「インボイス制度の登録申請書はどこでもらえる?」
2023年(令和5年)10月1日にインボイス制度が開始されますが、インボイス(適格請求書)は、適格請求書発行事業者のみが発行できます。
適格請求書発行事業者になるには登録申請書を提出する必要がありますが、登録申請書の書き方がわからない方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、インボイス制度における、適格請求書発行事業者の登録申請書の書き方を徹底解説していきます。
登録申請書の申請手順や提出期限、入手方法も紹介しているので、登録申請書の提出を検討している方に必見の内容です!
適格請求書発行事業者の登録申請書の書き方(1ページ目)
1.提出日、税務署名
書類の提出日と所轄の税務署名を記載します。
提出する税務署は決まっているので、事前に国税庁のサイトから調べましょう。
2.住所又は居所、本店又は主たる事務所の所在地
「住所又は居所、本店又は主たる事務所の所在地」は、 個人事業者と法人で記載内容が異なります。
区分 | 記載内容 |
---|---|
個人事業者 | 住所または居所を記載 |
法人 | 登記してある本店所在地を記載 ▶法人番号公表サイトで登記内容を確認する |
編集部
法人で、主たる事務所所在地を公表したい場合は、「適格請求書発行事業者の公表事項の公表(変更)申出書」を同時に提出する必要があります。
3.納税地
納税地の住所を記載します。
住所や所在地と同じ場合は「同上」と記載しましょう。
4.氏名又は名称
「氏名又は名称」は、 個人事業者と法人で記載内容が異なります。
区分 | 記載内容 | 例 | 記載のポイント |
---|---|---|---|
個人事業者 | 個人事業主の氏名を記載 | 正:田中 太郎 誤:Wiz商会 代表 田中 太郎 |
|
法人 | 法人名を登記内容通りに記載 | 正:株式会社 Wiz 合同会社 Wiz商事 |
|
編集部
個人事業者で、主たる屋号を公表したい場合は、「適格請求書発行事業者の公表事項の公表(変更)申出書」を同時に提出する必要があります。
5.代表者氏名
代表者の氏名を記載します。
個人事業者は、代表者氏名の記載が不要で、空欄のままで提出します。
6.法人番号
法人番号を記載します。
正確な番号を記載するために、法人番号公表サイトで調べてから、記入するようにしましょう。
個人事業者は、法人番号の記載が不要で、空欄のままで提出します。
7.事業者区分
申請書を提出する時点で、 消費税の申告義務がある場合は「課税事業者」に、 申告義務がない場合は「免税事業者」にレ印でチェックします。
申請書を提出する時点で免税事業者の方は、2ページ目の「免税事業者の確認」と「登録要件の確認」の欄に記載が必要です。
8.困難な事情
インボイス制度施行の2023年(令和5年)10月1日から適格請求書発行事業者になるには、原則として2023年(令和5年)3月31日までに登録申請書を提出する必要があります。
ただし、令和5年3月31日まで登録申請書を提出できなかった場合は、この「困難な事情」欄に内容を記載します。
困難な事情の基準は、インボイス通達5-2に下記のような記載があるので、 どんな事情であっても認められるでしょう。
困難な事情があれば、その困難の度合いを問わず、改正令附則第15条に規定する経過措置を適用することができることに留意する。
なお、令和5年3月31日までに申請書を提出する場合は、困難な事情の記載が不要で、空欄のままで提出します。
9.税理士署名
税理士が代理で適格請求書発行事業者の登録申請書を作成する場合に、税理士署名を記載します。
自身で登録申請書を作成する場合は、空欄のままで提出します。
適格請求書発行事業者の登録申請書の書き方(2ページ目)
10.免税事業者の確認
1ページ目の事業者区分で「免税事業者」にチェックを入れた方のみが記載する項目です。A.「令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間中に・・・の適用を受けないこととなります。」
Aは、免税事業者が2023年(令和5年)10月1日から課税事業者となり、適格請求書発行事業者になりたい場合にレ印でチェックします。
適格請求書発行事業者は、課税事業者である必要があり、免税事業者が課税事業者になるには、通常「消費税課税事業者(選択)届出書」を提出する必要があります。
しかし、インボイス制度を機に課税事業者になりたい場合は、 インボイス制度を導入する経過措置として「消費税課税事業者(選択)届出書」の提出が不要になります。
編集部
適格請求書発行事業者になった日からは、取引において、消費税の納税義務が発生し、消費税の確定申告が必要です。
B.個人番号
