「費用も気になるし…自分でできないかな?」
「配線工事ってどのくらい費用かかるの?」
オフィスや事務所で利用されるビジネスフォンには、スター配線・バス配線・LAN配線の配線方式があります。
しかし、どの配線方式が自社の環境に最適なのか、導入や増設時にどのような点に注意すべきか、分からない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、ビジネスフォンの配線方式を紹介するとともに、それぞれのメリット・デメリット、導入や増設時に注意すべきポイントについて詳しく解説します。
目次
▼この記事で紹介している商品
ビジネスフォンの仕組みと配線の基本
ビジネスフォンとは何か
ビジネスフォンは、 企業やオフィス向けに設計された多機能な電話システム です。
複数の外線や内線を効率的に管理できるほか、音声通話はもちろん、転送・保留・内線通話・会議通話など、ビジネスシーンで役立つ多彩な機能を備えています。
また、ITインフラと連携し、クラウドやVoIP技術を活用することで、さらなる業務効率化が可能です。

主装置(PBX)と電話機の関係

ビジネスフォンは、 主装置(PBX)と電話機で構成され、配線が両者をつなぐ重要な役割を担っています 。
主装置は、外線・内線・留守番電話などの機能を提供する中枢であり、各電話機は主装置に接続して初めてこれらの機能を利用できます。
配線は単なる接続に留まらず、オフィス全体の通信システムを支える基盤といえます。

配線の役割と重要性
オフィス環境において、 配線は単なる電気の通り道ではなく、企業の生産性を左右する重要なインフラ です。
適切に設計された配線は、以下の役割を果たします。
- 機器の安定稼働を支え、業務効率を向上させる
- 漏電や火災のリスクを低減し、従業員の安全と会社の財産(備品等)を守る
- 将来的なオフィス拡張やレイアウト変更に柔軟に対応
- オフィス全体の美観を保ち、従業員のモチベーションと企業のイメージ向上につながる

編集部
配線設計は、専門知識と経験が求められるため、信頼できる業者に依頼するのがおすすめです
ビジネスフォンの3種類の配線方式
スター配線

スター配線とは、 主装置から各電話機へ1本ずつ配線する方式で、現在最も一般的な配線方法 です。
スター配線では、各電話機が独立して配線されているため、万が一1台が故障しても他の電話機に影響は及びません。
ただし、電話機の台数分だけ配線が必要となるため、数が多い場合はどの配線がどの電話機に対応しているか分かりにくくなる点に注意が必要です。
バス配線

バス配線とは、 主装置と電話機の間に「ローゼット」と呼ばれる機器を経由させることで、複数の電話機を接続できる配線方式 です。
バス配線では、ローゼットから各電話機へ接続するため、増設が容易です。また、電話機の台数分の配線が必要なスター配線と比べて、配線の本数を減らせるため、見た目がすっきりします。
しかし、一箇所で配線トラブルが発生すると、接続しているすべての電話機に影響が及びます。故障箇所が特定しにくいので、復旧に時間がかかる可能性がある点にも注意が必要です。
LAN配線

LAN配線とは、 LANケーブルを使用する配線方法で、インターネット回線を利用するIP電話機にのみ対応 し、一般的な電話機では使用できません。
この方式では、LANケーブルを利用するため、電話機専用の配線は不要です。また、PCなどのインターネット回線と統合して管理できる利点があります。
ただし、LAN配線は電力を必要とするため、給電HUBや給電アダプタなどの電源設備を準備する必要があります。
配線方式は型番で判別する
ビジネスフォンの 配線方式は、製品型番から判別可能 です。
異なる方式の電話機は接続しても利用できないため、移転・増設時は既存の配線方式を確認し、同一方式の機種を選びましょう。
- スター配線:「S」の文字
- バス配線:「B」または「L」+「S以外の文字」
- LAN配線方式:「IP」の文字

