「費用相場やデメリットが知りたい」
「営業代行やSPOとの違いは何?」
営業アウトソーシングとは、自社の営業活動の一部またはすべてを外部の専門業者に委託する仕組みです。
しかし、安易に依頼すると「成果が出ない」「ノウハウが残らない」などの失敗につながるため、仕組みや費用だけでなく、パートナー選びや運用のコツも理解することが重要です。
本記事では、営業アウトソーシングの基本から、費用相場・メリット・デメリット、営業代行やSPOとの違いまで、わかりやすく解説します。自社に最適な営業支援の形を見極めるためのヒントを得たい方は、ぜひご一読ください。
目次
営業アウトソーシングとは?
営業アウトソーシングとは「営業を外部に任せて成果を上げる手段」
営業アウトソーシングとは、 自社の営業活動の一部または全部を外部の専門会社に委託し、成果の最大化を目指す手法 です。
単なる「営業代行」ではなく、営業プロセスの構築や戦略設計を含めた支援も含まれるのが特徴です。
採用・育成コストの削減や、即戦力による早期成果が見込めることから、営業リソースに課題を抱える企業にとって有効な選択肢となります。
なぜ注目されているのか?背景と市場動向
営業アウトソーシングが注目される背景には、 営業人材の採用難や、従来型の営業スタイルの限界 があります。
特にBtoB業界では、SaaSの台頭や購買行動の変化により、営業プロセスの高度化・分業化が進行中です。
その結果、営業の専門性と効率性を求める企業が増加し、柔軟に外部の力を取り入れるニーズが拡大しています。
市場でもSPO(Sales Process Outsourcing)などの高付加価値型サービスが成長しており、戦略的活用が差別化の鍵となっています。
営業アウトソーシングの主なサービス形態と違い

営業代行(Sales Outsourcing)
営業代行とは、 自社の営業活動の一部を外部の専門業者に委託するサービス です。
アポイントの獲得、商談の代行、クロージング支援など、目的や課題に応じて必要なフェーズを切り出して依頼できます。
ただし、営業代行は単に「営業をやってくれる人を雇う」という考えでは機能しません。
自社の営業プロセスにどう組み込み、どのような成果を期待するかを明確に設計し、属人化していない仕組みとして機能させることが、成果につながる鍵です。

インサイドセールス・テレアポ・クロージング代行
インサイドセールスやテレアポ代行は、 主に「見込み客との接点づくり」に特化した支援形態 です。
リード獲得後のアポ取得や関係構築を担い、営業チームとの分業によって効率的な営業活動を実現します。
一方、クロージング代行は、商談〜契約締結フェーズの代行で、一定の営業スキルと商品理解が求められます。

SPO(Sales Process Outsourcing)
SPOは、 営業代行よりも上流のプロセスに関与するアウトソーシング形態 です。
現状抱える課題の可視化や営業プロセス設計から始まり、自社の営業チームと役割分担しながら成果創出を図ります。
単なる実働支援ではなく、営業活動の構造改革やKPI設計・改善のサイクルを共に回す伴走型支援が特徴です。
営業派遣・営業事務代行
営業派遣は、営業活動を担う人材を一定期間派遣する形態 で、自社内での指揮命令下に置かれる点が他と異なります。
属人的になりやすい反面、現場での柔軟な対応や即戦力としての活用が可能です。
一方、営業事務代行は見積書・契約書作成やデータ入力などの事務処理を外部化し、営業担当者の生産性向上を目的とします。
営業アウトソーシング活用のメリット・デメリット
営業アウトソーシング活用のメリット
- 専門スキルの即時投入
- 営業組織のスケールアップが容易
- 営業プロセスの客観的な改善が期待できる
- 固定費削減・変動費化によるコスト最適化
- 内製営業組織の育成支援が可能
- 営業戦略やKPI設計の高度化
