「テレワーク導入後も、従業員の働く姿を見えやすくするにはどうすれば良い?」
2020年4月に施行された働き方改革関連法では、中小企業における時間外労働規制の拡大や、大企業における同一労働同一賃金の適用などが実施されました。
また新型コロナウイルスの流行以降は、テレワークやフレックスタイム制度など、働き方の多様化も進んでいます。
今回は、テレワークのメリットやデメリットを踏まえて、運用における課題点の解消方法についても解説していきます。
テレワーク(リモートワーク)はデメリットが多い?導入後に生じる問題点
テレワークのデメリット(企業側)
従業員の勤怠管理が確認しにくい
テレワークを導入すると、いつでもどこでも働ける環境が整う一方で、 ビジネスとプライベートの境界が曖昧になりやすいので、かえって長時間労働を招く可能性があります。
また、従業員と顔をあわせる事がないため、どれだけの業務を行なっていたかを目で確認することが難しいというデメリットもあります。
そのため、就業時間内で高いパフォーマンスを発揮するには、従来よりも徹底して従業員を管理することが大切です。
従業員とのコミュニケーションが取りにくい
テレワークでは、相手の姿が見えないので、 「情報を共有できているか」「的確に内容が伝わっているか」を確認することが難しいというデメリットがあります。
対面であれば、相手の言葉だけでなく表情や声色など得られる情報が多いため、相手の理解度を判断しやすいでしょう。
その点、テレワークでは従業員とのコミュニケーションが取りにくく、チャットツールを導入しても、テキストのみの表現だと強い印象を受けやすいので、認識相違に繋がりやすいと言えます。
編集部
例えば、ただ質問をしただけなのに相手には怒っていると受け取られてしまう事などがあります。
電話対応が難しい
テレワークでは、 会社固定電話での電話対応ができなかったり、転送電話に料金が増えたりなど、電話業務においてのデメリットもあります。
代用として私用のスマートフォンを使用する場合、情報漏洩のリスクに繋がりやすく、また顧客は見慣れない番号だからと電話に応答せず営業の機会損失に繋がってしまうことも考えられます。
会社にとって電話でのやりとりは、切っても切れないものなので対策を行う必要があります。
▶関連記事:テレワークの基本を簡単に解説!リモートワークとの違いやデメリットも紹介
情報漏洩のリスクが高まる
テレワークでは、 自宅やコワーキングスペースなどのオフィス以外の場所で勤務することから、情報漏洩のリスクが高まります。
また、カフェや図書館などのパブリックスペースでの勤務を許可すると、不注意による盗難が起こりやすいので、さらに情報漏洩のリスクが増大します。
情報漏洩を防ぐために、「勤務場所は自宅のみ」というようにルールを設け、パソコンを外部に持ち出すことは原則禁止としましょう。
編集部
パソコンを外部に持ち出す場合には、事前の申請を義務づけるのがおすすめです。
テレワークのデメリット(社員側)
コミュニケーション不足による情報格差
テレワークでは、気軽にコミュニケーションをとることが難しくなるので、情報共有も必要最低限になりがちです。
オフィス出社の場合は、同僚と雑談できたり、上司に質問できたり、気軽に話せる環境があります。
その点、テレワークではチャットやメールで雑談・質問ができても、伝えにくかったり誤解を招いたりするので、 悩みや困りごとが解決しないままになりがちです。
モチベーション維持が難しい
テレワークは、 オフィスとは違って周りの目がないため、仕事に緊張感が持てなくなり、モチベーションを保つことが難しくなるデメリットもあります。
オフィス出社の場合は、目標を達成したり案件を獲得したりすると、同僚や上司から直接褒めてもらえ、喜びを感じやすいです。
その点、テレワークの場合、盛り上がる雰囲気はもちろん、チームの連帯感も感じにくくなるので、「頑張り続けることが難しい」と感じる方は多いでしょう。
在宅で可能な業務が限られる
小売業やサービス業などの対面でしか行えない職種・業務は、テレワークの導入が難しいといえます。
その他にも、 持ち出し厳禁の機密書類を扱う業務や 専門機器を使用する職種なども、在宅での稼働は難しく、オフィスや仕事場でしかできないものもあります。
長時間労働のリスクがある
テレワークは、 仕事への緊張感を持ちにくいので、ダラダラと業務に取り組んでしまい、結果的に長時間労働になってしまうリスクがあります。
また、急なトラブル対応で業務が進んでいない場合でも、オフィス出社であれば声を掛け合えるので、業務を分担できて、長時間労働を回避できます。
その点、テレワークは、急なトラブル対応で業務が進んでいないこと自体気づかれにくく、業務を抱え込んでしまい、退勤時間が遅くなりやすいです。
部下のマネジメントがしにくくなる
テレワークでは、部下の仕事ぶりが見えにくいので、マネジメントしにくくなるデメリットがあります。
「目標を達成に向けてどのような工夫を行ったか」も見えにくいので、評価も難しいでしょう。
