「手続きは簡単って聞くけど、本当に何も準備しなくていいの?」
「自分に向いている申告方法を知りたい!」
白色申告は、比較的手続きが簡単で、開業したばかりの方や事務作業が苦手な方でも取り組みやすい制度です。
しかし、控除などの節税メリットが少なく、帳簿の保存義務はあるなど、最低限のルールや準備は必要です。
本記事では、白色申告と青色申告の違いはもちろん、それぞれの特徴や準備・手続きの流れをわかりやすく解説しています。
※本記事はアフィリエイト広告を含みます。
目次
▼この記事で紹介している商品

白色申告とは?
白色申告とは「簡易簿記で行う確定申告の方法 」
白色申告とは、 簡易的な帳簿づけ(簡易簿記)で所得や経費を記録し、税務署に申告する方法 です。
青色申告のような複雑な記帳ルールや事前申請が必要ないため、初めて確定申告をする方にとってハードルが低いのが特徴です。
ただし、節税の特典は少なく、一定の条件を満たしても控除額は青色申告ほど多くありません。
対象は1年間に48万円以上の所得がある事業者
白色申告は、年間の所得が48万円を超える人が対象です。ここでいう「所得」とは、売上から経費を引いた利益のことを指します。
アルバイトや副業で収入があっても、経費を引いて48万円未満なら申告義務はありません 。
ただし、住民税の申告や、扶養控除など他の制度に影響する場合もあるので、該当する可能性のある人は早めに確認しておきましょう。
白色申告は開業届なしでも申告できる
白色申告は、事業の開始を税務署に届け出る「開業届」を提出していない人でも行えます。
副業などで小さく事業を始めた人や、まだ本格的に起業していない人にも適した申告方法 です。
ただし、開業届を出していないと青色申告は選べないため、将来的な節税効果を考えるなら、早めに開業届を提出しておくのがおすすめです。
申告期限は2月16日から3月15日までが通例
白色申告の期限は、例年2月16日から3月15日までの1か月間です。
この 期間内に、前年の収支をまとめた申告書を税務署に提出し、必要があれば納税 を行います。
期限を過ぎると、延滞税や無申告加算税が発生することもあるため、余裕をもって準備しましょう。

白色申告はスマホとマイナンバーカードを使ってe-Taxで申請可能
白色申告は、スマホとマイナンバーカードを使って自宅から簡単にe-Taxで提出できます。対応スマホがあればICカードリーダーは不要で、パソコンからの送信も可能です。
事前に「マイナポータルアプリ」をインストールし、利用者証明用と署名用のパスワードを準備 しておきましょう。
申告書の作成は「確定申告書等作成コーナー」から進められ、画面の案内に沿って入力すれば、自動で計算・送信まで完了します。