- 新規市場・チャネル開拓のリスク軽減
- 属人化リスクの軽減
営業アウトソーシングの 最大のメリットは、「営業の仕組み化」と「再現性のある成果モデルの構築」 にあります。
単なる人手不足の補填ではなく、外部の専門知見を活用して営業プロセス全体を構造的に設計・可視化することで、自社の営業活動を“属人性”から解放し、継続的に成果を生む土台を築けます。
これにより、売上の安定化やスケーラビリティ向上が可能となり、単発の受注獲得ではなく「勝ちパターン」を内製化していく戦略的な投資となるのです。
営業アウトソーシング活用のデメリット
- 自社に営業ノウハウが蓄積されにくい
- 認識齟齬による“的外れな活動”が発生する
- 顧客体験の一貫性が損なわれる可能性がある
- 属人化リスクが内製よりも高まる場合がある※
- 管理・モニタリングに工数がかかる
- 短期成果を求めすぎると、本質的な改善が進まない
- 営業文化・顧客理解の浸透に時間がかかる
営業アウトソーシング活用の 最大のデメリットは、「自社に営業ノウハウが蓄積されにくい」点 です。
成果だけを外部に委ねると、営業のプロセス設計や仮説検証の知見が社内に残らず、組織としての再現性や持続可能性が育ちません。
特に中長期的に内製化を目指す企業にとっては、単なる“成果の外注”ではなく、ノウハウ移転と仕組み化を前提としたパートナー選びと設計が不可欠です。
営業アウトソーシング活用が最適な企業
- 立ち上げ期のスタートアップ企業
- 新規事業や新商材を展開する企業
- 営業組織のスケールに課題を抱える中堅企業
- 過去に営業代行で失敗経験がある企業(見直し層)
- インバウンド・反響営業から脱却したい企業
- 業界構造の変化で営業アプローチを見直す必要がある企業
営業アウトソーシングの活用が 最も適しているのは、「営業の再現性がなく、スケールに課題を抱える企業」 です。
属人化や採用難によって営業組織の拡張が止まっている状態では、いくら優秀な個人がいても成果の継続性は期待できません。
本質的なパートナーを選べば、単なる作業代行ではなく、営業プロセスの可視化・標準化・仕組み化まで支援されるため、自社に「売れる構造」を残せます。これは内製では到達が難しい領域です。
営業アウトソーシングの料金体系と費用相場
営業アウトソーシングの料金体系
料金体系 | 特徴 | メリット | デメリット | 向いているケース |
---|---|---|---|---|
固定費用型 | 月額固定で料金が決まっている。契約期間中、一定のサービスを提供 | 予算管理がしやすい。成果に関係なく一定の品質が期待できる | 成果が出なくても費用が発生。効率が悪い場合コストが高い | 施策を継続的に安定的に実施したい企業 |
成果報酬型 | 実績(成約件数やアポイント獲得数など)に応じて報酬を支払う | 成果が出た分だけ支払うため費用発生のリスクが低い。営業会社のモチベーションが高い | 成果定義・計測が難しく、短期的な量追求による質の低下や、ブランド・LTVへの悪影響といった見えにくいリスクも | 明確な成果指標が設定でき、リスク分散したい場合 |
複合型 固定+成果 |
固定報酬に加え成果に応じた報酬を上乗せする形態 | 基本の安定収入と成果に連動したインセンティブでバランスが良い | 固定費用もかかるため予算はやや高め。成果に対する議論が生まれやすい | 安定と成果両方を求める中~大規模案件に適合 |
営業アウトソーシング形態別料金体系・費用相場
サービス形態 | 料金体系の例 | 費用相場(月額) | 備考 |
---|---|---|---|
営業代行 | 固定+成果報酬の 複合型が多い |
80〜200万円程度 | 商材や業界によって幅が大きい。成果指標の設定が重要 |
SPO | 固定費中心 +成果報酬もあり |
100〜300万円程度 | 営業プロセス全体の最適化も含むため高めの傾向 |
