「テイクアウトの消費期限表示は必要?」
飲食店でテイクアウトやデリバリーを始める際、商品内容や販売状況によって食品表示をしなければなりません。
しかし「どのような場合に食品表示法が適用される?」「食品表示が不要なケースはある?」など、疑問を抱く方も多いでしょう。
そこで本記事では、食品表示法の基礎知識を踏まえて、食品表示が必要なケースと不要なケースを解説していきます。
食品表示ラベル・シール作成の流れも紹介しているため、テイクアウトやデリバリーの導入を検討されている方は必見の内容です!
▼この記事で紹介している商品
テイクアウト・デリバリーを始める際に知っておくべき「食品表示法」

「食品表示法」は、 消費者が食品について正しく理解し、安全に選べるよう2013年に制定された法律 です。
具体的には、食品販売における原材料やアレルギー物質の表示が義務付けられておりり、飲食に起因する健康上の危害の発生を防止し、公衆衛生の向上及び増進が目的とされています。
また、容器包装や加工食品であるかどうかなどの条件によって、表示が求められる内容が異なる「任意表示」も存在し、食品に応じた適切なラベル表示が必要です。
製造・販売場所によって食品表示の義務は異なる

テイクアウトやデリバリーにおいては、一部食品表示が不要なケースもあります。
以下では、食品表示が不要な場合と必要な場合をご紹介します。
「食品表示法」が不要なケース
製造者が消費者に直接食品を販売する場合、品質を口頭で直接説明できるため、食品表示は必要ありません 。
例えば、飲食店が注文に応じて弁当や惣菜をその場で詰める場合や、スーパーマーケットで製造所と販売する場所が同敷地内で弁当や惣菜を調理して販売する場合が挙げられます。
上記の場合、原材料名や内容量、原料原産地などの一部の食品表示が不要です。

編集部
テイクアウトの場合は製造者が消費者に直接食品を渡せるので食品表示法は必要ありません!
「食品表示法」が必要なケース
食品表示が求められるのは、自社工場で製造した弁当や惣菜を別店舗で販売する場合や通販での販売など、 消費者への直接販売に該当しないケース です。
具体的には、以下の内容を表示しなければなりません。
食品表示法の基準
食品表示の項目 | 他の施設で調理したものを販売する場合 | 自社で販売する場合 |
---|---|---|
表示義務あり:〇 表示義務なし:× |
||
名称 | 〇 | 〇 |
保存の方法 | 〇 | 〇 |
消費期限又は賞味期限 | 〇 | ✕ |
原材料名 | 〇 | ✕ |
添加物 | 〇 | 〇 |
内容量又は固形量及び内容総量 | 〇 | ✕ |
栄養成分の量及び熱量 | 〇 | ✕ |
食品関連事業者の氏名又は名称及び住所 | 〇 | ✕ |
製造所又は加工所の所在地及び 製造者又は加工者の氏名又は名称等 |
〇 | 〇 |
アレルゲン (特定原材料※の成分を含む食品) 原料原産地名 (国内で製造した加工食品) |
〇 | 〇 |
【結論】テイクアウトは食品表示が不要、デリバリーは任意
テイクアウトの場合は、製造者が消費者に直接食品を渡せて、品質を直接説明できるので食品表示は必要ありません 。
一方で、デリバリーについては直接の説明が困難である点で食品表示が必要と判断されますが、 現在(2025年1月時点)では特に法整備はされていません 。
ただし、消費者からの問い合わせに対応できるようにするためにも、アレルゲン表示、賞味・消費期限などの情報は積極的に表示するのが望ましいです。
また、デリバリープラットフォームの規定によって表示が求められる場合があるため、各サービスのガイドラインを確認しましょう。
食品表示ラベル・シール作成の流れとは?

