【事例あり】コンプライアンス違反とは?重要性や原因を徹底解説

近年テレビやネットニュースを中心に、企業のコンプライアンス違反が多く報道されるようになりました。企業としては社員ひとりひとりに、コンプライアンスの意識を高めてほしいと考えていることでしょう。 しかし従業員の中には「どういった行為がコンプライアンス違反になるのか分からない」という方もいます。そこで本記事では、コンプライアンス違反の基本的な知識や、具体的な事例について解説していきます。

コンプライアンス(法令遵守)とは

そもそもコンプライアンスとは、日本語で「法令遵守」を指す言葉です。国が定めている法律や規則を守り行動することを目的としています。

一方、コンプライアンスを守らず行動することは「コンプライアンス違反」と呼ばれます。コンプライアンス違反は「企業ぐるみ」もしくは「従業員単一」の2つに分類することが可能です。

【注意】法令だけがコンプライアンスの対象ではない


コンプライアンスの対象は法律だけではありません。社会倫理や企業の就業規則もコンプライアンスの対象となります。
例えば「セクハラ」はわかりやすい社会倫理違反でしょう。具体的な違反行為が決められていなくても、社会的に認められる行為でない場合は、コンプライアンス違反に抵触する可能性があります。

コンプライアンス違反の影響

コンプライアンスを守らない場合、企業の売り上げ減少や、企業イメージの失墜など、企業へのダメージは絶大です。最悪、倒産につながるリスクもありますので、企業はコンプライアンスに対する意識を高く持つ必要があるでしょう。

コンプライアンスが重視される背景

企業のコンプライアンスが重視されるようになったのは、1960年代の高度経済成長がきっかけです。1960年代以降日本では、高度経済成長・バブル景気と好景気が続いていました。しかし利益重視の企業が増えたことで、消費者被害が急増したのです。

1960年代の森永ヒ素ミルク中毒事件や、1970年代の豊田商事事件は、日本に衝撃を与えたコンプライアンス違反として有名でしょう。

企業の不祥事が相次ぐようになったことで、企業には責任ある行動として「コンプライアンス」が求められるようになりました。コンプライアンスを徹底することは、企業の社会的責任を果たすとともに、消費者被害を生まないために重要なのです。

コンプライアンス違反の種類

コンプライアンス違反にはさまざまな種類があります。


帝国データバンクの「コンプライアンス違反企業の倒産動向調査」によれば、2019年にコンプライアンス違反が理由で倒産した企業は、 225 件となってます。

(参考資料/画像引用: コンプライアンス違反企業の倒産動向調査(2019 年度)帝国データバンク

このデータのなかで最も多いコンプライアンス違反が「粉飾」です。中堅企業よる⻑年にわたる粉飾発覚が相次いでおり、取引先や銀行を巻き込むなど深刻な影響が生まれています。
 

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企業のコンプライアンス違反事例


先ほど述べた通りコンプライアンス違反には「企業としてのコンプライアンス違反」と「従業員単一のコンプライアンス違反」の2つがあります。

企業としてのコンプライアンス違反は、従業員一人が起こすコンプライアンス違反よりも、社会的な影響が大きいのが特徴です。取引先や銀行を巻き込んだケースが多く、共倒れの危険性もある問題です。

事例:ライブドアの粉飾決算事件

2004年、平成最大ともいわれた粉飾決済を引き起こしたのが、インターネットサービスの大手「ライブドア」です。

ライブドアは2004年9月期の連結決算時、3億円の経常赤字だったところを53億円という経常黒字として虚偽報告しました。その結果ライブドアは、当時社長だった堀江貴文社長ら四人の逮捕者を出す事件へ発展したのです。
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事例:電通の過労死事件

2015年、広告業界大手「電通」で起きたのが、従業員の過労自殺事件です。月間所定時間外労働130時間という過酷な労働環境にあった従業員が、過労死自殺を計ったことで大きなニュースとなりました。

電通は労使協定で決められた残業時間を越えないよう、勤務時間の過少申告をしていたことを認め「労働基準法違反」と判決されました。

本事件は「働き方改革」が進められている中で起きた企業の不祥事として、大々的に報道され、ブランドイメージの低下へ直結しました。
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事例:ベネッセ個人情報流出事件

2014年に個人情報流失事件を引き起こしたのが、通信教育の大手「ベネッセコーポレーション」です。ベネッセの調査によると「進研ゼミ」や「こどもチャレンジ」などに登録した会員約2,900万件の顧客情報が、漏洩していることが発覚しました。

結果としてベネッセは、情報が漏洩した会員に対し図書カードや電子マネーによるお詫びを行い、約136億円の赤字となりました。

事例:焼肉酒家えびすの集団食中毒事件

コンプライアンス違反は、飲食店でも起こりうる問題です。

焼肉チェーンの「焼肉酒家えびす」において、ユッケを食べた客が次々と体調不良を訴え、患者数118人、死亡者数4人を出す集団食中毒として報道されました。集団食中毒の原因となったのは「腸管出血性大腸菌O-157」です。

