「CRMとSFAの違いは?」
CRM(Customer Relationship Management)とは、 顧客との関係を管理・最適化するための戦略と技術のことを指します。
CRMツールは、クラウド活用による低価格化が進んでいることから、大企業だけでなく中堅・中小企業においても導入が進んでいます。
しかし、機能や必要性、導入メリット・デメリットなどを、詳しく知らないという方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、CRMの機能やメリットなど基本知識から活用事例までわかりやすく解説していきます!
目次
▼この記事で紹介している商品
CRMとは「顧客との関係を管理・最適化する戦略や技術」

CRMとは、 顧客との関係を管理・最適化するための戦略と技術のことです。
顧客データを一元管理して、購入履歴や対応履歴を簡単に把握できるため、マーケティングや営業、カスタマーサービスなどの各部門で業務を強化できます。
また、顧客のニーズや好みに合わせたサービス・商品を提供できるため、顧客満足度を高めて、自社サービス・商品のリピート率向上も図れます。
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CRMでできること
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CRM(顧客関係管理)は、顧客情報を一元管理し、営業・マーケティング・カスタマーサポートなどの業務効率を高めるツールです。
例えば、過去の購入履歴や問い合わせ内容を把握することで、個別ニーズに応じた提案やフォローが可能になります。
また、メール配信やキャンペーン管理、商談の進捗可視化など、リード獲得から育成、成約後のサポートまで幅広く対応できます。
CRMの必要性

価値観の多様化による顧客ニーズの変化に対応するため
CRMは、消費者のニーズや行動が多様化・複雑化する中、企業が顧客との長期的関係を構築し、競争優位性を維持するために不可欠です。
デジタル化が進む現代において、企業は 顧客の特性を踏まえてパーソナライズされた体験を提供することが求められています。
CRMは、消費者のニーズに迅速かつ効果的に対応し、顧客満足度とロイヤルティの向上を図るための重要なツールとなっています。
既存顧客を他社に取られやすい状況なため
CRMは、競争が激化する市場環境において、既存顧客が他社に流出するリスクを低減するために必要なツールです。
顧客の選択肢が増え、購買体験への期待値が高まる中、 企業は個々の顧客ニーズに応じたサービスを提供し、満足度とロイヤルティを維持することが求められます。
CRMは、データを活用して顧客との関係を深め、ユーザー離れを防ぐための戦略的ツールとして不可欠です。
顧客満足度を高めて、LTV(顧客生涯価値)を向上させるため
企業が利益を上げるためには、既存顧客の満足度を高めてLTV(顧客生涯価値)を向上させる必要があります。
新規顧客の獲得には多大なコストと時間がかかるため、 既存顧客との関係を強化し、長期的な信頼関係を築くことで効率的に収益を維持できます。
既存顧客の満足度を高めることにより、継続的な販売・契約が実現でき、企業の収益性向上に繋がるのです。
コスト削減と顧客対応・業務の効率化を図るため
CRMは、企業がコスト削減と業務効率化を図るために不可欠なツールです。
顧客データの一元化と管理業務の自動化により重複作業を削減 し、人的リソースを最適化することで、時間とコストの大幅な削減が可能になります。
顧客情報を一元管理し、属人化を防ぐため
CRMは、企業が顧客情報を一元管理することで属人化を防ぎ、情報をスムーズに共有できる体制を構築するためのツールです。
従来、営業やマーケティング活動は個々の担当者に依存しており、情報の共有や一貫した顧客対応が困難でした。
CRMシステムを導入することで、顧客データが集約され、会社全体で顧客管理できるため、 別の担当者でも顧客情報の把握と対応が可能になります。
