「中小企業向けのおすすめUTMを知りたい」
複数のセキュリティ機能をまとめて利用できる「UTM(統合脅威管理)」。
近年は、ウイルスやスパイウェアといったサイバー攻撃の高度化を背景に、導入する企業が増えています。
しかし、「製品が多くてどれを選べばいいか分からない」「そもそもUTMは必要?」など、導入を足踏みしている企業も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、UTMの比較ポイントを踏まえて、おすすめUTM13製品を徹底比較していきます。
UTMの基礎知識やメリット・デメリットも紹介しているので、UTMの導入を検討している方必見です!
目次
▼この記事で紹介している商品
UTMとは?基本機能と導入メリット
UTMの定義と主要機能
UTM(統合脅威管理)とは、 複数のセキュリティ機能を1つの機器に集約した装置 のことです。
従来は、ファイアウォールやウイルス対策、侵入検知といった機能を個別に導入する必要がありました。
しかしUTMは、これらを一括で管理できるため、導入や運用の手間を大幅に削減できます。
UTMの代表的な機能
- ファイアウォール(FW):外部からの不正アクセスを防ぐ
- 侵入防止システム(IPS):外部からの攻撃を検知する
- アンチウイルス(AV):ウイルスやマルウェアの侵入を防ぐ
- Webフィルタリング:危険なウェブサイトを遮断する
- VPN:安全な遠隔接続を実現する
このように、UTMは多機能かつ効率的なセキュリティ対策を実現できるため、多くの企業で導入が進んでいます。
UTM導入で得られるセキュリティ強化と運用効率化の効果
UTMを導入することで、複数のセキュリティ機能を一元管理できるようになり、 企業のセキュリティ対策が大幅に強化され、同時に運用効率も向上 します。
従来のように個別の製品を組み合わせる必要がなくなるため、トラブル時の対応や保守もシンプルになります。
例えば、ウイルス感染と不正アクセスが同時に発生した場合も、UTMなら一つの画面から状況を把握し、対処できます。
また、管理画面も直感的な設計が多く、専門知識が少ない担当者でも扱いやすいのが特徴です。
UTM選びの重要チェックポイント
UTMは高価なセキュリティ投資です。そのため、導入前には「どんな基準で選ぶべきか」を明確にする必要があります。
ここでは、企業規模や必要機能、管理のしやすさ、コスト、サポート体制という5つの観点に分けて、網羅的に確認すべきポイントを整理していきます。
それぞれの条件を把握することで、自社にとって最適な製品選定が可能になります。
企業規模別のスペック要件(規模・スループット)
UTMを選ぶ際には、企業規模に応じた処理能力、すなわち「スループット(通信速度)」が非常に重要です。
スループットが不足すると、ネットワークが遅くなり業務に支障をきたす恐れ があります。
企業規模 | 推奨スループット (アンチウィルス機能有効時) |
---|---|
小規模(〜30名) | 300〜500Mbps |
中規模(50〜200名) | 500Mbps〜1Gbps |
大規模(200名以上) | 1Gbps以上 |
たとえば、20人規模の事業所で1Gbpsモデルを選んでも無駄になりますし、逆に社員200人で300Mbpsの製品では通信がパンクします。
運用規模に合わせて適切なスペックを選ぶことが、安定運用のカギです。
必要機能の定義
UTMにはさまざまな機能が搭載されており、自社に必要な機能を見極めることが選定の第一歩です。
代表的な機能
- アンチウイルス(AV):ウイルスを防ぐ
- IPS(侵入防止システム):不正アクセスを検出する
- URLフィルタリング:業務に不要なWebサイトをブロックする
また、近年は「EDR(エンドポイント検知・対応)」のように、端末の挙動を監視する高度な機能もUTMと連携可能なケースが増えています。
これらの機能は企業の業種やセキュリティリスクによって必要度が異なるため、自社の業務フローに即した選択が求められます。
管理性・クラウド対応/GUI操作性
導入後の運用を見越して、UTMの「管理のしやすさ」は見逃せないポイントです。
多くのUTM製品はWebブラウザからアクセスできる管理画面を備えており、設定や監視が可能です。しかし、 製品によっては操作が難しく、専門知識が必要な場合も あります。
また、最近ではクラウド型のUTMや、リモートで管理ができるサービスも登場しています。これにより、拠点ごとの管理や障害対応が格段に楽になります。
IT専任担当がいない企業では、GUIが直感的で、サポート体制が整った製品を選ぶと安心です。
ライセンス期間・コスト構造
UTMの価格は、本体だけでなくライセンス費用にも大きく左右されます。
ライセンスには 「年額制」や「5年・7年の長期一括」などの形式があり、更新や延長のたびに費用が発生 します。
近年では、初期費用を抑えた「サブスクリプション型(定額制)」の製品も増えており、資金計画に応じた選択が可能です。
ただし、サブスク型は初期コストが低いため小規模事業者に人気ですが、長期的には買い切り型より割高になることもあります。導入前にトータルコストを比較することが大切です。

