個人事業主の消費税はいつから払う?計算方法やインボイス制度の影響をやさしく解説!

こんな方におすすめ!
  • 個人事業主の消費税はどう払う?
  • 節税する方法はある?

個人事業主の消費税は、提供する商品やサービスの対価で得た売上を元に計算されます。

しかし、消費税納税が不要な免税事業者の概要や、消費税申告の方法が分からない方も多いのではないでしょうか。

本記事では、個人事業主の消費税やインボイス制度との関係などを徹底解説していくので、個人事業主の方には必見の内容です。

個人事業主の消費税の基礎知識

個人事業主の消費税の基礎知識

消費税とは

消費税とは、 商品やサービスの消費に課される税金 であり、国の歳入の一つとして重要な役割を持っています。

消費税額は、原則として税率と税抜価格によって算出され、 課税事業者が負担 します。

国が運営する一般財源の一つであり、国や地方自治体の公共事業や社会保障などの財政支出に充てられます。

課税事業者とは

課税事業者とは、国や地方公共団体に対して、 消費税を納める義務のある法人や個人事業主のこと を指します。

消費税法によって定められた基準により、年間の売上高が一定額以上の事業者は課税事業者となります。

課税事業者は、自社が課税対象となる商品やサービスを提供した場合には、その消費税を徴収して国や地方公共団体に納める必要があります。

課税事業者の要件

課税事業者になるのはこんな方!
  • 課税売上高が1,000万を超えた事業者
  • 前年上半期の課税売上高が1,000万円を超える個人事業主

  • 資本金が1,000万以上の新設法人
  • 消費税課税事業者選択届出手続を行った事業者

課税事業者と判定される条件は、年間の売上高が一定額以上であることや、法人格を持った企業であることなどが挙げられます。

資本金が1,000万円を超える新設法人も対象となるため、 規模が大きく多くの売上がある企業に該当する場合が多い です。

また、インボイス制度への対応で、消費税課税事業者選択届出手続を提出した企業も課税事業者となります。

免税事業者とは

免税事業者とは、税法によって定められた条件を満たした事業者で、 税金を一部または全額免除できる制度が利用可能 です。

具体的には、消費税や法人税、所得税など税額控除が該当します。

しかし、免税の対象や範囲は制限があるため、詳細な条件を確認する必要があります。

免税事業者の要件

免税事業者の要件
  • 基準期間における課税売上高が1,000万円以下の事業者
  • 特定期間における課税売上高が1,000万円以下の事業者

免税事業者と判定される条件は、 基準期間や特定期間の課税売上高が1,000万円以下の事業者が該当 します。

個人事業者の方の基準期間は、課税期間の前々年となり、特定期間は前年の1月1日から6月30日までの期間となります。

自身が免税事業者となる条件を理解しておくことで、適格な消費税納税が可能です。

課税事業者と免税事業者の違い

課税事業者と免税事業者の違いは、 消費税を納税する義務があるかどうか にあります。

下記を参考に、課税事業者と免税事業者それぞれの違いを詳しく見てみましょう。

課税事業者は消費税納付の義務が発生

課税事業者と免税事業者の違いの一つに、消費税の納付義務があるかどうかがあります。

課税事業者である場合、消費税の対象となる販売やサービス提供を行った場合、 消費税の納付が義務付けられます。

消費税の納付義務を果たさない場合、 税務署からの指導や、罰則金の課税を受ける 可能性があります。

免税事業者は消費税納税の義務が免除

免税事業者は、消費税法で規定された条件を満たす場合、 消費税の納付義務が免除されます。

具体的には、年間の売上高が一定額以下である場合や、特定の業種に該当する場合などがあります。

ただし、免税事業者であっても、 取引先から請求された消費税をそのまま負担する 場合がありますので、注意が必要です。

個人事業主の消費税納税の仕組み

個人事業主の消費税納税の仕組み

個人事業主の消費税納税は、消費者が払った消費税をまとめて納付しますが、 全額を納付するわけではありません。

例えば、材料費などの仕入れに消費税がかかっている場合は、課税売上から仕入れにかかる消費税を差し引いて納税します。

個人事業主の消費税はいつから払う?

個人事業主の消費税はいつから払う?