-
STEP.1
情報収集
提供する食品に含まれる食物アレルギー、添加物などを確認します。
-
STEP.2
ラベルデータを作成する
消費者庁のガイドライン「早わかり食品表示ガイド」に沿いながら、食品表示のルールに従ってラベルデータを作成しましょう。
-
STEP.3
ラベルを印刷
最後にラベルの印刷です。専用のラベルプリンターを利用するとカンタンに印刷することができます。
なお、テイクアウトやデリバリーでは感熱式のラベルプリンターが食品表示の際によく使用されています。
弁当や惣菜といった消費期限がすぐ切れる商品に向いており、導入コストも安価なため、飲食店のテイクアウトやデリバリーに向いています。
テイクアウト・デリバリーを始める際の注意点

冷凍・冷蔵はテイクアウト販売をする場合は要注意
飲食店営業許可証があればテイクアウトやデリバリーは可能ですが、 販売品によっては追加の許認可が必要 です。
例えば、ハンバーグ弁当の提供は問題ありませんが、冷凍ハンバーグを販売するには「食肉販売業」の許可が求められます。
メニューによって必要な許可が異なるため、事前に確認しましょう。
許認可が必要な例
以下に該当する商品をテイクアウトやデリバリーなどで販売する場合は、 所轄の保健所へ認可許可の申請を行うことが義務付けられています 。
乳飲料 | 乳製品製造業・乳類販売業 |
---|---|
アイスクリーム | アイスクリーム類製造業 |
食肉(生) | 食肉販売業 |
食肉(加工品) | 食肉製品製造業 |
鮮魚介類 | 魚介類販売業 |
弁当・惣菜 | 食料品等販売業 |
お菓子・パン | 菓子製造業 |
生めん | めん類製造業 |
冷凍品 | 冷凍冷蔵業 |

編集部
上記以外のケースでも許可申請が必要になる場合があります。飲食店がテイクアウトやデリバリーを始める際、食品表示について迷うことがあれば、独自の判断は避け、管轄の保健所に直接問い合わせて正確な情報を確認しましょう。
食品表示を守りテイクアウト・デリバリーを始めよう

飲食店では、コロナ禍をきっかけにテイクアウトやデリバリーを活用し、新規顧客を増やす事例が増えています。
ウーバーイーツや出前館などを利用すれば、 配達員や専用設備が不要で、容器を用意するだけで手軽に始められます 。
初期投資を抑えて売上向上を目指せるため、この機会にテイクアウトやデリバリーを始めてみてはいかがでしょうか。
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A
テイクアウトでは「別の場所で製造したものを仕入れて販売する場合」は、消費期限の表示が必要です。
「製造者が消費者に直接食品を渡せて、品質を直接説明できる場合」は、消費期限の表示は不要です。
A
テイクアウトでは「名称」や「保存の方法」「添加物」などの内容を記載しなければならない、食品表示義務があります。
A
テイクアウトの仕出し弁当や日替わり弁当では「別の場所で製造したものを仕入れて販売する場合」は、食品表示が必要です。
「製造者が消費者に直接食品を渡せて、品質を直接説明できる場合」は、食品表示が不要です。
A
焼き菓子販売で、食品表示しなくていい場合は「製造者が消費者に直接食品を渡せて、品質を直接説明できる場合」です。
A
屋台販売では食品表示義務はありません。
A
食品衛生法に規定されていた食品の表示に関するルールは、健康増進法及びJAS法の食品の表示に関するルールとともに、食品表示法に一元化されました。
つまり、食品衛生法は食品表示法の一部分であると言えます。
まとめ:テイクアウトやデリバリーには食品表示対策を徹底しよう
今回は、飲食店がテイクアウトやデリバリーを始める際に、食品表示が必要なケースと不要なケースを解説しました。
飲食店がテイクアウトやデリバリーを始めるには、食品表示法に基づいた正しいラベル表示と取り扱い商品に応じた許可申請が必要です。
特にアレルギーを持っているお客様にとっては、食品表示は命にかかわる重要な情報となります。
食品表示は義務であり、お客様と企業の安全を守るためにも、正しい食品表示の記載を行うようにしましょう。

この記事を書いたライター
Wiz Cloud編集部
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