個人事業者は、マイナンバー(個人番号)を記載します。
法人は記載不要で、空欄のまま提出します。
C.生年月日又は設立年月日
個人事業者は生年月日、法人は設立年月日を記載します。
D.事業内容
個人事業者、法人ともに、事業内容を記載します。
E.事業年度・資本金
法人は、事業年度と資本金を記載します。
個人事業者は記載不要で、空欄のまま提出します。
F.登録希望日
適格請求書発行事業者の登録を受けたい日を記載します。
G.「消費税課税事業者(選択)届出書を提出し、納税義務の免除・・・登録を受けようとする事業者」
「消費税課税事業者(選択)届出書」を提出して、課税期間の初日から適格請求書発行事業者に登録をしたい場合は、レ印でチェックします。
例えば、申請書の提出時点では免税事業者であるが、「消費税課税事業者(選択)届出書」は提出済で、令和5年11月1日から始まる新しい事業年度からインボイス登録をしたい場合などが考えられます。
H.課税期間の初日
「消費税課税事業者(選択)届出書」に記載した、課税期間の初日を記載します。
例えば、上記の場合の、令和5年11月1日から始まる新しい事業年度からインボイス登録をしたい場合は、令和5年11月1日と記載します。
なお、ここに記載できる課税期間の初日は、 令和5年10月1日から令和6年3月31日までのいずれかの日になります。
11.登録要件の確認
I.「課税事業者です。」
課税事業者かどうかの確認項目です。必ず「はい」にレ印でチェックします。
申請書提出時点では免税事業者でも、適格請求書発行事業者となり課税事業者となるためです。
J.「納税管理人を定める必要のない事業者です。」
納税管理人を定める必要がないかどうかの確認項目です。
納税管理人とは、国内に住居や事業所がない場合に、納税義務者に代わって納税の手続きを行う人のことです。
国内に住居または事業所がある場合は「はい」にレ印でチェックします。なお、「納税管理人の届出をしています」はチェック不要です。
納税管理人を定めている場合は、「いいえ」にレ印でチェックし、「納税管理人の届出をしています」に届出書の提出日を記載します。
K.「消費税法に違反して罰金以上の刑に処せられたことはありません。」
消費税法に違反して罰金以上の刑を受けたことがないかどうかの確認項目です。
罰金以上の刑を受けたことがない場合は「はい」にレ印でチェックします。なお、「その執行を終わり、又は執行を・・・」はチェック不要です。
罰金以上の刑を受けたことがある場合は「いいえ」にレ印でチェックし、執行を終えて2年が経過している場合は「その執行を終わり、又は執行を・・・」に「はい」をチェックします。
執行を終えて2年が経過していない場合は「その執行を終わり、又は執行を・・・」に「いいえ」をチェックします。つまり適格請求書発行事業者になることができません。
【記入例】適格請求書発行事業者の登録申請書
適格請求書発行事業者の登録申請書の記入例は、国税庁のHPから確認できます。
記入例も参考にしながら、適格請求書発行事業者の作成を進めましょう。
▶「適格請求書発行事業者の登録申請書」(初葉)の記載例【法人用】|国税庁
インボイス登録には申請書の提出が必要
インボイス登録をするには、 「適格請求書発行事業者」への登録が必要です。
2023年(令和5年)10月1日以降、「適格請求書発行事業者」以外が発行する請求書は仕入税額控除の対象外となるため、必ず手続きを済ませておきましょう。
インボイス制度とは
インボイス制度は、 複数税率に対応した「仕入税額控除」の新しい方式で、請求書発行時の消費税の取り扱いに関する制度です。
現行制度では、発行者、取引年月日、取引金額などが記載された「区分記載請求書」を用いて仕入税額控除が受けられます。
新制度の施行後は、請求書に記載すべき項目が追加された「適格請求書」の発行・保存が義務となります。
編集部
正式名称は「適格請求書等保存方式」です。
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消費税の仕入税額控除とは
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仕入税額控除とは、事業者に対する消費税の二重課税を解消する仕組みです。
事業者が支払う 消費税の納税額は、売上時の消費税額(売上税額)から仕入れなどにかかった消費税額を差し引いて算出されます。
例えば、2,200円(10%税込み)で仕入れた商品を3,300円(10%税込み)で販売した場合、納税額は【(消費者から受け取った消費税額300円)-(仕入先に支払った消費税額200円)=100円】となります。
▶関連記事:インボイス制度の目的をわかりやすく解説!メリット・デメリットや「ひどい」と言われる理由は?
