振替?利息?頭を悩ます「決算整理仕訳」とは一体何?

3月や9月などの決算期、法人や個人事業主に関わらず頭を悩ませる方も多い作業ですよね。このたび初めて決算を迎えるという方は、何から始めたらいいのか不安だと思います。決算業務で耳にする「仕訳」とは何なのか?自分自身で対応することはできるのか?など、決済整理に関する疑問はつきません。

1年に1回の作業で、忘れてしまいがちな「決算整理」を、今回は仕訳の定義や方法から、税理士に依頼するメリットまで詳しく解説していきます。

仕訳(しわけ)とは

仕訳とは、簿記上の1回の取引を「借方(かりかた)」と「貸方(かしかた)」の左右2つに分けて記録することを言います。

簿記の基礎である仕訳は、経理初心者や慣れていない人には混乱してしまいがちな作業です。仕訳は、すべての勘定を「借方」と「貸方」で左右に分類、そこに勘定項目と金額内容を「仕訳帳」に書き記して行く作業になります。この2つの側面から取引を見ることによって、1つの取引で何が減って何が増えたかを把握することができます。

仕訳作業では「借方」と「貸方」という言葉が何度も登場しますが、言葉の意味を考えるというよりも「左が借方、右が貸方」と覚えておくと良いでしょう。

左が「借方」・右が「貸方」

取引の仕訳表は、必ず「借方」と「貸方」で記載する必要があります。この2つは、左が借方・右が貸方で記載されることも覚えておく必要があります。

さらに「借方」と聞くと、お金を借りて現金を手にするような印象から、何かしらが“増えた”ことを指すようなイメージを持つかもしれません。しかしこの「借方」と「貸方」は、通常とは少し考え方が違います。

たとえば資産が増えた場合は「借方」に記載し、負債が増えた場合は「貸方」に記載して仕訳表を埋めていきます。負債が発生しているのに「貸方」?と思うかもしれません。逆に誰かにお金を貸した場合は、貸付金という項目で「借方」に記載するのです。

普通だったら逆だと思うでしょうが、実はその理由は、元々銀行が使っていた簿記を活用しているためです。そのため借方と貸方の基準は、銀行の融資先の目線で表現されているため、貸付金だと貸した方のお金になりますが、融資先から見れば借りた方のお金になるので「借方」に分類されるということです。

 そうはいっても、いざ仕訳帳に記載していこうとすると、どっちが借方でどっちが貸方なのか迷ってしまうこともあるでしょう。実はそのルールは、非常にシンプルです。

 

 

借方

貸方

資産

増えた↑

減った↓

負債

減った↓

増えた↑

純資産

減った↓

増えた↑

収益

減った↓

増えた↑

費用

増えた↑

減った↓


それでも最初は混乱してしまうものです。複式簿記は、必ず左右両方に記載する必要があるので、どちらか片方に記入する内容さえ分かれば、残りを埋めるだけになります。取扱っている商品を100万円分売って、現金収入が発生した場合、100万円の利益が発生した(増えた)ので「売上」という勘定科目で、金額は100万円が貸方に記入されます。これがわかれば、売上が発生したことで現金が入り資産が増えたので「現金」の勘定科目が、借方に入ることになります。まずは片方を考えて、そこから反対を考えてみましょう。

借方

貸方

現金

100万円

売上

100万円

簿記一巡の手続きとは?決算整理の後に決算振替?

どんな企業においても、長く経営を続けてさらなる発展を遂げるためには、これまでの経営活動の経験を生かしていく必要があります。そのためには現状の資産運用状態などを、正確に記録していかなければなりません。簿記は、企業の「経営成績」・「財政状態」を明らかにすることが目的です。

こうして1年間という会計期間に行われた取引、各勘定の帳簿をまとめて、損益計算書・貸借対照表を作成する簿記の一連の作業を繰り返します。この一連の手続のことを「 簿記一巡 」と言います。

簿記一巡の主な流れとしては、取引→仕訳→勘定元帳へ記入→決算整理→貸借対照表と損益計算書となります。

取引と仕訳は、先程の項目で解説しているように「取引」は、財産や利益が増えた・減ったなどにあたり、この取引が行なわれるたびにルールに従って記帳していくのが「仕訳」です。「仕訳」を終えると、すべての取引を勘定別に記録する「総勘定元帳」へ転記していきます。この「総勘定元帳」は、後々「貸借対照表と損益計算書」を記載するのにも必要となるので、正確に記載が必要です。