消費税の支払日

個人事業主の消費税は、原則として決算日の翌日から2か月以内に支払う必要があります。この期日は税法により定められており、遅延すると過延滞税が課されます。

例えば、12月末が決算日の事業主であれば、翌年の2月末までに消費税を納付することになります。

また、税額が40万円を超える場合は、 予定納税が必要となり、年2回、6月と11月に納税しなければなりません。

課税のタイミング

個人事業主が消費税を払い始めるのは、 年間売上が1,000万円を超えた時点から です。

これは、消費税法に定められた基準に基づくもので、年度の途中で売上が1,000万円を超えた場合でも、その時点から消費税の課税対象となります。

ただし、任意で課税事業者となることも可能で、この場合は売上額に関わらず消費税を払うことになります。

個人事業主の消費税の計算方法

個人事業主の消費税の計算方法

消費税の計算方法は、税抜価格に消費税率を乗じることによって求めます。

消費税率は現在、 一般的な商品・サービスには10%、飲食料品には8%が適用されています。

例えば、税抜価格が10,000円の商品の場合、消費税込み価格は11,000円(10,000円×1.1)となります。

原則課税方式の計算方法

原則課税方式の計算方法は、販売した商品や提供したサービスの価格に消費税を上乗せし、それが課税売上となります。

消費税の額は、この課税売上額から課税仕入額を引いた結果を基に算出されます。一方で、課税仕入額は購入した商品やサービスにかかった消費税の合計です。

これらの計算を正確に行うことで、適切な消費税額を導き出すことができます。ただし、 誤りがあると税務調査で問題となる可能性があるため注意が必要 です。

簡易課税方式の計算方法

簡易課税方式の計算方法

納付税額=課税期間中の課税売上にかかる消費税額×(100%-みなし仕入率)

簡易課税方式では、売上高に一定の比率を掛けることで課税売上高を算出します。その後、この課税売上高に消費税率を乗じることで消費税額を計算します。

この方式の特徴は、 課税仕入れが関与しない点で、会計作業の負担を軽減する効果があります 。しかしながら、この方式を選択するためには税務署への届出が必要です。

また、簡易課税方式は特定の条件を満たす事業者しか選択できない制限もありますので、注意が必要です。

個人事業主が消費税を払えないとどうなる?

個人事業主が消費税を払えないとどうなる?

納付期限に応じて延滞税が課される

個人事業主が消費税を納付期限までに払えない場合、延滞税が課されます。

延滞税の金額は、納税すべき税金の金額と延滞期間により計算され、その 期間が長くなるほど、納付すべき税金も増えます。

ただし、特別な理由がある場合、税務署への相談により猶予や分割払いが可能となることもあります。

支払督促や差し押さえのリスクがある

個人事業主が消費税を払えない場合、 税務署から支払いの督促や財産の差し押さえが行われる可能性があります。

これは、法律によって定められており、税金の適切な収納を図るための手段です。支払督促は、納税の義務を明確に指摘し、消費税の支払いを求めるものです。

一方、差し押さえは、未納税金を回収するために、事業主の財産を控える措置です。

納税できない場合は猶予申請を検討する

個人事業主が消費税を納税できない状況に陥った場合、税務署への猶予申請を検討することが重要です。

猶予申請は、特別な理由がある場合に限り、税務署から承認される可能性があります。 具体的な理由としては、災害、病気、事業の悪化などが考えられます。

猶予期間中は延滞税が課されないので、経済的な負担を軽減できます。ただし、猶予は一時的な措置であり、期間が過ぎれば通常通りの納税が求められます。

課税事業者になるために必要な届け出

課税事業者になるために必要な届け出

消費税課税事業者届出書(基準期間用)の提出

個人事業主が課税事業者となるためには、開業した年度の翌年度の2月1日までに税務署へ、 消費税課税事業者届出書(基準期間用)の提出が必要 です。

届出書には、事業者の基本情報や事業内容、売上予想額などを記入し、課税事業者としての意思を明確に示します。

​​​​​​​この届出により、売上額が1,000万円未満でも消費税を扱うことが可能となります。その結果、消費税を戦略的に活用する道が広がることとなります。

消費税課税事業者届出書(特定期間用)の提出

個人事業主が任意に課税事業者になる際は、消費税課税事業者届出書(特定期間用)の提出が必要です。

​​​​​​​この届出は、課税期間の開始前日までに行われるべきもので、 事業の開始から1年以内の早期届出が推奨されています。 届出書には、基本的な事業者情報、事業内容、想定される売上高等を詳細に記入します。

