テレワークを開始するために、必ず押さえておきたいのが、会社の情報を守るためのセキュリティ対策です。セキュリティ対策を考えずにテレワークを実施すると、万が一ウイルス感染や不正アクセスなどの被害にあった際、大きな損害を受ける可能性があります。
そこで今回は、これからテレワークの導入を考えている方に向けて、セキュリティリスクとその対策について詳しく解説していきます。あわせて、便利な情報セキュリティ対策ツールもご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
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新型コロナウイルス感染対策で推進される「テレワーク」
テレワークは、もともと「働き方改革」の名のもと、 少子高齢化対策や防災・環境対策、ワークライフバランスを実現するための柔軟な働き方 として、政府が推進していました。企業の中には、徐々にテレワークという働き方の選択肢を設け、子育て中の方や介護をしながら働く方などに向けて、少しずつ導入が進んでいました。
しかし2020年からは、新型コロナウイルスの感染拡大防止策として、出社せずに自宅で業務を行う形の「テレワーク」が推奨され、急速にその需要が高まることとなりました。
テレワークは、総務省によると「情報通信技術(ICT)の利用により時間・空間を有効に活用する多様な就労・作業形態」と定義されており、新しいビジネスの創出や労働形態の改革のほか、多様化する個人のライフスタイルに応じて、柔軟かつバランスの取れた働き方の実現を目指すものとしています。
コロナ禍の影響により「在宅勤務=テレワーク」と認識されがちですが、実はテレワークには大きく分けて3種類あります。最も一般的な方法が、自宅で業務を行う「在宅勤務」で、そのほか、ノートPCやタブレットなどを使って外出先で業務を行う「モバイルワーク」、企業の本拠地や拠点とは別に設置されたワークスペースで業務を行う「サテライトオフィス」があります。
こうしたテレワークを導入することで、 従業員の通勤や移動にかかるコストや時間を軽減できるため、会社としては業務効率化やコスト削減が可能になり、従業員としても通勤にかかる負担が減るため、柔軟な働き方が可能 となります。
テレワーク環境でのセキュリティ課題と対策
テレワーク環境では、 従業員が自宅や外部の場所で作業を行うため、企業のセキュリティリスクが高まることがあります 。その理由としては、自宅や外部のネットワークはオフィスのそれと比べてセキュリティが低く、不正アクセスやウイルス感染のリスクが高まるためです。
具体的なセキュリティ課題としては、ネットワークの脆弱性を突いた攻撃や、端末の紛失・盗難が挙げられます。
このような課題に対処するためには、企業は以下の対策を実施することが重要です。こうした対策を実施することで、企業はテレワーク環境でのセキュリティ課題に対処し、安全な遠隔作業を実現することができます。
- VPNやネットワークアクセス制御などの技術を利用して、外部からの不正アクセスを防ぐ
- データの暗号化やパスワード認証の強化により、端末の紛失・盗難による情報漏えいを防止
- 最新のセキュリティアップデートやパッチを適用し、システムの脆弱性を減らすことで不正アクセスのリスクを低下させる
- 従業員に対してセキュリティ教育を実施し、安全なテレワーク環境の整備や運用に関する知識を共有する
テレワークにおけるセキュリティリスクとは?