インサイド セールス代行 |
固定月額制が主流 | 50〜100万円程度 | リード獲得から育成まで。成果連動型もある |
テレアポ代行 | 成果報酬型や固定 +成果報酬の複合型 |
30〜80万円程度 | 量産的なアポイント獲得が中心。質の管理が重要 |
クロージング代行 | 成果報酬型が多い | 100万円〜 | 成約に直結するため単価は高め。高度な商談力が求められる |
営業派遣 | 固定月額制 (人件費+手数料) |
40〜80万円/人 | 自社チームの補完として活用。即戦力が必要な場合に適合 |
営業事務代行 | 固定月額制 | 20〜60万円程度 | 営業のサポート業務中心。効率化や事務負担軽減が目的 |
※費用はあくまで目安で、商材の難易度や業界特性、業務範囲、契約期間などで大きく変動します。

【厳選】営業アウトソーシング企業5社比較一覧
株式会社SORAプロジェクト

株式会社soraプロジェクトは、 16年以上にわたる営業支援の実績と、800万社以上の企業リストを活用した見込み客の獲得を強み としています。
経験豊富なスタッフが貴社サービスを理解し、見込み客に適切な情報提供を実施。その後、外勤営業を通じて商談化を支援します。
営業ノウハウや人材育成リソースが不足している企業でも、固定報酬制で安定的に売上向上を目指せます。
- テストマーケティングプラン:月額33万円〜(税込)
- 内訳:初期費用 / 月額費用 / リスト提供費用 / スクリプト作成費用等込み
- 期間:3か月契約〜(短期間依頼は要相談)
こんな企業におすすめ
- 営業組織の立ち上げがこれからのスタートアップ企業
- 営業経験が浅く、社内での人材育成が難しい中小企業
- テストマーケティングを低コストで実施したい新規事業担当者
- アウトバウンド営業を効率的に委託したいBtoB企業
株式会社CEREBRIX(セレブリックス)

株式会社CEREBRIX(セレブリックス)は、 24年の実績と最新の営業データを活かし、リード獲得から受注後の対応まで一貫して支援 します。
約450名の正社員営業チームが対応し、リアルタイムで得られる商談データや音声解析を活用することで、常に時代に即した提案が可能です。
継続的な受失注分析を通じて、成果に直結する営業活動を実現します。営業活動の質と再現性を重視する企業にとって、心強いパートナーです。
- 料金:要問い合わせ
こんな企業におすすめ
- 営業プロセス全体を体系的に改善したい中堅〜大手企業
- データに基づく戦略設計やKPI管理を重視する営業責任者
- 自社リソースでは手が回らないが、高品質な営業活動を担保したい企業
- 継続的なPDCA運用で営業成果を最大化したい企業
株式会社アースリンク

株式会社アースリンクの「Sakura outsourcing」は、 多様な業界に対応したインサイドセールス代行サービス です。
住宅設備卸売業や製造業、米穀類販売など、幅広いBtoB分野で1,500社以上の実績を誇ります。
独自の「Sakura outbound/CTI」と連携し、コール履歴や音声データ、アンケート結果を体系的に蓄積する点が特長です。
将来的な内製化を見据えたデータ移行もスムーズに行え、効率的な営業体制の構築を支援します。
- 料金:要問い合わせ
こんな企業におすすめ
- インサイドセールスを新たに導入したいがノウハウ不足の企業
- 多業種・多商材で幅広く営業活動を行うBtoB企業
- 内製化に向けてデータ蓄積やノウハウ継承を重視する企業
- 成果報酬に頼らず安定的な営業支援を求める事業者
株式会社ambient(アンビエント)

株式会社ambientは、 提案型営業を軸にしたテレアポ専門の営業代行サービスを提供 しています。
導入前にターゲット企業の市場環境やニーズを徹底的にリサーチし、最適なアプローチ戦略を設計するため、効率的かつ効果的な営業活動が可能です。