「総勘定元帳」を元に、期末時点での利益や財産などの金額を表にした「試算表」を使って、仕分けや元帳への転記にミスがないかを確認します。ミスなく行なわれていることを確認したら、会計期間の利益や損失を適正に求める決算整理・決算整理仕訳を行います。そして最終目標である「企業の財政状態と経営成績を明らかにする」ために、財政状態を表す貸借対照表、経営成績を表す損益計算書を作成して、簿記一巡は終了します。 

決算整理仕訳とは

企業の多くが3月に迎える決算は、会計年度ごとに企業の財務状況や経営成績を明確にして、貸借対照表と損益計算書を作成する作業です。なお決算日から2ヵ月間のあいだに、税務署へ提出しなくてはいけません。そしてこの作業の中でも、もっとも重要な作業が「 決算整理仕訳 」です。

  まず決算整理とは、税務規則に従って、作成した帳簿の金額が正確かどうかを確認し修正する作業です。決算書には、正しい数字が記載されているものではありますが、法人税の場合は「発生主義」が原則となっているため、売上が発生したタイミングで計上する必要があります。

そのため期間中に発生した売上は、入金はまだでも当期間中に計上が必要となります。他にも支払い前の経費を当期中に計上するものや、入金済みだが当期の売上にしてはいけない取引など、さまざまな帳簿の修正が必要になります。

主な修正事項
  • 入金は来期だが当期中の売上にしなければいけない取引
  • 支払いは来期だが当期中の仕入・経費にする取引
  • すでに入金済みだが当期の売上にしなくていい取引の修正
  • 支払済みだが当期中の仕入・経費にしてはいけない取引の修正
  • 固定資産の減価償却費
  • 期末棚卸での売上原価の修正

見越し処理

決算整理仕訳の中で、入金は来期だが当期の売上にする費用や、支払いは来期だが当期中の経費にする費用などは「見越し処理」で会計処理を行います。

この「見越し処理」には2種類あり、後払いの費用や借入の利息など来期に支払う必要がある当期分の費用(未払費用)に対する処理を「費用の見越し」、後払い契約などで来期に入金される当期分の収益(未収収益)の処理を「収益の見越し」と言います。

費用の見越し

「費用の見越し」の代表的な処理として、借入金を計上する【未払利息】の勘定項目を使った仕訳処理があります。実際には支払っていないが、決算整理において当期分の利息を記帳する必要があります。それとあわせて、当期分の利息を来期に支払うために【未払利息】を計上します。

   <例>10月1日に、借入期間1年間、年間利率6%、利息と元金は翌年9月30日に全額まとめて支払う契約で、100万円を借りた場合。なお決算は12月31日。

■決算時の処理

決算では、借り入れた日から経過している期間(10月1日~12月31日)の利息分を計上します。

借方

貸方

支払利息

15,000

未払利息

15,000


1,000,000×6%(0.06)÷12ヶ月=5,000円(1ヵ月分の利息)
5,000×3ヵ月=15,000円(当期分の利息)

この場合、当期には現金や預金含からの支払いは発生しておらず、来期以降に支払い義務が発生しているため、未払いの負債が増えたこととなり、貸方に15,000円の「未払利息」が入ります。反対に、支払わなくてはいけない費用が発生した形になるため、借方には「支払利息」で15,000円を計上します。 

■翌期に入っての処理(再振替仕訳)

借方

貸方

未払利息

15,000

支払利息

15,000

翌期には、前期に見越し処理を行った利息分もまとめて支払う予定なので、次の期の期首には、前期末に見越した分と逆の処理(再振替仕訳)を行います。これにより支払い利息を減らして、負債となっていた残高を元に戻します。 

■支払い時

そして9月30日には、元金100万円と、契約期間分の利息6万円を現金で支払います。その際に、実際に払った費用を「支払利息」で計上することになります。

借方

貸方

借入金

1,000,000

現金

1,060,000

支払利息

60,000

 

なお前期に3ヵ月分の支払利息は計上されているため、実際に支払うのは6万円ですが、会計上は前期分の15,000円を引いた45,000円分となります。  

収益の見越し

費用の見越しがあるということは、その反対に「収益の見越し」というのも発生します。これは年間手数料などを後払いで受け取る際に、決算をまたぎ翌期に受け取る当期分の収益を【未収収益】として、当期の収益勘定に計上することを言います。