PCなどの端末の紛失・盗難
テレワークでは、従業員が自宅や外部の場所でPCやスマートフォンなどの端末を使用することが一般的ですが、これにより端末の紛失や盗難のリスクが高まります。
端末の紛失・盗難が発生すると、企業の情報資産や個人情報が漏えいする可能性があり、大きな損害をもたらすことがあります。
企業は、端末の紛失・盗難対策を万全にすることで、テレワーク環境におけるセキュリティリスクを低減させることが可能です。
ネットワーク環境によるサイバー攻撃
ネットワーク環境が変化することで、企業はサイバー攻撃によるリスクが高まっています 。その理由は、企業がオフィス環境からテレワーク環境へシフトする中で、従業員が自宅のインターネット環境や不安全なWi-Fiにアクセスすることが増えているところにあります。
この状況下で、アクセス制御やデータの保護が不十分な場合、外部からの不正アクセスやデータ漏えいのリスクが高まります。事例としては、社内ネットワークに侵入されて情報が盗まれるケースや、外部からの攻撃によって業務が停止するケースが挙げられます。
リモートデスクトップへの不正アクセス
テレワークの普及に伴い、会社の端末と遠隔で接続するリモートデスクトップの利用が増えました。しかし、 リモートデスクトップを利用することで、悪意のある第三者が自宅やオフィスのコンピュータに侵入し、データを盗んだり破壊したりする事象が起きています 。
この問題に対処するためには、 企業はリモートデスクトップの利用において最新のセキュリティ対策を講じる必要があります 。例えば、強力なパスワードを設定し、定期的に変更することや、二要素認証を導入することが効果的です。
また、従業員に対してセキュリティ意識を高める教育を行い、リモートデスクトップの利用方法やリスクについて理解を深めさせることも重要で、企業は不正アクセスやデータ漏えいのリスクを最小限に抑えるため、適切なセキュリティ対策を実施することが求められています。
企業が取るべきセキュリティ対策のポイント
VPNを活用した安全なリモートアクセス
企業がセキュリティ対策のポイントとして重要視すべきは、 VPNを活用した安全なリモートアクセス です。その理由は、VPNを利用することで、インターネット上での通信が暗号化され、外部からの盗聴や改ざんが困難になるからです。
企業はVPNサービスを導入し、従業員の自宅や外出先から社内ネットワークに安全にアクセスできる環境を整えておかないといけません。さらに、導入するVPNサービスについても、セキュリティ性能や信頼性を検討し、適切なサービスプロバイダを選択することが重要です。
また、従業員に対しては、VPNの正しい利用方法や設定方法を習得させる教育が必要です。これにより、企業はテレワークやリモートアクセスにおけるセキュリティリスクを軽減し、ビジネスの継続性を確保することができます。
セキュリティガイドラインの策定・見直し
企業において、 セキュリティガイドラインの策定・見直しは不可欠であり、これによって情報漏えいや不正アクセスなどのリスクを最小限に抑えることができます 。
まず、ガイドライン策定の際には、組織内のシステム環境や業務内容、従業員のITスキルレベルを考慮することが重要です。具体例として、データ管理ルールやパスワードポリシー、VPN接続に関する手順などが挙げられます。
また、ガイドラインを策定した後も、定期的な見直しが必要となります。これは、サイバー攻撃やウイルスの脅威が日々進化しており、最新のセキュリティ対策が求められるためです。
セキュリティソフトの導入
セキュリティソフトの導入は、企業における情報セキュリティ対策の基本 であり、ウイルス感染や不正アクセスを防ぐために欠かせません。導入する際には、ネットワークセキュリティや端末セキュリティ、データ保護機能を備えた製品など、企業規模や業務内容に応じた適切な製品を選定しなくてはいけません。
また、導入したセキュリティソフトは、定期的なアップデートや設定の見直しを行うことで、最新の脅威に対応することができます。さらに、インターネット接続時にリアルタイムでチェックを行う機能や、不正なWebサイトへのアクセスを防ぐ機能も重要なポイントです。
通信環境の整備
通信環境の整備は、ビジネスの効率化やスムーズなワークフローを実現するために重要であり、特に リモートワークなどのテレワーク環境が求められる現在、その重要性が高まっています 。
まず、企業内で安定した通信環境を整備するために、高速で安全なインターネット接続サービスの選定が必要で、帯域幅や回線品質を考慮することが求められます。
また、社外からの通信も考慮し、VPN接続などのリモートアクセス環境を構築することが重要です。これにより、従業員が外部からでも安全に社内ネットワークに接続し、データやアプリケーションにアクセスできるようになります。
さらに、通信の暗号化強化にも取り組むべきであり、SSL/TLSやIPsecなどのプロトコルを活用することが推奨されます。
物理的なセキュリティ対策
物理的なセキュリティ対策は、 企業のデータや資産の保護に欠かせないもので、端末の盗難や紛失による情報漏えいを防ぐためには、業務用端末の物理的な管理が重要 です。
