「青色申告控除額とは?」
「65万円の控除が受けられるってホント?」青色申告特別控除は、青色申告で確定申告を行った場合に最大65万円の控除が受けられる制度です。
しかし、「控除を受けるにはどんな条件がある?」「控除分はどこから引くの?」「赤字を繰り越せるってホント?」といった疑問を抱く方も少なくありません。
今回は、青色申告特別控除を徹底解説!控除の条件や仕組み、計算方法などをご紹介します。
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2023年(令和4年分)の所得税等の確定申告の相談・申告書受付期間は2月16日~3月15日までの1ヶ月間です。
青色申告は、開業届を出している方、
白色申告は、開業届を出していない方が基本的な対象者になります。
確定申告の相談は、各都道府県の税務署の他、別で設置された会場、および電話での受け付けも行っています。
青色申告控除額とは?
最大65万円の所得控除が受けられる
青色申告控除額とは、一定の条件を満たした青色申告対象者が最大65万円の控除が受けられるものです。通常、人件費や必要経費を除いた「所得」に対して課税されるのに対し、控除を受けることで節税効果が得られます。
青色申告控除額は、損益計算書で算出した所得金額から差し引きます。必要経費などを収入から差し引いた後に、決算書上で計算された所得金額を適用しましょう。
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青色申告とは
-
青色申告は、 複式簿記で記帳した帳簿を提出する確定申告制度です。
青色申告をすることで、税制上の優遇措置である 青色申告特別控除を受けられます。
白色申告に比べて申請の手間が大きい一方、節税効果が高い点がメリットです。
48万円の基礎控除と別途で所得控除される
青色申告控除額は、48万円の 基礎控除と別途で適用 されます。
基礎控除とは、年収が一定額を下回る人の税負担を軽減するために設けられている制度です。
所得が2,500万円以下の人は基礎控除の対象となり、課税対象となる金額から一定額が差し引かれます。
所得金額 | 基礎控除額 |
---|---|
2,400万円以下 | 48万円 |
2,400万円超2,450万円以下 | 32万円 |
2,450万円超2,500万円以下 | 16万円 |
2,500万円超 | 0円 |
「青色申告承認申請書」と「確定申告書」が必要
青色申告特別控除を利用するには、「青色申告承認申請書」「確定申告書」を提出する必要があります。
また、控除内容に応じて、保険料控除証明書や寄附金受領証明書などの書類添付も必要です。
開業した年は「開業届」の提出も条件
事業を始めた年に青色申告特別控除を受けたい場合は、「開業届」の提出も条件となります。
「開業届」の提出期限は、 業務開始から2ヵ月以内なので、忘れないように注意しましょう。
免除額は65万円・55万円・10万円の3種類
青色申告特別控除の控除額は、65万円・55万円・10万円の3つです。
控除の適用条件をどれだけ満たしているかによって控除額が決まります。
より多くの条件を満たしているほど、控除される金額も高くなる仕組みです。
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65万円・55万円の青色申告特別控除を受ける条件
- 青色申告承認申請書を提出する
- 事業所得か事業的規模の不動産所得がある
- 発生主義であること
- 簿記で記帳する
- 青色申告決算書(貸借対照表と損益計算書)を添付する
- 【65万円控除のみ】e-Taxによる申告または電子帳簿保存を行う
条件1|青色申告承認申請書を提出する
青色申告を利用するには、「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。
特に、これから開業する場合は、開業届とともに青色申告承認申請書を提出するのがおすすめです。
提出期限 | ||
---|---|---|
新規開業 | 1月15日以前に開業 | 承認を受けようとする年の 3月15日まで |
1月16日以後に開業 | 業務を開始した日から 2か月以内 |
|
白色申告から青色申告へ切り替え | 承認を受けようとする年の 3月15日まで |
※期限日が土日祝日の場合は、翌日が期限日となります。
条件2|事業所得か事業的規模の不動産所得がある
65万円・55万円の青色申告特別控除を受けられるのは、「事業所得」または「不動産所得」のある個人事業主のみです。