基本的な処理方法は、先程の費用の見越しと同じになります。

  <例>得意先と9月に契約を交わし、10月1日~3月31日までの6ヶ月間、月5,000円分の手数料を受け取ることになった。手数料は、6ヶ月分をまとめて3月に受け取ることになっている。なお決算は12月31日。

 ■決算時の処理

決算が12月31日ということは、10月~12月までの3ヵ月分は当期、残りの3ヵ月分は翌期の手数料となります。しかし簿記のルール上、受け取り時にその金額を収益として計上しなくてはいけませんので、この場合当期の収益も翌期に計上されてしまいます。そこで当期に発生した手数料分を【未収手数料(収益)】として計上します。

下記が、当期発生分の手数料ですが、実際に受け取ってはおらず、来期以降で受け取る予定になるため【未収手数料】として借方に入れて、受取手数料を計上します。

借方

貸方

未収手数料

15,000

受取手数料

15,000


5,000×3ヶ月(10月~12月)=15,000(3ヵ月分の手数料)

■翌期に入っての処理(再振替仕訳)

費用の見越し同様に、翌期になったら見越しした手数料分を再振替仕訳で処理し、残高を元に戻します。

借方

貸方

受取手数料>

15,000

未収手数料

15,000

 

■受け取り時

3月31日には、6ヶ月分の手数料を受け取ります。実際に受け取るのは3万円ですが、会計上は前期分の15,000円を差し引いた金額となります。

借方

貸方

現金

30,000

受取手数料

30,000

繰り延べ処理

決算整理仕訳の中で、当期中に来期以降の期間分の費用を支払ったり、当期中に来期分の期間の収益を受け取ったりする場合は「繰り延べ処理」で会計処理を行います。

見越し処理同様に「繰り延べ処理」にも2種類あり、当期中に来期以降の期間分を支払う費用(前払費用)に対する処理を「費用の繰り延べ」、前払い契約などで来期以降の期間分に対する収益(前払収益)の処理を「収益の繰り延べ」と言います。

 「費用の繰り延べ」処理は、支払いをした際に計上、決算時に当期の費用ではない分を『前払○○』の勘定項目へ振替をします。振替を行ったことで、当期の支払いから翌期間分減ります。来期首になったら、決算時に振り替えた分を、再度新しい期の費用として計上します。これを「再振替仕訳」と言います。

一方「収益の繰り延べ」処理は、使う勘定項目が違うだけで基本的な流れは同じです。

減価償却

「減価償却」とは電化製品や機械設備といった、長期間にわたって使われ経年劣化が生じる資産に対し、設置・購入時にかかった費用を、購入したタイミングで経費計上するのではなく、耐用年数に応じて分割して計上することを言います。

ただし耐用年数を判断するのは難しいので「法定耐用年数」の基準によって、品目ごとに細かく定められています。これを「減価償却」と言い、決算整理時には「減価償却費」という勘定項目で計上します。

減価償却を計上するといっても、すべての機器や製品が対象となるわけではありません。まず10万円未満(9万9,999円まで)の商品は、減価償却をしません。例えば8万円のノートパソコンなどは「消耗品」として計上します。

また取得金額が10万円~20万円未満の商品は、方法を選択して減価償却を行います。先程説明した「通常の減価償却」と、耐用年数に関係なく3年間で均等に減価償却を行う「一括償却」があります。

「減価償却費」の計上方法は、まず購入時には全額を一旦【資産】に計上します。その後、法定耐用年数期間の決算ごとに分割して【費用】として振替を行います。定められた期間終了後も、継続して利用する場合は、備忘価格として「1円」を残していきます。1円を残すために、期間の最後の年は減価償却費の末尾を9円にします。

なお対象の製品を廃棄する際は、残った1円を処理します。

減価償却しないもの

基本的に高額だからといって、すべて減価償却の対象となるわけではありません。基本的に、年数が経過しても価値が下がらないものは、減価償却されません。売却されるか廃棄になるまでは、資産として計上され続けます。

例:土地・絵画や壺などの骨とう品・ゴルフ会員権・有価証券・電話加入権など

決算振替仕訳とは

決算整理が終わったら、帳簿上での当期純利益を算出するために「決算振替仕訳」を行います。

「決算振替仕訳」の作業として、当期純利益を算出するために、まずは損益勘定というものを設ける必要があります。そのうえで、当期に発生した「全ての収益勘定残高を損益勘定の貸方へ」振替え、逆に「全ての費用勘定残高を損益勘定の借方へ」振替えます。結果、損益勘定の差額が【当期純利益(当期純損失)】となります。

