インボイス制度とは、商品やサービスを提供する事業者が受け取る側に対して請求書を発行する仕組みのことです。
しかし、一体どんな影響があるのか?導入によるメリット・デメリットは?など、疑問も多いのではないでしょうか。
本記事では、インボイス制度のメリットやデメリットはもちろん、今さら聞けないインボイス制度の基礎知識についても徹底解説していきます。
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インボイス制度後の振込手数料について
現行の制度では、 3万円未満の取引 については、請求書がない場合でも消費税の控除が可能とされていました。
しかし、インボイス制度導入後は、売り手が振込手数料を負担する取引において、原則的に返還インボイスの交付が必要です。
仕入額控除を受けるために、少額の振込手数料の場合でもインボイスの発行が必要となり、経理業務の煩雑化が予想されています。
返還インボイスとは
返還インボイスとは、売り手が返品や値引きなどで、 受け取った対価の返還を行う際に発行する書類 です。
買い手は、適格請求書を元にして納付税額を計算するため、返還インボイスがないと正しい消費税納付ができなくなります。
そのため、適格請求書発行事業者は、買い手に返還インボイスを交付する義務が発生します。
振込手数料は買い手と売り手のどちらが負担する?
振込手数料は買い手負担が原則
取引で生じた振込手数料は、 商習慣として買い手側か売り手側のどちらかが負担 します。
特に、事前に売り手側が負担するという取り決めがされていない場合、原則として買い手側が負担するのが一般的です。
振込手数料は、商品やサービスの価格とは別に発生するコストで、買い手の支払い義務と考えられます。
売り手が振込手数料を負担するケース
売り手が振込手数料を負担するケースは、価格戦略や顧客満足度の向上を図るために、負担を選択することがあります。
また、海外取引などで振込手数料が高額になる場合、売り手が一部または全額を負担することで、買い手の負担を軽減することもあります。
取引の特性や売り手のビジネスモデルによるため、誰が負担するかについては、 取引開始前に 明確にしておきましょう。
売り手負担の振込手数料処理は2種類
売上値引きとして処理する方法
インボイスにおいて売り手が振込手数料を負担する際、 売上値引きとして処理する方法が一般的 です。
手数料を商品やサービスの販売価格から差し引くことで、買い手が支払う額は変わらず、売り手が手数料を負担した形となります。
ただし、値引きの理由を明確に記載しておかないと、財務監査時や税務調査時に問題となる可能性があるため注意しましょう。
振込手数料の立替として処理する方法
インボイスにおいて売り手が振込手数料を負担する場合、 立替として処理する 方法も選択肢の一つです。
売り手が先に手数料を支払い、その後に買い手から返済を受けるという流れを指します。
ただし、この方法を取る際には、契約や取引の内容により適用が難しい場合もあります。また、事前に買い手との間で明確な合意が必要です。
少額な返還インボイスの交付義務免除
現行制度では、3万円以下の取引においては請求書等の保存が不要です。
しかし、インボイス制度導入によって、振込手数料などの少額な取引でもインボイスが必要となりました。
ただし、「令和5年度税制改正大綱」によって税制改正が行われ、 税込1万円未満の値引きについてはインボイスの交付義務が免除 され、従来通りの税務処理が可能となりました。
そもそもインボイス制度とは?
適格請求書(インボイス)とは
適格請求書(インボイス)とは、企業間の取引において、商品やサービスの代金支払いに関する情報を 電子的にやりとりするシステム です。
請求書や領収書の作成や保管、紛争の解決が効率的に行われることが期待されており、税務上の申告書類の作成も簡素化されます。
インボイス制度は、グローバルなビジネスの拡大にも貢献し、国内外の企業がより円滑に取引を行うことができます。
適格請求書発行事業者とは
適格請求書発行事業者とは、 消費税の税額控除に必要な請求書を発行する資格を持った事業者のこと です。
この資格を取得することで、取引先への信頼度を高められます。
税務署に申請を行い、承認を受けることで適格請求書発行事業者となります。なお、申請は毎年必要で、年度ごとの更新が求められます。
インボイス制度で変わるポイント
適格請求書を発行・保存しないと仕入税額控除が受けられない
現行の制度は、課税取引に該当する全ての取引において、仕入れ側(買い手)は仕入税額控除を受けられます。
しかし、インボイス制度導入後は、適格請求書の発行や要件を満たしていない請求書であると、 仕入税額控除を受けることができません。
仕入時に適格請求書が発行されない場合、買い手は仕入税額控除が適用されないため、売上時に受け取った消費税額をそのまま支払う必要があります。
仕入税額控除とは、売上額から仕入税額を差し引くことで、事業者の消費税に関する二重課税を解消するための制度です。
適格請求書がなくても仕入税額控除が受けられるケース
適格請求書がない場合でも、請求書発行が困難な一部のケースでは、仕入税額控除が認められることがあります。
例えば、仕入れ先が課税事業者でない場合や、 小額の取引については請求書の交付が必須でない ため、仕入税額控除を受けることができます。
しかし、適格請求書の発行・保存が基本であり、節税効果を最大化するためには適格請求書の導入が推奨されます。
適格請求書は課税事業者のみ発行できる
適格請求書を発行するためには、 適格請求書発行事業者に登録しておく 必要があります。
適格請求書発行事業者は、課税事業者のみが申請することができるため、免税事業者であると適格請求書を発行することができません。
インボイス制度に対応するためにも、免税事業者の方は課税事業者への変更を検討しておきましょう。
請求書のフォーマットが変わる
区分記載請求書等保存方式 | 適格請求書等保存方式 | |
---|---|---|
記載項目 | ①書類の作成者の氏名又は名称 ②取引年月日 ③取引内容(軽減税率の対象品目である旨) ④税率ごとに合計した対価の額(税込み) ⑤書類交付対象の氏名又は名称 |
①氏名又は名称及び登録番号 ②取引年月日 ③取引内容(軽減税率の対象品目である旨) ④税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜き又は税込み)及び適用税率 ⑤税率ごとに区分した消費税額等 ⑥書類交付対象の氏名又は名称 |
適格請求書として認められるには、現行の請求書から適格請求書等保存方式に対応したフォーマットに変更する必要があります。
現行の請求書の記載項目と異なるのは、 適格請求書発行事業者の登録番号や適用税率、税率ごとに区分した消費税額等 の3点です。
適格請求の交付・保存の義務が生じる
適格請求書発行事業者になると、取引際に適格請求の交付・保存の義務が生じます。
適格請求書は、消費税の控除を受けるための必須の証拠書類であり、 発行した企業や受け取った企業に保存義務が発生します。
適格請求書の導入後は、仕入税額控除を受けるためにも、組織の文書管理体制の見直しや強化をしておきましょう。
まとめ
インボイス制度は、 商品やサービスを提供する企業 が、受け取る側に対して請求書を発行することで、 支払い手続きを行う仕組み です。
インボイス制度に正しく対応するためには、 電子インボイスシステムの導入や経理フローの見直しが必要 です。
導入に必要な手続きやシステムの選び方 などを詳しく知りたい方は、お気軽にご相談ください。
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この記事を書いたライター
Wiz Cloud編集部
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