マネジメントに必要な要素である「仕事ぶり」と「評価」を判断しずらいので、部下の取り組みが見えやすくなる制度やツールを導入することが大切です。
編集部
目標に対しての取り組み内容や工夫を報告するミーティング制度を設けたり、チャットツールやビデオ会議ツールを導入したりするのがおすすめです。
テレワークのデメリット対策と解消方法
従業員の勤務実態と作業内容を可視化する
テレワークでの勤怠管理の難しさは、 申告された労働時間と仕事内容が合致しているかが把握できないという点があります。
解決策として、勤務の実態と作業内容を可視化するツール「MITERAS(ミテラス)仕事可視化」などを導入して、従業員をマネジメントする方法があります。
「ミテラス仕事可視化」は、リアルタイムで従業員が今何の作業しているかを把握することができるため、業務の進捗管理に役立つことはもちろん、マネジメントとしても有効なツールです。
コミュニケーション不足をオンライン会議ツールで解消
組織内のコミュニケーション不足は、従業員との連携不足や認識相違など大きなデメリットが生じやすいポイントです。
企業が導入している解決策として、テレワークで無料オンライン会議ツールの「zoom(ズーム)」や「meet(ミート)」を使用することで、顔を合わせたコミュニケーションを取れるようになります。
またWEB会議としての使用だけでなく、 常時接続することで通常業務のように質問しやすい環境をつくれるため、テレワークでも組織力が高まり円滑に業務を進められます。
テキストでのコミュニケーションは対面よりも配慮をする
テレワークで、チャットツールを利用する際、 質問事項は箇条書きにしたり、図や表にまとめたりなど、対面時よりも相手へ配慮する必要があります。
チャットツールでのコミュニケーションはテキストのみとなるため、ニュアンスが伝わらないのが難しいからです。
相手に理解されようと長文になってしまっては、チャットツールとしての本来の意味を成しえないので、わかりやすさを意識しましょう。
スマホから本社発信!クラウド型ビジネスフォンで受発信・転送・内線が可能
テレワークになると、顧客の電話対応が難しくなりますが、クラウド型の電話サービス「CLOUD PHONE(クラウドフォン)」の導入で解決できます。
クラウドフォンは、置き場所にとらわれないクラウド型電話サービスのため、 インターネットが繋がる状況であればスマートフォンで会社番号の受発信が可能です。
また、転送電話や内線も無料で使用できるため、テレワーク中の従業員が多くてもコストを心配する必要がありません。
編集部
ビジネスにおいて、電話でのコミュニケーションがなくなることはないので、テレワーク中の電話環境の構築は必要不可欠でしょう。
▶関連記事:CLOUD PHONE(クラウドフォン)とは?機能や料金、導入におすすめな企業を徹底解説!
テレワークのメリット
経費を削減できる
テレワークを導入することで、 従業員の交通費を削減できるメリットがあります。
また、環境さえ整えれば全国で業務を行うことが可能なため、交通費だけでなく出張費などの従業員の移動費用も削減できます。
他にも、出社していた従業員がテレワークに切り替われば、これまでのオフィススペースは不要となり家賃の削減も実現できるでしょう。
編集部
日本総研が5月13日に「全就業者の1割がテレワークを続けた場合、オフィス空室率は15%近くまで上昇する見込み」と発表したこともあり、就業者が集まる都心部ではさらに空室率が高まりそうです。
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企業のイメージアップにつながる
時間や場所にとらわれない働き方であるテレワークを導入することで、従業員のワークライフバランスを実現できます。
さらに、 テレワークを導入して「ワークライフバランスを重視している企業」とアピールすることで、企業のイメージアップにもつながるでしょう。
一般財団法人 日本次世代企業普及機構が主催するホワイト企業アワードでは、新たにテレワーク部門が設立されるなど、テレワークの導入がイメージ向上に一役買っていることがうかがえます。
離職率の低下を防げる
テレワークを導入することで時間や場所を選ばずに業務ができるため、 出産や育児、介護といったライフイベントをきっかけに、退職していた人材を手放さずに済みます。
テレワークを導入することで、従業員が家庭と仕事を両立できたり、自宅で休憩や食事をとった後に仕事に向かえたりできるからです。
日本では結婚をすると、男性に比べ女性の方がキャリア変更の選択を迫られる場合が多いのが実情ですが、テレワークを導入で優秀な女性社員の離職を防げます。
編集部
テレワークをすることでプライベートの時間に対する満足度も上がり、仕事の生産性も上がると感じている社員の方が多いようです。
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テレワーク導入の失敗事例
テレワークは導入に成功すれば、会社の業績向上などさまざまな利益を生み出します。