当期純利益が発生する場合

「当期純利益」は、収益-費用の計算式で算出されるため、計算結果がプラスになれば、当期純利益が発生したということになります。

この「当期純利益」が発生した場合、この額を資本金勘定の貸方へ振り替えて計上されます。どういう事かというと、当期純利益の金額だけ資本金が増加することになるという訳です。

当期純損益が発生する場合

一方で、収益-費用の計算によりマイナスになった場合は「当期純損失」が発生したことになります。

発生した「当期純損失」は、当期純利益の時と逆で資本金勘定の借方に振り替えて計上されます。資本金勘定には、マイナス分が振りかえられることになります。つまり「当期純損失」が発生することで、会社の資本金は減少するということです。

決算利息仕訳とは

個人事業主が決算整理を行う際、銀行から振り込まれる「預金利息」の仕訳方法に頭を抱える人も多いのではないでしょうか。預金利息を仕訳する際の勘定項目は、法人であれば「受取利息」、個人事業主では「事業主借」で仕訳を行いましょう。

預金利息の場合、事業から生じたものではないため、事業所得ではなく「利子所得」に該当します。この利子所得は、原則としてあらかじめ税金が差し引かれた形で入金されます。源泉徴収で差し引かれる税金は、平成30年現在は一律20.315%(所得税・復興特別所得税・地方税)です。ちなみに法人の場合は、国税15.315%のみが差し引かれます。

受取利息/事業主借

基本的に他の所得と合算しない利子所得は、振り込まれた金額がすでに税金も差し引かれたものになるため、入金された金額がそのまま受け取り分となります。

そのため法人の場合は、名前の通り「受取利息」となりますが、個人事業主が事業用の口座で預金利息を受け取った場合、個人的な入金があったと考えられるため「事業主借」という勘定項目で記載されます。帳簿を付ける際は、この項目も忘れずに記載するようにしましょう。

  預金利息分を帳簿に付ける際、銀行によって振り込まれ方が変わるため2通りの方法で記載することがあります。

<例>預金利息1,000円から、208円差し引かれて792円が入金された

①税金も仕訳する(差し引かれた金額も記載)

 

勘定科目

借方

勘定科目

貸方

摘要

普通預金

792円

受取利息/事業主借

1,000円

預金利息

法人税及び所得税、事業税

208円

 

 

所得税など


銀行によっては、税金が差し引かれる前の金額が振り込まれ、同時に税金分が出金されていることもあるので、その場合は差し引き前の金額と、出金された金額を明記する。

②入金金額のみで記載

シンプルに入金金額をそのまま記載し、受取利息・事業主借として処理する方法です。


借方勘定科目

借方金額

貸方勘定科目

貸方金額

摘要

普通預金

792円

受取利息/事業主借

792円

預金利息

決算整理仕訳は自分でできる?(やり方・書き方)

ここまで解説してきた「決算整理仕訳」ですが、いざやろうとした際には、自分自身でできるものなのでしょうか。

最近ではさまざまな会計ソフトも登場していますので、普段からこまめに領収書などを整理しておけば、自分自身でできないというわけではありません。しかし特に専門知識を持ち合わせていない人が行なった場合、ミスも多く発生したり、時間がかかりすぎて期日に間に合わなかったりと、トラブルの原因になってしまう事が起こります。

その結果、実際はもっと税金を抑えることができたのに・・ということもあります。決算整理等の作業に不安な方は、税理士に頼むというのも一つの方法です。

税理士に依頼する場合

初めてだと混乱してミスってしまいがちな決算整理、この部分だけを税理士に依頼することも実は可能です。税理士が行なう作業ボリュームによって、その金額は変動してきます。

たとえば最も費用を抑えられるものとして、すでに依頼者側で毎月分キチンと会計ソフトなどに入力が済んでいる場合があります。ここまで終わっていれば、税理士は決算書の作成と提出のみで作業は済むので、安く対応できるかと思います。

しかし経費や売上の整理は出来ているが、会計ソフトなどに入力されていない場合や、そもそも何もしていない場合は、税理士側の作業も多くなってくるので料金も大きく変動します。

特に、何も準備されていない場合、仕訳量や依頼日によっては、決算書提出期日まで間に合わずに断られることもあります。初めての決算など、準備方法がわからない方、何もしていない方は、早めに相談することをオススメします。