また、専任のオペレーターが丁寧かつ親身にコミュニケーションを行いながら、取得データを詳細に分析してPDCAを回すことで、顧客の信頼獲得と継続的な成果改善を両立します。
- 料金:1件(3コール)= 250円~(税表示なし)
- ※コール単価は依頼ボリュームにより変動
こんな企業におすすめ
- 新規顧客開拓を効率的に強化したいBtoB企業
- テレアポによる営業活動の質と成果を向上させたい企業
- 営業リソース不足を補い、専門オペレーターの力を活用したい企業
- データ分析に基づく改善サイクルで継続的に営業力を高めたい企業
株式会社ウィルオブ・ワーク

株式会社ウィルオブ・ワークが提供する「セイヤク」は、BtoBビジネスに特化した営業支援サービスです。
市場調査からクロージングまで一貫して対応し、全国50拠点超のネットワークを活かした地域密着型の営業が可能 です。
また、企業ごとの課題やニーズに応じて支援内容を柔軟にカスタマイズでき、自社の営業戦略に最適なサポートを受けられます。
- 料金:要問い合わせ
こんな企業におすすめ
- 全国展開や地域密着型の営業を強化したいBtoB企業
- 営業プロセス全体の外部支援を検討している企業
- 安定した体制で長期的な成果を目指したい企業
- 自社の営業課題に合わせたカスタマイズ支援を希望する企業
営業アウトソーシング会社を選ぶ“本質的な”判断基準
営業アウトソーシングの成果は、パートナー選びで決まると言っても過言ではありません。
単に実績や価格だけでなく、営業プロセス設計から改善フローまで、体系的に対応できるかが鍵です。
- 営業プロセス設計の解像
- KPI設計と可視化のレベル
- 商材・業界理解と営業設計力
- 担当者の伴走スキル
- 運用中の“改善フロー”の質と頻度
営業プロセス設計の解像度
多くの営業代行会社は、テレアポや資料送付といった単発の作業や施策提案にとどまりがちです。
一方で、 真に価値あるパートナーは営業プロセス全体を分解し、どの工程に課題があるのかを特定 します。そのうえで、社内対応と外注すべき業務領域を明確にし、最適な役割分担を設計できます。
提案書や初回ヒアリングでは、担当者が現状の営業フローをどれだけ深く把握・分析しているかを確認し、本質的な改善提案ができるかを見極めましょう。
KPI設計と可視化のレベル
営業アウトソーシング成功の鍵は、 営業の流れと結果を段階的に整理し、LTVやCACなどのKPIと連動して可視化できるか にあります。
例えば、「架電→アポ→商談→受注」の各ステップでCVR(コンバージョン率)やコストを追い、ボトルネックを定量的に分析・改善できる体制が重要です。
単なる「架電数」や「訪問件数」の報告に終わらず、データを活用して営業戦略の精度を高められる仕組みがあるかを見極めましょう。
商材・業界理解と営業設計力
営業力は単なる「売る技術」だけではありません。 自社商材の特性を深く理解し、それに合った営業構造やプロセスを設計する力こそが本質 です。
特にBtoB SaaSのように顧客教育やナーチャリングが重要な商材では、見込み客への教育や関係構築を計画的に進める営業フローが成果に直結します。
過去に営業戦略を根本から見直して成功した実績があるパートナーは、業界や商材特性に即した高度な営業設計力を備えています。
担当者の伴走スキル
優秀なトップ営業マンを派遣されると一見安心ですが、属人化しやすく再現性に欠けるリスクがあります。
重要なのは、 クライアントと共に営業プロセスの標準化や型化を進め、社内での内製化・スケール化を実現できる伴走力 です。
担当者が単なる実行者ではなく、組織全体の成長を促し、成果を持続させる力を持っているかを見極めることが重要です。
運用中の“改善フロー”の質と頻度
営業成果は、 運用開始後の改善サイクルの質と頻度で大きく左右されます 。
