「自社ネットワークのセキュリティ対策、コスト面で失敗したくない…。」
ネットワークが巧妙化する昨今、UTM(統合脅威管理)は欠かせないセキュリティ対策ツールです。
しかし、導入コストが不透明なままだと、「必要性は分かっていても踏み切れない…」という経営者も少なくありません。
本記事では、初期費用から月額ライセンス、規模別の料金目安を解説し、自社にとって最適なUTM費用の見極め方をわかりやすく整理しています。
目次
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UTM費用の基礎知識
UTMとは|複数のセキュリティ機能を1つの機器に集約したサービス
UTMとは「統合脅威管理(Unified Threat Management)」の略で、複数のセキュリティ機能を1つの機器に集約した製品です。
ファイアウォールやウイルス対策、侵入防止システム(IPS)、Webフィルタリングなどを一括で管理できます。
これまで個別に導入していた各セキュリティツールを、UTMなら1台でカバー可能なので、コスト削減や運用負荷の軽減につながります。
特に、IT人材が限られている中小企業にとっては、効率的なセキュリティ対策として注目されています。
UTMの導入形態別コスト構成
UTMの導入形態は主に「購入」と「レンタル」「リース」の3種類です。
購入 | 15万〜150万円程度 〇 買い切り型なのでランニングコストは比較的安価、返却義務がない ▲ 機器購入により初期コストが高くなりがち、故障時の保守や機器の入れ替えがしにくい |
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レンタル | 月額 7,000~5万円程度 〇 初期費用を抑えられる、短期間の導入が可能、サービス内容の途中変更が可能 ▲ 毎月費用が発生するため、長期的なコストが高額になる |
リース | 月額 5,000~5万円程度 〇 初期費用を抑えられる、トータルコストがレンタルよりも安い、新品の機器を選択できる ▲ 機器を自社の資産にはできない、契約終了後は返却が必要 |
特にレンタルやリースは、 機器の陳腐化リスクを回避でき、最新のセキュリティ対策を維持できるほか、故障時の保守や機器の入れ替えがスムーズ です。
自社の運用体制や予算に応じて、導入方法を選ぶことが重要です。

初期費用の内訳
UTMの初期費用には、 主にハードウェア本体の代金、基本ライセンス料、設置や初期設定費用 が含まれます。
また、初回に数年分のライセンス契約をまとめて行うことも多く、これが費用を押し上げる要因になります。
月額費用の内訳
UTMの月額費用には、 ライセンスの利用料やセキュリティ定義の更新、クラウド監視サービス、保守サポート などが含まれます。
月額費用の内訳を確認し、必要なサポートが含まれているかを事前に把握することが重要です。
保守サポートの価格とオンサイト対応費
UTMの導入後には、保守サポート契約を結ぶことが一般的です。
リモート監視、メール対応などの基本的なサポートは月額料金に含まれることが多いですが、 オンサイト対応(現地駆けつけ)は別途費用が発生 します。
たとえば、通常の月額3万円に加え、緊急対応を依頼すると1回あたり2〜5万円が加算される場合もあります。
こうした費用構成は、トラブル発生時の対応スピードやサポート体制に大きく関わるため、保守レベルの違いを事前に比較検討することが大切です。
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小規模事業(PC~50台)
小規模事業者におけるUTMコストは、 初期費用は5万〜30万円、年間ライセンスは8万~15万円程度 が目安です。
小規模な事業所では、接続台数が少なく、最低限のセキュリティ機能だけで足りるケースが多いため、UTM導入にかかる費用は比較的抑えやすいです。
たとえば、ファイアウォールとウイルス対策を中心に構成されたUTMであれば、1台で十分な性能を発揮します。
中規模企業(PC50〜200台)
中規模企業では、UTMの導入コストは 初期費用30万〜80万円、年間ライセンス15万〜40万円程度 が相場です。
利用者数やネットワークの複雑性に応じて必要な機能も増加するため、それに伴いコストも上乗せされていく傾向があります。
たとえば、外部拠点とのVPN接続や、詳細なアクセス制御、複数台構成などが求められるケースもあります。
また、運用管理の一部を外部委託する企業も多く、それにより保守費用が加算されることもあります。