ただし、不動産所得に関しては、事業的規模を満たすことも条件に含まれます。
事業的規模とみなされるのは、 「戸建て物件5棟以上」または「10室以上の集合住宅」が目安です。
条件3|発生主義であること
65万円・55万円の青色申告特別控除を受けるには、「発生主義」であることも条件となります。
発生主義とは、簿記において、 現金の動きがなくても取引が発生した時点で記帳する方式のことです。
現金の動きがあったタイミングで記帳・仕訳する「現金主義」の場合は原則対象外になるので注意しましょう。
条件4|簿記で記帳する
青色申告特別控除を受けるには、「複式簿記」で記帳する必要があります。
複式簿記とは、 1度の取引を複数の科目で記録する記帳方式です。
複式簿記は、単式簿記に比べて基調に手間がかかるので、会計ソフトを活用するのがおすすめです。
-
複式簿記の記帳例
- <7月10日にコピー用紙3,000円分を現金で買った場合>
日付 借方 貸方 摘要 2022.7.10 消耗品費 3,000 現金 3,000 コピー用紙代
条件5|青色申告決算書(貸借対照表と損益計算書)を添付する
65万円・55万円の青色申告特別控除を受けるには、確定申告書に「貸借対照表」と「損益計算書」を添付する必要があります。
貸借対照表とは、資産や負債などを記録した財産目録のようなもので、事業の財務状況を把握するために用いられます。
一方、損益計算書とは、経費や売上、利益などを記録し、一定期間の儲けを把握するための書類です。
条件6|【65万円控除のみ】e-Taxによる申告または電子帳簿保存を行う
65万円控除を受けるには、「e-Taxによる電子申告」または「電子帳簿保存」を行う必要があります。
いずれかを行っていない場合は55万円控除になるため、注意が必要です。
e-Taxとは
e-Taxとは、「国税に関する手続きをインターネットから行えるシステム」です。
確定申告書や青色申告決算書のデータを、オンラインで提出することになります。
電子帳簿保存とは
電子帳簿保存とは、「一定の要件のもと、帳簿を電子データのまま保存できる制度」です。
この制度を利用するには、電磁的記録を開始する旨の届出書を税務署に提出しなければなりません。
なお、紳士期限は「帳簿の備えつけを開始する日の3か月前まで」とされています。
e-Taxの申告方法(確定申告書等作成コーナー)
確定申告書等作成コーナーは、てWEB上で確定申告書を作成できるシステムです。
確定申告書等作成コーナーで作成した確定申告書のデータは、「e-Taxソフト(WEB版)」を使って送信できます。
なお、e-Taxソフト(WEB版)については、前述のe-Taxソフトのようにパソコンへインストールする必要はありません。
e-Taxの申告方法(e-Taxソフト)
- e-Taxソフトのインストールと起動
- 利用者ファイルを作成
- 納税用確認番号や電子証明書の登録
- 帳票の作成または作成済みファイルのアップロード
- 電子署名及び電子証明書の添付
- 申告書データの送信
- 受付結果の確認
e-Taxの申告方法(スマホ・タブレット)
スマートフォンやタブレットから、マイナンバーカード方式で確定申告書類を作成することも可能です。
「マイナポータルAP」というアプリをインストールしてマイナンバーカードを読み取り、その後、国税庁の確定申告書等作成コーナーで案内に従って確定申告書を作成します。
確定申告書等作成コーナーで申告書の作成が完了したら、e-Taxを利用してデータを送信します。
-
青色申告には対応していない
-
スマホ版やタブレット版では、事業所得や不動産所得で必要な青色申告決算書や収支内訳書は作成できません。
そのため、青色申告特別控除を受けたい場合は、e-Taxソフトや確定申告書等作成コーナーを利用する必要があります。
青色申告特別控除が10万円になるケース
青色申告者のうち、65万円・55万円控除の 要件をどれか1つでも満たせていない場合は、10万円の控除が適用されます。
また、10万円控除では、「不動産所得」「事業所得」に加えて、「山林所得」のある方も対象者となります。
青色申告特別控除の節税効果
所得税が安くなる
青色申告特別控除では、白色申告よりも 所得控除の金額が大きくなります。
たとえば、所得400万円の人が白色申告した場合、所得税は37万2,500円です。
一方、400万円の所得に65万円控除を適用すると、課税所得が335万円になるため、所得税は24万2,500円で済みます。
住民税が安くなる
青色申告特別控除を適用することで、所得税だけでなく住民税も安くなります。
