インボイス制度とは、商品やサービスを提供する事業者が受け取る側に対して請求書を発行する仕組みのことです。
しかし、具体的にどのような仕組みなのかやどんな企業に対応が必要なのかわからないといった方も多いのではないでしょうか。
本記事では、インボイス制度の基礎知識や負担軽減方法について徹底解説していくので、事業者の方必見にお内容です。
【図解】今さら聞けないインボイス制度の仕組み
インボイス(適格請求書)とは?
インボイスとは、販売者が発行する代金請求書のことで、商品の内容、数量、価格、消費税額、支払期限などが記載されます。
取引の際に必要な書類であり、取引相手企業が 税務処理を行うためにも必要 なものです。
インボイス制度は、請求書発行時の消費税の取り扱いに関する制度であり、国際取引においては必須の書類となります。
インボイス制度はなんのために導入される?
インボイス制度は、財務省が実施する税制改正によって導入されたもので、 税金の徴収を効率的に行うため に導入されました。
従来の紙ベースの請求書に比べ、電子的なインボイスはより正確で、迅速かつコスト効果的に情報を管理できます。
また、税務当局にとっても透明性が高く、不正な請求書や脱税を抑制する効果が期待されます。
課税事業者と免税事業者の違い
課税事業者と免税事業者の違いは、 商品や売上から消費税を課税されるかどうか にあります。
例えば課税事業者は、売上から消費税を納める義務がある一方、免税事業者であれば消費税を納める必要がないため、商品やサービスの価格が安くなります。
ただし、免税事業者は消費税の控除ができないため、原材料や設備などを購入する際には、課税事業者よりも高い負担が発生する場合があります。
インボイス制度でなにが変わる?
仕入税額控除の要件が変わる
インボイス制度導入により請求書の作成要件が厳格化されたため、仕入税額控除を受けるためには、要件に合わせて仕入金額を計上する必要があります。
具体的には、請求書の発行者や発行日、品目名や数量、金額などが記載されている必要があるため、 従来よりも要件が厳しくなっています。
また、インボイス制度では税額控除をするために、課税事業者自身が適格請求書を発行する必要があるため注意しましょう。
請求書の様式が変わる
インボイス制度により、請求書の様式が変わり、現行の請求書とは異なるフォーマットになります。
具体的には、 発行者・受領者の名称や住所、支払い期日、消費税額 などの記載が必要です。
また、デジタルでの請求書の発行が可能となるため、紙の請求書とは異なるデジタルフォーマットも規定されます。
インボイス制度はいつから始まる?
2023年10月から適用が開始
インボイス制度は、2023年10月1日から開始される法制度であり、 請求書の電子化 によって取引の課税を行うものです。
これによって、紙ベースの請求書に比べて効率的で簡便な取引が可能となり、負担の軽減が期待されています。
ただし、事業者側はシステムの導入や取引の適切な管理についても責任を持つ必要があるため、注意が必要です。
義
務ではないが対応は必須インボイス制度は、 必ずしもすべての事業者で対応が義務付けられているわけではありません。
しかし、インボイス制度によって事業者の負担を軽減できるため、多くの事業者にとっては対応が必須といえます。
また、取引先からの要望や、ビジネス上のメリットなどから、インボイス制度を導入することが一般的には推奨されています。
インボイス制度はやらないとどうなる?