その結果、高品質かつ安定的な顧客対応が実現され、営業やマーケティングの効果を最大化できます。
CRMを導入すべき企業
CRMは、顧客対応の質を高めたいと考えるすべての企業に有効ですが、特に 営業・マーケティング活動が属人化している企業 、 顧客情報を部門間で共有できていない企業 には必須です。
例えば、営業担当ごとに顧客対応のばらつきがある、顧客履歴が複数のスプレッドシートに分散しているといった課題を抱える中小企業や成長フェーズの企業においては導入効果が大きいです。
また、問い合わせ数が多いBtoC業種や長期的な関係構築が鍵となるBtoB業種でも、CRMの活用は顧客満足度と売上向上に直結します。
CRMとMA、SFA、ERPの違い

CRMとは「企業と顧客の関係性を集約・管理する」
CRM(Customer Relationship Management)は、 顧客情報を管理し、関係強化するためのツールです。顧客情報を一元管理し、企業全体で共有できる環境を整えられます。
具体的には、顧客の購入履歴や対応履歴、クレーム情報といった顧客データを手軽に把握できるようになることで、適切なタイミングでアプローチが実現。
CRMツールを活用することで、顧客満足度の向上や販売効果の最大化が期待できます。
SFAとは「営業活動の組織化・効率化を担う」
特徴 | CRM(顧客関係管理) | SFA(営業支援システム) |
---|---|---|
対象領域 | 顧客関係と対応状況の管理 | 営業タスクとプロセスの自動化 |
目的 | 全体的な顧客関係の改善と満足度向上 | 営業活動の効率化と生産性向上 |
範囲 | 幅広く、顧客ライフサイクル全体をカバー | 狭く、営業サイクルに集中 |
主な機能 | 顧客データ管理、分析、マーケティング自動化 | コンタクト管理、リード管理、予測 |
使用者 | 営業、マーケティング、顧客サービス、経営陣 | 営業担当者、営業マネージャー |
利点 | 顧客体験の向上、顧客維持率の改善 | 営業効率の向上、正確な予測 |
SFA(Sales Force Automation)とは、 営業プロセスを効率化するためのツールです。
営業担当者は、顧客情報の管理や商談の進捗状況・履歴確認、スケジュール管理などを一元的に把握できるため、営業チーム全体の生産性が向上します。
また、効果的な営業施策や戦略立案に必要なデータも手間なく取得できるようになります。
MAとは「顧客へのアクションを自動化し、効率的なマーケティングを実現する」
特徴 | CRM(顧客関係管理) | MA(マーケティングオートメーション) |
---|---|---|
対象領域 | 顧客関係と対応状況の管理 | マーケティングタスクとプ ロセス の自動化 |
目的 | 全体的な顧客関係の改善と満足度向上 | マーケティング効率とROIの向上 |
範囲 | 幅広く、顧客ライフサイクル全体をカバー | 狭く、マーケティングキャンペーンとリード管理に集中 |
主な機能 | 顧客データ管理、分析、マーケティング自動化 | メールマーケティング、リード生成、ワークフローの自動化 |
使用者 | 営業、マーケティング、顧客サービス、経営陣 | マーケティングチーム、デジタルマーケター |
利点 | 顧客体験の向上、顧客維持率の改善 | マーケティング効率の向上、リードの変換率向上 |
MA(Marketing Automation)とは、 マーケティング活動の自動化と効率化を実現するツールです。
機能としては、メールマーケティング、リード生成、顧客セグメンテーション、キャンペーンのトラッキング、ROI分析などがあります。
特に、MAツールは大量のデータを解析し、顧客一人ひとりに合ったマーケティング活動を自動で実施できるのが特徴です。
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具体的なCRM・MA・SFAシステム連携
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CRMは単体でも効果を発揮しますが、MA(マーケティングオートメーション)やSFA(営業支援ツール)と連携することで、より高度な顧客管理と業務効率化が可能になります。