​​​​​​​特定期間用の届出書の提出により、事業開始直後から消費税の還付を受けられる等、税制上のメリットを享受することが可能になります。

個人事業主の消費税を節税する方法

個人事業主の消費税を節税する方法

課税事業者になる

個人事業主が消費税を節税する一つの方法として、課税事業者に登録することが挙げられます。

​​​​​​​課税事業者になると、経費にかかった消費税を入力税として全額控除することができます。これは、 自身の事業にかかった消費税負担を軽減する効果があります。

ただし、課税事業者になることは、税務管理が厳しくなる一方で、経費の消費税控除による節税効果を享受できるというメリットがあります。

法人成りを検討する

個人事業主が消費税を節税する手段の一つとして、法人成りを検討することもあります。

​​​​​​​法人化すると、消費税の課税総額に応じた減税措置を受けられる可能性があります。これは、個人事業主としての活動から法人への変更により、 税制上の優遇措置を享受することが可能となる からです。

ただし、法人化には手続きが必要であり、また、税務や会計の管理がより厳格になります。そのため、法人化を検討する際は、節税効果と経営の複雑さをしっかりと比較考慮する必要があります。

課税事業者が消費税で注意すべきポイント

課税事業者が消費税で注意すべきポイント

消費税の還付は原則課税方式で納税する課税事業者のみ

課税事業者が受けられる還付は、原則課税方式のみが対象であるため、 簡易課税方式で納税していると対象外となる 点に注意しましょう。

還付とは、消費税法に基づいて、事業者が過剰に支払った消費税額を税務署から返還してもらえる制度のことです。

自社の事業内容や規模に応じて、原則課税方式と簡易課税方式の2つから、適切な課税方式を選択するようにしましょう。

消費税の還付とは

個人事業主における消費税の還付は、支払った消費税が売上に対する消費税を上回った際に、その 差額を税務署から返金されるシステムを指します。

​​​​​​​これは、事業において必要な経費や投資に対する消費税(入力税)が、自身の売上に対する消費税(徴収税)を上回る状況を想定しています。

​​​​​還付申請は、確定申告と同時に行われます。その結果、経営における現金流の改善や、事業運営の負担軽減に繋がります。

消費税の還付を受ける方法

個人事業主が消費税の還付を受けるには、確定申告時に消費税申告書を提出することが必要です。

この申告書には、その課税期間における売上に対する消費税(徴収税)と、経費等にかかった消費税(入力税)を明確に記載します。

もし入力税が徴収税を超えた場合、その差額が還付されます。ただし、 還付を受けるには課税事業者として登録していることが必須条件 です。

課税方式変更後は2年間は戻せない

一度課税事業者になると、課税事業者になった年度の翌年度からスタートし、その後2年間課税事業者を継続する必要があります。

期間中に事業を廃止する場合でも、課税事業者としての消費税の納付義務が継続されるため、 免税事業者に戻ることは原則としてできません。

ただし、特別な事情がある場合には、免税事業者に戻ることが認められることがあるため税務署に相談しましょう。

個人事業主が知っておきたい消費税のポイント

個人事業主が知っておきたい消費税のポイント

課税売上が5,000万円を超えた場合の課税方式

個人事業主の課税売上が5,000万円を超えた場合、 消費税の課税方式が一般課税事業者に変わります。

これは、課税売上高が一定の基準を超えると自動的に課税事業者となる法制度です。

​​​​​一般課税事業者になると、売上に対する消費税を計算する際、税込価格から税率を適用して消費税額を算出します。また、経費にかかった消費税を全額控除することが可能となります。