UTM費用のリアル相場は?規模別の初期費用&月額コスト相解説
初期費用から月額ライセンス、規模別の料金目安を解説し、自社にとって最適なUTM費用の見極め方をわかりやすく整理しています。
詳しくはこちらサポート・保守体制
UTMは、万が一のトラブル発生時に即対応できるサポート体制が非常に重要です。
特に、自社にセキュリティ専任者がいない場合、 メーカーや販売代理店による「24時間365日の電話サポート」や「オンサイト対応(現地訪問)」の有無は大きな選定基準 になります。
また、ファームウェアの自動更新やリモート監視機能があると、日々の運用負担も軽減されます。
安心して長く使うためには、スペックだけでなく「運用後の支援体制」まで含めて検討することが欠かせません。
【比較表】UTM製品の特徴や価格一覧
無料or有料 | サービス名 | 初期費用 | 月額料金 | 無料トライアル | 提供形態 | 機能 |
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無料 | Sophos UTM | 要問合せ L有料製品ですが90日間の 無料トライアルあり |
要問合せ | 90日間 |
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Simplewall | 無料 | 無料 | - | インストール |
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Untangle NG Firewall | 要問合せ | 要問合せ | あり | インストール |
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有料 | Check Point | 要問合せ | 要問合せ | 要問合せ | クラウド |
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WatchGuard Firebox | 要問合せ | 要問合せ | 要問合せ | アプライアンス |
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FortiGate | 要問合せ | 要問合せ | あり |
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MRB-Cloud | 要問合せ | 要問合せ | あり | クラウド |
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ビジネスセキュリティ(VSR) | 要問合せ | 要問合せ | 要問合せ | アプライアンス |
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beat | 6万円 |
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要問合せ | アプライアンス |
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NISG6000Std | 要問合せ | 要問合せ | 要問合せ | アプライアンス |
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Saxa(サクサ) | 要問合せ | 要問合せ | 要問合せ | アプライアンス |
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クラウド型UTM | 3,000円/1台 | 1,000円~1,500円/1ライセンス | 要問合せ | クラウド |
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パソコン10台未満の事業所向けUTM比較表
提供会社 | 脅威対策時 スループット |
LANポート数 (1GbE) |
無線LAN対応 バージョン |
ファイアウォール | アンチウイルス | スパム対策 | IPS(不正侵入検知防御) | アプリケーション制御 | URLフィルタリング | VPN・リモートアクセス | |
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FortiGate 40F | Fortinet | 600Mbps | 3 | Wi-Fi5(Wi-Fiモデルのみ) | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
XGS 107 | Sophos | 370Mbps | 8 | Wi-Fi5(Wi-Fiモデルのみ) | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
Firebox T25 | WatchGuard | 403Mbps | 5 | Wi-Fi6(Wi-Fiモデルのみ) | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
1535 | CheckPoint | 340Mbps | 5 | Wi-Fi6(オプション) | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
beat/soloサービス | 富士フイルムビジネスイノベーション株式会社 | 非公開 | 非公開 | - | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | オプション | オプション | 拠点間接続は別途機器購入 |
MRB-Cloud | 株式会社テクノル | - | - | - | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | - | 〇 | 〇 |
パソコン10~50台の事業所向けUTM比較表
提供会社 | 脅威対策時 スループット |
LANポート数 (1GbE) |
無線LAN対応 バージョン |
ファイアウォール | アンチウイルス | スパム対策 | IPS(不正侵入検知防御) | アプリケーション制御 | URLフィルタリング | VPN・リモートアクセス | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
FortiGate 60F | Fortinet | 700Mbps | 5 | - | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
XGS 126 | Sophos | 900Mbps | 12 | Wi-Fi5(Wi-Fiモデルのみ) | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
Firebox T85 | WatchGuard | 943Mbps | 8 | - | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
1595 | CheckPoint | 660Mbps | 8 | Wi-Fi6(オプション) | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
beat/activeサービス | 富士フイルムビジネスイノベーション株式会社 | 非公開 | 非公開 | - | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | オプション | オプション | オプション |
MRB-Cloud | 株式会社テクノル | - | - | - | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | - | 〇 | 〇 |
【無料】UTMのおすすめ3製品を徹底比較!
Sophos UTM

