原価率とは?原価率の考え方や計算方法を解説!

経営者の常に悩みの種になるのは「売上アップ」と「コスト削減」ですよね。原価率はどちらの問題にも大きく関わるポイントであり、原価率の設定は、今後の経営の良し悪しの決めるといっても過言ではありません。
成功している店舗ではどうやって原価率を決めているのか気になる方も多いでしょう。本記事では、売上アップとコスト削減に効果を発揮する原価率の考え方について解説していきます。

 

原価・原価率とは?

「原価」とは、仕入費や製造費などの商品を生み出すのにかかった元の費用です。「原価率」とは、売上に対する原価の割合を示しています。原価を下げることが出来れば、その分利益を伸ばす事も可能と言えるでしょう
業績好調な経営者は、いかに原価を調整し、原価率をおさえるかを意識しているはず。まずは原価と原価率についてしっかり押さえていきましょう。

原価

原価とは、商品を生み出すまでにかかった直接的な費用のこと。
業界によっては人件費を原価に含めたうえで経費計算を行なう場合もありますが、飲食業界の多くは人件費を原価に含めません。飲食業界ではメニューにかかった「原材料費」を原価と呼ぶ場合が多いでしょう。

例えばパスタを作る場合、麺やソース、調味料の材料を購入しますよね。この材料の購入にかかった費用を原価としています。なお、テイクアウトの場合は原価に容器の費用を含める場合もあるという点を頭に入れておきましょう。

原価率

原価にかかった費用が分かれば原価率を求めるのも簡単です。原価率は売上に対する原価の割合で求められます。
原価率が分かれば、店舗にどれくらいの利益が出るのかをおおよそ把握することが出来ますので、原価率は経営を行う上で非常に重要な項目です。もし原価率が高ければ利益は小さく、経営を圧迫してしまうかもしれません。

しかし原価率が低すぎても、商品の質を落とすことになりますので、原価率は高すぎても低すぎてもいいとは言えないでしょう。

原価率は飲食店の業態によって異なる

飲食店リサーチによれば、飲食店の平均的な原価率は33.3%。しかし洋食店では原価率が35%以上の店舗も多く、原価率は一律で何%が良いという訳ではなく、業態によって異なると言えるでしょう。(参考:「飲食店のメニュー戦略」に関するアンケート調査 飲食店リサーチ)

人気の飲食店には必ずと言っていいほど人気メニューがありますよね。
例えば、寿司屋の「1人につき1注文まで 大トロ1貫500円」などといった格安キャンペーン。大トロの原価は300円だとすれば、原価率は60%と原価率の高い商品と言えるでしょう。しかし来店客は大トロ以外にも、サーモンや軍艦など、低原価な商品も注文するため、トータルで見た原価率は30%程といった形で採算がとれるのです。

メニューを開発する際には、原価率が高く集客効果のあるフロントエンド商品と、原価率が低く利益を上げるためのバックエンド商品の両方を意識するのが良いでしょう。

原価率の計算方法は?

原価率について理解ができたら、計算方法について見ていきましょう。
店舗の売上げ費の中から、原価や、人件費、テナント費を支払う事になるため、原価の設定は大きなポイントです。原価と原価率を抑えることが出来れば、他の経費に回すことができますので、原価率の計算はよく覚えておきましょう。

 

計算方法

原価率は、売上げに対する原価の割合で求められるため、下記の式で表すことができます。



原価率(%)=原価÷販売価格×100

原価率が分かれば、そのメニューがどの程度店舗の売り上げに繋がるか把握できるでしょう。
立地や業態、獲得したいユーザー層によって価格設定は異なりますが、ユーザーの需要とマッチしていなければ、経営はうまく行きません。
集客の要となるメニューだけでなく、経営を回すためのメニューも販売しなければなりませんから、メニュー全体の平均原価率を求めるを忘れないようにしましょう。

 

歩留まりについて

歩留まりとは、購入した原料のうち実際に使うことが出来た部分の割合のこと。
歩留まり率が高ければ、原材料を無駄にせずに調理に使えたということになりますから、歩留まり率は高い程良いでしょう。
歩留まりを加味せずに、原価率を計算してしまうと、誤った原価率になってしまうことも。必ず歩留まりを加味した原価率を求めるようにしましょう。

例えば刺身を提供する場合、調理時に魚の骨や内臓は廃棄されます。1,000gの魚のうち300gを廃止した場合、700gが提供可能となり、歩留まり率は70%として表せます。

上記で言えば1kg=10,000円の魚で70%が歩留まりだった場合、常に30%=300g分は常に廃棄されます。そのため正しい原価は700g=10,000円となります。

FLコストとは

FLコストとは、原価(Food)と人件費(Labor)を含めた費用。また売上げに対するFLコストの割合は「FL比率」と呼ばれています。

飲食業は原価と人件費が大きなコストとなる場合が多いため、売上の内の何%に抑えるかというのは店舗にとって重要です。店舗によってFとLの割合は異なりますが、FLコストが高すぎる場合、ほかのテナント費や光熱費を合算したときに赤字になる可能性は高くなります。売上アップを目指すためにも、FLコストを考えることは大切でしょう。

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原価率を確認すべきタイミングは?