例えば、MAと連携すれば、Web上での顧客行動をトラッキングし、見込み客に対して最適なタイミングでナーチャリングメールを自動配信できます。
また、SFAとの連携により、営業活動の進捗や成約確度をリアルタイムで可視化し、マネジメントの質を向上させます。これらの統合により、顧客との関係構築を部門横断で最適化できます。
ERPとは「社内情報を最適化し経営判断に活かす」
特徴 | CRM(顧客関係管理) | ERP(企業資源計画) |
---|---|---|
対象領域 | 顧客関係と対応状況の管理 | 企業全体の業務プロセスと部門間の操作管理 |
目的 | 全体的な顧客関係の改善と満足度向上 | コアなビジネスプロセスの統合と管理 |
範囲 | 幅広く、顧客ライフサイクル全体をカバー | 全部門間での企業の業務運営を対象とする |
主な機能 | 顧客データ管理、分析、マーケティング自動化 | 財務報告、在庫管理、人事管理 |
使用者 | 営業、マーケティング、顧客サービス、経営陣 | 財務、人事、オペレーションなどの各部門 |
利点 | 顧客体験の向上、顧客維持率の改善 | 業務プロセスの統合と効率化、業務の透明性と統制 |
ERP(Enterprise Resource Planning)は、 企業において、情報を複数の業務部門間で統合し、効率的に管理・運営するためのシステムです。
財務、人事、生産管理、在庫管理などのビジネスプロセスを統合し、リアルタイムでデータを共有することで、意思決定の迅速化や業務の効率化を実現します。
さらに、企業全体の可視化やコスト削減、リスク管理水準の向上などを目的としており、現代の大規模企業や中小企業において不可欠なビジネス基盤となっています。
CRMの導入メリット

顧客情報を一元管理・整理でき、生産性が上がる
CRMを導入することで、 顧客の基本情報や商談履歴、対応履歴などを一元管理できます 。
情報が社内に点在している状態では、検索や共有に時間がかかり、業務の非効率を招きがちです。
しかし、CRMで情報を整理・可視化することで、担当者間での引き継ぎもスムーズになり、対応の品質向上や漏れの防止、生産性の向上につながります。
進捗状況をリアルタイムで共有・追跡できる
CRMでは、案件ごとの進捗状況や顧客対応の履歴をリアルタイムで確認できます。
これにより、 チーム全体で正確に現状把握ができ、次のアクションを的確に判断できます 。
例えば、管理者は部下の営業状況が可視化されることで、指導やリソース配分を的確に行えるため、営業組織全体のパフォーマンス向上が期待できます。
タスク管理などの自動化でコア業務に専念できる
CRMには、タスクの自動登録やリマインド通知、フォローアップの自動化といった機能が搭載されており、営業担当のルーチンワークを大幅に削減できます。
結果として、 顧客との対話や提案といったコア業務に時間を集中できるようになり 、生産性や営業成果の最大化につながります。
属人化から脱却しチームプレイに移行できる
営業活動が個人のスキルや経験に依存していると、担当者の異動や退職によって業務が停滞する恐れがあります。
CRMを活用すれば、 誰がどの顧客にどのような対応をしているのかが可視化され、対応履歴やノウハウの蓄積・活用が可能に なります。
これにより、業務の属人化から脱却し、チーム全体で顧客をサポートする体制を強化できます。
チーム内の連携で新たな戦略が生み出せる
CRMは部門間の情報共有を促進し、 営業・マーケティング・カスタマーサポーといった他部門間の連携を強化します 。
顧客の声や行動データを社内のさまざまな組織が分析することで、新たなニーズの発見や効果的なアプローチ戦略が生まれることもあります。
部門横断型のチーム連携によって、顧客価値を高める施策の立案が可能になるのです。
ターゲット層を細分化できる
CRMには、顧客を属性や行動履歴などのデータに基づいてセグメント化(細分化)できる機能があります。
