飲食店の利益率はどれくらい?おさえておきたい指標を解説!

飲食業界は、黒字化経営するまでに時間がかかり、しかも利益を出し続けることが難しい業界と言われており、実際に5年で約2割の店舗が廃業となっています。本記事では、飲食店経営者として知っておくべき「利益率」の考え方を「粗利益」「営業利益」などの関連する指標と合わせて説明していきます。
 

飲食店利益率の計算方法

利益率とは、売上高に対する利益の比率のことで、店舗経営を見るための指標のひとつ。一般的に会社の規模に比例して売上は大きくなるため、利益の額も大きくなります。そのため、利益の額だけで会社の収益を見るのではなく、売上に占める利益の比率を求めた上で判断するのです。利益率は以下の計算式として覚えておきましょう。


利益率=営業利益÷売上高×100(%)


飲食店を長く経営するためには安定して「利益」を出さなければなりません。利益には2種類あり「粗利益(売上総利益)」と、売上総利益から経費を引いた「営業利益」があります。

粗利益(売上総利益)

粗利益とは商売で得た収入から、原材料を引いたおおよその利益を指します。たとえば、メニューに1,000円の定食があり、その食材費が300円だとします。売上の1,000円から食材費300円を引くと、700円の粗利益がでます。この計算は利益の目安を出す場合に使えますが、これだけでは正確な利益を出すことはできません。

粗利益=売上高-原価

営業利益

粗利益よりも正確な利益を算出する方法として「営業利益」があります。営業利益は売上高から固定費や変動費を引いた額のことで、わかりやすくいえば「本当の儲け」とイメージするとわかりやすいでしょう。営業利益は以下のように表すことができます。

営業利益=売上高−売上原価−経費

営業利益は、粗利益よりも正確な利益を把握するときに使われています。

飲食店の利益率の目安は?

経産省によれば、飲食店の営業利益率は平均で8.6%と報告されています。(参考:【経済産業省】商工業実態基本調査利益率の中でも最も差が出やすいのが原価。飲食店の原価率の平均は33.3%(参考:【飲食店.COM】「飲食店のメニュー戦略」に関するアンケート調査ですが、寿司屋や焼肉店は原価率が高く40%以上になる場合もあります。原価率が高ければそれだけ利益は出にくくなりますが、売上高が大きければ、利益率は低くとも利益は大きくなります。

飲食店経営で利益を出すためにおさえておきたい2つの指標

利益率の計算以外にも役立つ指標として「損益分岐点」と「FL比率」の2つの指標が挙げられます。損益分岐点は店舗開業にかかった初期費用などのコストと、売上を計算し、0になる地点を示しています。
また、FL比率は売上に対する食材費と人件費の合計コストを表した比率のことで、この割合が高いほど売上が発生しにくい店舗と言えるでしょう。下記では損益分岐点とFL比率について、より詳しく確認していきます。

損益分岐点

売上高と費用が等しくなり、損益が0となる地点の売上高のことを指します。売上高が損益分岐点をプラスになれば黒字となり、逆にマイナスとなれば赤字となります。損益分岐点を計算する場合、全ての費用を固定費と変動費に区分して入力するため、どの費用がどちらの費用に分けられるのかを常に意識しましょう。損益分岐点を計算する事で「初期費用を回収するのにかかる費用や時期」を出すことが可能です。

損益分岐点=固定費÷(1-変動費÷売上高)

FL比率(FLコスト)

飲食店を経営する上で重要な数字が「FL比率」と「FLコスト」です。Fは原価、Lは人件費のことであり、この2つの合計をFLコストと言います。FL比率とは、飲食店の売上高に占める、FLコストの比率のことです。FL比率は以下の計算式で覚えておきましょう。

FL比率=(食材費+人件費)/売上高

一般的に飲食店のFLコストは60%以内におさまると、利益が出やすいと言われており「F: L=35%:25%」程度が望ましいと言えます。一方でFL比率が65%を超えると、赤字の可能性が高くコストの見直しが必要となります。経営を上手く運用するための、1つの収益の指針として把握しておくとよいでしょう。

飲食店の利益アップのためにできること

飲食業界の利益コントロールは他の業界と比較しても、原材料費と人件費にかかる出費が多く黒字化経営はを続けることは難しいと言われています。そのため、どのようにコストを抑えて利益をアップしていくかを考えることは、飲食店の経営に重要なポイントです。

