本記事では、テレワーク導入に役立つ補助金や助成金の詳細をまとめて紹介していくので、ぜひ参考にしてください。
補助金・助成金を調べるときのチェックポイント
いざ補助金や助成金を使ってテレワークを導入しようとしても、どの申請をしたらいいのか分からない企業の方もるかと思います。補助金や助成金は国のお金を使用している為、なかなか広告が出せず、周知にも時間がかかるという問題点があります。多くの方は、補助金と助成金の違いが分かりにくいと感じているかもしれません。ここでは、補助金と助成金の違いを解説するとともに、募集要項や詳細についてまとめています。
補助金・助成金の違い
補助金は、主に「厚生労働省」からのお金です。補助金には予算が決まっていて、最大何件という決まりがあります。そのため、審査を受け採択されたら支給されるものが多いことが特徴です。また「物に対するのお金」が多く、主に国が新規事業や、創業促進、さまざまな国策を促進するための手段の一つとして実施しています。
助成金は主に「経済産業省もしくは地方自治体」からのお金です。一定の条件を満たすことで必ず支給されるもので、返済の必要がないお金となっています。大きく分類すると、「雇用関係の助成金」と、「研究開発型の助成金」に分かれます。例えば、女性の雇用を増やしたり、もしくは新規事業の開発などに多く適応されてます。条件を満たしていれば、複数の助成金を利用することが可能です。
募集時期
●補助金
補助金は大抵の場合、国会で予算を組んでからの交付となる為、4月もしくは5月から公募されるものが多くあります。補正予算が組まれる場合などは、補助金の二次公募が12月に組まれる場合などもあります。補助金は助成金に比べ、発表から締切まで1カ月程度の補助金も多いため、人気の補助金を申請するには事前準備と前知識が必要となります。
●助成金
助成金は原則、4月頃公募開始で予算がなくなるまでの募集が多いなど、通年での申請可能です。業種や社員数など申請条件に合致していれば、ほぼ支給され補助金と比較して難易度が低いのが特徴です。しかし、人気の助成金であれば公募開始から2カ月程度で受付終了になることもあり、いつでもいいやと考えずに早めの申請が重要です。
要件・給付対象
●補助金
補助金は性質上、返済の必要はありません。特徴としては自社負担での導入後、約半年から1年ほどで支給となる「後払い」が基本です。また、企業が衰退しないための制度ではなく、企業が成長する取り組みに対して支援する為に用意されている制度なので、新製品の開発や新サービスの構築などの具体的な事業計画が必要となります。
補助金の財源は、「法人税」です。そのため、当然ですが法人税の未納や滞納のある事業者は、補助金の申請をする事が出来ません。
●助成金
助成金は補助金と同様返済の必要はありません。また原則後払いという特徴も同じです。助成金の財源は「雇用保険料」です。そのため、 多くの助成金が雇用保険(労働保険)に加入している企業が条件になっています。
支給額
●補助金
補助金には、経済産業省をはじめとする省庁が主導するもの、自治体が独自に設けるもの、そのほかの団体が設けるものなどいろいろな種類があり、金額も数万円から数百万円以上までとさまざまです。
●助成金
様々な助成金がありますが、もらえる金額は非常に幅があります。例えば、「キャリアアップ助成金」では1人あたり72万円の受給が可能です。年間20名まで、最大5年間活用できますので、とても大きな金額を得ることが出来ます。
また「雇用調整助成金」では1日あたりの上限額は1万5,000円、月額の上限額では33万円になっており、使いたい助成金に合わせて支給金額は異なる為、よく検討する必要があります。
テレワーク導入補助金一覧
補助金・助成金には管轄の違いはあるとはいえ、基本的に企業の発展のために使われるものです。しかし、補助金・助成金の数は100以上あり一体どれを選べばいいのか分からないと思っている企業の方も多いはずです。
こちらではテレワークを検討中の企業に向けて、開示されている補助金・助成金についてまとめました。すでに申請期限が切れてしまっているものでも、補正予算によって2次募集がかけられる可能性もありますので、確認してみてください。
なお、正誤について細心の注意を払って掲載していますが、助成金を受けられる条件など、詳細については関係各所に問い合わせてください。
厚生労働省「働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)」
●対象事業主
時間外労働の制限その他の労働時間等の設定の改善、及び仕事と生活の調和の推進のため、在宅又はサテライトオフィスにおいて就業するテレワークに取り組む中小企業事業主
●対象事業主の詳細
(1) 労働者災害補償保険の適用事業主であること(2)次のいずれかに該当する事業主であること
業種 | A.資本または出資額 | B.常時雇用する労働者 |
---|---|---|
小売業(飲食店含む) | 5,000万円以下 | 50人以下 |
サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
その他の業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
●助成対象
以下のいずれか1つ以上実施
○テレワーク用通信機器(※)の導入・運用
○就業規則・労使協定等の作成・変更
○労務管理担当者に対する研修
○労働者に対する研修、周知・啓発
○外部専門家(社会保険労務士など)によるコンサルティング
※ シンクライアント端末(パソコン等)の購入費用は対象となりますが、シンクライアント以外のパソコン、タブレット、スマートフォンの購入費用は支給対象とならないため、注意が必要です。
●主な要項
支給対象となる取組は、以下の「成果目標」の設定があります。
1.評価期間に1回以上、対象労働者全員に、在宅又はサテライトオフィスにおいて就業するテレワークを実施させる。
2.評価期間において、対象労働者が在宅又はサテライトオフィスにおいてテレワークを実施した回数の週間平均を、1回以上とする。
●支給額
成果目標を達成した場合と、していない場合に応じて支給額が異なります。
成果目標の達成率 | 達成 | 未達成 |
---|---|---|