しかし一歩間違えば、生産性を下げてしまうリスクがあることを念頭に置きましょう。
他企業のテレワーク導入後に生まれた失敗事例を事前に知り、原因は何にあったのかがわかれば、いざ自社でテレワークが始まったという時に同じ経験をせずに済みます。
米IBMのテレワーク失敗事例
米IBMは従来よりテレワークを許可しており、従業員の40%がテレワークを実施していましたが、2017年にテレワークを禁止しました。その大きな原因は、業務の質の低下にあったと言われています。
ピーター・ドラッガー氏が著書「マネジメント 基本と原則」にて、マネジメントに必要な5つのスキルの内2つを「組織化力」と「コミュニケーション力」と示していることからも、企業にとってこの2つのスキルがいかに重要であるかを理解できます。
そしてテレワークでは、対面と比べ「組織化力」と「コミュニケーション力」の質、量が低下してしまうことも明らかです。
大きな会社で社員数も多い米IBM社は、 メンバーの仕事場所が異なったことで、コミュニケーションをとるのに手間や苦労が発生してしまった、という失敗につながってしまったようです。
テレワーク導入の成功事例
上記のような大手海外企業のテレワーク失敗事例もありますが、日本では10年以上前から(働き方改革のもと)テレワークを推進し成功している企業もあります。
従業員の多い企業であっても、テレワークが成功している企業はどのような取り組みを行っているのでしょうか。
日産のテレワーク成功事例
日本の自動車業界では、2006年に日産が初めて在宅勤務制度を導入しました。
導入後も、従業員1人1人が使いやすい内容に制度を改定していき、2014年には最大月5日、30分単位での在宅勤務も可能としフレックスタイム制度勤務と併用するなど柔軟な働き方を実現しています。
在宅勤務制度の利用者数は、管理職を含む3400人程度まで増加しました。
従業員からは、「子育てと仕事との両立がしやすくなった」「海外との早朝や夜遅いやり取りも自宅で行うことができる」など、在宅勤務を利用して良かったという声が上がっています。
在宅勤務によって、家庭と仕事との両立ができている満足感や充実感が生まれているようです。
日産のテレワーク導入成功のポイント
日産の在宅勤務時の就業規則はガイドラインで定められており、 「効率的に進められる業務」「効率的に進められない業務」と分類されています。
資料作成や分析などは効率的に進められる業務として、不具合対応や複数のメンバーで相談するほうが効果的な業務は、在宅勤務では効率的に進められないとしています。
また、従業員の時間当たりの業務内容の把握や、週1回はPDCAを回すなど、業務の可視化も行っています。
このように、ただ従業員のライフスタイルに合わせて在宅勤務を活用しているのではなく、 会社の生産性向上にも繋がるようにルールとして設定されています。
失敗事例と成功事例から見るテレワーク導入のポイント
企業の失敗事例や成功事例から見えるテレワーク導入の重要なポイントは 「従業員との接点を増やす」ことにあります。
テレワークでは、従業員が今何をしているかが見えないため、従業員の働きぶりを評価しにくかったり、チームとして動きにくく生産性が下がってしまったりする側面があります。
しかし、業務を定量化して評価しやすくしたり、通話アプリを用いてコミュニケーションをとりやすくしたりすることで、テレワークは対面時よりもライフワークバランスを向上させ、おおきなメリットへ繋がります。
テレワークのデメリットに関するよくある質問
A
- コミュニケーションや、仕事とプライベートの区別が難しい
- 労働時間は減る人の方が多いが、増える人もおり、2極化している
- 「書類のやりとりを電子化」「ペーパーレス化」「評価制度」など、環境整備や社内制度の見直しが必要
- 「会話が減って寂しさを感じる」「成長できる仕事を割り振ってもらえるか」など、心理面の不安が大きい
A
- 運動不足により身体活動が低下する
- 孤独感や不安感が増大する
- モチベーションが低下する
- 健康状態の把握が難しくなる
- 労働時間や仕事量が見えにくくなる
まとめ
テレワークは企業にとって、大きなメリットがあるだけでなくデメリットも存在します。
しかしデメリットについては、政府の「働き方改革」の推進制度や失敗事例、成功事例の情報を蓄積することで、その会社にとって1番使いやすい制度へと整えることができます。
デメリットをクリアした先には、優秀な人材を確保でき、働き手と企業にとってメリットとなるので、今からでも遅くありません。この機会にぜひ導入してみてはいかがでしょうか。
テレワークの導入には政府や自治体からの補助金も適用されるため、分からないことがあればWizcloudまでお気軽にご相談ください。
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この記事を書いたライター
Wiz Cloud編集部
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