電圧降下と対策(ケーブルの太さ・距離など)
高圧電力を使用する工場や店舗では、受変電設備から機器までの配線距離やケーブルの太さによって「電圧降下」が発生します。
電圧降下とは、配線を流れる電流によって抵抗損失が生じ、末端の機器で電圧が下がってしまう現象です。電圧が下がると、以下のようなトラブルが起こる可能性があります。
- モーターの起動不良やトルク不足
 - 照明のちらつきや明るさ低下
 - 機器の誤作動や寿命の短縮
 - 電力ロスの増加
 
電圧降下の主な原因
- 1.ケーブルの太さが不足している
 - 細いケーブルほど抵抗が大きくなり、電圧降下も大きくなります。
 - 2.配線距離が長い
 - 距離が長いほど抵抗値が増加し、電圧降下も大きくなります。
 - 3.使用電流が大きい
 - 電流が多く流れるほど抵抗による電圧損失も増加します。
 

電圧降下の対策
電圧降下を抑えるためには、以下のような対策が有効です。
- 1.ケーブルを太くする
 - 断面積の大きなケーブルを採用することで抵抗を減らすことができます。
 - 2.配線距離を短くする
 - 受変電設備や分電盤の位置を見直すことで、電圧降下を抑制することができます。
 - 3.電流の分散
 - 複数の回路に分けて電流を分散させると、1回路あたりの負担が減ります。
 - 4.適切な電圧降下の計算
 - 設計段階で「電圧降下率(%)」を計算し、規定値(一般的に5%以下)を守ることが重要です。
 
ポイント
電圧降下は、高圧電力を安全かつ効率的に利用するうえで無視できない課題です。ケーブルの太さ・配線距離・負荷電流を正しく考慮することで、設備トラブルを未然に防ぎ、安定した電力供給を実現できます。