青色申告と白色申告の違い
項目 | 青色申告 | 白色申告 |
---|---|---|
特別控除 | 最大65万円(条件あり)、簡易簿記なら10万円の控除 | 控除なし(原則) |
記帳方法 | 複式簿記または簡易簿記(選択可、控除額に影響) | 簡易簿記(義務化されているが、簡易な記録で可) |
専従者給与 | 配偶者や親族への給与を経費計上可(届出が必要) | 原則不可(専従者控除として一定額のみ可能) |
赤字の繰越・繰戻 | 純損失を3年間繰越、または前年への繰戻還付可 | 不可 |
減価償却の特例 | 30万円未満の資産を一括経費計上可(年間300万円まで) | 不可 |
手続きの複雑さ | 事前承認申請(開業届+青色申告承認申請書)が必要、記帳・書類管理が複雑 | 簡易(開業届のみで可、記帳負担が少ない) |
メリット | 節税効果が高い(特に収入・経費が多い場合) | 手軽に始められ、副業や小規模事業に向いている |
デメリット | 記帳・申告の手間、初期準備が必要 | 節税メリットが少ない |
税制の控除額が異なる
青色申告と白色申告の大きな違いは、受けられる税金の控除額です。
青色申告では、要件を満たすことで最大65万円の控除が受けられ、節税効果が高くなります。
一方、白色申告では、青色申告のような特別な控除はなく、基礎控除や配偶者控除などの一般的な所得控除のみが適用 されます。
そのため、収入がある程度ある人や経費が多い人にとっては、青色申告の方が有利になるケースが多いです。
事前提出書類の有無が異なる
青色申告を利用するには、事前に「青色申告承認申請書」などの書類を税務署へ提出する必要があります。
これに対して 白色申告は、事前の書類提出が不要で、開業届がなくても申告可能 です。
つまり、青色申告は事前準備が必要なのに対し、白色申告は思い立ったときにすぐ始められる手軽さがあります。
要件が異なる
青色申告をするには、いくつかの要件を満たす必要があります。
- 複式簿記または簡易簿記での記帳
- 青色申告承認申請書の期限内提出
- 損益計算書や貸借対照表など
青色申告は上記の条件をクリアする必要があるため、白色申告と比べてやや手間がかかりますが、その分大きな節税メリットが得られます。
帳簿の記帳方法が異なる
青色申告と白色申告では、帳簿のつけ方も異なります。 白色申告では、単式簿記と呼ばれる簡易的な記帳で済むのが特徴 です。
一方で青色申告では、原則として複式簿記を用い、収支をより詳しく記録する必要があります。
厳密には、簡易簿記による青色申告も可能ですが、その場合の控除額は10万円です。65万円の控除を受けたい場合は、複式簿記での記帳が必要になります。
白色申告のメリット
- 帳簿作成が簡単
- 事前申請が不要
帳簿作成が簡単
白色申告では、 家計簿のように収入と支出を記録する「簡易簿記」で帳簿を作成 します。
簿記の専門知識がなくても、手書きや簡単なノートでも対応できるため、会計ソフトがなくても問題ありません。
青色申告に比べて記入項目が少なく、手続きもシンプルなので、初めて確定申告をする人でも気軽に取り組める方法です。
事前申請が不要
白色申告は、 確定申告の前に税務署へ申請や届出をする必要がありません 。
青色申告は「青色申告承認申請書」を期限内に提出する必要があり、忘れると青色申告ができなくなります。
事業を始めたばかりで申請が間に合わない場合も、白色申告で申告できるため、初めての申告や準備が遅れた場合でも安心して使える制度です。
白色申告のデメリット
- 青色申告特別控除が受けられない
- 配偶者・親族への給与が必要経費にならない
- 赤字の繰越・繰戻ができない
- 少額減価償却資産の特例が使えない
- 貸倒引当金の計上制限がある
青色申告特別控除が受けられない
白色申告では、青色申告特別控除を受けられません。
青色申告なら、複式簿記で記帳しe-Taxを使えば最大65万円の控除が受けられ、所得税が軽くなります。
白色申告だと控除がないため、税金の負担が重くなる可能性 があります。節税の観点では青色申告の方が有利です。
配偶者・親族への給与が必要経費にならない
白色申告では、配偶者や親族に支払った給与を必要経費にできません。
代わりに「事業専従者控除」という控除が使えますが、上限が決まっています 。
一方、青色申告なら「青色事業専従者給与」として実際の給与額を経費にでき、節税効果が高くなります。
控除額の計算方法
事業に従事している親族(事業専従者)1人につき、以下の⑴と⑵のいずれか少ない方の金額を必要経費にできる
- 86万円(ただし、その事業専従者が配偶者以外の親族である場合は、50万円)
- (収支内訳書1ページの[19]の金額)÷(事業専従者数+1)
赤字の繰越・繰戻ができない
白色申告では、事業で赤字が出た場合でも、その損失を翌年以降に繰り越したり、前年の利益と相殺したりできません。
つまり、 赤字の損失を翌年以降の税金計算に活かせないため、開業初期など赤字が続く時期には負担が大きくなります 。
なお、青色申告では赤字の繰越・繰戻ができるため、損失を有効活用することが可能です。
少額減価償却資産の特例が使えない
白色申告では、少額減価償却資産の特例が使えません。
少額減価償却資産の特例は、青色申告者が30万円未満の資産を一度に経費にできる制度です。
白色申告の場合、 10万円以上の資産は法定耐用年数に沿って毎年少しずつ経費に計上しなければならず、節税効果が限定 されます。
貸倒引当金の計上制限がある
白色申告は貸倒引当金の計上が制限されます。
貸倒引当金とは、取引先が倒産し支払いが難しくなる場合に備えて損失見込みを事前に経費計上するものです。
青色申告では広く認められますが、 白色申告では個別に判断したものだけしか経費にできません。経理の自由度が低い点がデメリット です。
白色申告で確定申告をするメリットは薄い
白色申告は確定申告のなかでも簡単にできる方法ですが、 節税面ではあまりメリットが多くありません 。
青色申告に比べて控除額が少なく、配偶者や親族への給与を経費にできないなど、税金を減らせるチャンスが制限されます。
特に事業を長く続けるなら、帳簿作成や申請の手間が増えても青色申告を検討したほうが、結果的に節税効果が高くなることが多いです。
白色申告は短期間や簡単に申告したい場合に向いています。
白色申告が向いている人の特徴
- 経理作業に苦手意識がある人
- 事業の収入が少ない人
- 事業が赤字の人
経理作業に苦手意識がある人
白色申告は 単式簿記で記帳するため、経理の知識や経験が少ない方でも手軽に申告 ができます。
青色申告のように複雑な簿記や事前申請が不要なので、確定申告の手間を減らしたい人に適しています。
事業の収入が少ない人
事業を始めたばかりで収入が少ない場合、 青色申告の特別控除の恩恵を十分に受けられません 。
まずは白色申告で申告し、事業が安定してから青色申告に切り替える方法もあります。
事業が赤字の人
利益が出ていない場合は、青色申告の控除メリットを活かしにくい ため白色申告が向いています。
ただし、青色申告にすれば赤字の繰越が可能なので、事業の成長に合わせて申告方法を選びましょう。
白色申告に必要な準備
記帳作業
記帳とは、 売上や経費などの取引内容を帳簿に書き込む作業 です。
毎日発生する取引をまとめて効率よく記帳すると、申告時の負担が軽くなります。
例えば、同じ種類の売上や支払いがあれば、1日の終わりにまとめて1回だけ記帳しましょう。
また、記帳済みの帳簿には「済」などのマークを付け、二重に記録しないよう注意が必要です。
記帳する主な項目
- 入金内容(現金売上や掛売上など)
- 出金内容(仕入や経費など)
- 取引先の名前
- 取引年月日

