「開業資金を集める方法を知りたい」
飲食業界は、個人事業主のなかでも人気の業界です。最近では未経験からの飲食店開業も増えてきており、誰もが自分のお店をもてる時代になってきました。しかし初めて飲食店をオープンさせる方が悩まれるのが「いくら開業資金が必要になるか」という点です。 漠然とした夢ではなく、叶えられる目標にするためにも飲食店の開業資金について知っておきましょう。そこで本記事では、飲食店開業にかかる費用や、自己資金額、資金調達の手段について解説していきます。
飲食店開業に必要な資金の目安
飲食店開業資金の平均とその変動要因
飲食店の開業資金は、立地や規模によって大きく変動します。店舗の規模にもよってきますが、一般的に、 1,000万円から3,000万円程度が目安 となります。
この資金は、店舗の内装工事費、厨房設備費、家具備品費、そして開業後の運転資金などに充てられます。例えば、高級レストランを開業する場合、高品質な内装や最新の調理機器が必要となり、資金が膨らむ傾向にあります。
一方、居抜き物件を活用したり、中古の厨房機器を導入したりすることで、開業資金を抑えることも可能です。また、地域や業態によっては、行政の補助金や助成金を利用できる場合もあるため、事前に調査することをおすすめします。
開業資金の目安と目標設定
一般的な飲食店の開業資金である、 1,000万円から3,000万円程度を目標に設定する際は、具体的な内訳を考えることが重要 です。
例えば、内装工事費に30%、厨房設備に25%、家具備品に15%、そして運転資金に30%といった具合に配分を決めていきます。目標設定では、最低限必要な金額と理想の金額の2つを設定するのがおすすめです。これにより、資金調達の幅が広がり、柔軟な計画が立てられます。
また、開業後6ヶ月分の運転資金を確保することも忘れずに。これは、お店が軌道に乗るまでの命綱となります。慎重に、そして現実的に目標を設定しましょう。
項目 | 割合 | 金額例(1,000万円の場合) |
---|---|---|
内装工事費 | 30% | 400万円 |
厨房設備 | 25% | 150万円 |
家具備品 | 15% | 150万円 |
テナント料 | 15% | 130万円 |
運転資金 | 30% | 170万円 |
初期資金との違いと重要性
開業資金は、 お店をオープンするまでに必要な全ての費用 を指します。一方、初期資金は 開業時に必要な費用 のことです。
例えば、内装工事費や厨房設備費は初期資金に含まれますが、家賃や人件費などの運転資金は開業資金に含まれます。これらを区別して考えることが、長期的な経営の成功につながります。
初期資金だけでなく、開業後の運転資金まで見据えた計画が重要です。特に、飲食店は軌道に乗るまで時間がかかることが多いため、最低でも半年分の運転資金を確保しておくことをおすすめします。 開業資金の重要性を理解し、適切な資金計画を立てることで、夢のお店を長く続けられる可能性が高まります。
資金の内訳と項目別の費用
物件取得費用の詳細
飲食店開業の際、物件取得費用は大きな割合を占めます。立地や広さによって大きく変動しますが、 都心部では1坪あたり10万円ちかくすることもあります 。
物件費用には、保証金や敷金、仲介手数料なども含まれます。例えば、30坪の物件で3000万円程度かかることもあるので、物件選びは慎重にしましょう。駅前の一等地は集客に有利ですが、家賃も高額ですし、駅から少し離れた場所なら、家賃を抑えられますが、集客に工夫が必要です。
居抜き物件を選べば、内装や設備が整っているため、初期費用を大幅に削減できるでしょう。 物件取得の際は、将来の拡張性も考慮し、開業後の成功を見据え、隣接スペースの確保や2階への拡張可能性なども検討するとよいでしょう。
項目 | 概要 | 目安金額 |
---|---|---|
物件取得費用 | 立地や広さにより変動 | 300万円〜500万円 |
保証金・敷金 | 賃料の3~10か月分 | 100万円〜500万円 |
仲介手数料 | 家賃の1ヶ月分程度 | 20万円〜50万円 |
設備投資と備品費用
設備投資と備品費用は、開業資金全体の30〜40%を占めることが多く 、飲食店開業の要となります。厨房機器や冷蔵庫、調理器具など、店舗の規模や料理のジャンルによって必要な設備は異なります。例えば、高級フレンチレストランなら、高性能オーブンや専門的な調理器具が必要ですが、カフェならコーヒーマシンが主役になるでしょう。
一般的な飲食店の設備投資額目安は200万円から500万円程度ですが、中古品などを活用すれば、この費用を半分以下に抑えられることもあります。ただし、衛生面や耐久性には注意が必要です。