事例として、自宅でのリモートワーク時、端末を施錠可能な場所に保管し、使用後は必ず施錠することが求められます。また、オフィスにおける物理的なセキュリティ対策として、入退室管理や監視カメラの設置が挙げられます。
データセンターやサーバールームも重要な対象です。これらのセキュリティ対策には、専用の防犯施設や火災対策が含まれます。また、ネットワーク機器の物理的な保護を行い、悪意ある攻撃者からのアクセスを防止することが求められることもあります。
パスワード管理の徹底
パスワード管理の徹底は、情報システムのセキュリティを確保する上で欠かせません 。
まず、強固なパスワードの設定が求められます。これには、大文字・小文字・数字・記号を組み合わせた長いパスワードが有効で、定期的なパスワード変更や、一つのパスワードを複数のサービスで使わないことも考慮する必要があります。さらに、パスワード管理ツールを活用し、セキュアな方法でパスワードを保管することが求められます。
また、二要素認証や多要素認証を導入することも、パスワード管理の徹底に繋がります。これにより、パスワードだけでなく、さらに別の要素(例:携帯電話、指紋認証)も必要とすることで、セキュリティ対策を強化できます。
総務省が発行した「テレワークセキュリティガイドライン」
このように企業などがテレワークを実施していくにあたって、セキュリティ上の不安を取り除き、安心してテレワークの導入し活用するための指針として、 総務省は「テレワークセキュリティガイドライン」を策定 しました。
「テレワークセキュリティガイドライン」には、主に3つの内容が記されています。1つ目は、テレワークを行うにあたって必要となるセキュリティ対策の考え方、2つ目は、テレワークにおけるセキュリティ対策のポイントが記載されています。これには、経営者や従業員、システム管理者それぞれの立場で行う対策が具体的に書かれています。そして3つ目は、テレワークのセキュリティ対策それぞれに関して、詳しく解説したものになります。
現在は、第4版まで発行されており、新しくクラウドサービスやSNSを利用する際の注意点などが追加されています。
参考サイト:総務省「テレワークセキュリティガイドライン(第4版)」
テレワークにおける情報セキュリティ対策の考え方(3要素)
ルール
テレワークの導入時には、必ずしもセキュリティ対策に関する知識を持った人がいるわけではありません。しかしセキュリティの専門家ではない人が、業務に関してセキュリティ面で安心かどうかを、何かあるたびに都度判断することは非効率なうえ、正しい判断とはいえません。
そのため、 セキュリティ対策に関するルールを設けることで、みんなが「ルールを守ることを意識」するだけでも、安全に業務に取り組むことができます 。
人
前項でルールを設定したとしても、実際にそのルールを実行する人が、きちんと遵守しなければ意味がありません。ルールを守ってもらうためには、 実施する本人がルールを守って業務を遂行することで、どういったメリットがあるのかなど、納得できる形で示す必要があります 。
技術
人がルールを守るためには、ただ伝えて認識するだけでは不可能な部分があります。そのうえで 人とルールだけでは埋まらない部分を、技術面で補完 します。
技術と一言でいっても、セキュリティ脅威に対して「検知」「制御」「防御」など、幅広い対応を行い、それらにはアナログなものから自動で行うデジタルなものまでさまざまです。
企業におけるテレワークセキュリティに対する取り組み
社員教育とセキュリティ意識の向上
テレワーク環境では、適切なセキュリティ対策が実施されていない場合、 企業のデータ漏えいや不正アクセスのリスクが高まるため、社員教育とセキュリティ意識の向上が重要 です。具体的な取り組みとしては、以下のようなものが挙げられます。
- セキュリティポリシーの策定と周知: 企業はセキュリティポリシーを策定し、社員に周知することで、ルールを明確にする。これにより、意識の低い社員に対してもルールを徹底させる。
- セキュリティ教育: 社員に対して定期的なセキュリティ教育を実施し、サイバー攻撃や情報漏えいのリスクに対する認識を高める。また、教育の効果を確認するための試験やアンケート調査も実施する。
- インシデント事例の共有: 実際に発生した情報漏えいや不正アクセスの事例を社内で共有し、社員のリスク認識を高める。
- セキュリティツールの導入: 社内で使用される端末やネットワークへのセキュリティツールの導入を促進し、社員が安全にテレワークを行える環境を整備する。
これらの取り組みを通じて、社員のセキュリティ意識を向上させ、テレワーク環境での情報漏えいや不正アクセスのリスクを最小限に抑えることができます。
テレワークセキュリティのまとめ
これらのポイントを押さえた上で、企業はテレワークにおけるセキュリティ対策を実施し、安全な働き方を実現するべきです。今後もこのような情報を得るために、定期的に関連サイトや資料をチェックすることをお勧めします。
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この記事を書いたライター
Wiz Cloud編集部
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