インボイス制度による影響
インボイス制度によって、 課税事業者には「適格請求書(インボイス)の発行」と「発行した適格請求書の写しの保管」の義務付けられます。
事前に「適格請求書発行事業者」の登録を行い、登録番号を取得しておきましょう。
また、仕入税額控除の適用を受けるためには、取引先(仕入れ先)から適格請求書の交付を受け、保存しておく必要があります。
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課税事業者とは
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課税事業者とは、国や地方公共団体に対して 消費税を納める義務のある法人や個人事業主のことを指します。
消費税法によって定められた基準により、年間の売上高が一定額以上の事業者は課税事業者となります。
課税事業者は、自社が課税対象となる商品やサービスを提供した場合には、その消費税を徴収して国や地方公共団体に納める必要があります。
インボイス制度の登録申請をしないとどうなる?
インボイス制度の登録申請をしなかった場合、 「消費税を取引先に請求できない」 「消費税の仕入額控除が受けられない」といった経済的損失を招く可能性があります。
また、インボイス制度を導入することで業務の効率化や課税処理の正確性が向上するなど、メリットも多くあります。
課税事業者は制度の導入に向けて早めに準備をし、スムーズな移行を図ることが大切です。
▶関連記事:【図解】2023年10月から始まるインボイス制度とは?世界イチわかりやすく解説!
適格請求書とは
適格請求書(インボイス)とは、 取引における消費税額や適用税率などが詳細に記載された書類の形式です。
必要な項目を記載すれば、領収書の他にも納品書や領収書、レシートなども、適格請求書に該当します。
取引の際に必要な書類であり、取引相手企業が税務処理を行うためにも必要なものです。
編集部
適格請求書を発行できるのは、事前に申請を行った「適格請求書発行事業者」のみです。
適格請求書発行事業者とは
適格請求書発行事業者とは、 消費税の税額控除に必要な請求書を発行する資格を持った事業者のことです。
この資格を取得することで、取引先への信頼度を高められます。
税務署に申請を行い、承認を受けることで適格請求書発行事業者となります。なお、申請は毎年必要で、年度ごとの更新が求められます。
適格請求書発行事業者の登録対象
適格請求書発行事業者に登録できるのは、原則として「課税事業者」のみです。
課税事業者とは、消費税の課税期間にかかる基準期間における課税売上高が1,000万円を超える事業者のことを指します。
免税事業者が適格請求書を発行するには、事前に「消費税課税事業者選択届出書」を所轄の税務署長に提出し、課税事業者となる必要があります。
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免税事業者とは
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免税事業者とは、課税売上高が1,000万円に満たない事業者を指します。
免税事業者は、 取引によって受け取った消費税を納税する義務が免除されます。
▶関連記事:消費税の課税事業者と免税事業者の違いは?インボイス制度との関係や節税方法を解説!
