電子契約とは?法律上の懸念を解消!導入のメリットや役割、注意点

近年、多くの企業から注目を浴びる「電子契約」。導入を検討している企業も多いなか「電子契約を導入しても法律上問題ない?」「電子契約にはどんなメリットがあるの?」と疑問を持っている担当者も多いのではないでしょうか。

本記事では、まずは「電子契約」の基礎知識に触れながら、企業への導入メリットや注意点などを詳しく解説します。現在業務効率化やIT化を検討している企業はぜひ参考にしてみてくださいね。
 

電子契約とは?

「電子契約」は、インターネット上で電子ファイルを交換し、電子署名を行うことで契約を締結することができます。なお、保管方法は、企業のサーバやクラウドストレージなどに電子データを保管する契約方式となります。

そもそも「電子契約」は、2001年以降「電子署名法」「電子帳簿保存法」などといった電子契約に関する法的環境が整備されました。電子署名やクラウドストレージなどの技術的な開発も進んでおり、近年では電子契約を導入しやすい環境となっています。そのため、今では、従来当たり前に行われていた紙と印鑑による契約だけでなく、電子契約による契約締結も徐々に増えてきている状況です。

電子契約は、おもに以下の3つのタイプに分けられます。それぞれ詳しくみていきましょう。

ローカル署名型

まず電子契約の一つめのタイプは、ローカル署名型です。こちらは、署名鍵を利用者の全員が購入し、さらにそれをデータとして格納したICカード等の物件を保有している必要がある電子契約のタイプとなります。「電子署名法」が施行された2001年以降、19年間なかなか普及が進まなかったタイプともいえます。

リモート署名型

つぎの電子契約のタイプはリモート署名型です。このタイプは、署名鍵をクラウド上で管理するため保有せずに済みますが、利用者の全員が署名鍵を事前に購入して準備しないといけない手間はこれまでと変わらずかかります。物件に縛られない一方で、署名鍵の準備を全員がしなければいけないため、こちらも普及に障害が発生しやすいタイプといえます。

グローバルスタンダード署名型

最後の電子契約のタイプは、グローバルスタンダード署名型です。このタイプは、署名鍵をクラウド事業者が事前に準備して利用者に提供するため、利用者はその事業者へ署名の指示を行うだけで済みます。このタイプは他の2つのタイプに比べ、手軽に電子署名が可能となり、普及も用意となります。 

書面・紙の契約と電子契約の違い

つづいて、電子契約と紙文書による契約との違いについてみていきましょう。

結論から言うと、電子契約と紙文書による書面契約の証拠力にはじつはそれほど大きな差はありません。紙文書の契約では、契約書に押印することで「いつどこで誰が契約を交わした」ということを証明し、契約書の本人性や原本性を担保としていました。その一方、電子契約では、「電子署名」「電子スタンプ」の組み合わせにより、改ざんしていないかを証明し、信頼を担保とする仕組みとなっています。つまり、以下がイコールとなるような効力を発揮します。

・電子署名=押印・署名
・タイムスタンプ=消印

このため、双方の契約の証拠力には大差ないといえるのです。

法令にみる電子文書の法的効力・正統性

電子文書は、紙文書に比べるとデジタルデータを編集することができるため、改ざんが容易であるというリスクがあります。このリスクをなくすため、紙文書と同レベルの法的効果を発揮する要件として完全性が求められます。この完全性の要件を満たすために必要となるものが、前章でも述べた「電子署名」と「タイムスタンプ」です。

電子署名は、電子文書について誰が何を作成したのかを証明するものになります。一方、タイムスタンプは、電子文書のいつ何をを証明できる技術です。

また完全性の要件については以下に当てはまることが条件となります。
 
完全性の要件I
電子化文書に記録された事項が保存義務期間中に滅失し、又はき損することを防止する措置を講じていること。
完全性の要件II
電子化文書に記録された事項について、保存義務期間の間において当該記録事項の改変又は当該電磁的記録の消去の有無又はその内容を確認することができる措置を講じていること。
完全性の要件III
電子化文書に記録された事項について、保存義務期間の間において当該記録事項の改変又は当該電子ファイルの消去を抑止する措置を講じていること。
引用:経済産業省~文書の電子化・活用ガイド~

電子契約の導入メリット

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企業が「電子契約」を導入するとどのようなメリットがもたらされるのでしょうか。ここでは、3つのメリットについてみていきましょう。

コスト削減はどの程度 期待できる?

