個人事業主は、売上や事業規模などによって支払うべき税金の種類や金額が異なります。
そのため、個人事業主にかかる税金の種類や節税方法を知りたいという方も多いのではないでしょうか。
本記事では、個人事業主の税金や経費にできる項目、具体的な節税方法を徹底解説していくので、個人事業主の方には必見の内容です。
個人事業主とは?
個人事業主とは、 自分自身が事業を営んで収入を得る形態のこと を指します。
特に設立に際して法的な手続きが必要な法人格とは異なり、個々の事業を始めるだけで自動的に個人事業主となります。
税法上も個人としての所得税制度の範囲で扱われ、その収入に対して課税されます。
個人事業主とフリーランスの違い
個人事業主とフリーランスは、どちらも独立した職業形態ですが、 具体的な働き方や税務処理に差があります。
例えば、フリーランスは特定の企業との雇用関係を持たず、個人で独立した働き方をする人を指します。
一方で個人事業主は、税務署に開業届を提出して税務上の区分として、個人で事業を行う人が該当します。
個人事業主の税金は4種類
所得税
所得税は、事業所得から必要経費を差し引いた金額に対して課される重要な税金です。
所得税の計算には青色申告と白色申告の2つの方法があり、どちらを選択するかで 控除額や必要経費の計算方法が変わります。
また、所得税は毎年確定申告を行い、必要な税金を納付します。
個人事業主の所得税はいつ払う?
個人事業主の所得税は、年間の収益が確定した後、確定申告を行い納税するものです。つまり、所得税は原則として確定申告を行った次の年の 3月15日までに納付 します。
また、所得税額が一定額を超えると、翌年度からは「予定納税」という形で、前年度の所得に基づいた税金を年2回(8月・11月)に分けて納めることが求められます。
消費税
個人事業主にとって消費税は、商品やサービスの販売から生じる税金で、商品やサービスの価格に上乗せされる形で課される間接税です。
個人事業主が商品やサービスを消費者に販売する際には、その価格に消費税を加算して徴収します。
また、事業主自身が商品を仕入れたり、必要なサービスを購入したりした際に支払った消費税は 「仕入税額」として控除できます。
消費税納税が免除されるケース
個人事業主は、事業者免税点制度が設けられており、売上1,000万円未満の事業者の消費税納税が免除されます。
ただし、課税売上高が1,000万円以上の事業年度から2年目の事業者や、 特定期間における売上が1,000万円を超えた事業者は自動的に課税事業者となります。
住民税
個人事業主の住民税は、その年の所得に基づき、翌年に市区町村と都道府県へ納付する税金です。
住民税は所得に基づく直接税で、個人事業主の所得や住民票のある自治体によって税額が異なります。
住民税は所得税と同じく所得に基づいて計算され、所得税とは異なり 前年の所得に対する税金を翌年に分割して納付します。
均等割
個人事業主の住民税には、「所得割」と「均等割」の2つの部分から成り立ちます。均等割は全ての住民が一定額を平等に納付する方法です。
均等割はその名の通り、個々の所得に関係なく全ての住民が同じ金額を納める部分で、地域の公共サービス等の財源となります。
また、所得割と違い所得が多い人ほど税金が増えるという訳ではなく、 全ての住民が一定額を納めます。
所得割
所得割は住民税の一部で、所得の多い人ほど納付額が多くなるという性質を持っています。
具体的には、所得割は前年の所得に対して 定められた税率を掛けた額 を納めます。
その税率は自治体により異なりますが、高所得者ほどその納税額が増えるというプログレッシブな税制を取っています。
個人事業税
個人事業税は各都道府県が徴収する税金で、所得税の申告と一緒に計算・納付されます。
個人事業税は事業所得に対する税金で、 事業の規模や内容に応じた税率が適用されます。
ただし、この税金は全ての個人事業主が払うわけではなく、一定の所得を超えた場合のみ納付が必要となります。
個人事業主の税金はいつ払う?納付スケジュール一覧
税金 | 納付期限 |
---|---|
所得税 | 3月15日まで |
消費税 | 3月31日まで |
住民税 | 7月/8月/10月/1月(予定納税は7月/11月) |
個人事業税 | 8月/11月 |
個人事業主が節税できる裏ワザ!税金対策方法9選
確定申告は青色申告で行う
個人事業主が節税するための方法は、青色申告で確定申告をするのがおすすめです。
青色申告は、経費の計上や所得控除など、 税務上の様々な優遇措置を享受することができます。
また、青色申告特別控除で最大65万円の税額控除を受けられるため、白白申告をしている方は青色申告への変更を検討しましょう。
事業に関わる支出を経費計上する
個人事業主の節税対策として、事業に関わる支出を経費計上することが重要です。
具体的には、 事業用品の購入費用、旅費や交通費、通信費など は経費として計上できるため、適切に管理・計上することで所得税の負担を軽減できます。
ただし、個別の経費計上にはルールがありますので、適切な知識と理解が必要となります。
生命保険や個人年金などの控除
個人事業主の節税対策として、生命保険や個人年金の控除を活用することが有効です。
保険料の支払いは一定の範囲内で所得控除が認められます。具体的には、 生命保険料控除や個人年金保険料控除 といった控除が対象となります。
ただし、控除の上限額があり、適用条件も存在しますので確認が必要です。適切な計画と知識により、節税対策を進めていきましょう。
自宅兼事務所の場合は按分して経費計上できる