編集部
正確な情報は型番検索やメーカーへの問い合わせで確認しましょう。
ビジネスフォンの導入・増設時の注意点
主装置と電話機のメーカーを揃える
ビジネスフォンの導入や増設の際は、主装置と電話機のメーカーを揃えることが重要です。
異なるメーカーの製品を接続すると、互換性の問題で正常に動作しない 場合があります。
例えば、SAXAの主装置は比較的他メーカーの電話機も利用できますが、NTTのNX2シリーズでは原則として同一メーカーの電話機が必要です。
メーカーだけでなく機種間にも互換性があります。事前にメーカーや機種の対応状況を確認し、互換性のある製品を選びましょう。
主装置の設定変更・拡張を行う
ビジネスフォンの増設や入れ替えの際、主装置の設定変更や拡張が必要となる場合があります。
主装置には、接続可能な電話機数を決定する「ユニット」と呼ばれる基盤があります。スター配線やバス配線の場合、 ユニットに空きがあればケーブル接続のみで使用できますが、空きがない場合は増設できません 。
空きがない場合は、新たな主装置の購入、もしくはユニットを追加しての拡張が必要です。
主装置から電話機までの配線を組み直す
ビジネスフォンの増設やレイアウト変更の際、主装置から各電話機までの配線を見直す必要があります。
配線の長さや取り回しは、ビジネスフォンの種類や配線方式(スター配線、バス配線など)によって異なります。
増設する電話機の台数や設置場所に合わせて、適切な長さのケーブルを選定し、配線を整理することが重要 です。

編集部
場合によっては、配線ルートの変更や新たな配管工事が必要になることもあります。
配線工事の内容でコストが変動する
ビジネスフォンの 配線工事費は、床の種類や配線経路によって工事の難易度や必要な材料が異なる ため、オフィス環境により大きく変動します。
- OAフロア
床下に配線を収納できるため、比較的低コストです。 - タイルカーペット
フラットケーブルを使用するため、その分の費用が発生します。 - フローリングやPタイル
配線を保護するためのモール代が追加で必要となります。 - 天井配線やフロアまたぎ(複雑な工事)
複数人で作業する必要があるため、追加費用が発生してコストがかさむ傾向にあります。

編集部
オフィス環境を考慮し、コスト削減と安全性・美観のバランスを図りながら、最適な配線方法を選びましょう。
子機の増設は専門業者への依頼が必要
ビジネスフォンの子機を増設するには、 主装置との接続や配線調整が必要で、電気通信設備工事担任者の資格を持つ専門業者でなければ対応できません 。
工事費用は、配線の長さや作業内容によって変動するため、事前に見積もりを取り、費用を確認しておきましょう。
ビジネスフォンの導入・増設は自分でできるか
基本的に専門業者への依頼が必要
ビジネスフォンの設置や設定は、基本的に専門業者への依頼が必要です。
特に、配線や主装置の設定には「電気通信設備工事担任者」の資格が求められる場合が多く、 無資格者による作業は法律で禁じられています 。
主装置への接続・データ設定、ユニットの追加・設定変更、電話機の増設・移設、オフィス移転時の配線見直しなどは、すべて専門業者が対応するべき作業です。
誤った配線はシステム障害の原因となるため、安全かつ確実に運用するためにも、必ず専門業者に依頼しましょう。
簡単な設定は自分でできる
ビジネスフォンの 導入後、一部の簡単な設定や操作は自分で対応可能 です。特に、以下の作業は資格が不要で、比較的容易に行えます。
- 個人情報を伴う設定
- 受話器やコード類の交換
- 電話帳への番号登録・編集
- 短縮ダイヤルの登録・変更
- 既存の電話機同士の接続変更