原価率は1度決めたらそのままという飲食店も中にはありますが、安定した経営を行うためには定期的な原価率を見直しは重要でしょう。
原価率を確認するべきタイミングは大きく分けて以下の4つ。決して毎日行なうわけではありませんので、日々の業務の負担になることはないでしょう。

 

・原価率を設定するとき
・原価や仕入価格が変更したとき
・月ごとの粗利見込みの計算をするとき
・週単位で売上分析をするとき

 

この4つのうち、上2つは店舗の売り上げに大きく直結しますので、ぜひ確認しておきましょう。
それでは、各ポイントがなぜ重要なのか解説していきます。

原価率を設定するとき

メニューを開発・価格設定するときには、販売価格と合わせ、そのメニューの原価率が、他のメニューを含めた全体の原価率にどのような影響を与えるかを考えましょう。
平均原価率よりも原価率が高かった場合、店舗の経営を圧迫する要因になる可能性もありますので、本当に採算の取れるメニューかどうかを考えながら原材料を選ぶことをおすすめします。

原価や仕入価格が変更したとき

食品の購入価格は天候不良や、ウイルス等による影響などによって大きく変化する可能性があります。原価や仕入れ価格に変更があったら、原価率への影響を見直しましょう。
ニュースなどに取り上げられるのはサンマの価格高騰。不漁となった2020年の初セリ価格は1匹6,000円近い価格で取引され、仕入れ値が高額になったため、店舗での取扱いを中止するといった現象が起きました。
台風や地震による天災によって食材に影響が出ることもありますので、最新情報を常に確認しましょう。

月ごとの粗利見込みの計算をするとき

毎月、月末には1か月の粗利の見込み計算を行なうタイミングで、原価率を確認しましょう。
高原価メニューばかり売上が伸びて採算が合わなかったり、原価率が想定よりも高くなってしまっている可能性もありますので、毎月月末のタイミングで売上だけでなく、原価率も見直しましょう。

週単位で売上分析をするとき

1週間ごとに売上を集計するときに、原価率もあわせて確認しましょう。
季節によって売れるメニューも異なりますので、メニューの売れ筋によっては採算が合わなくなることもあるでしょう。
また、従業員への朝礼の際に、売上高だけでなく原価率も伝えることが大切です。オーダーミスや締め作業時の廃棄作業によって原価率を圧迫する可能性があることを従業員に共有できれば、より原価率を抑えることもできるはずです。

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理想の原価率は?


飲食店の利益率は30%程度が良いという言葉を耳にしたことがある人もいるでしょう。しかし、経営する飲食店により理想の原価率は異なります。むしろ全ての原価率は必ず30%と捕らわれてしまう方が、経営危機に陥りやすいポイントになるでしょう。
自社店舗の業種に合わせ、平均的な原価率を参考に、自分の店舗の原価率を決定するとよいでしょう。こちらでは、黒字化経営に成功している店舗で採用されている原価率の設定について解説します。

フードとドリンクをセットで考える


フードよりもドリンクの方が、原価率が低いというのは一般的でしょう。材料もかかりませんし、季節による購入価格の変動も少ないドリンクメニューは、収益を安定化させるポイントとなります。

原価率の高いフードと合わせて原価率の低いドリンクを注文してもらえれば合計の原価率は、フード単品の注文よりも抑えることが出来ます。ランチタイムなどはドリンク付きメニューとして料金を改訂してみたり、ドリンクの訴求を高めてドリンクの注文数が増やすことができれば、原価率を低くすることができるかもしれません。

飲食店で原価率を考えるのであれば、フードとドリンクの原価率は合わせて考えるといいでしょう。

メニューごとに原価率は異なる

原価率30%の固定観念のまま、全てのメニューの原価率を一律にすると、経営はどうなるでしょうか。ドリンクなどの原価の安いものは、さらに安く提供できるかもしれませんが、原価の高いメニューはさらに値段が上がってしまうでしょう。その結果、人気メニューとなるはずの商品が注文されず、集客効果もなくなってしまいます。
ドリンクのように原価率の低い商品は価格を高めに設定し利益を確保しつつ、フードのように原価率の高い商品は価格を低く設定し集客メニューにする。このように収益の採算が合うように全体を通したメニュー作りが必要となるでしょう。

