雇用調整助成金活用に向けて、デメリット・解決方法を解説!

企業の大小に限らず、国内では企業や団体の経営、運営を行うにあたって「助成金」や「補助金」が数多く使われています。助成金や補助金は、国や地方自治体などが管轄しており、ものづくりや雇用関係など幅広く展開しています。
中でも厚生労働省が提供している「雇用関係助成金」は、中小規模事業者を対象に、従業員の雇用を守るために設置された助成金です。以前からある助成金ですが、今年は新型コロナウイルスの影響で雇用危機を迎える事業者や、労働者も多く、改めて注目を集めています。

そこで今回は、中小規模事業者が対象となる「雇用調整助成金」の活用を考えている方へ、事前に知っておきたいデメリットと、その解決方法を詳しく解説していきます。

雇用調整助成金とは

厚生労働省が管轄している「雇用調整助成金」は、経済上の理由や景気の移り変わりなどを理由に、事業の縮小を余儀なくされた中小企業を対象にした助成金です。一時的な休業や教育訓練を行って雇用調整をすることで、従業員の雇用を維持した際に支給されます。

今年(令和2年度)においては、新型コロナウイルスの影響が大きく、通常の申請スケジュールを前倒しで進め、さらに助成率や上限額を引き上げる特別措置対応を行っています。

雇用調整助成金のデメリット

では、これから「雇用調整助成金」を申請しようとするうえで、デメリットとなるポイントは、どういったものがあるでしょうか。主なデメリットを3つご紹介します。

対象者が限られている

「雇用調整助成金」は、事業者であれば誰でも申請できるわけではなく、労働局によって支給対象となる条件が定められています。その支給対象は、雇用保険適用事業所または雇用保険被保険者です。つまり「雇用調整助成金」の対象となるのは、雇用保険の被保険者でないといけないわけです。
基本的に日本国内では、事業主や企業に対して、従業員の雇用保険加入を義務付けています。しかし中には雇用保険の加入手続きを怠っている企業も多いため、助成金申請の条件に含まれています。

申請に準備・書類作成など時間がかかる

実際に「雇用調整助成金」の申請をするには、基本的に以下のような流れで進めることになります。助成金の場合、対象となる施策や事業が終わってからの支給となるため、最終的に支給されるまでには長い期間が発生します。
どういったことをどんなスケジュールで進めるのか、計画書などの提出が必要です。計画書や申請書の提出も、雇用調整を始める2週間前までの提出が必要です。
計画書等を提出したら、雇用調整を実施し、その後実施した内容に応じた支給申請を出します。そこではじめて支給可否の審査が行われ、通れば助成金が支給されます。

①計画の作成
②計画届の提出
③雇用調整を実施
④支給申請
⑤審査と支給

漏れや間違いがあれば受給までに余計に時間を要する

上述したように、雇用調整助成金の申請から受給に至るまでには、さまざまな準備が必要となります。雇用調整計画を立てる際、時間をかけて準備した計画にミスや漏れなどがあれば、また立て直しが必要になることもありますし、その結果スケジュールが送れることもありえます。
そうなると、結果的に受給までの時間も伸びてしまうため、ミスのない準備を行うことが必要です。

雇用調整助成金の申請時の注意点

実際に「雇用調整助成金」を申請する場合、どんな点に注意が必要となるのでしょうか。

まず確認しておきたいのは、雇用調整助成金の申請が可能な事業者かどうかです。誰もが申請できるわけではない「雇用調整助成金」は、対象となる事業者の条件が設けられています。そのため色々準備して、いざ申請しようとしても、対象外となってしまうことがあります。
さらに今年は、新型コロナウイルスを受けての特別措置もあるため、その際に「売上高の減少率が5%以上か」などもきちんと算出しておく必要があります。

また「雇用調整助成金」は、労働者の休業支援や教育支援を目的としているため、支給対象となる計画には、必ず雇用保険の被保険者である労働者でないといけません。雇用保険の加入を怠っていると、のちに不正受給としてペナルティを受ける場合がありますので、ご注意ください。

不正受給に注意

「雇用調整助成金」に限らず、助成金や補助金というのは、事業者にとって苦しい状況で少しでも事業を維持するために、大変重要な制度です。しかし本当に必要な人がいる一方で、こうした助成金・補助金の制度を不正利用するケースも増えてきています。