また、備品費用には、食器や調理器具、テーブル、椅子なども含まれます。これらは店の雰囲気づくりに重要ですが、初期投資を抑えたい場合は、段階的に揃えていく戦略も有効です。
運転資金とその重要性
運転資金は、売上が軌道に乗るまでの人件費、仕入れ代、家賃などの固定費をカバーする資金 のことです。例えば、月50万円の経費がかかる店舗なら、半年分で約300万円の運転資金が必要になります。
運転資金の計算には、売上予測と損益分岐点の把握が重要です。開業後3〜6ヶ月は赤字覚悟で、その間の資金を確保しておくことが賢明でしょう。 また、季節変動や不測の事態にも備えて、余裕を持った資金計画を立てましょう。
例えば、夏場の集客減少や機器の突然の故障など、予期せぬ出費に対応できる余裕があれば、心にゆとりを持って経営に臨めます。運転資金の重要性を理解し、適切に準備することで、飲食店経営の安定性が大きく向上するのです。
資金調達方法の種類と特徴
国や自治体からの融資プログラム
国や自治体が提供する融資プログラムは、飲食店開業の強い味方です。日本政策金融公庫の 「新規開業資金制度」は、最大7,200万円まで無担保・無保証人で融資を受けられる魅力的な選択肢 です。
また、各自治体でも独自の融資制度を設けているところがあります。例えば、 東京都の「創業融資」は、最大3,500万円まで低金利で借りられます。
これらの制度を利用する際は、事業計画書の作成が重要です。融資担当者に夢を語るだけでなく、具体的な数字や戦略を示すことで、審査の通過率が上がります。 ぜひ、自分の店に合った融資制度を見つけ、開業の夢を実現させましょう。
融資プログラム | 特徴 | 融資上限 |
---|---|---|
日本政策金融公庫 新創業融資制度 | 無担保・無保証人 | 7,200万円 |
東京都 創業融資 | 低金利 | 3,500万円 |
家族や友人からの借り入れ
- 人間関係が壊れる可能性がある
借りた金額を返済できなくなると、大切な関係が崩壊しかねません。 - 契約書は作成しておく
口約束だけでは、後々トラブルの種になる可能性があります。 - 返済計画など条件を細かく設定する
返済計画や利息の有無など、細かい条件を明確にしておきましょう。 - 税務問題に発展
借入額が大きい場合は税務上の問題が発生する可能性があります。
クラウドファンディングの活用方法
クラウドファンディングは、 飲食店開業の新たな資金調達方法として注目を集めています 。これは、多くの人から少額ずつ資金を募る仕組みす。
例えば、「レストラン開業プロジェクト」として、目標金額を設定し、支援者には特別メニューの試食会や開店後の優先予約権などの特典を用意します。これにより、開業前から顧客を獲得できる利点もあります。 ただし、魅力的なプロジェクトページの作成や、支援者とのコミュニケーションなど、労力も必要です。
また、目標金額に達しないと資金が得られないケースもあるため、計画的な準備が重要です。 クラウドファンディングは、資金調達と同時に宣伝効果も期待できる、一石二鳥の方法と言えるでしょう。
開業資金を抑えるための方法
居抜き物件の利用
居抜き物件を利用することで、飲食店の開業資金を大幅に抑えることができます。 居抜き物件とは、前の店舗の内装や設備をそのまま引き継ぐ物件 のことです。
例えば、ラーメン屋さんだった場所をそのまま使って、新しいラーメン店を開業するようなイメージです。 この方法のメリットは、内装工事費や厨房設備の購入費用を節約できることです。通常、これらの費用は開業資金の大きな部分を占めますが、居抜き物件ならその心配がありません。
ただし、 前の店舗のコンセプトや雰囲気が残るため、自分の理想とは異なる可能性があります 。また、設備の老朽化や衛生面のチェックも必要です。 それでも、開業資金を抑えたい方にとっては、居抜き物件は魅力的な選択肢となるでしょう。
項目 | 内容 |
---|---|
居抜き物件のメリット | 内装工事費・設備購入費の節約 |
注意点 | 前店舗の雰囲気が残る、設備の老朽化 |
適している人 | 開業資金を抑えたい人 |
中古備品の活用
飲食店開業時、 新品の厨房機器や家具は高価ですが、中古品なら大幅に費用を削減 できます。例えば、新品の業務用冷蔵庫が50万円するところ、中古なら半額以下で手に入ることもあります。