税理士に依頼するメリット

何よりラク

税理士に決算を依頼する一番のメリットは、なんといっても自分で計算する必要がないことです。

もちろん依頼する作業やボリュームによっては、依頼費用もかかるため、自分自身でやらないといけない範囲もあります。しかし税理士に依頼することで、会計処理の手間を省くことができます。

時間の節約ができる※時給換算で計算

決算の会計処理は、自分でできなくはない作業ではありますが、それには相応の知識と時間が必要です。日々の経理業務から、決算期には会計業務を自身で行うのは一苦労です。慣れない作業は、どうしても時間がかかってしまうため、通常業務の時間や業務終わりの時間を使って作業しなくてはいけません。

決算期には、これまでの経理情報の整理や決算整理、仕訳などさまざまな作業が発生し、トータルで数十時間かかることもあります。自身の給与を時給換算して、およそ2,000円ほどだったとしても、かかった時間が20時間~30時間ともなってしまえば、4~6万円もの費用がかかったことになります。

この数十時間の間に獲得できていたであろう売上や、業務の進捗などを考えると、大きなコストと言えます。

しかし決算業務を税理士に依頼することで、自身が対応するこの時間は不要になります。税理士への依頼費用も、平均して5~7万円ほどが相場になるため、かかるコストは変わらないにしても自身の時間を節約することができ、通常業務に注力することが可能になります。

正確

税理士に依頼するということは、もちろんその道の専門家に依頼することになります。決算整理は、初心者や慣れていない人がやると、非常にミスをしやすい作業です。何をどういった項目で計上するのか、この場合の処理は貸方・借方のどちらなのかなど、頭を悩ますポイントは多いです。

ただし税理士に依頼をすれば、こうしたミスも発生させることもなく細かな部分までしっかりとチェックして、正確に書類を作成してもらえるので安心です。

税理士に依頼するデメリット

費用がかかる※時給換算で計算と比較

  さきほどのメリット部分でも解説したように、税理士に作業を依頼するには費用が発生します。自身で定期的に会計ソフトの内容精査や仕訳作業もできるという場合には、やはりコスト面を考えると、無理に税理士を雇う必要もないかもしれません。

しかしそうはいっても、経理専門のスタッフがいない個人事業主などは、自分の時間を割いてしまうのは変わりません。決算整理業務にかける時間で得られる売上等を見越したうえで、必要あれば税理士に依頼する方がおトクになる可能性が高いことを知っておきましょう。

自分で数字を読めるようになりにくい

税理士に決算等の会計業務を依頼した場合、最後の決算申告書類の作業だけであれば、そこまでは自分自身で作業するため、経験を積むことはできます。

しかし最初から最後まで、税理士に依頼をすると、自分で経理上の数字等について学ぶことができなくなるため、いざ経営状況や会計情報を確認しようと思っても、数字を読めないので分からないという状況が発生します。

税理士に任せっぱなしにするのではなく、自分でしっかりと把握したうえで最終的な申告書の提出を行うようにしましょう。

税理士の選び方・ポイント

得意分野がある

税理士を選ぶ際に色々と話を聞いていくと、実は税理士の中にも得意・不得意な分野があります。数多くの経験を積んでいったうえで、これまで対応してきた業務の傾向などから、法人系の税管理が得意な方、相続税に強いかたなど、種類はさまざまです。

どの税理士事務所でも決算業務は対応できますが、事務所の傾向や方針、所属している担当税理士をチェックして、自分が依頼したい内容が得意な事務所や税理士を選んでも良いかもしれません。

人柄

税理士といえど、同じ「人」です。数ある税理士の中から選ぶため、やはり重要なのは依頼者との相性です。その人と合う・合わないは、第一に依頼する弁護士の人柄にあります。親切なだけでもダメですし、言葉づかいや態度、クライアントとの接し方など、自分たちから見ても『この人なら任せられる』と思える人を選びたいですよね。

税理士としてのスキルだけでなく、その人の人柄をチェックしておくのも、将来的に長い付き合いになるかもしれないため、大事なポイントと言えます。

報酬額

税理士を依頼するにも、気になるのがその費用。あまりにも高額だと躊躇してしまいますよね。

最近では格安で対応してくれる税理士さんも登場していますが、逆に安すぎても受け付ける条件が細かすぎたり、雑な仕事をされたりすることも少なくありません。選ぶ際には、作業内容や条件などをしっかり確認し、希望に見合った税理士さんを選ぶようにしましょう。