月次報告だけで終わるのではなく、週次で仮説検証を行い、PDCA(計画・実行・評価・改善)サイクルを積極的に回し続けることが重要です。
レポート内容が単なる活動量の羅列ではなく、改善提案や戦略調整が盛り込まれているかを確認し、真の伴走型パートナーか見極めてください。
営業パートナー選びでよくある「誤った判断軸」とは
営業パートナー選びで 「実績がある」「人が優秀」「費用が安い」「大手企業」といった表面的な基準だけで判断するのは危険 です。
むしろ、柔軟な伴走力を持つ中小規模の会社こそが、本質的なパートナーになることが多い点に注意しましょう。
誤った判断軸 | なぜ危険か |
---|---|
「実績があるか」 | 他社での成功パターンが自社に当てはまるとは限らない |
「人が優秀か」 | 属人的になりやすく、再現性・継続性に欠ける |
「費用が安いか」 | 結果が出なければ、コストはむしろ高くつく |
「知名度・大手かどうか」 | 組織が大きくなると、柔軟性・伴走力が低下しがち |
営業アウトソーシング活用でよくある失敗と対策
営業アウトソーシングを導入しても、思うような成果につながらないケースは少なくありません。
よくある失敗の背景には「丸投げ体質」や「設計不備」など、委託前の準備や運用中の認識ズレが潜んでいます。
- 目的不明確なアウトソース(“作業委託”になっている)
- インサイドセールスとフィールドセールスの混同・断絶
- 属人依存でスケールしない/担当が変わると崩壊する
- リードやターゲットの質が曖昧/認識がズレている
- データ・レポートが“作業報告”で終わっている
目的不明確なアウトソース(“作業委託”になっている)
「とりあえず営業をお願いしたい」と目的が曖昧なまま委託すると、アウトソーシングは単なる作業代行で終わってしまいます。
何のために営業活動を外部に任せるのか(例:リード創出/商談数最大化など)を明確にし、KGI・KPIを共有することが重要 です。
施策の目的と手段が一致していないと、どれだけ活動量があっても成果に直結しません。
対策
- 営業アウトソーシングを「売上創出のプロセス設計支援」と捉える
- 依頼前に“目的→課題→アウトソースすべき工程”を整理する
- 依頼先と「何をもって成功とするか」=KGI・KPI定義を握る
インサイドセールスとフィールドセールスの混同・断絶
営業プロセスの中で、インサイドセールス(IS)とフィールドセールス(FS)を切り分けずに丸投げしてしまうと、両者の役割が曖昧になり、リードの引き継ぎに齟齬が生じます。
特に、 FS不在のままISだけを外注すると商談化率や受注率が伸び悩みやすいため、プロセスごとの責任範囲とKPI設計をセットで考える 必要があります。
対策
- “プロセスごとに分業”ではなく、“プロセス全体を一緒に最適化する”視点で設計
- インサイドセールス→商談→受注の流れにおける役割分担と評価基準を明文化
- 定例会議で、定性的な「質のすり合わせ」を重視(録音共有、会話トークのすり合わせなど)
属人依存でスケールしない/担当が変わると崩壊する
「特定の担当者に頼る営業体制」では、成果は一時的なものにとどまります。
アウトソーシング先でも スクリプトやナレッジ、プロセスの標準化がされていないと、担当変更のたびにゼロからの立ち上げになりかねません 。
再現性と仕組み化を前提に設計し、ナレッジを資産として蓄積することが不可欠です。
対策
- 営業アウトソースは「型化・内製化のプロセス支援」として活用
- トークスクリプト・ナレッジ・CRM活用など、再現性の高い営業資産として記録
- 「成果の出るプロセスを定義→ナレッジ化→内製可能な仕組みへ」導く伴走型を選ぶ
リードやターゲットの質が曖昧/認識がズレている
成果が出ない背景には、そもそも「どのような顧客を狙うのか」というターゲティングのズレがあることが多々あります。