これにより、「30代女性の既存顧客」「資料請求済みだが未購入」など、 より具体的な分類を踏まえて、的確なアプローチを行えます 。
セグメント配信により、よりニーズに特化したアプローチが可能になるため、反応率や成約率の向上が見込めます。
パーソナライズ対応でリピート率向上を図れる
CRMの活用により、過去の購入履歴や対応内容を参照して、 個々の顧客に合わせたパーソナライズ対応が可能 です。
たとえば「前回ご購入いただいた商品はいかがでしたか?」といったフォローや、誕生日のクーポン配信などがその一例です。
こうした対応は顧客満足を高め、リピート率やLTVの向上に寄与します。
顧客満足度の向上によって、自社の売上が増加する
CRMの活用により、顧客一人ひとりに対する対応の質が高まり、結果として顧客満足度が向上します。
満足度の高い顧客はリピート率が高く、口コミや紹介にもつながるため、 営業コストをかけずに売上が伸びる好循環を生み出すことが可能です。
長期的な関係構築を重視する企業にとって、CRMは売上向上の重要な基盤となります。
CRMの導入デメリット

システム導入・運用にコストがかかる
CRMの導入には、 初期設定費用や月額利用料、外部ベンダーによるカスタマイズ費などが発生 します。
無料プランを提供しているシステムもありますが、本格的な活用を目指す場合はある程度の投資が必要です。
さらに、運用段階でも保守費用や社内教育にかかる時間的・人的コストが発生するため、長期的な視点で費用対効果を見極めることが重要です。
データ管理が複雑
CRMでは多くの顧客データを扱うため、 適切なデータ設計や入力ルールの整備が不可欠 です。
情報が重複したり誤って登録されたりすると、分析の精度や顧客対応の質が低下するリスクがあります。
特に複数部門で同時にCRMを使用する場合、データの更新・登録ルールを統一しないと、かえって混乱を招く恐れがあります。
施策の効果を実感するまでに時間がかかる
CRMは、導入直後から成果が出るとは限りません。 顧客データの蓄積や、ナーチャリング施策の反応が数字として表れるまでには一定の時間が必要 です。
導入当初は業務フローの見直しや教育コストが先行するため、短期的には「負担が増えた」と感じることもあります。
中長期的な視点で効果測定を行い、継続的に改善していく姿勢が求められます。
マニュアルや業務フローの整備が必要になる
CRMを効果的に運用するには、社内の業務フローやマニュアルの見直し・整備が必要です。
属人的な業務スタイルから脱却し、誰が見ても理解できる業務手順を構築しなければ、システムの利便性を十分に活かすことができません。
導入にあたっては、 事前に関係部署との連携を取りながら、運用ルールの策定を行うことが重要 です。
従業員がシステムを使いこなせない可能性がある
CRMは多機能であるがゆえに、操作が難しく感じられる場合もあります。
特に、社員ごとのITリテラシーに差がある職場では、使い方に戸惑い、十分に活用できない人が出てくるケースも少なくありません。
このような状況を防ぐには、導入前後の研修やマニュアル提供、定期的なフォローアップを行い、 現場に定着するためのサポート体制を整える取り組みが不可欠 です。
CRMシステムの機能

顧客情報管理
CRMシステムの機能の中でも特に重要なのが顧客情報管理です。この機能によって、企業は顧客の基本情報から購入履歴、対応記録までを一元的に管理できます。
顧客情報管理の機能を活用することで、顧客への迅速な対応が可能となり、 顧客満足度の向上やマーケティング戦略の最適化に役立ちます。
また、高度なフィルタリングやソート機能も備わっているため、特定の顧客層に対するアプローチも容易です。
案件管理
CRMシステムの案件管理機能は、 営業プロセス全体を可視化し、各案件の進行状況やステージを追跡します。
これにより、前回の商談内容や顧客の興味に応じて、次のアクションプランを自動生成することが可能です。
ワークフロー機能
CRMシステムのワークフロー機能は、 ビジネスプロセスを自動化し、タスクの割り当て、承認プロセス、通知の送信といった業務を効率化します。