大規模法人(PC200名台以上)
大規模法人では、UTM 導入費用は初期80万円以上、年間ライセンスも40万円以上に及ぶ ことがあります。
これは、数百名規模のユーザーを対象にした大容量対応、複数拠点接続、24時間のセキュリティ監視などが必要になるためです。
さらに、冗長構成(バックアップ機器の設置)やSIerによるカスタマイズ導入も一般的です。
たとえば、大手メーカーの上位機種を導入し、専任担当者と外部ベンダーで運用を行うケースもあります。
業種による要件の違い(ファイアウォール+メールスキャン等の追加)
業種によって必要なUTM機能や費用の幅は変わってきます。
たとえば、個人情報を多く扱う医療・福祉・教育系の事業では、メールスキャンやファイル監査機能が重視され、オプション費用が上乗せされる傾向にあります。
一方、製造業や建設業などでは、外部接続が限定されている分、基本機能に絞った構成で済むこともあります。
このように、 同じ従業員数でも、業種によってコスト構成は大きく変わるため、業務内容に合った製品を選ぶことが重要 です。
UTM導入を安く抑えるポイント
導入形態の見直し(クラウド型 vs オンプレ型)
UTMの費用を抑えるには、導入形態の見直しが有効です。
- オンプレミス型:初期費用が高くつく一方で、長期的にはコストが安定しやすいという利点があります。
- クラウド型:初期投資が小さく、スモールスタートに適しているため、資金に余裕がない企業に向いています。
たとえば、10台以下の小規模ネットワークなら、月額プランのクラウド型を選ぶことで初期費用を10万円以上抑えられることもあります。
自社の運用期間や拠点数を見据えた選定がコスト最適化の鍵 です。
必要な機能に絞ったプラン選定
すべてのUTM機能を盛り込むと、費用は一気に跳ね上がります。 大切なのは、自社に必要な機能だけを選ぶこと です。
たとえば、業務でメールを多用しない企業であれば、高額なメールフィルタリング機能を外す判断も可能です。
逆に、Webアクセス管理が重要なら、フィルタリング機能を優先するなど、目的に応じて取捨選択が必要です。
過剰な機能は運用負担にもつながるため、ITベンダーと相談しながら「今必要な機能」を中心にプランを決めることが賢明です。
レンタル・リース活用という選択肢
UTMを一括購入する代わりに、レンタルやリースを活用することで、初期コストを大幅に抑えることが可能です。
特に導入ハードルが高い中小企業では、 月額数千円から始められるプランもあり、手軽にセキュリティ対策を始められます 。
たとえば、3年契約のリースでは、初期費用0円で月額1.5万円からUTMを導入できるケースもあります。
将来的な更新や入れ替えも視野に入れるなら、所有せずにサービスを利用する形は柔軟で現実的な選択肢といえるでしょう。

社内運用 vs 運用代行(MSP)
UTMの運用には、自社で管理する方法と、MSP(マネージドサービスプロバイダ)に外部委託する方法があります。
- 社内運用:ランニングコストを抑えられる一方、専門知識のある人材がいないと対応が後手に回り、リスクになる可能性
- MSP委託:費用は発生するが、設定・監視・更新を一括で任せられるため、業務効率やトラブル時の対応力が大きく向上
たとえば、月額2万〜5万円程度で運用を丸ごと代行してもらえるプランもあり、自社で負担する人的コストと比較して検討する価値があります。
セキュリティ保守契約の見直し術
コスト見直しの第一歩は、 契約内容を確認し、使っていないオプションが含まれていないかをチェック することです。
UTMの保守契約は、自動更新で長年放置されていることも多く、知らないうちに割高な料金を支払っているケースもあります。
また、競合ベンダーに見積もりを取ることで、より安価かつ柔軟な保守プランに乗り換えられる可能性があります。
たとえば、同等のサポート内容で年間5万円以上の差が出ることもあります。定期的な契約見直しは、コスト削減とサービス品質の両立に直結します。
UTM導入後に押さえておくべき追加費用
ライセンス更新(1年・3年単位)
UTMは 導入後も定期的なライセンス更新が必要 です。一般的に1年または3年単位で更新する形式が多く、費用は製品の規模や機能によって変動します。
たとえば、基本機能だけの中小企業向けモデルでは年間数万円程度ですが、オプションを多く利用している場合は10万円を超えることもあります。
更新費用を失念していると、急な支出になりかねません。契約時に更新タイミングを明確にしておき、費用の見込みを予算に組み込んでおくことが重要です。