当店では低価格を重視したことに、衛生管理が疎かになっており、本来なら捨てる部位をそのまま提供したことが要因と言われています。

最終的に焼肉酒家えびすは、運営会社の倒産へと追い込まれました。

事例:アース ミュージック&エコロジーセクハラ事件

2020年に起きたのが、アース ミュージック&エコロジーなどを運営する「ストライプインターナショナル」社長のセクハラ事件です。当時表取締役社長兼CEOだった石川康晴代氏が、複数の女性社員にセクハラを働いたことで、辞任へ発展しました。

本事件は被害者女性がセクハラを受けたLINEのトーク画面を公開したことや、石川氏が政府の「男女共同参画会議」の議員として活躍していたこともあり、大きな話題となりました。

従業員のコンプライアンス違反事例

企業が引き起こすコンプライアンス違反に加えて、注意したいのが「従業員のコンプライアンス違反」です。従業員のコンプライアンス違反は、就業中だけでなく就業時間外にも起こりえる「日常に潜むリスク」と言えるでしょう。
以下で紹介する従業員のコンプライアンス違反は、どれも身近な事例ですので、ぜひコンプライアンス研修の参考にしてください。

事例:会社でしか知り得ない情報や顧客情報を話す

例えば「今●●の商品を開発中で〜」と、企業でしか知り得ない情報を話してしまうのは、コンプライアンス違反です。情報をもとに株取引をおこなえば「インサイダー取引」に該当する可能性があります。

また、toC向けの商材を扱う企業であれば、個人情報の取り扱いにも注意しましょう。住所や電話番号、名前など顧客の特定につながる情報は、家族であっても明かしてはいけません。

事例:仕事で入手したイベントチケットをネットオークションで換金

自社が主催・協賛しているチケットを、ネットオークションや金券ショップで換金するのは「脱税」に当たります。そのほか換金としてよく使われるのが、商品券・ビール券・切手などです。会社で支給された金券は、会社の資産となりますので注意しましょう。

事例:SNSで上司の愚痴をつぶやく

SNSを利用するユーザーが増えている中で、気をつけなければならないのが「SNS上の誹謗中傷」です。仕事の疲れから、上司の愚痴をつぶやくと、名誉毀損に当てはまる可能性があります。
拡散されないプライベートアカウントだとしても、どこから情報が漏れるかわかりません。個人の特定につながるような情報は、発信しないようにしましょう。

コンプライアンス違反が起きるメカニズム

コンプライアンスが重視される現在でも、コンプライアンス違反の報道は相次いでいます。ではなぜコンプライアンス違反は起きてしまうのでしょうか。
実は、コンプライアンス違反が生まれる条件として「不正のトライアングル」と呼ばれるメカニズムがあることがわかっています。不正のトライアングルは、以下の3要素が同時に存在することでうまれます。

・機会
・動機(プレッシャー)
・正当化


それぞれの項目についてみていきましょう。

メカニズム1:プレッシャー

プレッシャーとは、コンプライアンス違反をすることになった動機を指します。動機は業務に関係する問題もあれば「生活費の足しにしたい」など、業務に関係ない場合も考えられるでしょう。
動機は個人の気持ちによって引き起こされるため、企業でどれだけ対策しても、動機を0にすることはできません。

メカニズム2:正当化

プレッシャーと同時に起こるのが正当化です。コンプライアンス違反を犯す自分の気持ちを正当化することで、罪悪感を減らそうとします。
コンプライアンス違反の正当化は、倫理観の欠如から発生します。そのためコンプライアンス研修では、なぜ違反することがだめなのかまで伝える必要があるでしょう。

メカニズム3:チャンス

上記二つと同時に起こるのが、不正を引き起こせてしまうチャンスです。たとえば「数字を書き換えてもバレない」など証拠が残りにくい状況は、コンプライアンス違反が起こりやすいと言えます。企業はコンプライアンス違反を防ぐために、チャンスをなくす体制を整えなければなりません。

対策:コンプライアンス研修を行おう

企業でコンプライアンス規則を設定していても、従業員への周知がなければ、コンプライアンス違反のリスクは高いままでしょう。コンプライアンス研修を行い、コンプライアンスの重要性や、起こりがちな事例を紹介することで、従業員ひとりひとりの意識を変えていく必要があります。

特に注意したいのが、コンプライアンス違反は「無意識のうちに起こる可能性がある」という点です。セクハラや人種差別などのコンプライアンス違反は、悪意がなくとも相手を不快にさせた時点でNGです。どんな言葉がけが適切だったのかロールプレイングを行うといいでしょう。

まとめ

コンプライアンスについて考えることは、ビジネスマンとして当たり前のことです。しかしコンプライアンス違反は、無意識のうちに抵触している可能性があるため、何がコンプライアンス違反となるのか研修が重要になってきます。

従業員ひとりひとりの当事者意識を高め、責任ある行動を取れるようにしましょう。またコンプライアンス研修は、定期的におこうことが大切です。仕事になれたベテラン従業員でさえ、コンプライアンス違反をしてしまう可能性は十分にありますので注意しましょう。
 

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