住民税は一律10%なので、65万円の特別控除を受けることで、 約65,000円分の住民税が削減可能です。
国民健康保険料が安くなる
国民健康保険加入者は、所得金額をもとに保険料(所得割部分)が計算されます。
特別控除を適用すれば、基準となる所得金額から最高65万円の控除額を引いた金額で計算されるため、保険料も大幅に削減できます。
青色申告65万円控除のやり方・計算方法
青色申告特別控除を利用するには、開業時に「個人事業の開業・廃業届等提出書」と「所得税の青色申告承認申請書」を提出する必要があります。
なお、青色申告の課税所得金額は、 「(収入-経費-青色申告特別控除)-所得控除額」で求められます。
青色申告特別控除前の所得金額で税率が変わる
課税所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円~1,949,000円 | 5% | 0円 |
1,950,000円~3,299,000円 | 10% | 97,500円 |
3,300,000円~6,949,000円 | 20% | 427,500円 |
6,950,000円~8,999,000円 | 23% | 636,000円 |
9,000,000円~17,999,000円 | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円~39,999,000円 | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円~ | 45% | 4,796,000円 |
【シミュレーション】65万円の青色申告特別控除でいくら節税できる?
青色申告特別控除によって節税できる金額は、所得や経費、控除の金額によって異なります。
総収入600万円・経費200万円・所得控除額80万円の場合、青色申告の控除を受けることで、 所得税額が6万5,000円安くなります。
白色申告(控除なし)の場合 | 青色申告の控除を受けた場合 | |
---|---|---|
課税所得金額 | 600万円-200万円-80万円 =320万円 |
600万円-200万円-80万円-65万円 =255万円 |
所得税額 | 320万円×10%-97,500円 =22万2,500円 |
255万円×10%-97,500円 =15万7,500円 |
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青色申告特別控除が受けられないケース
不動産所得・事業所得・山林所得以外の 雑所得は、青色申告特別控除の対象外となります。
青色申告のメリット
「青色申告特別控除」を受けられる
青色申告することで、最大65万円の「青色申告特別控除」を受けられます。
基礎控除の48万円と合わせて、 最大で113万円の控除 が受けられるため、高い節税効果が得られます。
青色申告者は赤字を3年間繰り越せる
青色申告をすることで、赤字が出てしまった場合の損失を3年間繰り越すことが可能です。
3年以内に黒字回復できれば、 将来的に損失を取り戻せる可能性が高くなります。
赤字を繰り越すには 「損金申告用申込書」の提出が必要なので、赤字の場合も必ず確定申告をしましょう。
家族への給与を経費として計上できる
青色申告では、 家族や親族(15歳以上)への給与を経費として計上することが可能です。
なお、家族への給与を経費として計上する場合、 「青色事業専従者給与の届出書」の提出が必要となります。
自宅の光熱費を経費にできる
青色申告では、 「家事按分制度」を利用した節税対策も可能です。
家事按分とは、プライベートと事業の共用支出のうち事業に関する比率分を経費にできる制度です。
たとえば、自宅兼事務所の場合、光熱費などを経費として計上できます。
30万円未満の減価償却資産が一括で経費算入できる
青色申告は、減価償却の特例を受けられる点もメリットです。
通常、10万円以上の固定資産は減価償却で会計処理をする必要があります。
青色申告では、30万円未満の減価償却資産を一括で経費算入できるため、PCや自動車などを購入する際に高い節税効果が得られます。
-
減価償却とは
- 減価償却とは、固定資産の取得にかかった費用の全額をその年の費用とせず、毎年経費計上する会計処理方法です。
【比較表】青色申告ソフト(クラウド型)おすすめ一覧
サービス名 | おすすめ度 | 料金価格(税抜) | 無料体験期間 | 無料プラン |
---|---|---|---|---|
クラウド ★やよいの青色申告オンライン |