もちろん知識不足によって、不正受給となってしまっていたこともありますので、申請に伴う条件やルールなどは、しっかり理解しておく必要があります。不正受給と判断された場合は、助成金の変換や3年間の申請不可などのペナルティが課せられるので、気をつけましょう。

コロナ禍で起きた不正受給の事例

「雇用調整助成金」の不正受給例として、たとえば従業員は通常通り業務を行っているが、それを「休業」に見せかけることで、助成金を不正に受給することが起こっています。実際に2012年には51億円の不正受給が報告されたこともあります。

またコロナ禍の2020年2月、大阪市にある企業において、約300万円の「雇用調整助成金」を不正受給したとして、大阪労働局は企業情報の公表に踏み切りました。その方法としては、出勤簿と賃金台帳を偽造して虚偽の申告を行い、本来受給することのできない「雇用調整助成金」を不正に受給したというものです。

雇用調整助成金のデメリットの解決方法

では「雇用調整助成金」の申請を考えている方は、こうしたデメリットや注意点にどう対処すればいいでしょうか。
「雇用調整助成金」に限らず、助成金や補助金の申請には、ある程度の知識が必要になります。申請方法や、申請に必要な書類の作成に関しても、初めて準備する人はどう進めていいかわからないと思います。こうした状態で、ひとまず申請をしてしまうと、知らないうちに不正受給となってしまうこともあります。
また通常の会社業務を行いながら、助成金申請に向けての資料作成や手続きをしなくてはいけません。本業と並行して作業するのは、大きな負担となりミスも起こりやすくなります。

こうしたデメリットの解消法は、助成金の申請に詳しい専門家に相談し、任せてしまう方法です。助成金や補助金に詳しい専門家のアドバイスを受けながら、申請に必要な書類を準備したり、代行して作成してもらうことができます。

ワイズクラウドの「助成金制度推進センター」では、雇用調整助成金などをはじめ、さまざまな助成金活用のサポートを行っています。相談料は無料で、業種や事業者の状況にあった助成金活用の提案、面倒な申請手続きのサポートまで幅広く行っています。専門家に依頼することで、本業に注力できるので、中小企業の方などはぜひ活用していきたいですね。

雇用調整助成金以外も活用しよう

助成金や補助金には、数多くの種類があり、社会状況に応じてどんどんアップデートされてきています。今回ご紹介した「雇用調整助成金」以外にも、たとえば新型コロナウイルス関連で注目されている助成金もありますので、対象となる方はぜひ活用していきましょう。

保護者の休暇取得支援のための助成金

「保護者の休暇取得支援のための助成金」は、新型コロナウイルス感染拡大の防止策として、小学校などが臨時休業した場合に、該当の小学校などに通う子どもの保護者の、休職にともなう所得減少に対応するために創設されました。
これは正規雇用・非正規雇用を問わず、有給休暇を取得させた企業に対して助成するものです。対象期間は、以下の通りです。

期限 令和2年2月27日~9月30日
助成額 1日あたりの上限1万5,000円
 

働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)

新型コロナウイルス感染拡大を受けて、厚生労働省では「働き方改革推進支援助成金」という、感染症対策を目的とした取り組みを行う企業や事業者を支援する特例コースを設けました。

「働き方改革推進支援助成金」(※令和元年度までは「時間外労働等改善助成金」に名称変更予定)に新型コロナウイルス感染症対策を目的とした取組を行う事業主を支援する特例コースを時限的に設けます。
対象となるのは、新型コロナウイルス感染症対策として、テレワーク業務を新規で導入する中小企業の事業者です。労働者災害補償保険の適用中小企業事業主であることを条件とし、その対象事業者の業種や従業員数、資本金額などでさらに条件が設定されています。
 

まとめ

今回は、新型コロナウイルスなどで大きな影響を受ける中小企業の方で、これから雇用調整助成金の活用を検討するうえで、知っておいてほしいデメリットについて解決方法とあわせてご紹介してきました。
「雇用調整助成金」の申請に関しては、自身で調べて申請を進めるよりも、専門家に相談のうえサポートしてもらう方が効率が良く、本業への負担も少なくなります。
まずはどう進めたらいいのかなど、一度相談してみてもいいかもしれません。
 

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