名前は聞いたことがあっても計算の仕方や、注意ポイントは分からないという方も少なくないでしょう。
減価償却を上手く活用することで、高額控除を受けられたりと、減価償却の知識があるかどうかで計上経費は大きく異なってきます。
本記事では、初心者でもわかりやすく、減価償却の意味やポイントを解説していきます。
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減価償却費について
減価償却費とは、固定資産を分割費用として計上する際に利用する勘定項目のこと。
ちなみに固定資産は、一般的に1年以上使う予定のある資産。車や機械などの形ある資産をまとめた「有形固定資産」と、ソフトウェアや特許などの形のない資産をまとめた「無形固定資産」の2つに分類することが出来ます。
勘定経費とは、何のために使われた経費なのかを分類する経費。例えば交際費や光熱費などが当てまります。減価償却の詳細は順を追って説明していきます。
減価償却とは
そもそも減価償却とは、一括で購入するには高額な、車やパソコンなどを購入するときに、耐用年数に応じて分割計上すること。
例えば営業社として使う車の購入費が200万円だとしましょう。その場合、購入した年に200万円を経費として計上するのではなく、耐用年数の4年に分割にして毎年50万円ごとに計上するといったかたちです。
減価償却を行う理由
減価償却は「費用収益対応の原則」という考え方から生まれたもので、月や年ごとの収支を正しく把握するために行なわれています。減価償却が行われずに決算を行なった場合を考えてみると分かりやすいので下記を見てみましょう。
例えばカフェで業務用冷蔵庫を300万円で購入したとします。そのままその年に300万円を経費計上してしまうと、その年の売上よりも業務用冷蔵庫の購入費が高く、赤字なる可能性があります。赤字の場合、銀行は融資額を減額させたり、最悪打ち切りにする場合もあるでしょう。
そこで減価償却を取り入れ、分割して購入経費を計上として行くことで、毎年の利益を正確に表すことが可能になります。
また、業務用冷蔵庫を購入したその年に全額経費計上すると、翌年からは経費が掛かっていないのに売上だけが発生する形となり、前年経費との大きなずれが起きます。決算書や確定申告に掲載する費用は、その年にかかった費用となっているので、継続利用する固定資産は減価償却を活用して、分割化すると良いでしょう。
減価償却に関する用語
減価償却によく登場する用語として以下の物が挙げられます。簡単に説明していきますので、覚えておくと良いでしょう。
減価償却ができる資産
減価償却が行なえる資産は「減価償却資産」と呼ばれます。
減価償却資産は購入したもの全てが対象となるわけではなく「業務で使用していて、時間経過によって劣化する固定資産」という特徴があります。建物や機器、ソフトウェア等は購入から時間がたつことで資産価値を失っていくため減価償却の対象となるでしょう。
減価償却ができない資産
減価償却の対象とならない固定資産もあります。
時間が経過しても劣化しない土地や電話加入権が分かりやすいでしょう。骨董品や絵画などの歴史的価値のあるものも、減価償却の対象とはなりません。
また稼働停止中のテナントや機器は、減価償却の対象基準ある「業務上で使用する」の部分に該当しないため、減価償却の対象とはなりませんので覚えておきましょう。
中小企業が利用できる制度
固定資産は減価償却を行なうのが一般的ですが、中小企業には「少額減価償却資産の特例」という制度を活用することが出来ます。
少額減価償却資産の特例では、30万円未満の固定資産なら減価償却せずに、一度に経費計上することが可能。景気の変動を受けやすい中小企業では、資金のあるうちに備品を購入・経費計上したいときもありますから、分割払いにするか一括払いにするか選択できるのは嬉しいですよね。
なお、少額減価償却資産の特例制度は平成18年4月1日から令和2年3月31日までの間に取得した固定資産を対象とするとなっていますので、詳細は国税庁の中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例のページをご確認ください。
減価償却のスタート時期