編集部
必要に応じて自分で作業を行い、効率的に運用しましょう。
ビジネスフォンの配線工事の種類
電話機増設工事
電話機の増設を行う場合、 主装置から増設する電話機への配線工事と、主装置の設定変更が必須 です。
電話機は原則として同一メーカーの同一機種である必要があります。
また、主装置には内線数の上限があり、増設台数が上限を超える場合は、主装置の交換、もしくはユニットの追加が必要になります。
電話機移設工事
オフィスのレイアウト変更に伴い、現在使用している電話機を別の場所へ移動することがあります。
移設先が近い場合は既存の配線をそのまま利用できますが、 距離が遠くなる場合は配線の延長、もしくは新設が必要 です。
どちらの方法が最適かは、現場の状況を確認し、最もスムーズでトラブルの少ない方法を選択します。
電話機撤去工事
不要になった電話機は、 そのまま放置するか取り外すことが一般的ですが、撤去の際は必ず設置業者に連絡 しましょう。
特に、主装置に設定が残ったままだと、誤作動や不要な内線番号の残存につながる可能性があります。
また、配線の整理や撤去が必要な場合もあるため、業者に相談し、適切な対応を依頼することが望ましいです。
配線整理工事
オフィスの レイアウト変更では、電話機の増設・移設・撤去が同時に発生することが多く、配線の見直しが不可欠 です。
机や設備の配置が大きく変わると、既存の配線が短くなったり、床に露出したままになり、人や椅子のキャスターに踏まれて断線する恐れがあります。
トラブルを防ぐためにも、レイアウト変更時には配線整理工事を実施し、安全で適切な環境を整えましょう。
ビジネスフォンの配線工事の流れ
-
STEP.1
NTTへの電話回線手配(工事の1か月前)
まず、NTTに電話回線やインターネット回線の申込を行います。回線の種類や工事日程を確認し、手続きを進めましょう。
-
STEP.2
工事見積もりの取得(工事の1か月前)
ビジネスフォンの機器や工事の見積もりを作成します。工事業者には、電話回線の依頼内容をもとに見積もりを依頼しましょう。
業者選びのポイント
・依頼したい工事内容を明確にする
・事務所から近い業者を選ぶ
・1〜2社に絞り、詳細を丁寧に打ち合わせる -
STEP.3
回線・工事内容の確定(工事の2〜3週間前)
電話回線や工事内容を確定し、費用や手配日を決定します。業者としっかり打ち合わせを行いましょう。
-
STEP.4
工事日の調整(工事の1週間前)
NTTの回線工事とビジネスフォンの設置工事の日程を調整し、スケジュールを確定させます。
-
STEP.5
工事当日の対応
工事当日は、NTTの作業員とビジネスフォンの工事業者が作業を行います。工事の進行状況や予期せぬトラブルに対応できるよう、必ず立ち会いましょう。
-
STEP.6
作業完了・動作確認
設置完了後、動作確認を行い、問題がなければ工事完了となります。すぐに業務で使用できるよう、通話テストや設定の最終チェックを忘れずに行いましょう。
ビジネスフォンの配線工事の料金相場
電話機代の相場
ビジネスフォンの増設にかかる 電話機本体の価格相場は、中古で1台あたり1万円~3万円、新品で4万円~8万円程度 です。
注意点としては、電話機の価格のみで判断せず、システム全体の拡張コストを考慮することが挙げられます。
例えば、主装置の容量不足による買い替えや、工事費などが追加で発生する可能性があります。
中古機器の活用も選択肢の一つですが、状態や保証期間などを確認しましょう。
工事費用の相場
ビジネスフォンの増設工事費は、作業内容や環境により大きく変動します。
費用は、人件費、設定費、配線・設置費などで構成され、これらは現場状況に応じて変動します。
費用相場は、 派遣費が作業員1人あたり5千円~、主装置データ設定費が1万円~、電話機配線・設置費が1台あたり2~3万円 です。
正確な見積もりには、オフィス状況の精査が必須です。相場を参考にしつつ、専門業者へ詳細見積もりを依頼しましょう。

クラウドPBXなら配線工事が不要
クラウドPBXの仕組み

クラウドPBXは、 従来オフィス内に設置されていたPBX(電話交換機)をクラウド上に移行し、インターネット経由で利用できるサービス です。
インターネット環境が整っていれば、内線や外線、電話転送機能を利用でき、ビジネスフォンと比較して通話料金が安価である点が魅力です。