Sophos UTMは、ソフォス株式会社が提供する、 本体スペックが高く快適に利用できるUTMです。
他のUTMよりも価格が高い傾向にありますが、その分高い性能を発揮できるのが特徴です。
また、Sophos UTMはシンプルで直感的に操作できるUIを備えており、すぐにネットワークとユーザーを保護できる点も魅力です。

編集部
Sophos UTMは、有料製品ですが90日間の無料トライアルが用意されています。
Sophos UTM | |
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提供会社 | ソフォス株式会社 |
初期費用 | 要問合せ |
月額料金 | 要問合せ |
無料トライアル | 90日間 |
提供形態 |
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機能 |
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Simplewall

Simplewallは、Simplewall Software社が提供する、 全機能無料で使えるUTMです。
無料でありながら、ネットワーク保護機能やコンテンツフィルタリング、帯域幅の最適化など幅広い機能を利用できるため、コストをかけたくない方におすすめです。
しかし提供会社が海外企業のため、日本語未対応であったりサポートが不十分だったりと、他のUTMよりも利便性に欠けます。
Simplewall | |
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提供会社 | Simplewall Software |
初期費用 | 無料 |
月額料金 | 無料 |
無料トライアル | - |
提供形態 | インストール |
機能 |
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Untangle NG Firewall

Untangle NG Firewallは、Arista Networks, Inc.が提供する、ゲートウェイ機能やファイアウォール、フィッシングブロッカーなどの 基本的なセキュリティ機能が搭載されたUTMです。
Webフィルタやウイルスブロッカーなどは搭載されていませんが、有料版にすることで利用できます。
またUntangle NG Firewallは、UIが大幅に簡素化され、非常に使いやすく、自社のニーズに合わせてカスタマイズできる点もポイントです。
Untangle NG Firewall | |
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提供会社 | Arista Networks, Inc. |
初期費用 | 要問合せ |
月額料金 | 要問合せ |
無料トライアル | あり |
提供形態 | インストール |
機能 |
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【有料】UTMのおすすめ10製品を徹底比較!
Check Point

Check Pointとは、チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ株式会社が提供する、 UTMの中でもラインナップが豊富です。
必要に応じて導入するセキュリティ対策を一つ一つ選べるため、自社にとって最適なUTMが選べるのところが大きなメリットです。
さらに、性能がよい分価格は高めですが、機能性が高く使い勝手が良い点もポイントです。
Check Point | |
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提供会社 | チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ株式会社 |
初期費用 | 要問合せ |
月額料金 | 要問合せ |
無料トライアル | 要問合せ |
提供形態 | クラウド |
機能 |
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WatchGuard Firebox

WatchGuard Fireboxは、ウォッチガード・テクノロジー・ジャパン株式会社が提供する、 小規模オフィスやホームオフィス向けのUTMです。
IPSやURLフィルタリング、アンチウイルス、アプリケーション制御、アンチスパムなど、セキュリティ機能が1台にすべて含まれており、ITの知識がなくてもわかりやすい点が魅力です。
なお、WatchGuardは世界で初めてUTMを開発した会社で、世界120カ国以上、120万台以上を出荷している実績のある企業で安心して利用できるでしょう。
WatchGuard Firebox | |
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提供会社 | ウォッチガード・テクノロジー・ジャパン株式会社 |
初期費用 | 要問合せ |
月額料金 | 要問合せ |
無料トライアル | 要問合せ |
提供形態 | アプライアンス |
機能 |
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FortiGate

FortiGateとは、フォーティネットジャパン合同会社が提供する、 世界一のシェア、日本国内販売数トップのUTMです。
導入台数が多いこともあり、導入ガイドなどの書籍も充実しています。販売実績や対応の早さを重視したい企業におすすめです。
また拡張性に優れており、中~大規模事業所向けの製品が揃っています。
FortiGate | |
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提供会社 | フォーティネットジャパン合同会社 |
初期費用 | 要問合せ |
月額料金 | 要問合せ |
無料トライアル | あり |
提供形態 |
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機能 |
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MRB-Cloud