高い費用をかけられない場合は、決算書類作成業務だけのスポット依頼など、細かいプランも設けてある事務所も多いので、自分でやれるところはやって、最後をプロに任せるという方法も1つの手段といえるのではないでしょうか。

個人事業主の決算整理仕訳

フリーランスなど個人事業主として仕事をしている人は、一般企業と同じように決算を過ぎると、決算整理仕訳を行います。申告書を作成する際には、どんな小さな会社でも必要な作業となりますので、忘れずに行いましょう。決算整理のためには、まず帳簿未入力のレシートや領収書の整理、期末時点での在庫確認のため棚卸を行っておきましょう。

売上・仕入れ

お金を受け取っているかどうかの「売上」と、お金を支払っているかどうかの「仕入」状況について、それぞれ修正していきます。すでに発生している売上や仕入は当期のものとし、まだ発生していないものは翌期に繰り延べされます。

仕訳項目は、未払いのため計上しない仕入費用にあたる「買掛金(未払金)」、仕入費用として仕訳しているがまだ受け入れされていない「前渡金」、未入金のため計上していない売上「売掛金(未収金)」、売上として仕訳したがまだ売上が発生していない「前受金」などがあります。

費用

何かしら発生した「費用」に関して、その代金を支払ったか支払っていないかを、それぞれ確認・修正していきます。売上同様に、当期すでに発生したものは計上し、まだ発生していないものは翌期の計上となります。

保険料など、一定の期間分前払いしているがまだサービスを受けていないものは「前払費用」、電気や水道料金など当期にサービスを受けているがまだ支払いをしていない「未払費用」などが、これにあたります。

売上原価と商品評価

当期の期首に在庫としてカウントしていたものの中で、当期中に売れたものは「売上原価」となっているため【仕入勘定】に振り替えになります。

また当期中に仕入れて売れ残ったものは、在庫として【繰越商品】となり、その在庫のうち傷・破損などで売れないものは当期の損失として仕訳します。

減価償却

「減価償却」とは、大きな電化製品や機械などの固定資産を購入した場合、利用年数の経過により下がっていく価値に合わせて、分割して経費を計上していくというものです。減価償却の費用は、これらの固定資産を入手した際の費用によって対応が変わります。

10万円未満の商品は、減価償却対象にならず「消耗品」として計上され、20万円未満の商品では通常の減価償却のほか、耐用年数に関係なく3年間で均等に減価償却をする「一括償却」などが可能です。

貸し倒れ

たとえば取引先が破綻してしまったり、その懸念がある場合に、売掛金や貸付金など誰かに支払ってもらう予定のお金が回収できないことを想定しておく必要があります。その際の決算整理時には、金額の5.5%以下を「貸倒引当金」として経費計上します。もちろんその可能性がなければ必要ありません。

また「貸倒引当金」を計上した翌期には、前期分を「貸倒引当金戻入」として相殺しておきましょう。その後決算期に、また当期の「貸倒引当金」があれば計上します。

仮払金

交通費や出張費など、金額の用途が不明な金額の一次的な仮処理として「仮払金」があります。たとえば出張費として、従業員に事前に10万円を手渡していたとします。実際どのぐらいの費用がかかるか分からないため、この時点では仮払金10万円として帳簿に記載しておきます。

借方科目

金額

貸方科目

金額

仮払金

100,000

現金

100,000

その後、実際に出張でかかった費用が8万円だったため、残額の2万円が戻ってきました。その場合は、費用の内訳とともに、再度記入が必要となります。

借方科目

金額

貸方科目

金額

旅費交通費

30,000

仮払金

100,000

交際費

50,000

   

現金

20,000

   

仮払金は、一時的な勘定項目になるため、用途と金額がわかった時点で、速やかに精算するようにしましょう。

まとめ

代表的な部分ではありますが「決算整理」について解説しました。

普段の生活では耳馴染みのない用語が多く、難しいなと感じることも多いと思います。決算処理で計上する項目や、精算の方法やルールなど、簡単にできるものではないですよね。

コストを抑えるには、もちろん自分でやるのも一つの手段ではありますが、どうしても不安な方は、多少のコストがかかったとしても税理士へ相談して、依頼した方が結果的には時間もコストも抑えられる場合もありますよ。

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この記事を書いたライター

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