個人事業主の方で自宅を事務所と兼用している場合は、家賃や光熱費など、 事業に関連する部分を按分して経費として計上することが可能 です。
しかし、全額経費とするのではなく、自宅と事務所の利用面積や時間などを考慮し、按分する必要があります。
不適切な計上は問題となるため、適切な按分計算を行うことが重要です。
減価償却資産の償却方法の届出を行う
個人事業主が節税を実現するための一策は、減価償却資産の償却方法の届出を行い、確定申告時の所得税負担を軽減できます。
減価償却とは、事業に用いる機械や設備などの 資産の価値減少分を経費として計上できるという仕組み です。
償却方法は資産の種類や使用状況により最適なものが異なるため、適切な選択が求められます。適切な償却方法を選ぶことで、
法人化して給与所得控除を行う
個人事業主は法人化することで、自己の所得を給与として支給し、給与所得控除を行うことができます。
また、法人化することで節税だけでなく、信用力の向上や事業承継の観点からもメリットがあります。
ただし、法人化は手続きが複雑で費用もかかるため、 事業規模や収益や未来のビジョンなどを考慮した上 で検討するべきです。
経営セーフティ共済に加入する
個人事業主の節税対策として考えられるのが、経営セーフティ共済への加入です。
経営セーフティ共済は、 独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営する制度 で、事業主自身が病気やケガで働けなくなった場合に給付金が支払われます。
共済料の全額が所得控除対象で、節税となるため保障内容や費用を理解した上で、他の保険とのバランスを考えるようにしましょう。
小規模共済に加入する
個人事業主の節税対策として、小規模共済への加入も有効です。
小規模共済は、 生活安定と所得確保を目的とした共済制度 で、その保険料は所得控除対象となります。
特に、老後資金の準備や家族を守る手段として、多くの個人事業主が利用しています。
iDeCoを活用する
個人事業主の節税対策として、iDeCo(個人型確定拠出年金)の活用が推奨されます。
iDeCoは積立金が所得控除となり、運用益も非課税という制度です。こうした特典を活用すれば、 税負担を減らしつつ長期的な資産形成が可能になります。
ただし、iDeCoは一定期間の解約しないことが原則となるため、資金の流動性が求められる場合は十分な配慮が必要です。
個人事業主の税金は経費にできる?
経費になるかどうかは「仕訳」で判断
出費が経費として認められるかどうかは、「仕訳」で判断します。
仕訳とは、事業運営する中で発生する お金の動きを、勘定科目を用いて借方と貸方に分ける作業です。
なお、勘定科目とは、事業運営で発生した取引の資産や費用の動きを記録するために使われる、分類項目を指します。個人事業主が経費にできる税金・支出
個人事業主の税金で、経費の対象となるのは 「売上につながる出費」 です。
そのため、「事業運営に必要かどうか」で経費に含まれるか判断されます
項目 | 概要 |
---|---|
仕入 | 販売目的の商品や原材料などを仕入れた費用 |
消耗品費 | 文法具やコピー用紙な祖、仕事に必要な消耗品を購入した費用 (金額が税込10万円未満、または使用可能年数が1年未満のもの) |
広告宣伝費 | チラシ作成代、新聞広告費、求人広告費、ポスティング費用など、広告宣伝にかかった費用 |
旅費交通費 | 打ち合わせや営業、出張などの移動でかかった交通費・宿泊費 |
水道光熱費 | オフィスの水道・電気・ガスなどの料金 |
通信費 |
|
飲食代 (条件付き) |
事業に関係があると説明できる範囲での飲食代 |
荷造運賃 |
|
外注費 | 社外に業務委託の契約をして依頼した費用 |
貸倒損失 | 売掛金や貸付金、立替金などが回収不能になった場合など、損失額を処理する勘定科目 |
給料賃金 | 従業員に支払う給与や賞与、残業代、退職金など |
専従者給与 | 専従者(家族従業員)に支払う給与 (「給料賃金」とは勘定科目を分ける) |
慶弔金 | 取引先関連の香典や、結婚式に呼ばれた場合の御祝儀 |
団体の年会費 | 各種業界団体に加入した場合の年会費 |
個人事業主が経費にできない税金・支出
プライベートな食事代や旅行費用、私物の購入費用など 個人的に使った支出は経費精算の対象になりません 。
経費となるのは、あくまで「売上につながる出費」なので、プライベートの支出とは分けて考える必要があります。
また、法人税や住民税、事業税などは、企業の利益にかかる税金なので、そもそも経費に該当しないと考えましょう。
項目 | 概要 |
---|---|
法人税・法人住民税 | 税金は企業の利益に対して課されるものなので、そもそも経費として認められない |
スーツ等の衣類 | スーツは制服と異なり、個人の趣味嗜好が介入する余地があるため対象外 |
社長、役員、従業員が 個人として行った支出 |
|
メガネ代やコンタクト費 | 業務以外の日常生活でも使うものは対象外 |
まとめ:個人事業主でも節税対策は可能!
本記事では、個人事業主が支払わなければならない税金の種類や節税対策について解説しました。
税金の仕組みや計算方法などを理解して、効果的な節税対策をしていきましょう。
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この記事を書いたライター
Wiz Cloud編集部
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