受変電設備のメンテナンス(点検頻度・法的義務)
高圧電力を利用する企業や店舗では、「受変電設備」の定期点検が義務づけられています。
これらの設備は、電力を建物内で安全に使えるように変圧・配電する重要な装置です。
万が一、故障や漏電が発生すると、停電・火災・設備損傷などの重大なトラブルにつながる恐れがあります。
そのため、電気事業法や電気設備技術基準に基づき、点検の実施や記録の保管が求められています。
点検の種類と実施頻度
受変電設備には、主に次の3種類の点検が義務づけられています。
| 点検種別 | 点検頻度 | 点検内容 | 備考 | 
|---|---|---|---|
| 日常点検 | 随時・毎日〜週1程度 | 外観チェック、異音・異臭、温度上昇などを確認 | 現場担当者でも可能 | 
| 月次点検 | 月1回以上 | 機器の状態・計器の確認、漏電検査 | 電気主任技術者の立会いが望ましい | 
| 年次点検 | 年1回 | 停電を伴う精密点検(絶縁抵抗測定・継電器試験など) | 法令で義務化(電気事業法施行規則) | 
年次点検の法的義務と実施体制
受変電設備のうち、高圧(6,000V)を扱う設備を設置している場合は、「電気主任技術者」の選任が義務づけられています。
また、年1回以上の定期点検(停電点検)が電気事業法で定められています。
主な点検内容
- 絶縁抵抗・耐圧試験
 - 保護継電器・遮断器の作動試験
 - 各種電線・端子の締め付け状態確認
 - 接地抵抗測定
 
これらの作業は、電気主任技術者または外部委託先の専門業者が行います。
点検記録と報告の義務
点検を行った結果は、記録として3年間保管することが求められています。
また、重大な異常が見つかった場合には、関係官庁への報告義務が発生することもあります。
点検記録に残す主な項目
- 実施日・実施者
 - 点検箇所・試験項目
 - 測定結果・判定
 - 不具合内容と改善状況
 
点検を怠った場合のリスク
点検を実施しない、または記録を残さない場合には以下のようなリスクがあります。
- 電気事業法違反による罰則・行政指導
 - 受変電設備の老朽化・劣化による火災リスク
 - 停電や機器故障による業務停止・損害発生
 - 保険契約の免責対象となる可能性
 
特に、飲食店・商業施設・工場などでは、停電一つで営業停止につながるため、定期的な保守契約を結ぶことが重要です。
ポイント
受変電設備のメンテナンスは、「コスト」ではなく「安全投資」です。
法令で定められた点検を行うことで、事故・停電・設備トラブルを未然に防ぎ、安心して高圧電力を利用できます。