MRB-Cloudとは、株式会社テクノルが提供する、 専用ハードウェアは不要ですぐに導入・利用開始できるUTMです。
インターネットが繋がる環境であれば、どこからでもクラウド上のUTM機能を利用できるため、テレワークにも最適です。
また、様々なセキュリティ機能を搭載しているだけでなく、WEBROOT社の脅威インテリジェンス「BrightCloud®」と連携しているため、攻撃者の情報や手口をスピーディーに共有し、対処できる点も強みです。
MRB-Cloud | |
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提供会社 | 株式会社テクノル |
初期費用 | 要問合せ |
月額料金 | 要問合せ |
無料トライアル | あり |
提供形態 | クラウド |
機能 |
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ビジネスセキュリティ(VSR)

ビジネスセキュリティ(VSR)とは、株式会社USEN ICT Solutionsが提供する、 24時間運用監視や保守サービスなどサポートが手厚いUTMです。
また、セキュリティ機能の種類も豊富で、自社に合わせて必要なセキュリティ機能を自由に選べます。
そのため、最低限のセキュリティを維持したい企業や、自社のセキュリティ対策の要にしたい企業など、幅広く様々な企業におすすめです。
ビジネスセキュリティ(VSR) | |
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提供会社 | 株式会社USEN ICT Solutions |
初期費用 | 要問合せ |
月額料金 | 要問合せ |
無料トライアル | 要問合せ |
提供形態 |
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機能 |
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beat

beatとは、富士フイルムビジネスイノベーション株式会社が提供する、UTMの構築から運用管理までをアウトソーシングできるサービスです。
障害発生時には、beatコンタクトセンターの専任オペレーターに電話対応してもらえ、 故障時にはカストマーエンジニアに現地対応してもらえる点が魅力です。
さらにbeatは、自動でメンテナンス、更新、アップデートするため、ITの知識に自信がない方におすすめです。
beat | |
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提供会社 | 富士フイルムビジネスイノベーション株式会社 |
初期費用 | 6万円 |
月額料金 |
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無料トライアル | 要問合せ |
提供形態 | アプライアンス |
機能 |
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NISG6000Std

NISG6000Stdとは、NEUSOFT Japan 株式会社が提供する、SOHOや中小企業様に最適な次世代ファイアウォール+新UTMです。
アプリケーション識別と制御、VPN、ファイヤーウオールなど、様々なトップセキュリティ機能を1台に統合し、一元管理できる多機能のオールインワンセキュリティソリューションといえます。
またNISG6000Stdは、最速の動作速度でファイアウォールを提供しているため、 インターネット通信が途切れにくく、日常業務に支障なくセキュリティ対策が実現できます。
NISG6000Std | |
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提供会社 | NEUSOFT Japan 株式会社 |
初期費用 | 要問合せ |
月額料金 | 要問合せ |
無料トライアル | 要問合せ |
提供形態 | アプライアンス |
機能 |
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Saxa(サクサ)

Saxa(サクサ)のUTMは、多彩な機能を搭載した、総合的なネットワークセキュリティシステムです。
アンチウイルスやWebフィルタリング、アンチスパムなどのセキュリティ機能には、Kaspersky社の技術を採用しています。
セキュリティソフトウェアメーカーのKaspersky社は技術力の高さが魅力のため、高いセキュリティレベルを求めている企業におすすめです。
Saxa(サクサ) | |
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提供会社 | サクサホールディングス株式会社 |
初期費用 | 要問合せ |
月額料金 | 要問合せ |
無料トライアル | 要問合せ |
提供形態 | アプライアンス |
機能 |
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クラウド型UTM