CRMシステムでは、あらかじめ設定した条件に従って、適切な担当者に自動でタスクが振り分けられ、各工程がスムーズに進むよう管理されます。
これにより、従業員は手動での作業を減らしながら、迅速かつ正確に業務を遂行できます。
配信機能・フォローアップ機能
CRMシステムの配信機能・フォローアップ機能では、 顧客に自動でメールを配信でき、効果的なメールマーケティングによるフォローアップを実現できます。
例えば、一定期間ごとに送信するステップメールや、アフターケアメールを顧客の属性に合わせて適切に配信します。
手間や時間をかけずに効率的に顧客とのコミュニケーションをとれるため、多くの顧客を抱える企業におすすめの機能です。
問い合わせ管理・カスタマーサポート機能
CRMシステムの問い合わせ管理・カスタマーサポート機能では、 メールやフォームから顧客が送った問い合わせ内容を自動で管理できます。
問い合わせへの対応漏れを防ぐだけでなく、顧客対応のノウハウを蓄積して質の高いカスタマーサポートを実現可能です。
マーケティングの支援
CRMシステムのマーケティング支援は、 企業が効果的なマーケティング戦略を展開するために必要な機能です。
例えば、顧客セグメンテーションを行ってターゲットを細かく絞ったり、キャンペーンの効果をリアルタイムに測定したりできます。
さらに、顧客の行動データや購買履歴を基に、顧客に適したメールマーケティングや広告を展開することも可能です。
顧客データ分析機能
CRMシステムの顧客データ分析機能は、 蓄積された顧客情報を定量的・定性的に分析し、顧客の行動パターンや嗜好を把握するための機能です。
これにより、営業戦略やマーケティングキャンペーンの効果を評価し、顧客に対してより的確なアプローチを実現します。
さらに、可視化したデータやレポートの分析結果に基づいて戦略を立てられるため、顧客満足度の向上や売上拡大に寄与します。
レポート生成機能
CRMシステムのレポート生成機能は、 顧客データや営業活動の履歴・成果を集計し、視覚的に分かりやすい形で報告書としてまとめる機能です。
具体的には、レポート上で営業成績や顧客動向、マーケティングキャンペーンの効果などを定量的に評価し、管理者やチームメンバーに対して進捗状況や課題を報告します。
これにより、組織全体のパフォーマンスを効率的に把握でき、戦略的な意思決定を行えるようになります。
CRMの活用事例

営業|見込み客へのタイムリーなフォローで成約率向上
戸建て住宅の建設・販売を行うA社の事例を紹介します。
A社はCRM導入前、Webサイトで資料請求した見込み客の情報を個別で管理する一方、営業所では商談や成約した顧客を独自に管理していたため、情報が分散し機会損失が多発していました。
しかし、CRM導入によって顧客情報の管理を一元化したことで、 見込み客のフォローを適切なタイミングで行えるようになり、成約率が向上しました。
▶参考:【導入事例】CRM導入で営業プロセスの見える化が実現 - CRM(顧客管理)ならオープンソースのF-RevoCRM
マーケティング|One to One施策を中心としたメール改善で昨対比2倍の売上アップ
ヒラキ株式会社は、既存顧客のリピート率向上を目指し、CRMシステムを活用した「One to Oneメールマーケティング」を開始しました。
顧客の購買データを基に、購入後2週間以内の再購入を促すメール配信を実施し、メールの開封率とクリック率を向上させるためにABテストを重ねました。
また、LINEのOne to One配信も導入し、メールとLINEを組み合わせた効果的なリピート施策を展開しました。
これにより、 メールマガジン経由の受注額が前年比1.8倍に増加し、リピート購入の促進に成功しています。
▶参考:ヒラキ株式会社 | CRM事例 | シナジーマーケティング株式会社
カスタマーサービス|顧客対応の効率化で20%以上のコスト削減
株式会社ビックカメラはDX宣言を通じてデジタル化を推進し、効率化とコスト削減を目指して「Salesforce」を導入しました。
顧客対応の改善を目標に、コンタクトセンターの運営方法を見直し、以下の施策を実施しました。