アウトソーシング先と ターゲット像やペルソナのすり合わせを行わず、曖昧なままスタートすると、成果指標のブレにつながります 。
初期段階で「誰に、何を、どのように売るのか」を徹底共有することが肝要です。
対策
- 初期にターゲット定義/想定課題/バイヤージャーニーを明文化
- 運用中も、商談結果をもとに「リードの質」を定義・更新していくフローを共有
- MAツールやSFAと連携し、リードソースごとの成果分析が可能な体制を整える
データ・レポートが“作業報告”で終わっている
アウトソーシング先から提出されるレポートが「実施件数」や「コール数」の報告に留まっている場合、改善のヒントが得られず、PDCAが回りません。
必要なのは、数値の裏にあるインサイト(反応傾向、断られ理由、勝ちパターンなど )です。
単なる報告ではなく、戦略的示唆を含んだレポートを依頼・設計することで、次の打ち手が見えてきます。
対策
- 初期設計段階から「改善サイクルを組み込む支援会社」を選定
- 週次単位で「仮説 → 実行 → 結果 →次の打ち手」を提示する体制か確認
- 定量だけでなく、「なぜそうなったか」の定性分析と対策が含まれるかが重要
営業アウトソーシング活用で成果を出すための3原則
成果定義を“共通言語化”する
「”成果”とは何か」の定義が曖昧なままスタートすると、アウトソーシング先と目線が合わず、期待と現実のギャップが生まれます。
「商談数を増やすことなのか」「受注金額なのか」「質の高いリード創出か」など、成果指標を明文化し、共通のKGI/KPIとしてすり合わせることが第一歩 です。
認識のズレが小さな失敗の積み重ねを生むため、初期設計での言語統一がカギになります。
プロセスではなく“構造”から会話する
単に「テレアポをお願いしたい」「商談を増やしてほしい」といった依頼は、業務単位での委託になりがち です。
しかし、成果を生むには営業全体の構造=マーケ→IS→FS→受注→フォローまでの流れを俯瞰し、どこがボトルネックか、どこに外部を活用すべきかを設計する必要があります。
プロセス単位の会話ではなく、構造的な視点で戦略を立てることで、効果的なアウトソースが実現します。
再現性のある“仕組み”を作る前提で活用
営業は属人化しやすい領域ですが、アウトソーシングを単発的・担当者任せにしてしまうと再現性が失われます。
重要なのは「誰がやっても一定成果が出る状態」をゴールに据え、トークスクリプト、対応フロー、CRM連携などの仕組み化を前提に活用すること です。
これにより担当変更にも耐え、成果が積み上がるアウトソーシング体制が築けます。
営業アウトソーシングを導入する流れ
-
STEP.1
現状分析と課題抽出
自社の営業活動の現状や課題を明確化します。数字や営業プロセス、組織体制を細かく分解し、「どこがボトルネックか?」を洗い出すことが重要です。
ポイント 単なる営業人数不足の問題と捉えず、「なぜ成果が上がらないのか」の根本原因を構造的に分析する -
STEP.2
成果定義と目標設定
アウトソース先と「成果とは何か」を共通言語化します。受注数だけでなく、リードの質や営業プロセス改善など、多面的な目標設定が必要です。
ポイント 数値目標だけに偏らず、営業活動の質や組織力の向上も成果に含める -
STEP.3
営業アウトソーシング会社の選定
提案内容や料金だけでなく、営業プロセス理解や改善力、担当者の伴走力を重視します。実績ではなく「問いの質」や「ヒアリングの深さ」で見極めるのが本質的な選び方です。
ポイント 短期的な成果だけを求めず、長期的に再現可能な営業体制構築に向き合えるかを評価する -
STEP.4
契約と役割分担の明確化
業務範囲や責任、報告頻度、成果指標を詳細に契約書で定めます。社内とアウトソース先の連携ルールや情報共有の仕組みも事前に整備しましょう。
