パート・アルバイトを多く抱える飲食・小売・サービス業の店舗や、人手が限られるバックオフィスでは、人件費の上昇をどう吸収するかが切実な課題になりつつあります。
本記事では、最低賃金引き上げの最新動向をふまえ、賃上げの原資を「省人化」と「固定費削減」で捻出する考え方を整理します。
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最低賃金、2026年度改定の審議始まる【速報】
厚生労働省は6月26日、2026年度の最低賃金の引き上げ額の「目安」をめぐる議論を始めました。 最低賃金は近年、高い引き上げ基調が続いており、2025年度は前年比6.2%増の66円引き上げと、過去最大の上げ幅 となりました。
政府はかつて全国平均1,500円の達成を2020年代中とする目標を掲げていましたが、現在は達成時期の見直しを検討しており、今後の審議で方針が確定する見込みです。
中央最低賃金審議会は夏ごろに目安を示し、各都道府県が秋以降に改定額を決める見通しです。
2025年10月から最低賃金が1,121円に|経営者が抑えるべきポイント
最低賃金は、すべての労働者に支払うべき最低限の時給を法律で定めたものです。2025年10月の改定では、地域別最低賃金が1,121円となりました。
厚生労働省の資料によると、前年の1,055円から66円の引き上げで、1978年に目安制度が始まって以来、過去最大の上げ幅です。
わかりやすく言うと、 フルタイム(月160時間程度)で働く方1人あたり、単純計算で月約10,000〜10,500円程度の人件費増 となります(66円×160時間)。雇用形態や他手当の見直しを含めると実態はさらに増加することもあります。
また、今回は全47都道府県で最低賃金が1,000円を超え、地方でも賃金水準が底上げされました。「地方だから人件費は抑えられる」という前提は、見直す時期に来ています。
出典:Yahoo!ニュース
最低賃金改定に向けた厚生労働省の動きと2026年度の論点
厚生労働省の中央最低賃金審議会(国の最低賃金の目安を労使・専門家で話し合う場)は、2026年2月に目安制度の在り方などの検討を開始し、 6月26日には2026年度の引き上げ額の目安をめぐる本格的な審議が始まりました 。
例年の流れでは、 7月頃に引き上げの目安額が答申(審議会から国への意見の提出)される見込みです。つまり、来年度いくら上がるかの「たたき台」が、今夏に示されます。
政府は全国平均1,500円という目標を掲げており、目標の達成には今後も年7%前後の引き上げが続く必要があるとしている試算もあります。

編集部
2026年6月時点では、金額は未確定ですが、上昇基調そのものは続くという見方が多いです。
最低賃金引き上げの影響|店舗の負担増とバックオフィスの業務逼迫
最低賃金の引き上げが 直接響くのは、時給で働く方の比率が高い現場です。
最低賃金の引き上げに伴う店舗への影響
飲食・小売・サービス業などの店舗運営では、ピーク時間帯に人員を厚くする一方で、賃上げ分をそのまま販売価格へ転嫁しづらいという声があります。
実際、人件費の上昇分を「価格に転嫁する」と回答した事業者がある一方で、「打てる対策がない」とする企業も一定数あるという調査結果も出ており、対応に差が出ています。
最低賃金の引き上げに伴うバックオフィスへの影響
最低賃金の引き上げは、バックオフィス(経理・労務などの間接部門)にも影響を及ぼします。
最低賃金の改定時には、雇用契約書や労働条件通知書の更新、月給制社員の時給換算チェック(月給を月の所定労働時間で割り、最低賃金を下回っていないか確認する作業)など、付随する事務が増える傾向にあります。
改定に伴う対応作業に追われると、本来の業務が圧迫されかねません。
最低賃金引き上げ対策|原資を捻出する「省人化」と「固定費削減
人件費の上昇を吸収する方向性は大きく分けて2つあり、1つは「省人化で必要な人手そのものを最適化すること」、もう1つは「固定費を削減して原資を生み出すこと」です。最低賃金対策における省人化アプローチ
- 注文や会計の自動化システムを導入し、ホール業務の負荷を下げる(POSレジやモバイルオーダー)
- 勤怠管理システムを導入し、労働時間の管理工数と賃金計算の手戻りを削減する
- タイミー等のスポット人材サービスで、必要な時間だけ働き手を確保する(繁忙期対応)
- IVRを導入し、電話対応にかかる人件費を最適化
最低賃金対策における固定費削減アプローチ
- 電力・ガスの契約先を見直す
- 固定電話のクラウド化で固定費を削減する
- 社用スマホのプランを見直す
- グルメサイトの送客手数料を見直す

編集部
削減できた固定費は、そのまま賃上げの原資に回せます。設備投資をともなわず着手しやすい点も特徴です。
「賃上げ対策チェックリスト|自社の現状と自動化の余地を点検
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自社の事業所がある都道府県の最低賃金と発効日を確認したか
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月給制社員の時給換算額が、改定後の最低賃金を下回っていないか
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ピーク時間帯の人員配置に、自動化・省人化の余地はないか
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繁忙期の人手を、スポット人材で変動費化できないか
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電力・ガスなどの固定費を、直近で見直したか
最低賃金引き上げに備える対策のまとめ
最低賃金1,121円という水準は、いったんの到達点ではなく、上昇基調の通過点と捉えるのが現実的です。
厚生労働省の議論では、今後のさらなる賃上げを前提とした体制づくりが求められています。大切なのは、賃上げを単なるコスト増で終わらせないことです。
省人化で人手を最適化し、固定費削減で原資を生み出す——2つのアプローチを組み合わせることで、無理のない対応に近づけます。
まずは自社の現状を、上記のチェックリストで点検してみてはいかがでしょうか。
この記事を書いたライター
Wiz Cloud編集部
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