- AIを活用した電子メールの自動振り分け
- 音声データからの自動データ入力
- Amazon Connectとの連携によるクラウドシステム運用
これにより、 コストを20%以上削減し、電話対応業務を50%短縮しました。また、FAQページの公開で電話問い合わせ数も減少し、さらなる効率化を実現しました。
▶参考:株式会社ビックカメラ | セールスフォース・ジャパン
CRMの効果的な活用方法

導入前のポイント
従業員のトレーニングなど導入体制を整備する
CRMの効果を最大化するには、従業員全体がシステムを理解し、活用できる体制を整えることが重要です。
導入前後に操作研修や業務フローの見直しを実施し、現場への浸透を図りましょう 。
特に現場担当者が「使いこなせる」と感じるレベルまでサポートを行うことで、定着率が高まり、全社的な活用がスムーズになります。
導入の目的を明確にする
CRMを導入する際は、 「何を改善したいのか」「どの部門でどのように使うのか」といった目的を明確にすることが不可欠 です。
目的が曖昧なままでは機能選定や運用方針にブレが生じ、期待する効果が得られない可能性があります。
営業の効率化、顧客満足度向上、LTV最大化など、具体的なゴールを明示しましょう。
導入前分析をきっちり行う
CRM導入前には、あらかじめ自社の業務フローや課題を正確に把握しておくことが重要です。
現状の顧客管理体制や情報共有の問題点を洗い出す ことで、CRM導入の優先順位や必要機能が明確になります。
この段階での分析精度が、導入後の活用度合いや定着率を大きく左右するため、丁寧に取り組みましょう。
目標・戦略・評価指標を定める
CRM活用の効果を測定・改善するためには、 KPI(重要業績評価指標)などの明確な数値目標を設定することが必要 です。
たとえば、「商談成約率を10%向上」「問い合わせ対応時間を30%短縮」など、具体的な成果を測れる指標を定めましょう。
戦略と施策が数値化されることで、継続的なPDCAが可能になります。
導入後のポイント
最新・正確なデータを入力する
CRMはデータの質が命です。情報が古すぎたり、入力ミスが多いと、分析結果やアクションの精度が低下し、逆効果になることもあります。
入力ルールの明確化し、 常に最新かつ正確な情報を入力・更新する体制を構築 しましょう。
また、入力の簡素化によって促進ですることも重要です。
データを分析し施策に反映する
CRMを活用する際、蓄積したデータをただ保存するだけでは意味がありません。
顧客の購買履歴や行動パターンを分析し、具体的な施策に落とし込むことが重要 です。
たとえば、購買頻度の高い顧客には優先対応、離反リスクの高い顧客にはリテンション施策を実施するなど、データドリブンな戦略が成果につながります。
顧客とのコミュニケーションを見直す
CRMを活用する際、顧客ごとの過去のやり取りやニーズを見直すことが大切です。
これにより、対応の一貫性やパーソナライズ度の向上、顧客の囲い込みが実現します。
メール配信やフォローコールの内容を顧客に合わせて最適化 し、満足度と信頼感を高めましょう。
定期的に見直しと改善を行う
CRMの運用は一度始めたら終わりではなく、継続的な改善が必要です。
定期的に運用状況やKPI達成度を確認し、入力ルールや業務フローを見直し ましょう。
また、新たに発見された課題に応じて設定や機能の追加を行うことで、常に現場ニーズに適した運用が維持されます。
小さく始めて段階的に拡大
CRMは、はじめから全社導入するよりも、まず一部の部署や機能に絞って「スモールスタート」するのが成功の鍵です。
最初は 営業部門やサポートチームなど、CRM活用の効果が見えやすい部門から始め 、成果を確認しながら段階的に全社展開していくことで、現場の理解と定着が進みやすくなります。
CRMシステムの選定時に押さえておきたいポイント

クラウド型かオンプレミス型か
CRMシステムを選ぶ際は、 クラウド型かオンプレミス型のどちらが適するか判断しましょう。