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原価率が高くなる原因

原価率を抑えるためには「原価率が高くなる原因」を把握する必要があります。飲食店の原価率が高くなる原因は、大きく以下の5つに分けられます。

・オーダーミスや廃棄による食品ロス
・業務導線が悪い
・在庫管理が甘い
・オーバーポーション
・価格や内容の見直しを行なっていない


つい食品のロスに気を取られがちですが、他にも見直せるポイントは多くあります。各ポイントの詳細については後述しますので、合わせてチェックしてみてください。

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原価率を下げるためのポイント

東京商工リサーチによれば、2019年の飲食店の廃業数は799件と前年から7.9%増加(*1)。飲食店の経営はますます厳しくなっています。飲食店の安定経営を目指すなら原価率を下げることは重要ですが、原価率を下げるために、料理の質を落としてしまっては本末店頭。こちらでは料理の質を落とさずに、原価率を下げるポイントについて詳しく見ていきましょう。
(*1)2019年「飲食業倒産動向」調査 東京商工リサーチ 

食材の無駄やロスをなくす

フードやドリンクを作るには、材料を仕入れる必要があります。しかし材料には賞味期限や提供可能な時間が決められていますから、当然廃棄も出てくるでしょう。食品の無駄やロスを無くすことは重要です。なぜなら食品の廃棄と比例して、原価率も上がってしまうためです。
そのため従業員への指導も重要です。各商品の原価率を伝えることで、従業員にもオーダーミスを減らそうと心掛けたり、ロスを生まないためにお客様へ一声干渉をするなど意識づけにも繋がります。

業務効率化の工夫をする

原価率を下げるために、従業員1人ひとりに、食材の無駄やロスをなくす意識を持たせることは重要ですが、食材の無駄やロスが生まれにくい環境作りをすることも重要です。
オーダーミスを減らせるよう手書き注文からタッチパネルでの注文に切り替えるなど、業務効率化を図りましょう。
また、食品の調理時に無駄が出ないよう、調理工程のマニュアル作成をしておくのも良いでしょう。カットサイズや、調味料の分量を記入しておくことで、余計なロスを生まない環境を作ることが出来ます。

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在庫管理を徹底する

原価率を下げるためには、在庫を過剰に持ちすぎないことが重要です。在庫を多く抱え過ぎることで、ロスなど原価率が高くなる原因になってしまいます。
在庫を細かく把握し、食材の発注時には、賞味期限を迎えるまでに、どれだけ注文が来るかを想定して注文すると良いでしょう。
注意したいのが、在庫を余らせないようにと食材を切らしてしまった場合、お客様は頼みたいメニューが注文できず不満につながる可能性があります。欠品にならないような在庫管理を心掛けましょう。

オーバーポーションをなくす

オーバーポーションとは、規定量以上の食材を使用してしまうこと。
例えばオマケとして食材を追加したり、よそいすぎてしまうなどがオーバーポーションにあたります。食材を規定量以上に乗せているのに、販売価格が同じであれば原価率は高くなりますから、店舗経営に影響がでてしまいます。
またオーバーポーションはお客様にとってもいいこととは言えません。提供されるメニューの量にバラつきがあれば、お客様の不満の原因になるでしょう。

オーバーポーションを防ぐにはレシピを作成し、誰が作っても同じ分量で提供できるようにしておく必要があります。オーバーポーションは、お客様にも店舗にとってもデメリットに繋がるという意識を持ちましょう。

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メニューの価格や内容を工夫する

一度提供を開始した場合でも、原価率を見直す事が大切です。
原価率の高い商品と合わせて原価率の低いメニューも注文してもらえるようにセットメニューを開発したり、1つの食材で複数のメニューを作れるようにするなど、価格や内容を工夫すると良いでしょう。
またメニュー表のデザインを変更することも大切です。セットメニューが注文しやすいデザインにしたり、売り出したい商品を大きく印刷することで、店舗の売上アップに繋がるはずです。

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まとめ|原価率を抑えて安定経営につなげよう

原価率を考えることは経営にとって重要な指標のひとつ。原価率の抑えられるメニューはしっかりと抑えて安定経営につなげましょう。
原価率を抑えることが出来れば、店舗の売上アップが期待でき、さらにメニューの質を上げられたりと顧客満足度の向上にも繋がるはずです。
また、原価率以外にもコストカットを検討している場合、家賃や電気、ガス、水道といった毎月発生するコスト削減を試してみることで効果が出るはずです。是非チェックしてみてください!


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