免税事業者でも消費税を請求できる場合がある

課税事業者になる際の注意点として、 免税事業者であっても消費税の請求は可能であることを知っておくことが重要です。

免税事業者でも、消費税を含めた金額を顧客に請求することが認められているためです。

ただし、免税事業者が消費税を請求する場合、顧客に対してその旨を明確に表示し、信頼関係が崩れないようにしておきましょう。

個人事業主が消費税を納税する方法・流れ

個人事業主が消費税を納税する方法・流れ
こんな方におすすめ!
  • 1.消費税納付期限の確認
  • 2.確定申告書類の入手  
  • 3.確定申告書類の記入 
  • 4.確定申告書類の提出

個人事業主が消費税を納税するためには、毎年2月末日までに前年度の売上高と仕入れ等にかかった消費税を基に計算し、税務署へ申告書を提出することが求められます。

申告する際は、電子申告・納税システムe-Taxを用いることで、 インターネットを通じて申告や納税を行うことも可能 です。

​​​​​​​消費税の申告や納税は、事業を運営する上で欠かすことのできない重要な業務であり、期日を過ぎると遅延納税加算税が発生するため、適切な管理と計画が必要です。

個人事業主の消費税がインボイスで受ける影響は?

個人事業主の消費税がインボイスで受ける影響は?

インボイス制度とは

インボイス制度とは、企業間の取引において、商品やサービスの代金支払いに関する情報を 電子的にやりとりするシステム です。

請求書や領収書の作成や保管、紛争の解決が効率的に行われることが期待されており、税務上の申告書類の作成も簡素化されます。

インボイス制度は、グローバルなビジネスの拡大にも貢献し、国内外の企業がより円滑に取引を行うことができます。

【売上1,000万円以下】個人事業主の消費税への影響

個人事業主で年間売上が1,000万円以下の場合、 インボイス制度の導入による消費税の影響は限定的 です。

​​​​​​​具体的には、取引先が課税事業者であっても消費税の還付は受けられません。

ただし、1,000万円を超えると課税事業者となり、還付の対象となるため、売上の変動には注意が必要です。

【売上1,000万円以上】個人事業主の消費税への影響

個人事業主で年間売上が1,000万円以上の場合、 インボイス制度の導入による消費税の影響は大きくなります。

​​​​​​​主に、購入した商品やサービスにかかる消費税を還付できるようになることが挙げられます。これは、課税売上が1,000万円を超えた個人事業主が課税事業者として認められるためです。

​​​​​​​しかし、逆に売上に対する消費税を納税しなければならなくなるため、納税計画に注意が必要です。また、消費税の還付申請や計算には細心の注意が必要ですので、適切な税務対策を行いましょう。

インボイス(適格請求書)は課税事業者のみが発行できる

インボイス(適格請求書)は、課税事業者が 適格請求書発行事業者になることで発行することができる請求書のこと です。

免税事業者は発行することができず、課税される事業者が自社が販売またはサービス提供を行ったことを証明するために使用します。

また、インボイスには一定の書式が規定されており、厳密な書式を守って発行することが求められます。

個人事業主の消費税でよくある質問|Q&A

個人事業主の消費税でよくある質問|Q&A
Q
個人事業主の消費税の支払日はいつですか?

A

個人事業主の消費税の確定申告は、3月31日までに申告・納付をする必要があります。また、消費税の引き落とし日は消費税は5月19日です。

Q
免税事業者でも消費税を受け取ることはできる?

A

免税事業者でも消費税を受け取ることは可能です。ただし、請求先の事業者と事前に話し合いをしておかないとトラブルに発展しかねないため、注意しましょう。

Q
個人事業主の消費税免除がなくなるってホント?  

A

インボイス制度導入によって、課税事業者同士の取引増加が予想されます。そのため、消費税納税義務が免除される免税事業者のメリットが少なくなり、課税事業者への変更をする事業者が多くなるでしょう。

まとめ:個人事業主の消費税を節税したいなら課税事業者になるのがおすすめ!

まとめ:個人事業主の消費税を節税したいなら課税事業者になるのがおすすめ!

個人事業主の消費税は、売上高や事業者区分によって納付額や方法が異なります。

特に、2023年10月から始まるインボイス制度によって、 免税事業者の方は課税事業者に変更する必要がある場合もあります。

本記事を参考に、個人事業主の基礎知識についてしっかりと理解して、インボイス制度への準備を進めていきましょう。

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この記事を書いたライター

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