ただし、中古品選びには注意が必要です。動作確認はもちろん、衛生面や耐久性もチェックしましょう。中古品を購入する際は、信頼できる業者から購入するのがおすすめです。中古備品のメリットは、コスト削減だけではありません。まだ利用できるものをゴミにするのではなく、再利用することは環境にやさしい選択でもあり、SDGsの観点からも注目されています。
リースを活用するメリット
備品を リースで活用することは、飲食店開業時の初期コストを大幅に抑える 強力な味方です。例えば、高額な厨房機器などは、購入すれば数百万円かかりますが、リースなら月々数万円で利用できることもあります。
リースで備品を用意することで、初期投資を抑えられるだけでなく、資金繰りの負担も軽減できます。 さらに、リースには設備の更新や保守が含まれることもあるので、故障時なども安心です。ただし、長期的にはリースの方が高くつく可能性もあるので、慎重に検討しましょう。
補助金・助成金を活用する方法
補助金・助成金の種類
飲食店開業に利用できる補助金や助成金は、起業家の強い味方です。例えば、 中小企業庁の「小規模事業者持続化補助金」は、販路開拓や業務効率化に使える最大50万円の補助金 です。
また、 東京都の「創業助成事業」では、最大300万円の助成金が受けられる可能性 があります。
これらの制度を上手に活用することで、開業時の資金負担を大幅に軽減できるでしょう。ただし、申請には綿密な事業計画が必要です。早めの情報収集と準備が成功の鍵となります。
補助金・助成金の種類 | 概要 | 上限額 |
---|---|---|
小規模事業者持続化補助金 | 販路開拓・業務効率化支援 | 50万円 |
東京都創業助成事業 | 創業時の経費助成 | 300万円 |
申請方法と必要書類
-
STEP.1
申請書類の準備
事業計画書や収支計画書、そして申請者の資格を証明する書類が必要
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STEP.2
申請手続き
申請方法は、オンラインや郵送、窓口提出など様々です。締め切りを確認し、余裕を持って準備することが大切です。書類作成に不安がある場合は、地域の商工会議所や中小企業支援センターに相談するのも良いでしょう。
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STEP.3
審査
審査には通常2ヶ月程度かかります。この間、追加資料の提出を求められることもあるので、連絡を見逃さないようにし
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STEP.4
採択通知を受け取る
支給されるまでの流れと注意点
補助金や助成金の 申請書類を提出したら、審査を経て、採択通知を受け取ります 。その後、 事業実施、実績報告書の提出、そして最後に補助金の支給という順序 です。
注意点としては、採択後も計画通りに事業を進める必要があります。途中で大きな変更があると、補助金が減額されたり、最悪の場合、支給されないこともあります。また、 支給は基本的に事業完了後となるため、申請から支給までに数ヶ月以上かかることがあります 。その期間の資金繰りも考慮しておきましょう。
よくある質問
A
飲食店の開業資金は、立地や規模によって大きく変動しますが、一般的には1000万円から3000万円程度が目安となります。開業資金の内訳としては、物件取得費、内装工事費、厨房設備費、備品購入費、そして運転資金などが挙げられます。
A
統計によると、飲食店の5年以内の廃業率は約80%とされています。これは、10軒開業すれば8軒が5年以内に閉店するという厳しい現実を示しています。(※参照:中小企業庁)
A
開業後のキャッシュフロー管理は、飲食店の生命線です。まずは、日々の売上と支出を細かく記録し、分析することから始めましょう。POSシステムなどを導入すれば、商品ごとの売上や時間帯別の客数など、詳細なデータを簡単に把握できます。
まとめ
ここまで飲食店の開業にかかる資金額や、内訳額について解説してきました。
自分の理想の飲食店を経営させるには、1,000万円程度の資金が必要であり、そのうち3割程度を自己資金で用意するという図が見えてきたのではないでしょうか。
飲食店の経営には、開業までの資金に加えて、運転資金も必要です。ですから資金調達には慎重な計画を立て、ランニングコストも踏まえた資金計画を練っていきましょう。
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この記事を書いたライター
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