これまで当たり前だった紙の契約文書は、作成した契約文書を郵送したり、担当者が直接持参するなど、どうしても手間とそれにかかるコストが発生します。一方、電子契約はインターネット上で行われているため、紙文書で必要だった業務の手間が省けます。電子契約は、電子ファイルをアップロードするだけなので、郵送コストだけでなく、大幅な時間の短縮も可能となるでしょう。

業務効率化はどの程度 期待できる?

法律上、契約書は7年間保管する義務があります。もし紙文書であれば、その7年分の保管スペースが必要になります。またこれまで契約文書を探すのにも倉庫まで足を運んだり、段ボールの箱を開けたりなど大幅な時間と労力がかかっていました。一方、電子契約では、契約書はすべて電子ファイルとなるので紙文書で必要だった保管スペースは不要となり、契約書用の倉庫や探す手間もなくなります。さらに契約日や契約金額など検索条件をカンタンにパソコンで調べ閲覧することができるため、業務効率を一気に上げることが見込めます。

コンプライアンス強化はどの程度 期待できる?

「電子契約」は、契約書の電子ファイルはすべてサーバーへ保管されます。そのため、セキュリティを高めたり、サーバーによるバックアップの多重化を行うことにより、紛失をはじめ、劣化や毀損などのリスクを大幅低減することが可能となります。さらに、改ざんのリスクもゼロになるといっていいほどなくなります。 
また、契約先や日付、金額などの検索も非常にカンタンになるため、税務調査や会計監査などにもスピーディに正確に対応することができるでしょう。

電子契約導入の注意点・抑えるべきポイント

「電子契約」は、メリットもある一方、いくつか注意点もあります。ここでは、押さえるべきポイントや注意点についてご紹介します。

注意点①契約した相手の理解が必要

最近では、徐々に浸透しつつある「電子契約」ですが、まだまだ紙文書での契約締結が根付いてる企業も多くあります。その場合、自社で電子契約を導入できたとしても、契約者(受信者)側の理解もどうしても必要となります。双方が合意することで契約締結となるため、契約者側が電子契約を拒んだ場合は、従来の文書での契約を余儀なくされるケースも少なくありません。そんな場合は、電子契約の導入により双方が得られるメリットを具体的に先方へ理解してもらうことから始めるようにしましょう。

注意点②法律上、書面が必要となる契約が存在する

「契約方式自由」の原則により、ほとんどの契約において電子契約が利用できるようになっています。しかしその一方で消費者保護などを目的に法律上、紙文書による契約の締結・交付が義務づけられるケースも一部存在します。とくに不動産や投資信託の場面に多く、以下の類型については書面が必要となります。

①定期借地契約
②定期建物賃貸借契約
③投資信託契約の約款
④訪問販売、電話勧誘販売、連鎖販売、特定継続的役務提供、業務提供誘引販売取引における書面交
⑤付義務

これらの契約を行う場合は、電子契約を行う前に事前に顧問弁護士などへ相談することをおススメします。

電子契約の活用事例

実際に「電子契約」を導入している企業は、どのような企業でどのように活用されているのでしょうか。今回は、とある建設企業の活用事例をご紹介します。

建設会社の事例では、「電子帳簿保存法」「電子署名法」などの施行に伴い、建設業法が改正になったことや印紙代のコスト削減を目的に電子契約の導入しました。その結果、年間300件の契約件数のうち、約70%の電子契約を交わし、結果として印紙代を350万円削減することができました。

また電子契約ではインターネット上で契約書の確認や捺印、郵送を行なうため、これまでの紙ベースで契約書を作成していた時よりも業務効率アップに繋がっています。

まとめ

本記事では、「電子契約」の基礎知識をはじめ、企業への導入メリットや注意点などについて詳しく解説しました。企業は、電子契約サービスを導入することで、これまでの紙の書面契約と比較して、契約までの迅速化だけでなく、印紙代などのコスト削減や契約書管理の効率化にも効果を発揮します。まずは電子契約サービスをしっかり比較して、自社に合ったサービスを導入するようにしましょう。
 

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