クラウド型UTMは、CyberGateSecurity株式会社が提供する、 あらゆる攻撃経路のあらゆる脅威からユーザーを保護できるUTMです。
例えば、アクセスポリシーでブロック対象となっているウェブサイトや危険なサイト、C&Cサーバーなどへのアクセスは、ブロックページが表示されます。
ブロック対象サイトへのアクセス前に、ユーザーに通知されるため、どこからでも安全なネット接続が可能になります。
クラウド型UTM | |
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提供会社 | CyberGateSecurity株式会社 |
初期費用 | 3,000円/1台 |
月額料金 | 1,000円~1,500円/1ライセンス |
無料トライアル | 要問合せ |
提供形態 | クラウド |
機能 |
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用途別おすすめケース
UTMは、企業の規模や業務環境によって最適なモデルが異なります。
ここでは「大規模ネットワークを持つ大企業」「複数拠点を持つ中堅〜中小企業」「少人数の小規模事業所やテレワーク主体の企業」といった3つのケースに分け、それぞれに適した選び方をご紹介します。
大企業・大規模ネットワーク
大企業や大規模ネットワーク環境では、 高性能なスループットと多層防御機能が求められます 。
- 数百人単位の同時接続や複数の拠点通信に対応するため、1Gbps以上の処理性能を持つUTMが推奨。
- クラスタ構成(冗長化)や高度なログ管理機能が搭載されている製品が好ましい。
例えば、「FortiGate」の上位モデルは、高度な脅威検知と堅牢なセキュリティポリシー管理に優れており、IT統制が厳格な大手企業にも対応できる設計がなされています。
中堅~中小企業向け
中堅〜中小企業では、 コストと性能のバランスが重要 です。
- 拠点が複数ある場合は、VPN接続が安定しており、中央からのリモート管理が可能なUTMが便利。
- スループットは500Mbps〜1Gbps程度が目安。
- 基本的なAV、IPS、URLフィルタが備わっていれば多くのケースに対応可能。
たとえば「WatchGuard」や「SOPHOS」の中位モデルは、中小企業向けにGUI操作性が優れており、導入から運用まで負担を抑えやすい構成になっています。
上記は、外部委託が前提の企業でも扱いやすい製品です。
小規模/テレワーク対応
小規模事業所やテレワーク主体の企業では、 導入や運用の手間が少なく、価格も抑えられたUTM が適しています。
- 10〜30人程度での利用であれば、300〜500Mbpsのスループットで十分。
- 自宅やサテライトオフィスからのVPN接続に対応していることが重要。
この場合、クラウド管理型のUTMや、「おまかせサイバーみまもり」など月額制のマネージド型サービを活用することで、ITに詳しくない担当者でも安心して運用できます。
上記は、セキュリティ対策を手軽に始めたい企業にとって有効な選択肢です。
UTM導入プロセスとコスト感
UTMの導入には、明確なステップと費用感の理解が欠かせません。
無計画に進めると、過剰スペックやコスト超過といった問題に直面する恐れがあります。
ここでは、導入までのプロセスと代表的な費用構造を解説し、UTM導入に失敗しないためのポイントを整理します。
導入の流れ
UTM導入は、「ニーズ策定 → 製品選定 → 導入 → 運用・保守」の4段階で進めるのが基本です。
- まず「どんな脅威から守りたいか」「利用人数はどれくらいか」といったニーズ策定を行う
- 要件に合った機能・性能・サポート体制を備えた製品を選定する
- 機器を設置後、初期設定・ネットワーク調整を行い運用開始
- ログ監視やアップデートを含む運用・保守が継続的に実施する
この一連の流れを可視化し、あらかじめ社内体制や予算とすり合わせておくことで、導入後のトラブルを未然に防げます。
買い切り型とサブスク型
UTMの導入費用は「本体+ライセンス」の買い切り型と、「定額で使えるサブスク型」の2種類に大別されます。
- 買い切り型
導入時に数十万円~100万円以上の初期費用が必要ですが、5年〜7年利用すればトータルコストは抑えられる傾向 - サブスクリプション型
初期費用がほぼ不要、月額1〜3万円ほどで利用可能。予算に制限のある場合に導入しやすい一方、長期間利用すると買い切りより割高になる。
初期費用の相場 | 月額/年額の相場 | 更新時の負担 | 向いている企業 | |
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買い切り型 | 50〜150万円 | 年間数万円 (ライセンス費用として) |
更新費用あり | 長期運用前提の企業 |
サブスクリプション型 | 0円(別途設置料) | 月額1〜3万円程度 | 常に定額 | 手軽に導入したい企業 初期費用を抑えたい企業 |
目的や資金計画に応じて、無理なく続けられるモデルを選ぶことが大切です。