控除証明書などの添付書類の準備
確定申告書には 本人確認書類や、申告内容に応じた控除証明書の添付が必要 です。
例えば、社会保険料控除や生命保険料控除を受ける場合は、それぞれの証明書を忘れずに準備しましょう。
添付書類を整えておくことで、申告がスムーズに受理されます。
白色申告のやり方・必要書類
- 収支内訳書を作成する
- 確定申告書を作成する
- 確定申告書を提出する(税務署・e-Tax)
決算作業(棚卸表の作成・減価償却費の計算)
決算は、 1年間の事業活動を締めくくる作業 です。記帳が日常的な作業なら、決算は年に1回のまとめの仕事です。
主な決算作業
- 棚卸表の作成(商品の在庫を確認する作業)
- 減価償却費の計算(パソコンや機械など長期間使う資産の費用を分割計上)
棚卸は通常、12月31日時点の在庫状況をもとに行いますが、業務終了日の在庫を基準にしても問題ありません。
減価償却費は、資産を長い期間にわたり経費として分けて計上する仕組みです。計算が必要な場合は、正確に処理しましょう。
収支内訳書を作成する
白色申告では「収支内訳書」を作成します。これは1年間の売上や経費をまとめた一覧表です。
収支内訳書は2ページに分かれていて、 2ページ目に経費や売上の詳細を書き、1ページ目でそれらの合計をまとめて所得を計算 します。
例えば、「給料や賃金」「税理士報酬」「家族に支払った給与」などがあれば、2ページ目に詳しく記入します。
先に2ページ目から作ると、1ページ目の集計がスムーズです。