アップグレード
企業の成長に伴い、UTMに追加機能や性能向上といったアップグレードが求められる場面があります。
たとえば、従業員が増えて端末数が拡大した場合、処理能力を補うための 上位モデルへの買い替えや、追加ライセンスの導入 が必要になることがあります。
また、新たにクラウドサービスやテレワーク環境を取り入れた場合、VPN機能やWebフィルタ強化などの追加も検討されます。
こうした機能強化は、数万〜十数万円の追加費用が発生することもあるため、運用計画と連動させた対応が求められます。
障害対応・技術サポートの費用
UTMが障害を起こした場合、ベンダーの技術サポートが頼りになります。
契約内容によっては、基本料金に含まれる電話やメールのサポート以外に、 現地訪問対応(オンサイトサポート)を依頼すると別途費用がかかるケースがあります 。
たとえば、1回のオンサイト対応で2〜5万円程度かかることもあり、頻度が増えると大きなコストになります。
定額サポートプランを用意しているベンダーもあるため、障害発生時の対応範囲を契約前にしっかり確認しておくことが大切です。
定期アップデート・セキュリティパッチ導入コスト
UTMは常に最新の脅威に対応する必要があり、定期的なソフトウェアアップデートやセキュリティパッチの導入が欠かせません。
通常、これらの更新はライセンス費用に含まれていることが多いですが、 導入形態やベンダーによっては別料金になることも あります。
特に自社運用の場合、アップデートの適用作業に社内工数がかかるほか、設定ミスのリスクもあるため注意が必要です。
MSP契約を活用すると、これらの更新を自動で行ってくれるため、追加費用と手間を抑えられるメリットがあります。
セキュリティコスト=経営リスクの低減
投資対効果の視点で考えるUTMの価値
UTMの導入費用を「コスト」として捉えると負担に感じがちですが、実際には 「 経営リスクを防ぐための投資」としての価値が非常に高い です。
情報漏えいやサイバー攻撃の被害を受けた場合、顧客の信頼喪失や取引停止など、甚大な損失を被ることがあります。たとえば、過去には1件の情報漏えいで数千万円の損害が出た事例もあります。
UTMの導入によってこうしたリスクを未然に防げると考えれば、年間数十万円の投資で企業の信用を守れるのは、極めて合理的な判断といえるでしょう。
セキュリティは「今すぐ」始めるべき経営課題
サイバー攻撃は、大企業だけでなく中小企業もターゲットにされる時代です。「まだ大丈夫」と先延ばしにしている間にも、攻撃の手口は高度化し続けています。
セキュリティ対策の遅れは、企業の存続に直結する問題 です。特にUTMは、1台で多層防御が実現できる効率的な対策ツールであり、限られた予算でも導入効果が見込めます。
初期費用を抑えたレンタルプランや、必要最小限の構成から始める方法もあるため、今このタイミングで行動を起こすことが将来の安心につながります。
UTMの費用に関するよくある質問
A
UTMのライセンスは1年〜3年の期間で契約するのが一般的で、更新時にも費用が発生します。基本機能のライセンス更新費用は年間数万円〜十数万円程度で、オプション機能が多い場合はさらに上がることがあります。また、利用台数が増えた場合には追加ライセンスが必要となるため、予備費も見込んでおくと安心です
A
UTMは単なるコストではなく、「人手や時間の削減」といった運用面のメリットが得られる投資でもあります。複数のセキュリティ製品を1台に統合できるため、IT担当者の業務を大幅に軽減できます。たとえば、従来は別々に運用していたウイルス対策・ファイアウォール・メールフィルタをUTMで一元管理することで、設定やログ確認の手間が大幅に減少します。結果として、トラブル発見までの時間も短縮され、企業全体のセキュリティ体制が効率化されます。
まとめ:UTMの導入で、企業の「安心」を手に入れましょう
UTMは単なるセキュリティ機器ではなく、会社全体の安心と信頼を守る「経営インフラ」の一部です。
「費用の妥当性がわからない」「自社に合う製品が見つからない」とお悩みの方は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。
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この記事を書いたライター
Wiz Cloud編集部
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