権回収に適します。
ただし、債務者が異議を申し立て地方裁判所に移行した場合は代理できないため、必要に応じ弁護士への切り替えが求められる点に注意が必要です。
債権を買い取って資金化する「回収業者(サービサー)」
回収業者(サービサー)は、 法務大臣の許可を受け、特定金銭債権を管理・回収する民間業者 です。
債権を安価で買い取ることで、回収結果に関わらず早期に資金化できます。
ただし取り扱いは、金融機関の貸付債権やリース債権などに限定され、一般企業の売掛金は「特定金銭債権」に該当する場合のみ委託可能です。
債権回収業務の効率化なら債権管理システムの活用
属人化を解消し、回収率を最大化する経営戦略
Excelや手作業での債権管理は、入金照合や督促の属人化、データ散在が課題となりがちです。
債権回収は、債務者に残された限りある財産を複数の債権者で奪い合う「早い者勝ち」の競争であり、初動の速さが成否を左右します。
システム導入は単なる事務効率化に留まらず、回収不能リスクの低減や経営判断の迅速化を実現する重要な投資 です。
債権管理システム「Billi」による攻めの自動管理
「Billi(ビリー)」は、請求、消込、IVR督促までを一気通貫で自動化する債権管理システムです。
導入企業では月108時間の業務削減と回収率42%向上の実績があり、入金パターン照合精度は95% に達します。
最短48時間でリスク管理を運用開始でき、複雑な合算入金や未回収債権の早期把握に強みを発揮します。
合算入金や部分入金もAIが自動照合
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まとめ:債権回収で後悔しないために
債権回収は、単なる督促ではなく、法律に沿った段階的な対応と戦略的判断が求められます。
回収対象や金額、相手の状況に応じて、自社対応、弁護士、司法書士、サービサー、システムのいずれを活用するかを選択することが重要です。
特に、初動の速さや時効管理、強制執行のリスク把握は回収成功の鍵となります。
適切な手段と仕組みを組み合わせることで、経済的損失を最小化し、企業の健全な資金管理を支えられます。
この記事を書いたライター
Wiz Cloud編集部
WizCloud編集部メンバーが執筆・更新しています。 Web関連、デジタル関連の最新情報から、店舗やオフィスの問題解決に使えるノウハウまでわかりやすくご紹介します!