★★★★★ シェアNO1 |
8,800円〜/年 | ★1年間無料! | あり |
クラウド マネーフォワード |
★★★★☆ | 10,560円〜/年 | 30日間 | あり |
クラウド freee会計 |
★★★★☆ | 12,936円〜/年 | 30日間 | あり |
クラウド HANJO会計 |
★★★☆☆ | 12,936円〜/年 | 30日間 | あり |
クラウド クラウド円簿 |
★★★☆☆ | 基本無料 | 永年無料 | あり |
やよいの青色申告オンライン
「やよいの青色申告オンライン」は初めて青色申告をする個人事業主やフリーランスに最適です。1年間無料で利用でき、使いやすさを体験できます。
年間費用は8,800円〜(税抜)で、知識不要で申告書を作成できる他、 スキャンや撮影データの自動仕訳で手間を省くことが可能 です。
サポート体制も万全で、電話、メール、チャット、画面共有でのサポートがあります。大規模なコールセンターなので緊急時でも安心です。
マネーフォワード
「マネーフォワード クラウド確定申告」は、領収書の手作業入力が面倒だと感じる方に最適です。
クレジットカードや銀行口座と連携し、自動で取り込むので手間が省けます。AIが勘定科目を予測し、 ワンクリックで仕訳操作が完了するのも魅力 です。
e-Taxにも対応し、必要書類の作成から提出までサポートしてくれます。青色申告に挑戦したい個人事業主におすすめです。
freee会計
「freee会計」はクラウドベースの青色申告ソフトで、個人事業主から中小企業まで対応しています。
エクセルからのデータインポートも可能で、これまでエクセルで作業していた方も簡単に移行できます。
AIがレシートを読み取り経費を自動計算するので、初めての青色申告でも安心です。専用のスマートフォンアプリもあり、レシートをすぐに読み取れます。
HANJO会計
「HANJO会計」は機能が豊富なクラウド型青色申告ソフトの一つです。特に飲食店向けで、仕入れや売上の管理など、経営に必要な会計業務を自動化します。
スマホでレシートを撮影するだけで自動仕訳されるので、 簿記の知識がなくても利用可能 です。
初心者向けには「操作NAVI」「はじめてNAVI」「やることNAVI」といったガイド機能もあるので、確定申告初心者も安心して使えるでしょう。
クラウド円簿
「円簿青色申告」はMacでも使えるクラウド型の青色申告ソフトで、機能や利用期間に制限がない無料版があります。
基本機能はすべて含まれており、法改正にも即時対応しています。
データは無料でも自動バックアップされ、関東と関西の2拠点で二重保管されているため、 データ消失の心配はありません 。また、データ通信はSSL暗号化されているので、安心して利用できます。
青色申告控除額についてよくある質問
A
青色申告特別控除は、売上から仕入や経費などを差し引いた所得金額から、さらに65万円を引く仕組みです。
青色申告特別控除を適用することで、最大65万円分所得金額を節約できます。
A
青色申告をすることで、赤字が出てしまった場合の損失を3年間繰り越すことが可能です。
3年以内に黒字回復できれば、 将来的に損失を取り戻せます。
なお、赤字を繰り越すには 「損金申告用申込書」の提出が必要です。
A
青色申告では、基本的に経費に上限はありません。
なお、青色申告には「少額減価償却資産」という制度があり、30万円未満の備品は一括で経費計上が可能です。
A
青色申告では、所得税や住民税に対して控除を受けられます。
A
青色申告の10万円特別控除によって節税できる金額は、所得や経費、控除の金額によって異なります。
総所得600万円・経費200万円・所得控除額80万円の場合、特別控除を受けることで、所得税額が1万円安くなります。
青色申告控除額のまとめ
青色申告特別控除では、一定の条件を満たすことで最大65万円の控除を受けることが可能です。
白色申告と比べて申請の手間が大きい分、節税効果も高いので、条件に当てはまる場合は積極的に活用しましょう。
青色申告の手続きをカンタンにしたい場合は、会計ソフトを活用するのもおすすめです。
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どんなことでもWiz cloudにご相談ください。
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この記事を書いたライター
Wiz Cloud編集部
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