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詳しくはこちらクラウドPBXのメリット
クラウドPBXは、従来のビジネスフォンとは異なり、物理的なPBXを設置する必要がありません。
そのため、 オフィス内に複雑な配線工事をしなくても、インターネット回線さえあればすぐに利用を開始できます 。
レイアウト変更に伴うコストや時間を大幅に削減できるうえ、工事に伴う業務への影響も最小限に抑えられます。

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詳しくはこちらクラウドPBXのおすすめ6選【比較表】
CLOUD PHONE | 03plus | MiiTel | トビラフォンCloud | モバビジ | ひかりクラウドPBX | |
---|---|---|---|---|---|---|
初期費用 (税込) |
無料 | 5,500円 | 無料 | 3万3,300円~(2/ID) | 要問合せ | (1) 8,250円~(10/ID) (2) 8,250円~(20/ID) (3) 8,250円~(30/ID) |
月額料金 (税込) |
●1アカウント:770円 ●管理システム:7,150円 +えらべる番号料金 ・050番号:330円 ・市街局番:1,100円 ・0120番号:2,200円 |
(1) 1,408円(1/ID) (2) 2,508円(1/ID) |
6,578円(1/ID) | 3,300円~(2/ID) | 要問合せ | (1) 1万1,000円~(10/ID) (2) 2万0,900円~(20/ID) (3) 2万7,500円~(30/ID) |
対応できる 導入規模 |
個人事業主~中小企業 | 中小企業~大企業 | 中小企業~大企業 | 個人事業主~中小企業 | 中小企業 | 中小企業~大企業 |
利用可能な 電話番号 |
●市外局番 ※全国14都道府県 ●050番号 ●0120番号 |
●約46種類の市外局番 ●050番号 ●0120番号 ●0800番号 |
●市外局番 ●050番号 ●0120番号 ●0800番号 |
●市外局番 ●050番号 ●0120番号 |
●0ABJ番号 | ●市外局番 |
通話品質 | ◎ | ○ | ◎ | ○ | ◎ | ◎ |
拡張性 | ○ | ◎ | ○ | ◎ | ○ | ◎ |
API連携 | △ | ◎ | ○ | ◎ | △ | △ |
セキュリティ | ○ | ○ | ○ | ◎ | ○ | ○ |
管理の容易さ | ◎ | ○ | ◎ | ○ | ◎ | ◎ |
機能 | IVR機能 通話録音機能 複数の番号契約 複数の番号契約 SMSの自動送信 スマホで内線通話 外出先への転送電話 スマホで会社番号受発信 |
内線電話 パーク保留 WEB電話帳 クラウドFAX 通話録音 受付アプリ IVR など |
応対履歴の自動登録 自動文字起こし 自動要約・議事録作成 録音データ抜粋共有 リアルタイム活動量分析 ワードクラウド キーワード自動認識 など |
ステータス設定 ユーザーの状態表示 電話番号の使い分け ナンバーポータビリティ 発信元の電話番号を特定 迷惑電話フィルタリング 紛失時電話ロックアウト など |
保留転送 着信、発信 着信優先機能 クラウド電話帳 音声ガイダンス テキストチャット など |
内線通話 ダイヤルイン 外線の取り次ぎ 複数番号への転送 スマートフォンの内線利用 など |

まとめ
ビジネスフォンの設置においては、配線の種類や設置環境、予算に応じた最適な選択が重要です。
どの配線方法を選ぶかによって、作業の手間やコストが大きく変わるため、十分に検討する必要があります。
もし、配線工事を避けたい場合や手軽に導入したい方には、クラウドPBXが最適です。
配線不要で、インターネット環境さえあればすぐに利用開始できます。お気軽にWiz Cloudまでご相談ください。

この記事を書いたライター
Wiz Cloud編集部
WizCloud編集部メンバーが執筆・更新しています。 Web関連、デジタル関連の最新情報から、店舗やオフィスの問題解決に使えるノウハウまでわかりやすくご紹介します!