クラウド型は低コストで始めやすく、アクセスが容易ですが、データセキュリティやカスタマイズ性がオンプレミス型よりも制限される場合があります。
一方、オンプレミス型はデータの完全な管理が可能でセキュリティが高いですが、導入コストや運用負荷が高くなることがあります。
特徴 | クラウド型CRM | オンプレミス型CRM | |
---|---|---|---|
配置 | 遠隔地のサーバーに配置 | 自社で用意したサーバーにインストール | |
アクセス性 | インターネットに接続されていれば どこからでもアクセス可能 |
ベンダーが保守やアップグレードを担当 | |
メンテナンス | ベンダーが保守やアップグレードを担当 | 企業自身が保守やアップグレードを担当 | |
拡張性 | 必要に応じて簡単に拡張可能 | ハードウェアとソフトウェアに 大きな投資が必要 |
|
コスト | 特徴 | サブスクリプション・ベースで提供 | ソフトウェアやハードウェアに 多額の先行投資を必要 |
導入コスト | 低い | 高い | |
インフラコスト | 不要 | 必要 | |
ライセンス料金 | 月額課金 | 一時費用 | |
カスタマイズコスト | 中程度 | 高い | |
セキュリティコスト | 低い | 高い | |
バージョンアップコスト | 不要 | 高い | |
運用コスト | 低い | 高い | |
サポートコスト | 低い | 高い | |
ネットワークコスト | 中程度 | 低い | |
セキュリティ | セキュリティの責任はベンダー | セキュリティの責任は企業 |
目的に合った機能をもつCRMを選ぶ
CRMシステムを選ぶ際は、自社のニーズに合った機能が揃っているかどうか確認しましょう。
例えば、 顧客管理が目的の場合、顧客情報の集約と管理、対応履歴、セグメンテーションとターゲティング、タスクとスケジュール管理などの機能が必要です。
また、 セールスパイプラインの効率化が目的の場合、リード管理、タスクとアクティビティ管理、見込み顧客の評価とスコアリングなどの機能があると良いでしょう。
サポート体制は充実しているか
CRMシステムの比較ポイントに、サポートの充実度が挙げられます。問い合わせやトラブル時に迅速かつ適切に対応してくれる体制が望ましいです。
例えば、 24時間対応や 専門スタッフの配置、 複数のコンタクトチャネル(電話、メール、チャット)の提供などがあると安心です。
また、トレーニングや定期的なコンサルティングも含まれるか確認し、運用上のサポートも含めてツールを比較しましょう。
セキュリティ機能は充実しているか
CRMは、顧客情報や企業の重要データを扱うため、 高度なセキュリティ対策が不可欠です。
具体的には、エンドツーエンドのデータ暗号化、アクセス制御と認証の強化、定期的なセキュリティ監査や脆弱性評価の実施が求められます。
製品の比較時には、各システムがどのようにセキュリティ要件に対応しているか、安全性を確保するための措置が適切に実施されているか、などを確認しましょう。
他ツールとの連携や拡張性は十分か
CRMシステムを選ぶ際は、他ツールとの連携と拡張性も注目したいポイントです。 シームレスなデータ流用や自動化が可能かどうかを確認しましょう。
特に、ERPシステムやマーケティングツール、カスタマーサポートソフトとのスムーズな連携は、業務効率向上において不可欠な要素です。
また、モジュールやAPIを通じたカスタマイズや拡張性も考慮しましょう。これにより、ビジネスの成長に合わせた柔軟な対応が可能となります。
導入コストや運用コストは適切か
CRMシステムを選ぶ際には、導入コストと運用コストも重要な比較ポイントです。
導入コストにはライセンス料、カスタマイズ費用、トレーニングコスト、運用コストには保守サポート費用、データストレージ費用、アップグレード費用などが含まれます。
内訳とを金額を明確に把握し、 長期的な視野での費用対効果を評価することが重要です。
CRMシステムの費用相場
CRMの費用はシステムの種類や導入規模により異なります。
- クラウド型:初期費用は0~10万円程度、月額利用料は1ユーザーあたり1,500〜8,000円が一般的