適格請求書発行事業者になると登録番号が割り振られる
インボイスの登録申請が完了すると、事業者ごとの「登録番号」が発行されます。
登録番号の表記は、 法人の場合「T+法人番号」、個人事業主などの場合は「T+13桁の数字」です。
なお、インボイス(適格請求書)を発行する際には、必ず自社の登録番号を記載する必要があります。
編集部
登録番号が記載されていない請求書はインボイスとして認められません。
適格請求書発行事業者の登録申請手順
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STEP.1
登録申請書の作成
書面で登録申請をする場合は、国税庁のHPより申請書をダウンロードし、必要事項を記載しましょう。
なお、インボイス制度の登録は、e-Taxを使った電子申請にも対応しています。 -
STEP.2
登録申請書を国税庁に提出
書面で手続きを行う場合は、管轄地域の「インボイス登録センター」に申請書を送付しましょう。
e-Taxで登録申請をする場合は、システム上で申請書を提出できるので、郵送等は不要です。 -
STEP.3
国税庁からの通知
登録申請が完了すると、インボイス制度の登録番号や公表情報などが記載された「登録通知書」が国税庁から届きます。
e-Taxで申請をした場合は、電子データで登録通知書を受け取ることが可能です。 -
STEP.4
取引先へ通知
継続的に取引を行う取引先に対して、登録番号やインボイスの交付・受領方法などを連絡しておきましょう。
なお、e-Taxで登録申請した場合は、電子データによる登録通知を選択可能です。
適格請求書発行事業者の登録申請書の提出方法は2通り
e-taxによる電子申請
インボイス登録は、e-Taxを使った電子申請にも対応しています。
登録申請手続については 「e-Taxソフト」のほか、「e-Taxソフト(WEB版)」及び「e-Taxソフト(SP版)」でも送信可能です。
なお、操作方法については、国税庁HP内の作成マニュアルより確認できます。
ダウンロードした書類をインボイス登録センターに郵送
郵送で手続きをする場合は、申請書類に必要事項を記入したうえで「インボイス登録センター」に送付しましょう。
「インボイス登録センター」とは、 インボイス制度に関する申請書等の入力や電話照会等の事務について集約処理を行う機関です。
適格請求書発行事業者の登録申請に必要なもの・書類
インボイス制度の登録申請に必要なものは、申請方法によって異なります。
パソコン・スマートフォンで申請する場合
- マイナンバーカードなどの電子証明書
- 利用者識別番号(e-Taxで取得)
利用者識別番号は、電子申告をするために必要な16桁の識別番号です。
書面で申請する場合
- 適格請求書発行事業者の登録申請書
- マイナンバーカードなどの本人確認書類(個人事業主が書面で申請する場合)
マイナンバーカードを持っていない個人事業主は、 通知カードなどの番号確認書類と 運転免許証などの本人確認書類が必要です。
適格請求書発行事業者の登録申請期限はいつまで?
インボイス制度施行初日の2023年(令和5年)10月1日から適格請求書発行事業者になるには、 令和5年(2023年)9月30日までに登録申請書を提出する必要があります。
申請期日が迫っているため、対応に向けて早めに準備をし、スムーズに登録番号を得られるようにしましょう。
適格請求書発行事業者(インボイス制度)の登録申請スケジュール | ||||
---|---|---|---|---|
2021年10月1日 | 2022年 | 2023年9月30日 | 2023年10月1日 | 2024年 |
適格請求書発行事業者の登録申請 受付開始 |
適格請求書発行事業者の登録申請 受付期限 |
インボイス制度適用開始 ⇒適格請求書でなければ、仕入税額控除の適用が受けられない |
インボイス制度の登録申請書はどこでもらえる?
インボイス制度の適格請求書発行事業者の登録申請書は、 国税庁のHPからダウンロードできます。
窓口または郵送での手続きを希望する場合は、ダウンロードした書類を印刷したうえで必要事項を記入しましょう。
なお、国税庁のHPでは、登録申請書の記載例やフローチャートも掲載されているため、登録申請について不明な点がある場合は確認してみましょう。
インボイス制度の申請書に関するよくある質問
A
2022年12月23日に閣議決定で、適格請求書発行事業者の登録申請書の提出期限が、2023年3月31日から2023年9月30日に延長されました。
A
適格請求書発行事業者公表サイトは、登録番号に関する確認が行えるサイトです。(法人のみ)
適格請求書発行事業者公表サイトでは、以下の内容が確認できます。
- 取引先から受領した請求書等に記載されている番号が「登録番号」かどうか
- 記載された「登録番号」が取引時点で有効なものか(適格請求書発行事業者が登録の取消を受けていないか)
A
適格請求書発行事業者に登録しなくても影響を受けにくい業界には、農業や漁業、建設業などがあります。
これらの業界は、一般消費者向けの商品やサービスを提供する際には、消費税がかかることが少なく取引先も限られていることで、インボイスの発行が必要な場面が少ないためです。
ただし、これらの業界でも取引先が法人や官公庁の場合は、インボイス制度に準拠する必要があるため注意が必要です。
まとめ
今回は、インボイス制度における、適格請求書発行事業者の登録申請書の書き方を徹底解説していきました。
インボイス登録をするには、適格請求書発行事業者への登録が必要なので、余裕を持って登録申請書の作成を進めておきましょう。
正確な登録申請書を作成するために、適格請求書発行事業者の登録申請書の書き方を参考にしてみてください。
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この記事を書いたライター
Wiz Cloud編集部
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