まずは売上アップよりもコスト削減を意識する

店舗を経営する場合、売り上げを伸ばすために期間限定の新メニュー開発や、グルメサイトへの掲載といった広告に注力することも大切ですが、その分費用が掛かります。出ていくお金をなるべく抑えるためにも、まずはコスト削減に注力すべき

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損益分岐点を下げる

損益分岐点の中の大半を占めるのが店舗の賃料や、設備費などの固定費です。固定費を下げることが出来れば、その分として黒字化経営に動きやすくなります。
とくに賃料は店舗の運営において、人件費に次ぐ大きな固定費と言えるでしょう。一度不動産と契約してしまうと、賃料は変わらない考えがちですが、実は家賃の見直しができることをご存知でしょうか。地価の変動や賃貸の建物の老朽化により、家賃が今よりも下がる可能性もあるのです。

また、毎月発生する電気代やガス代などのインフラ費用も安くなる可能性があります。電気とガスは「自由化」されており、これまで地方の大手電気会社・ガス会社のみでしか契約できなかったものが、自分の好きな事業者と契約出来るようになりました。事業者によっては、電力を使う時間帯や、使用量に応じて安くなる場合もあるため、ぜひチェックしてみてははいかがでしょうか。

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集客目的のメニューと利益を作るためのメニューのバランスを考える

飲食店の原価率平均は33%ですが、全メニューの原価率を30%にすれば良いという訳ではありません。新規ユーザーをつかむためには、コストパフォーマンスを意識した「目玉商品」を作るとよいでしょう。マーケティング力のある飲食店でよく用いられているのが、高原価率の「目玉商品」を低価格で用意し、他のメニューも注文してもらうことでトータルの支払額の原価率を30%に合わせるという方法です。店舗のPRにも繋がるため、主力メニューの価格見直しをしてみるとよいでしょう。

オペレーション改善から人件費削減につなげる

FL比率でも解説した通り、売上を上げるには食材費と人件費をコントロールすることが大切です。中でも人件費は、給与が低ければ人は集まりませんし、人数が足りているかどうかは開業してからでないと分かりません。人件費をなるだけかけずに経営を行なうためには、オペレーション改善が必要です。スタッフの手間がかからないように、食券機や水のセルフサービスを導入したり、飲食店専用のPOSレジを使うこともアイディアのひとつです。

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食材ロス対策をしっかり行う

経営者がキッチンに入っていない場合、従業員の在庫管理が甘く食品ロスが出やすくなっているかもしれません。食品ロスが多い場合、FL比率は高くなり、経営を赤字化させる原因の1つになります。従業員の食品コストに対する教育はもちろん大切ですが、メニューを見直すのも大切です。使いまわししやすい食材を用いたり、規格外と呼ばれる不揃いの食材を購入することで原価率を落とすことが可能です。最近では、余った食材を消費者に格安で提供したり、複数店舗で食材の共有が行える「フードシェアリングサービス」を活用する店舗も増えてきています。

回転率を上げる工夫をする

店舗の回転率が上がらない場合、店舗のレイアウトを見直してみましょう。テーブルを小さめに変更して席数を増やしたり、店内が満席であれば、テラス席やテイクアウト専門のスペースを設けるのもいいでしょう。

ファミリーレストランの大手「サイゼリヤ」では、暖色の空間にいると人は滞在時間が長いと感じやすいという色彩心理を応用し、壁の色をオレンジにしています。そうしたことにより、実際にいた滞在時間よりも長く感じさせ、店舗の回転率をあげています。このように席だけでなく、店のレイアウト全体を見直しても良いでしょう

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まとめ

利益率の計算方法や損益分岐点など、飲食店を経営していくのに役立つ「指標」をご紹介しました。個人事業主の飲食店のオーナーは料理人であり経営者の方が多いため、原材料費や人件費のコストを気にしやすいでしょう。しかしこの2つの「質」まで削減してしまっては、店舗のブランディングにまで影響が出てしまいます。店舗の価値を落とさずに、コストを削減できるよう、上記で取り上げたコスト削減の意識してみてはいかがでしょうか。


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