減価償却には「その固定資産を使い始めた時が、減価償却の開始時期」と定められています。そのため、固定資産を支払っても、納品の遅れによってその期に固定資産を稼働できなかった場合は、その期の減価償却費として計上する必要はありません。
減価償却費の計算方法
減価償却費の計算方法は2つ。「定額法」と「定率法」があります。
定額法は1年目から耐用年数の最終年まで同じ額を償却する計算方法で、定率法は利用開始した1年目の経費計上額が1番大きく、その後計上額が小さくなっていく計上方法です。購入資産によっては定額法と決められているものもありますが、事業者が定額法か定率法かを選択することも可能。
定額法にするか定率法にするかによって仕訳の記入方法が異なりますので、企業の経営業態や、購入額に応じて選んでいきましょう。
仕訳とは
仕訳とは、勘定科目を使って、企業のお金の出入りを記録すること。仕訳をしていないと決算書を作ることが出来ず、確定申告も行なえなくなってしまいます。また経営者本人も事業の業績を判断する材料の1つとして活用しています。
定額法
定額法は、毎年同じ額を減価償却費として経費計上します。
例えば購入費が150万円、耐用年数が6年の機器を購入した場合、150万円を6年で割り年間25万円ずつ減価償却する形になっています。固有資産のなかでも、建物や、エレベーター、駐車場の敷地などは定額法での計算のみと定められています。金融からの貸入れがある場合は、定率法だと初年度の費用が高くなるため、支払いを圧迫する可能性がありますから、定額法の方が良いでしょう。
定率法
定率法は、初年度の減価償却費が一番高額で、翌年度以降は徐々に金額が減少させていく方法。翌年度以降の額は、固定資産の取得した際の価格や、耐用年数によって決められています。定額法と比べると複雑ですが、定額法よりも資産を早く償却できるという特徴も。早期償却することで、他の機器を購入することが出来たり、初年度の節税効果が高いなどメリットが豊富です。
減価償却費を計算するときのポイント
減価償却を計算するときは「取得原価」「耐用年数」「残存価額」の3つのポイントが重要。どれも耳なじみのない言葉かもしれませんが、決して難しい単語ではないので、減価償却と合わせて覚えていきましょう。
取得原価
取得原価とは、固定資産を取得した時のトータルの資産価値。
購入金額だけでなく、運送費や、手数料などの付随費用も含んだ額となり、簡単に言えば「使用開始までにかかった額」と言えます。
原則、付随費用も減価償却費と合算しての経費計上となり、一括払いとならない場合も多いので注意しましょう。
耐用年数
耐用年数は、資産を問題なく稼働できるであろう使用可能期間のこと。
購入した資産の種類や材質、用途などによって法律で耐用年数が決められています。例えば事務所で使用する机も、金属製であれば15年、その他なら8年と耐用年数が異なっています。耐用年数が詳しく知りたいという方は国税庁のホームページから確認できますのでチェックしてみましょう。
(参考:国税庁 耐用年数)
残存価額
残存価額とは、耐用年数が過ぎた後に残る固定資産の価値。
残存価額では、耐用年数が経過した後の固定資産にも購入金額の10%の価値があると定められていました。
しかし平成19年の税制度改正により、残存価額という考えは廃止。代わりに「残存簿価」という単語が生まれました。残存簿価では、耐用年数が過ぎた後の固定資産には1円の価値があるという考え方です。この1円は備忘価格と呼ばれ、減価償却資産があったことを忘れないようにするためのものとして、毎年経費に計上する必要があります。
減価償却費について理解し、経営に活かそう
難しいと感じがちな減価償却ですが、耐用年数や計算方法を抑えればそう難しいものではありません。
コスト削減を行なうためにも、固定資産を購入する前には購入費だけでなく耐用年数を確認すると良いでしょう。また、自社の経営状況に応じて定額法か定率法のどちらかを選択すれば、より良い経営に向かっていくはずです。
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この記事を書いたライター
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