課税事業者の場合
インボイス制度は課税事業者にとっては必須の制度であり、導入しないと税務署からの 指摘や違反金の対象 になることもあります。
また、インボイス制度を導入することで業務の効率化や課税処理の正確性が向上するなど、メリットも多くあります。
課税事業者は制度の導入に向けて早めに準備をし、スムーズな移行を図ることが大切です。
免税事業者の場合
免税事業者でもインボイス制度に参加しないと、消費税の納付義務が生じる可能性があります。
これにより、 今まで受け取っていた消費税分を納付する 必要が生じ、資金繰りが悪化することが考えられます。
必要に応じて、適格請求書発行事業者としての登録を検討しましょう。
インボイス制度はひどい?負担軽減策4選
課税事業者の場合
システム導入の補助金を利用する
インボイス制度の負担軽減策の1つとして、システム導入の補助金を活用することが挙げられます。
国や地方自治体からの補助金を活用することで。
インボイス制度に関するシステムやソフトウェアを 導入するための費用を削減することができます。ただし、補助金の申請には条件や手続きが必要となるため、詳細については担当機関に確認することが必要です。
適格請求書の保存が不要になるケースがある
インボイス制度の導入後、課税事業者であれば、特定の条件を満たすことで 適格請求書の保存が不要になるケースがあります。
例えば、売上が100万円以下の場合や、個人宛ての請求書である場合、適格請求書の保存や発行をする必要がなく、負担を軽減することができます。
ただし、請求書の内容に不備がある場合は、消費者からのクレームに対応できなくなる可能性があるため、慎重な対応が求められる点に注意しましょう。
免税事業者の場合
消費税の2割特例
インボイス制度の2割特例とは、インボイスの実施による事業者負担を少なくすることができる、 国税庁が定める2割控除特例のこと です。
この特例は、取引先から領収書を受け取らずに 請求書だけで消費税を申告・納付する方法 で、消費税額のうち2割を控除することができます。
ただし、特例を利用するには、 取引先が日本国内に事業所を有する法人であること や、請求書に特定事項が含まれているなどの条件があります。
申請期間の延長
インボイス制度の適格
事業者登録 申請期限は、当初2023年3月31日まででしたが、 2023年9月30日まで9月末までに期限が延長されました。このため、企業はより十分な時間を確保し、インボイス制度への準備や対応を進めることができます。
特に、適格請求書の発行義務や記載事項の義務などによって、取引先との調整に時間を要するケースが多い場合には、有効な対応策となるでしょう。
インボイス制度のメリット
インボイス制度のメリットは、請求書を紙から電子データに置き換えることで、請求書の送付・受領に関するトラブルを減らすことが挙げられます。
また、紙の請求書発行による印刷や郵送等のコスト削減や、取引先とのスムーズな決済が可能になることも大きなメリットの一つです。
さらに、データの正確性を確保しやすくなることによって、 税務申告におけるミスマッチや不正請求の防止 にもつながります。
▶関連記事:インボイス制度にメリットや抜け道はある?事業者のデメリットや対応のポイントを解説!
インボイス制度のデメリット
インボイス制度のデメリットとしては、手続きが複雑化することや、 発行者と受領者間での情報共有が必要となる ことが挙げられます。
また、紙ベースの請求書と比べて電子化する必要があるため、コンピューターシステムやデジタルスキルが不十分な企業にとっては負担となる場合もあります。
さらに、インボイス制度によって取引が容易になることで、取引量が増加することが予想されるため、経理処理や税務申告にかかる負荷が増える可能性もあります。
▶関連記事:インボイス制度にメリットや抜け道はある?事業者のデメリットや対応のポイントを解説!
インボイス制度に対応する手順
自社の事業者区分を確認する
インボイス制度に対応するためには、まず 自社がどの事業者区分に属するか確認する 必要があります。
具体的には、消費税法に基づく「一般課税者」か「簡易課税者」かを判断することが重要です。
事業者区分によって、インボイス発行の手続きや書類の取り扱いが異なるため、正確な確認しておきましょう。
適格請求書発行事業者の登録・申請をする
インボイス制度に対応するためには、適格請求書発行事業者として登録や申請を行う必要があります。
適格請求書発行事業者とは、 インボイスを発行するための要件を満たしている企業のこと です。
国税庁のホームページから適格請求書発行事業者の登録を行い、登録番号を取得することでインボイスの発行が可能になります。
インボイスに対応したシステムを導入する
インボイス制度に対応するためには、自社のシステムをインボイスに対応させる必要があります。
具体的には、 インボイスの発行、受領、保存、管理などの業務をシステム上で行えるようにする 必要があります。
システム導入には、自社の業務に合わせたカスタマイズや、データの入力や管理などの作業をスムーズに行うためのトレーニングが必要です。
インボイスに対応したことを取引先に周知する
インボイス制度に対応するためには、 自社の取引先に周知する ことが重要です。
取引先に対して、インボイス制度の導入や対応について情報を提供し、円滑な取引が行えるようにすることが必要です
具体的には、制度の概要や手順、必要な情報の提供方法などをわかりやすく説明し、問題が起きないようにすることが大切です。
インボイス制度のよくあるQ&A
A
インボイス制度は、フリーランスや個人事業主にも影響がある制度です。特に、事業主側がインボイスを発行しない場合、個人事業主は請求書を発行する必要があるため、手間が増えることになります。
A
インボイス制度の導入によって、従来の請負業者や協力業者間での支払いが現金から請求書の発行に移行されます。インボイス制度の運用や管理に必要なコストや時間が負担となる場合もあるので注意しましょう。
まとめ:2023年10月導入のインボイス制度に備えよう!
インボイス制度は適切に導入することで、取引先との信頼関係を築き、 納税義務の遵守やキャッシュフローの改善 につながります。
ただし、請求書の管理や効率的な税率計算のためには、インボイス制度に対応したサービスやシステムを導入する必要があります。
インボイス制度が始まる2023年9月30日に向け、自社のシステムや業務フローの見直しをしてみてはいかがでしょうか。
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この記事を書いたライター
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