補助率 | 3/4 | 1/2 |
1人当たりの上限額 | 40万円 | 20万円 |
1企業当たりの上限額 | 300万円 | 200万円 |
達成の場合、補助率はテレワークの導入に要した費用の4分の3、一人当たりの上限金額は40万となり、1企業当たりの上限額は300万円までとなっています。
未達成の場合、補助率はテレワークの導入に要した費用の2分の1、一人当たりの上限金額は20万となり、1企業当たりの上限額は200万円までとなっています。
●申請受付の締め切り
交付申請の受付は令和2年12月1日(火)までです。(予算の関係上、12月1日以前に締め切ることもあるためご注意ください。)
参考:厚生労働省「働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)
厚生労働省「働き方改革推進支援助成金(新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース)」※すでに応募は締めきっています。
●対象事業主新型コロナウイルスの感染拡大防止対策として、テレワークを新規で導入する中小企業事業主(試行的に導入している事業主も対象)
業種 | A.資本または出資額 | B.常時雇用する労働者 |
---|---|---|
小売業(飲食店含む) | 5,000万円 | 50人以下 |
サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
その他業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
●助成対象
助成対象になる条件は以下の5つです。
・テレワーク用通信機器(※)の導入・運用
・就業規則・労使協定等の作成・変更
・労務管理担当者に対する研修
・労働者に対する研修、周知・啓発
・外部専門家(社会保険労務士など)によるコンサルティング 等
※ シンクライアント端末(パソコン等)の購入費用は対象となりますが、 シンクライアント以外のパソコン、タブレット、スマートフォンの購入費用は対象となりません。
●支給額
助成率はテレワーク導入にかかった費用の2分の1、1企業あたりの上限額は100万円までとなっています。
●主な要件
事業実施期間中に以下の2つの要件を満たすことが給付対象となります。
1.助成対象の取り組みを行うこと
2.テレワークを実施した労働者が1人以上いること
●交付申請期間
2020年5月29日まで
●助成事業の実施期間
2020年2月17日~6月30日又は交付決定後2か月を経過した日のいずれか遅い日
参考:厚生労働省「働き方改革推進支援助成金(新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース)」
経産省「IT導入補助金(サービス等生産性向上IT導入支援事業)」※2024年度は終了。再開未定。
経済産業省が開示しているテレワーク支援の補助金としては「IT導入補助金」があります。IT補助金自体は、もともと企業のIT導入を促進するためにありましたが、今年は、新型コロナウイルスの影響でITツールの導入を進めた企業が、後から補助金を申請でき、補助率の高い特別枠(C類型)が開示されました。
●対象事業主
日本国内で事業を行う中小企業、小規模事業者で、飲食・宿泊・卸売・小売・建設・運輸・医療・介護・保育など幅広い業種が対象となります。また事業規模により対象事業となるかどうかが決められています。
●助成対象
中小企業・小規模事業者等が今後直面する制度変更(働き方改革、被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイスの導入等)等に対応するため、中小企業・小規模事業者等が生産性の向上に資するITツール(ソフトウェア、サービス等)を導入するための事業費。「通常枠(A・B類型)」
さらに新型コロナウイルス感染症が事業環境に与える特徴的な影響を乗り越えるために前向きな投資を行う事業者向けに「通常枠」より補助率を引き上げた「特別枠(C類型)」が設けられました。特別枠(C類型)の特徴として、後追い申請が認められていることと、ハードウェアのレンタル費用が申請対象になっていることが挙げられます。
C類型はハードウェアのレンタル費用が助成対象となってはいますが、ITツールとして登録されているソフトウェアの導入が必須となっています。つまりハードウェアの導入のみを目的として申請を行う事はできないため注意が必要です。
●支給額
申請する枠によって助成額は異なります。それぞれの支給額は以下をご覧ください。
類型 | 補助額 | 補助率 |
A類型 | 最大150万円未満 | 1/2以内 |
B類型 | 最大450万円 | 1/2以内 |
C類型 | 最大450万円 | 最大3/4以内 |
●交付申請期間
2020年5月11日~2020年12月下旬まで、なお公募は2020年5月29日17:00、6月12日17:00、6月26日17:00、7月10日17:00に締切を設け、それまでに受け付けた申請を審査し交付決定を行う予定です。
●助成事業の実施期間
実施期間は交付決定日により異なります。現在第2次公募まで終了しており、第2次公募の実施期間は交付決定日以降~2020年12月末となっています。
参考:経産省「IT導入補助金(サービス等生産性向上IT導入支援事業)」
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まとめ
リモートワークを実施する上では補助金・助成金はどちらも役立つ制度です。しかし、どのような制度があるのかや、給付条件が分かりにくくなっているため、申請を行う際は必ず募集要項を確認するようにしましょう。また、助成金の申請ができるか不安の方であれば、「助成金制度推進センター」の活用がおすすめです。助成金申請のプロがあなたに代わって、申請を徹底サポートいたします。まずは、お気軽にお問い合わせくださいね。自社で利用できる制度を探し、円滑にリモートワークを実現していきましょう。
この記事を書いたライター
Wiz Cloud編集部
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