UTM導入時の注意点
UTMは便利な統合セキュリティ機器ですが、「導入すれば安心」と過信すると、かえってセキュリティリスクを高めてしまうケースもあります。
性能過不足による運用トラブル
UTMは、 自社のネットワーク環境に合ったスペックを選定しないと、通信が極端に遅くなる、逆に性能が余ってコストが無駄になるといった問題が発生 します。
とくに、セキュリティ機能をすべて有効化した場合の「実効スループット」は、カタログ上の最大値より大きく下がる点に注意 が必要です。
例えば、従業員50人規模の会社で300MbpsのUTMを導入すると、日中の業務中にネットが遅くなり、業務に支障をきたす可能性があります。
導入前には、実際の利用人数・業務内容・通信量をもとに必要な性能を見極めることが大切です。
専用製品と比べた機能劣後ポイント
UTMは複数の機能を統合しているため、利便性に優れますが、 各機能の精度や処理能力は専用機器に比べて劣る場合が あります。
特に、高度な脅威検知が求められる「IPS(侵入防止システム)」や「DLP(情報漏えい対策)」などは、専門機器に比べると誤検知や対応範囲に差が出ることがあります。
例えば、金融業や医療業など、高度なセキュリティ対策が必須の業種では、UTM単体では不十分な場合もあるため、必要に応じて専用ソリューションとの併用を検討すべきです。
UTMは“万能”ではないことを前提に、機能と限界を正しく理解して使うことが重要です。
運用知識がない場合のリスクとサポート必要性
UTMを導入しても、 設定が不適切だったり、ログの確認を怠ったりすると、セキュリティ効果は大きく低下 します。
専門知識を持たない担当者が管理する場合、誤った設定により、外部からの攻撃を防げないまま放置してしまうリスクがあります。
こうしたリスクを回避するには、導入後の運用を支援してくれるサポート体制の有無が非常に重要です。
たとえば「24時間の遠隔監視」や「定期的なレポート提供」などを受けられるマネージド型サービスを選ぶことで、運用の負担と不安を軽減できます。
UTM導入でよくある失敗と対策
UTMは多機能で便利な反面、誤った選定や運用によって「導入したのにセキュリティが強化されない」「かえって業務に支障が出た」といった事態に陥ることもあります。
失敗例1|スペック重視で導入したがオーバースペックだった
「とにかく高性能な機種を選べば安心」と考えて、高価で高スペックなUTMを導入してしまうケースがあります。
しかし、実際には 利用人数や通信量に対して性能が過剰で、導入コストばかりかさみ、持て余してしまう ことも少なくありません。
たとえば、10名規模の小規模オフィスに1Gbps対応のハイエンドUTMを入れても、費用対効果は見合わない可能性が高いです。
スペック選定では「実効スループット」や「同時接続数」など、現実的な運用条件に基づいた判断が重要です。
失敗例2|セキュリティ機能を十分に使いこなせていない
UTMには多くのセキュリティ機能が搭載されていますが、 設定が不十分だったり、特定機能を無効化したまま使っていたりすると、十分な効果を発揮できません 。
特にIPS(不正侵入防止)やURLフィルタなどは、ポリシー設計を誤ると業務の妨げになったり、逆に脅威を見逃したりします。
このような事態を防ぐには、導入時に専門家の設定支援を受けたり、マネージドサービスの活用で継続的に最適な運用が行えるよう体制を整えることが重要です。
UTM導入なら『おまかせサイバーみまもり』が安心
UTMを導入しても、その効果を最大限に引き出すには“継続的な運用と保守”が不可欠です。
しかし、多くの中小企業ではIT人材が不足しており、十分な監視や設定の最適化が難しいのが現実です。
そこでおすすめなのが、 UTMを含むセキュリティ対策をワンストップで任せられる「おまかせサイバーみまもり」 です。
- 設定・運用・保守をまとめて代行
- 中小企業に最適なコスト・機能バランス
- サイバー攻撃による被害を保険で補償
まとめ|UTMは“選び方”と“運用体制”が成功の鍵
UTMは、企業のネットワークセキュリティを包括的に強化できる優れたツールです。
しかし、その効果を最大限に発揮するためには、自社の規模や業務に合った製品を選び、適切に運用・保守していく体制が欠かせません。スペックや機能の過不足、運用面の負担など、導入時の落とし穴も多く存在します。
特に中小企業では、専任のIT担当者がいないことも多く、UTMの運用に不安を感じるケースも少なくありません。
セキュリティ対策は、導入して終わりではなく“継続して守り続けること”が何よりも重要です。最適なUTM選びと安心の運用体制で、あなたの会社の情報資産を守りましょう。
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この記事を書いたライター
Wiz Cloud編集部
WizCloud編集部メンバーが執筆・更新しています。 Web関連、デジタル関連の最新情報から、店舗やオフィスの問題解決に使えるノウハウまでわかりやすくご紹介します!