確定申告書を作成する
確定申告書には「申告書第一表」と「第二表」があります。
第一表は所得や税金の合計を記入する用紙、第二表は詳細な内訳を書く用紙 です。
効率的に作成するために、先に第二表を書いてから第一表をまとめる方法がおすすめです。
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を使うと、画面の案内に沿って簡単に作成できます。

確定申告書を提出する(税務署・e-Tax)
作成した確定申告書は、 税務署へ直接持参するか郵送、またはインターネットで提出する「e-Tax」 が利用できます。
税務署に持っていけば相談もできて安心です。郵送は忙しい方や混雑を避けたい方に便利です。
近年はパソコンやスマホで申告できるe-Taxの利用が増えており、特に青色申告者には特別控除のメリットもあります。

会計ソフトが確定申告を劇的に楽にする!
白色申告に会計ソフトを使うメリット
白色申告は比較的手続きが簡単ですが、手書きやExcelで収支管理を続けると記入ミスや計算ミスが起こりやすいものです。
会計ソフトを使えば、日々の収支を入力するだけで帳簿が自動作成され、確定申告書類の作成もスムーズ に進みます。
また、白色申告では青色申告のような複式簿記の義務や控除はありませんが、正確な帳簿作成は事業の可視化にも役立ちます。
確定申告におすすめの会計ソフト3選
白色申告にも対応したおすすめの会計ソフトは次の3つです。- freee(フリー):スマホ対応が充実しており、操作がとても直感的
- マネーフォワード クラウド:連携機能が豊富で、銀行口座やクレカ情報も自動で取り込める
- やよいの白色申告オンライン:実績豊富でサポート体制も手厚く、初めてでも安心して使える
それぞれ無料体験版もあるので、使いやすさを比較して選ぶのがポイントです。
会計ソフト導入後の“残高ズレ”に注意
会計ソフトは便利ですが、初心者がつまずくポイントも多いです。特に「支出と残高が合わない」と感じるケースがよくあります。
原因は、手入力と自動連携の重複や、現金取引の記録漏れ、初期残高の設定ミスなど です。
こうしたズレは、こまめな残高チェックや入力ルールの統一で防げます。わからない時は、ソフトのサポートや税理士に相談するのも大切です。
会計ソフトの実際の活用事例(マネーフォワードクラウド確定申告)
- Webコンサルタント(IT・メディア系の個人事業主)
- 独立を決意し、Web発信を通じて事業化
導入の背景
- 事務作業が苦手で、効率化のために会計ソフトを検討
- 3社のソフトを実際に試して比較検討
選定理由
- PayPalと連携できたのがマネーフォワードだけだった
- 操作性・料金・サポート体制のバランス
- 自動化機能が豊富で、初心者でも扱いやすい
導入効果
- 初めての確定申告を3日で完了
- カード決済との連携で経費処理も自動化
- 仕訳登録はAIチャットボットで24時間対応可能
- クラウド会計により旅先でも経理業務が可能
参考:苦手だからこそ慎重に比較。結果は「マネーフォワード クラウド確定申告」だった│マネーフォワードクラウド
まとめ:白色申告も会計ソフトでスムーズに!
白色申告は手軽に始められるのが魅力ですが、帳簿の記帳や確定申告書の作成には意外と手間がかかることも少なくありません。
会計ソフトを使えば、日々の取引を入力するだけで帳簿が自動作成され、申告書の作成もスムーズになります。
初心者でも使いやすい操作画面が多く、記帳ミスの防止や作業の時短にもつながります。
経理や確定申告を効率化したいなら、白色申告でも会計ソフトの活用がおすすめです。
freee会計
【無料】お問い合わせはこちらマネーフォワード クラウド
【無料】お問い合わせはこちら
この記事を書いたライター
Wiz Cloud編集部
WizCloud編集部メンバーが執筆・更新しています。 Web関連、デジタル関連の最新情報から、店舗やオフィスの問題解決に使えるノウハウまでわかりやすくご紹介します!