ポイント 曖昧な役割分担はトラブルの元。営業チームとアウトソース先の境界を明確にする -
STEP.5
導入・運用開始
初期フェーズは密なコミュニケーションと進捗共有を徹底。実際の営業活動をモニタリングしながら改善点を早期発見します。
ポイント 「任せっぱなし」にせず、仮説検証を頻繁に行いPDCAを高速で回す文化づくりに注力する -
STEP.6
定期レビューと改善活動
成果レポートは「作業報告」で終わらせず、改善提案を伴う形で活用。目標の見直しや営業プロセスのアップデートも継続的に実施します。
ポイント 数字だけでなく質的な成果やチームの成熟度も評価軸に含める
営業アウトソーシング活用の導入成功事例
- 導入企業:VFR株式会社
- 代行会社:SALES ROBOTICS
導入背景・課題
- インバウンド主体の営業から積極的な事業拡大へ営業スタイルを転換
- 新規開拓の営業ノウハウ不足と人員リソースの限界により、営業活動の拡大が困難
- 市場認知度の向上と、営業リソース不足が大きな課題だった
インサイドセールス代行を選んだ理由
- 営業リソース不足を補い、新規リード獲得やニーズヒアリングを効率的に進めたい
- 全国の消防本部や自治体を対象に「VFR=ドローン」の第一想起獲得を目標に設定
- 顧客データ(BANT情報や会話履歴など)の収集と活用を重視
- 自治体の中長期的な関係構築に向いた営業手法としてインサイドセールスが適合
ベンダー選定のポイント
- 過去のプロジェクト経験者の推薦による信頼性
- 数字で示す成果報告と迅速な改善対応
- 顧客管理プラットフォームによる定量・定性データ管理の充実
- 営業担当者の提案力とコミュニケーションの質
プロジェクトの進め方と成果
- 2回のプロジェクトを実施(消防本部リスト、自治体リストへのアウトリーチ)
- 新規顧客への商談獲得と、商談に至らなかった顧客のナーチャリングを代行
- 当初の営業方針(国産ドローン中心)から、顧客の海外製品への興味を発見
- 定性情報(顧客の反応や話し方)を活用して効果的な訴求ポイントを発掘
- 「SOTENバーチャルトレーナー」を活用した新たな商談獲得ポイントを見出す
具体的な成果数値
- 商談数は月10件から月平均40件へ約4倍に増加
- 商談獲得率は目標の17~25%に対し、初回32.5%、2回目30.3%を実現
- 認知度が大幅に向上し、防災領域で「ドローン=VFR」の第一想起獲得に成功
営業アウトソーシング活用のポイント
- 営業方針転換時のリソース不足はインサイドセールス代行で解決可能
- 顧客データを細かく収集・分析し、定性的な情報も活かした訴求戦略を練ることが重要
- 代行は単なる架電代行ではなく、営業課題に応じた戦略パートナーを選ぶべき
- 複数社比較のうえ、信頼性・成果コミットメント・コミュニケーション力を重視して選定する
- リード獲得に加え、商談フォローやナーチャリングの役割も明確に委託範囲に含めると効果的
まとめ
営業アウトソーシング会社を選ぶうえで重要なのは、価格や実績だけでなく、「どんな姿勢で向き合ってくれるか」です。
あわせて、運用前に「何を成果とするのか」を明確にすり合わせられるかも重要です。曖昧なままだと、レポートがただの作業報告になり、改善や成果につながらなくなってしまいます。
営業支援は単なる外注ではなく、共に売上成長を目指す“共創”の関係です。業務を委ねる相手というより、目標を共有しながら伴走できるパートナーかどうかが、成功の鍵を握ります。
「どの会社と組むべきか」と迷ったときは、まず自社の課題を言語化することから始めてみましょう。そうすれば、真に信頼できるパートナーが見えてくるはずです。

この記事を書いたライター
Wiz Cloud編集部
WizCloud編集部メンバーが執筆・更新しています。 Web関連、デジタル関連の最新情報から、店舗やオフィスの問題解決に使えるノウハウまでわかりやすくご紹介します!