- オンプレミス型:システム構築費やサーバー費用を含め初期費用で100万〜500万円、保守費用が年数十万円
CRMシステム・ツールおすすめ5選
項目/ツール名 | Zoho CRM | Salesforce | HubSpot CRM | kintone(サイボウズ) | eセールスマネージャー |
---|---|---|---|---|---|
月額費用(税込) | 2,640〜8,580円/人 | ・中小企業向け 3,000〜1万9,800円/人 ・大企業向け 1万9,800~6万6,000円/人 ※税表記なし、年間契約 |
・個人〜小規模チーム向け 1,800~10万6,800円 ・企業単位〜大規模企業向け 10万6,800~43万2,000円 ※税表記なし |
1,100〜3,300円/人 | 3,850~1万2,100円/人 |
無料プランの有無 | ◯ | △(試用あり) | ◯ | △(試用あり) | ✕ |
特徴 | コスパ重視・中小企業向け。シンプルなUIで導入しやすい。 | 高機能・高拡張性。SFAやMAとの連携も豊富。 | 無料プランが充実。マーケティング機能と相性◎ | ノーコードでの業務アプリ開発に対応。柔軟なカスタマイズ可能。 | 日本企業向け設計。サポート体制が手厚く、営業支援に強い。 |
操作のしやすさ | ◎(シンプル) | △(やや複雑) | ◎(初心者でも扱いやすい) | ◯(慣れが必要) | ◯(日本語UIで安心) |
カスタマイズ性 | ◯(一定範囲で可能) | ◎(APIやAppExchange豊富) | △(制限あり) | ◎(自由度が高い) | ◯(国産で業務に即応) |
他ツールとの連携性 | ◯Gmail・Slack等) | ◎(Google, MAツール等) | ◎(マーケ機能と連携強) | ◯(外部連携アプリあり) | △(国内業務システム中心) |
サポート体制(日本語) | ◯(一部日本語) | ◎(国内サポートあり) | ◯(チャット中心) | ◎(国産・日本語対応) | ◎(電話・訪問サポートも可) |
向いている企業規模 | 小規模〜中堅企業 | 中堅〜大企業 | スタートアップ〜中小企業 | 中小企業〜部門単位導入 | 中小企業〜営業部門向け |
- コスト重視なら → Zoho CRM / HubSpot
- 機能の豊富さと拡張性重視 → Salesforce
- 日本企業・営業チームに最適化された設計 → eセールスマネージャー
- 自社業務に合わせた自由な設計がしたい → kintone
CRMに関するよくある質問
A
CRMには、業務を効率化する「オペレーショナルCRM」、顧客データを分析する「アナリティカルCRM」、部門間の連携を強化する「コラボレーティブCRM」の3種類があります。
自社の目的に応じて、どのタイプを重視すべきかを見極めることが、CRM選定の成功のカギとなります。
A
CRM導入の効果は、商談成約率の上昇や顧客対応スピードの改善などの数値で判断できます。
あらかじめKPIを設定し、導入前後で比較することで成果が明確になります。また、従業員の業務効率や顧客満足度の変化も重要な評価ポイントです。
A
成功するCRM戦略には、目的の明確化と現状の課題分析が不可欠です。
営業やマーケティングなど関係部門と連携し、データ活用や業務フローの見直しを図りましょう。
小規模な範囲から始めて、効果を見ながら段階的に拡大することも成功のポイントです。
まとめ
CRMは、顧客情報の一元管理や業務効率化だけでなく、顧客満足度の向上や売上アップにも直結する重要なツールです。
SFAとの違いを理解し、自社に合った機能を選ぶことで、チームの生産性と顧客対応力が飛躍的に向上します。
まずは自社課題の明確化と小規模導入からスタートし、段階的に活用範囲を広げましょう。

この記事を書いたライター
Wiz Cloud編集部
WizCloud編集部メンバーが執筆・更新しています。 Web関連、デジタル関連の最新情報から、店舗やオフィスの問題解決に使えるノウハウまでわかりやすくご紹介します!